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コントロール不良2型DM、セマグルチドvs.シタグリプチン/JAMA

 メトホルミン(単剤またはSU薬併用)でコントロール不良の成人2型糖尿病患者に対し、セマグルチド7mg/日、14mg/日の投与は、シタグリプチン投与に比べ、26週の試験期間中の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値を、より大きく有意に抑制したことが示された。セマグルチド3mg/日では有意なベネフィットは示されなかったという。米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが、約1,900例を対象に行った第IIIa相ダブルダミー無作為化並行群間比較試験「PIONEER 3試験」の結果で、GLP-1受容体作動薬セマグルチドについて、他のクラスの血糖降下薬と直接比較した初となる第III相試験だという。結果を踏まえて著者は「臨床設定での有効性の評価について、さらなる検討を行う必要がある」と述べている。JAMA誌オンライン版2019年3月23日号掲載の報告。セマグルチドを1日3mg、7mg、14mg投与 研究グループは、メトホルミン(SU薬併用も含む)を服用するもコントロール不良の2型糖尿病成人患者を対象に、1日1回の経口セマグルチドvs.シタグリプチン100mgのアドオン療法の有効性を比較し、長期有害イベントを評価した。試験は2016年2月~2018年3月にかけて、14ヵ国206ヵ所の医療機関を通じ、78週にわたって行われた。 2,463例がスクリーニングを受け、1,864例が無作為に4群に割り付けられ、セマグルチドを1日1回3mg(466例)、7mg(466例)、14mg(465例)またはシタグリプチン100mg(467例)をそれぞれ投与された。セマグルチドの投与量は当初3mg/日で開始し、4週後に7mg/日へ、さらに4週後に14mg/日へと増量した。 主要エンドポイントは、ベースラインから26週までのHbA1c値の変化だった。主な副次エンドポイントは、同期間の体重変化や、HbA1c値と体重の52週および78週時の変化だった。エンドポイントについて、HbA1c値減少の非劣性(非劣性マージン:0.3%)を検証したうえで、HbA1c値・体重減少の優越性を検証した。セマグルチド7mg/日群と14mg/日群は26週後にHbA1c値減少 被験者の平均年齢は58歳(SD 10)で、ベースラインの平均HbA1c値は8.3%(SD 0.9)、BMIは32.5(同6.4)、女性は47.2%(879例)だった。試験を完遂したのは1,758例(94.3%)で、298例が早期に試験を中止した(セマグルチド3mg/日群16.7%、7mg/日群15.0%、14mg/日群19.1%、シタグリプチン群13.1%)。 ベースラインから26週までのHbA1c値は、セマグルチド7mg/日群と14mg/日群は、シタグリプチン群に比べ有意な減少が認められた(それぞれ群間差:-0.3%[95%信頼区間[CI]:-0.4~-0.1]、-0.5%[-0.6~-0.4]、いずれもp<0.001)。また、体重についても有意に減少した(それぞれ群間差:-1.6kg[-2.0~-1.1]、-2.5kg[-3.0~-2.0]、いずれもp<0.001)。 一方で、セマグルチド3mg/日群については、HbA1c値に関してシタグリプチン群に対する非劣性は示されなかった。 ベースラインから78週後のHbA1c値、体重の変化は、セマグルチド14mg/日群でシタグリプチン群に比べ有意な減少が認められた。

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重症患者の薬物療法に間欠的空気圧迫法併用はVTE予防メリットなし(解説:中澤達氏)-1022

 国際多施設共同無作為化比較試験(Pneumatic Compression for Preventing Venous Thromboembolism trial:PREVENT試験)で、静脈血栓塞栓症(VTE)の薬物予防法を受けている重症患者において、付加的な間欠的空気圧迫法を薬物予防法のみと比較したが、近位下肢深部静脈血栓症の発生は減少しなかった。 急性期脳卒中患者(発症後3日以内、身体機能低下、身辺動作の自立度低下あり)を対象とするCLOTS 3試験(間欠的空気圧迫法によって、3.6%のリスク減少)とは異なる結果となった。CLOTS 3試験では、間欠的空気圧迫法を用いない患者にVTE発生が12.1%という高率であったため、間欠的空気圧迫法の予防効果が検知された。本試験は、両群ともVTE発症率が4%程度と低く、90日後の全死因による死亡が26%と高いため有意差がつかなかった。それだけヘパリンのVTE予防効果が大きいということだ。 CLOTS 3試験で脳出血患者は間欠的空気圧迫法の使用によりVTE患者を約1/3に減少させ、脳梗塞患者以上の予防効果があったということから考えると、本試験では盲検法ができなかったことにより、出血傾向の患者に間欠的空気圧迫法が適応されている患者へのヘパリン使用量が恣意的に減少した可能性もある。 総合的に解釈すると、重症ICU患者にはヘパリンによるVTE予防が第一選択で、間欠的空気圧迫法はヘパリン投与が困難な患者に適応となる。皮膚トラブルの合併がなければヘパリンと間欠的空気圧迫法の併用も可能、ということであろう。CLOTS 3試験CLOTS Trials Collaboration. Effectiveness of intermittent pneumatic compression in reduction of risk of deep vein thrombosis in patients who have had a stroke (CLOTS 3): a multicentre randomised controlled trial Lancet 2013, 382: 516-24.

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ソーシャルロボットによる高齢者の認知機能検査の信頼性と受容性

 近年、人間とコミュニケーションを交わし生活をサポートするソーシャルロボットの開発が進んでいる。ソーシャルロボットは医療業界ではどのような活躍が期待できるであろうか。信州大学のTakaeda Kana氏らは、高齢者の認知機能検査へのアクセスを改善するため、ロボットを使った音声による検査の信頼性と受容性を検討した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月18日号に掲載。 本研究ではソーシャルロボットを用いて、老人ホームとデイケア施設から募集された参加者に対して電話を通した認知機能スクリーニングツールであるTelephone Interview for Cognitive Status日本語版を実施した。ロボットの会話や意思はあらかじめプログラムされており、次の質問へ進むタイミングの制御や参加者の反応の記録は研究者の手によって行われた。本研究では、認知機能検査の内的整合性、代替形式法による信頼性(実験1)、再検査法による信頼性(実験2)を検証した。また、実験2において、問診票を用いた検査の受容性の検証も行われた。 主な結果は以下のとおり。・66例(平均年齢81.2±5.8歳)が実験1に参加し、検査の内的整合性を評価するクロンバックのα係数は0.691、代替形式法の信頼性係数は0.728であった。・実験1の参加者のうち40例(平均年齢82.0±5.4歳)が実験2にも参加し、再検査法の信頼性係数は0.818であった。・質問票によると、半数以上の検査参加者が、認知機能の低下を測定するためにロボット版の検査を使いたい(あるいは非常に使いたい)と回答した。 著者らは、「もし研究者によって実行されている部分についても自動化に成功すれば、ロボットによる認知機能検査は地域在住高齢者にとって十分な信頼性と受容性を持ちえるだろう」としている。

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ivabradineのHFrEF患者への投与、日本人でも有用(J-SHIFT)/日本循環器学会

 慢性心不全では、高い心拍数が心血管系イベントの独立したリスク因子となる。既存薬による治療を行っても心拍数の高い患者において、HCN(Hyperpolarization-activated Cyclic Nucleotide-gated)チャネル阻害薬ivabradineの上乗せ投与の有用性・安全性が検証された。2019年3月29~31日に横浜で開催された、第83回日本循環器学会学術集会で、日本人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象とした第III相J-SHIFT試験の結果を、九州大学大学院医学研究院循環器内科学 筒井 裕之氏が発表した。ivabradine群で心不全悪化による入院が有意に減少 ivabradineは、心臓の洞結節に発現するHCNチャネルを阻害することで、過分極活性化陽イオン電流(If)を抑制し、心拍数を減少させる作用機序を持つ。 J-SHIFT試験は、日本人HFrEF患者(標準治療下にあるNYHA心機能分類II~IV、左室駆出率[LVEF]35%以下、洞調律下での安静時心拍数75回/分以上)を対象に、ivabradineの有効性と安全性を検討した第III相二重盲検無作為化並行群間比較試験。主要評価項目である「心血管死または心不全悪化による入院」のハザード比が1を下回ることの確認を目的とし、安静時心拍数、LVEF、安全性などがその他の評価項目として設定された。 ivabradineの投与は2.5mg(1日2回)から開始し、心拍数および忍容性に応じて2.5mg、5mg、7.5mg(それぞれ1日2回)に用量調節された。 日本人HFrEF患者を対象に、ivabradineの有効性と安全性を検討した主な結果は以下のとおり。・全体で254例が組み入れられ、ivabradine群とプラセボ群にそれぞれ127例ずつ無作為に割り付けられた。観察期間中央値は、589日であった。・平均年齢:61.2歳(ivabradine群) vs. 60.1歳(プラセボ群)、平均LVEF:27.9% vs. 26.6%。NYHAII/III/IVはivabradine群で78.7%/19.7%/1.6%、プラセボ群で80.3%/18.1%/1.6%であった。・既存薬による治療歴は、ACE阻害薬:44.9% vs. 52.8%、ARB:24.4% vs. 15.7%、MRA:83.5% vs. 71.7%、β遮断薬:96.1% vs. 94.5%であった。・心血管死または心不全悪化による入院は、ivabradine群26例(20.5%)に対しプラセボ群37例(29.1%)で、ハザード比[HR]は0.67(95%信頼区間[CI]:0.40~1.11、p=0.1179)であった。なお、心血管死については両群で差はみられず(HR:1.00、95%CI:0.36~2.79、p=0.9972)、心不全悪化による入院はivabradine群で有意に減少した(HR:0.53、95%CI:0.31~0.92、p=0.0242)。・安静時心拍数はivabradine群で有意に減少し(-15.2 vs.-6.1回/分、p<0.0001)、LVEFは有意に増加した(11.1% vs.6.6%、p<0.0001)。・有害事象として、軽度の光視症(6.3% vs.3.1%)、心房細動(2.4% vs.5.5%)、無症候性徐脈(両群とも0.8%)が報告されたが、症候性徐脈は認められなかった。 なお、ivabradineは本試験および、2010年発表の国際多施設共同試験SHIFT試験の結果に基づき、2018年12月に「洞調律下での安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全」の効能・効果で、国内製造販売承認申請されている。

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第16回 心臓の“しゃっくり”とは何ぞや?【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第16回:心臓の“しゃっくり”とは何ぞや?正常ならほぼ規則正しい心臓の収縮も、時には乱れます。今回は、単発で生じる不整脈として最も多い「期外収縮」を取り上げ、基本的な用語や心電図の見方についてDr.ヒロがレクチャーします。症例提示71歳、女性。高血圧で加療中。不定期の動悸とめまいの訴えがあるため、ホルター心電図検査が行われた。総心拍数:8.1万/日(35~92/分)、期外収縮:2,900回/日、ポーズ(2秒以上):440回/日。心房細動・粗動なし。この患者の心電図(拡大波形)を抜粋して以下に示す(図1)。(図1)ホルター心電図画像を拡大する【問題1】AおよびBの心電図に色帯で示した波形の名称を答えよ。解答はこちらA:(心房)期外収縮B:(房室接合部)補充収縮解説はこちら上段Aと下段B、どちらも途中まではP-QRS-Tのリズムがレギュラー(整)に続いていますね。Dr.ヒロは安定したP-QRS-Tの連続を各波形の頭文字をとって“ピクット”と呼んでいます(Pの“ピ”,Qが“クッ”で、Tは“ト”ってこと)。心臓が収縮しているイメージにも良く合ってますでしょ? でも、安定なはずの“ピクット”がAの6拍目、Bの4拍目でグラついています。ともに、本来予想される心拍の出現タイミングからズレており、多くの人が「期外収縮」の診断を真っ先に思いつくのではないでしょうか?ここでは、それが正しいかどうかを問うています。今回は最も基本的な不整脈として、単発のものを扱いましょう。本問では、珍しくホルター心電図を題材にしています。これまでの12誘導とは違い、不整脈を中心にチェックする心電図なだけで、基本的な読みは変わりません。このように多くのホルター心電図は2段構えの構成で、上段(ch.1:チャンネル1)が12誘導のV5誘導、下段(ch.2)はV1ないしaVF誘導に類した波形を呈します。どちらを見てもいいですが、不整脈の解析に重要なP波が見やすいのはch.2であることが多いので、抜き出して説明しましょう(図2)。(図2)ch.2(NASA誘導)のみ抜粋画像を拡大するP-QRS-Tの“ピクット”の等間隔性を意識してビヨーンと図中にR-R間隔を弧線で表現しました。正常な洞調律が続いた場合、Aの6拍目、Bの4拍目のQRS波が来るべき本来の場所を点線で示しました。そうすると、AとBとで違いに気づきますよね?そう、まずAでは想定よりも“早い”タイミングでQRS波(▼)が出現しており、これが「期外収縮」です。「早期収縮」という別称のほうが意味はとりやすいですが、市民権を得ているのは前者です。英語の教科書でも、premature beat/contraction/systole/complexextrasystoleectopic beatなどの言い方が紹介*されています。(*:日本循環器学会編.循環器学用語集、Wagner GS, et al. Marriott Practical Electrocardiography 12th ed. Philadelphia:Lippincott Williams & Wilkins;2014.p.314.)この女性の動悸の原因はコレで、1日に約3,000回、Aと同様の(心房)期外収縮が出ていました。Dr.ヒロは“心臓のしゃっくり”とか“心臓がスキップしているみたい”(skipped beatと、ある外国人の患者さんが言っていたっけ)と説明していますが、皆さんなら何と説明しますか?では、もう一方のBは何でしょう…こちらも想定されるタイミングからズレている点はAと同じですが、こちらのQRS波(▼)は“遅ればせ”な感じがします。油断すると、これも「期外収縮」と言ってしまいそうですが、正しくは「補充収縮」と言うんです。英語表現はescape beat。せっかちで落ち着きがない“しゃっくり”のような期外収縮が動悸の原因となる一方、“遅刻”を思わせる負のイメージとは裏腹に、補充収縮はありがたい“安全網”、セーフティ・ネットなんです。これがなければ、心臓はしばらく止まってしまうわけですから…非常にありがたいワケ。実は、Bでは色帯(3拍目)に続く4拍目のビートも本来の洞収縮のタイミングからは遅れています。つまり、これも「補充収縮」なんです。このように2回以上連続で補充収縮が見られる時には、定義上は「補充調律」が見られたという表現が正しいです。勘のいい方は、途中からP波がしばらく出ていないことに気づいたでしょうか(最後の6拍目の直前にようやくP波があります)。よって、この女性のめまいの原因は、洞(結節)機能低下、すなわち「洞不全症候群」ということがわかります。では、期外収縮に関して、もう一問いきましょう。症例提示85歳、男性。慢性腎臓病(CKD)、高尿酸血症で通院中。脳梗塞の既往あり、頸動脈ステント留置術後。起床時の胸部苦悶感、息苦しさを主訴に救急受診した。脈拍75/分、血圧152/79mmHg、酸素飽和度99%、下腿浮腫あり。Hb:7.7g/dL、BUN:47.7mg/dL、CRE:5.31mg/dL、K:5.5mEq/L。心電図(図3)を以下に示す。(図3)救急外来時の心電図画像を拡大する【問題2】心電図(図3)の所見として誤っているものを2つ選べ。1)洞調律2)左軸偏位3)心房細動4)心室期外収縮5)完全左脚ブロック解答はこちら1)、5)解説はこちらいつも通りの“レーサー・チェック”です(第1回)。R-R間隔は不整で心拍数66/分(検脈法:10秒)、洞性P波はどうでしょう?「不整脈」がありそうですが…。1)☓:期外収縮らしきQRS波を除いた部分ではR-R間隔が整に見えます。ただ、それは“まやかし”です。根拠なきサイナス宣言はDr.ヒロ的には大罪です! “イチニエフの法則”で確認すると、洞性P波はないので自信を持って“非洞調律”と言えます。2)◯:QRS電気軸の定性的評価では、IとaVF(II)誘導でQRS波の向きに着目します(第8回)。I:上向き、aVF(II):下向きは「左軸偏位」、これでオッケーです。偏位角度は“トントン法Neo”で「-60°」となります。3)◯:「不整脈」かなと思いつつ診断に悩むなら、まずは長めに心電図を記録することから始めて下さい。情報が増えるほうが診断しやすいので、アタリマエのように思えて実はコレが“金言”なんです(笑)。以下に別の時間帯にとった12誘導心電図を示します(図4)。(図4)別の時間帯のII誘導・V1誘導(非同時[連続]記録)画像を拡大するII誘導では判然としませんが、V1誘導の3~4拍目のR-R間隔が空いた部分に、わずかな“さざ波”が見つけられたらアナタの勝ち。これがf波(細動波)ですよね。R-R不整とあわせて「心房細動(AF)」が正解です(第4回)。しかも、f波(細動波)が1mmに満たない場合はとくに「ファイン心房細動」と呼ばれます(fineは微細な、かすかなの意)。4)◯:図3では、2種類のQRS波が確認できます。普通は幅広くいびつなQRS-T波形のほうが(心室)期外収縮です。5)☓:QRS幅がワイドで特徴的なV1波形(rSR'型)、イチエルゴロク(I、aVL、Ⅴ5、V6)の側壁誘導でS波が目立つので(スラーという)、完全「右脚」ブロックであれば○でした。期外収縮のほうは「左脚」ブロックに似た形をしていますが、波形診断は房室伝導したQRS波形で行います。CKD stage5の高齢男性の症例です。胸部症状の原因は、溢水・尿毒症をはじめ、心不全や虚血性心疾患、不整脈など複数が考えられると思います。ほかに高カリウム血症も要注意です。Dr.ヒロの当セミナーでは、心電図を中心に解説しますが、実臨床では病歴、血液検査、胸部X線、心エコーなどの結果とともに総合的に判断して下さいね。ベースがR-R不整の場合にも「期外収縮」は出るんです。問題1のように洞調律だったら、先行R-R間隔よりも早いタイミングであることをもって診断できますが、今回のようにAFの場合はそうはいきません。“派手”な印象のQRS波形があれば、多くはそちらが「心室期外収縮:PVC」でしょう。これは、QRS幅がワイドになるのに加えて、T波もQRS波と向きが反転して大きく目立つ性質があるためです。肢誘導に着目すると、3拍目と5拍目がPVC、胸部誘導なら2拍目と5拍目がそうなりますね。もちろん、以前の(期外収縮が [少] ない)心電図を用意して、今回の波形と比べて房室結節を経由した正規のQRS波を認識し、もしもそれがなければ、少し長めに記録してメイン“じゃない”かつ”派手”な波形が PVCと考えてもOKでしょう。もちろん、まれに例外もあります。最後の最後にちょっとだけややこしい話を…。AFで見られる”派手”でおかしなQRS波形がすべて「期外収縮」、すなわちPVCの”一択”なら話はカンタンですよね?でも、実際には違うんです。もちろん、心房が高頻度で興奮するAFだと「心房期外収縮:PAC」は原理的にありえません。房室結節を過ぎた後、心室に入ってからの電気の進み方が通常と変わってしまう場合に平常とは異なるPVC類似のQRS波形を呈することがあるのです。これは「(心室内)変行伝導」と呼ばれる現象です(聞いたことない、難しいなと感じたら、今回は名前だけでも覚えましょう)。以上のことから考えられる今回の心電図診断をまとめます。心電図診断ファイン心房細動心室期外収縮(頻発性)完全右脚ブロック左軸偏位(左脚前枝ブロック疑い)時計回転このケースは心房では”痙攣”(AF)が続いていて、心室では頻繁に“しゃっくり”(PVC)が起こるややこしい方ということになりました。付随所見も多く、背景に心疾患もありそうな心電図だと思います。今回は、「期外収縮」をテーマに、ごく基本的な話をしました。紛らわしい「補充収縮」や基本調律がAFの場合なども扱いました。良く復習しておきましょうね!Take-home Message1)先行R-R間隔から想定されるタイミングよりも早期に出現するのが「期外収縮」の基本概念2)「補充収縮」を間違って「期外収縮」と言うなかれ3)不整脈の診断に迷ったら、まずは長く記録して判断材料を増やすべし【古都のこと~北野天満宮~】弥生の京都、桜の季節になる前に行っておきたいのは上京区にある北野天満宮です。2月下旬から約1ヵ月間、“見事”の一言に尽きる梅苑が公開されています。曇り空の朝、懐かしい景色の広がる北門から入ると、境内の随所で梅の木が香りを放っており、なかでも本殿前の「飛梅」は見事でした。“学問の神様”でもある菅原道真公が鎮座するこの神社は、受験生や修学旅行生の定番スポット。スマホ片手の制服姿の集団で賑わい始めた頃、桐箱の御守を手に“天神さん”を後にしたのでした。

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副作用の強い分子標的薬の開始用量は?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第6回

第6回 副作用の強い分子標的薬の開始用量は?1)Cho BC, et al. Efficacy and Safety of Ceritinib (450 mg/day or 600 mg/day) With Food vs 750 mg/day Fasted in Patients With ALK-Positive NSCLC: Primary Efficacy Results From ASCEND-8 Study. J Thorac Oncol. 2019 Mar 6. [Epub ahead of print]2)Cho BC, et al. ASCEND-8: A Randomized Phase 1 Study of Ceritinib, 450 mg or 600 mg, Taken with a Low-Fat Meal versus 750 mg in Fasted State in Patients with Anaplastic Lymphoma Kinase (ALK)-Rearranged Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC). J Thorac Oncol. 2017;12:1357-1367.EGFR・ALK陽性例など、1つのドライバー変異に対して複数の分子標的治療薬が承認されている状況は珍しくなくなりつつある。選択肢が広がった一方で、なかには有害事象が思ったより強い薬剤も散見される。支持療法の強化でマネジメントできれば言うことないのだが、それでも減量を強いられる症例は少なくない。ましてや事前に有害事象のデータがわかっていれば、なおさら最初から減量して開始したほうがよいのでは、という考えが生じるが、これまで成功例は少なかった。ALK阻害剤であるセリチニブは消化器毒性の発現が多く、当初の開始量では約8割が用量調整を要する薬剤として知られている(Soria JC, et al. Lancet. 2017;389:917-929.)。今回、セリチニブの投与法を工夫することで、減量しても同等の有効性・毒性の軽減を示すことに成功した臨床試験を紹介する。ASCEND-8試験は前向き・非盲検の3群試験。残念ながら日本は参加していないが、韓国・台湾などのアジア人患者が参加している。本試験は3群試験であり、従来の開始量である750mg/日・空腹時群に対して450mg/日・食後群、600mg/日・食後群が設定された。この試験の重要なポイントとして、PK解析が行われている点が挙げられる。2017年のJournal of Thoracic Oncology(JTO)誌に137例を対象にしたpart Iの結果が報告されているが、450mg/日・食後群のPKは750mg/日・空腹時群と同等で、消化器毒性が少ない可能性が示唆されていた。今回報告されたのは306例まで患者数を増して行ったpart 2の結果で、有効性・安全性を中心とした結果となっている(注:有効性は198例の未治療例に限ったデータ)。ORRは750mg/日・空腹時群:75.7%に対して、450mg/日・600mg/日の食後群では78.1%、72.5%であった。PFS中央値は750mg/日・空腹時群:12.2ヵ月に対して、450mg/日および600mg/日の食後群では未到達、17.0ヵ月であった。18ヵ月時点の無増悪生存率は同様に36.7%に対して52.9%、61.1%となっている。dose intensityは450mg/日・食後群が100%と最も優れていた。消化器毒性を呈した患者の割合は750mg/日・空腹時群の91.8%に対して、450mg/日および600mg/日・食後群では75.9%、82.6%であった。解説連日内服する分子標的薬の有害事象は、投与後、徐々に回復してくる細胞傷害性薬剤のそれとは異なり、持続してしまうことが厄介である。なので、患者の実際のしんどさは最悪時点のgradeのみでは測りにくく、減量率や休止率なども重要な指標となる。過去にこのような有害事象頻度の高い薬剤については、(1)減量した患者群でも有効性が同等である可能性を後方視的に検討したり(アファチニブ:Yang JC, et al. Ann Oncol. 2016;27:2103-2110.)、(2)減量開始による前向き試験(エルロチニブ:Yamada K, et al. Eur J Cancer. 2015;51:1904-1910.)が検討されてきた。ただしあくまで後付けであったり、後者のように主要評価項目にmetしなかった試験も報告されており、原則は「可能な限り、承認された開始用量で始める」というコンセンサスがあった。今回の試験が新しかったのは、きちんとPKを行い、これを基に投与時期の変更と用量調整を行っている点である。実際、本邦・海外において、この新しい用量設定が承認されていることは大変重要な成果だと思う。この試験の弱点を強いて言えば、300例超という大きな試験であるにもかかわらず、「この人数の設定には統計学的根拠がない」と記載されていることだろうか。また、非盲検試験であるため、dose intensityや毒性評価のデータはこれらを差し引いて読む必要があるかもしれない。前述したように、連日経口投与する分子標的薬の場合、従来の毒性評価は不十分かもしれず、今後検討の価値がある。一方そのような場合でも、いたずらな減量開始には注意が必要である。科学的根拠に基づいて用量の再設定をした本試験は非常に重要な意義を持つ。

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マイボーム腺機能不全とドライアイの類似・相違点が明らかに

 マイボーム腺機能不全(MGD)はドライアイ(DE)と症状が類似しており、鑑別が難しい疾患とされる。日本でMGDの啓発に取り組むLIME(Lid and meibomian gland working group)研究会が、同一集団で両疾患を比較した初の住民ベース断面調査を実施。MGDとDEの類似性と相違性を明らかにした。同研究会代表世話人であり伊藤医院副院長の有田 玲子氏らによる報告は、American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2019年3月6日号で発表された。 研究グループは、日本人のMGDとDEにおける有病率とリスク因子、および関連性を調べ、類似性と相違性を比較・分析した。 長崎県平戸市度島で行われた「平戸study」では、住民628人のうち6歳以上の616例を適格対象とした。 参加者には、眼症状、全身性疾患、ライフスタイルに関する因子について質問票に回答してもらい、MGD関連パラメータと涙膜関連パラメータを評価。また、MGDとDEのリスク因子を、単変量・多変量ロジスティック回帰法にて解析した。MGDとDEの年齢別有病率をgeneral additive model with degree-3 natural splinesを用いて算出し、MGDとDEの構造的関連性を主成分分析とプロマックス回転による因子解析によって評価した。 主な結果は以下のとおり。・度島住民356例(男性133例、女性223例)が登録された(平均年齢±SDは55.5±22.4歳[範囲:6~96歳])。・MGDの有病率は32.9%、DEは33.4%であり、併存率は12.9%であった。・MGD有病率は、男性(オッズ比[OR]:2.42)、年齢(10歳増ごとのOR:1.53)、脂質異常症治療薬の経口摂取(OR:3.22)と関連していた。・DEの有病率は、女性(OR:3.36)、コンタクトレンズの装着(OR:2.84)、結膜弛緩症(OR:2.57)、眼瞼炎(OR:3.16)と関連していた。・MGDとDEの年齢別有病率は、異なっていた。・16のパラメータの因子解析で、MGDとDEは独立因子を有していることが示唆された(因子間の交互作用:-0.017)。・MGDとDEは、症状は類似しているが発症メカニズムは異なっていた。

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低リスク大動脈弁狭窄症にバルーン拡張型弁のTAVRは有効か/NEJM

 手術死のリスクが低い重度の大動脈弁狭窄症患者の治療において、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は外科的大動脈弁置換術と比較して、1年時の死亡を含む複合エンドポイントが良好であることが、米国・Baylor Scott and White HealthのMichael J. Mack氏らが実施したPARTNER 3試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月16日号に掲載された。手術死のリスクが中等度~高度な患者では、これら2つの手技の主要アウトカムは同等とされるが、低リスク例におけるエビデンスは十分でないという。5ヵ国71施設が参加、非劣性を検証する無作為化試験 本研究は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本の71施設が参加した多施設共同無作為化試験であり、2016年3月~2017年10月に患者登録が行われた(Edwards Lifesciencesの助成による)。 対象は、重度の石灰化大動脈弁狭窄症を有し、臨床的および解剖学的評価で手術死のリスクが低いと判定された患者であった。被験者は、経大腿動脈アプローチでバルーン拡張型大動脈弁を留置する群(TAVR群)または外科的大動脈弁置換術を行う群(手術群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、術後1年時の死亡、脳卒中、再入院の複合とした。事前に規定された非劣性マージン(95%信頼区間[CI]の上限6ポイント)を下回っている場合に非劣性と判定された。主要複合エンドポイント:8.5% vs.15.1%、優越性も確認 1,000例が登録され、950例(TAVR群496例、手術群454例)がas-treated集団に含まれた。ベースラインの全体の平均年齢は73歳、69.3%が男性で、米国胸部外科学会の予測死亡リスク(STS-PROM、0~100%、スコアが高いほど術後30日以内の死亡リスクが高い)の平均スコアは1.9%だった。 1年時の主要複合エンドポイントの発生率は、TAVR群が手術群に比べ有意に低く(8.5% vs.15.1%、絶対差:-6.6ポイント、95%CI:-10.8~-2.5)、95%CI上限が非劣性マージン6ポイントを下回ったため、TAVR群の手術群に対する非劣性が示された(非劣性:p<0.001)。ハザード比(HR)は0.54(95%CI:0.37~0.79、優越性:p=0.001)で、TAVR群の優越性も示された。 術後30日の時点で、TAVR群は手術群に比べ、脳卒中(0.6% vs.2.4%、HR:0.25、95%CI:0.07~0.88、p=0.02)、死亡または脳卒中の複合エンドポイント(1.0% vs.3.3%、HR:0.30、95%CI:0.11~0.83、p=0.01)、心房細動の新規発症(5.0% vs.39.5%、HR:0.10、95%CI:0.06~0.16、p<0.001)が有意に低かった。 また、TAVR群は、初回入院期間中央値が短く(3日vs.7日、p<0.001)、30日の時点の不良な治療アウトカム(死亡またはKansas City Cardiomyopathy Questionnaire[KCCQ]スコアが低値)の割合が低かった(3.9% vs.30.6%、p<0.001)。 安全性については、両群間で、重大な血管合併症、新規の恒久的ペースメーカー植え込み、中等度~重度の弁周囲逆流の発生率に有意な差はみられなかった。また、1年時の新規左脚ブロックの発生率はTAVR群のほうが高かった(23.7% vs.8.0%、HR:3.43、95%CI:2.32~5.08)が、生命に関わる出血や大出血の発生率は低かった(3.6% vs.24.5%、HR:0.12、95%CI:0.07~0.21)。 著者は、「今回は、1年という短い期間の結果であり、長期的な弁の構造的劣化の問題は評価していない。手術と比較したTAVRの利益と不利益に関する明確な結論を得るには長期のフォローアップを要し、本試験では少なくとも10年は臨床検査と心エコー検査を継続する予定である」としている。

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良性の卵巣腫瘍、保存的治療2年で自然消退2割、悪性化リスクは低い/Lancet Oncol

 付属器腫瘤は、産婦人科において最も頻繁に遭遇する疾患の1つといわれる。これまで長期追跡した大規模前向き研究はほとんどなかったが、ベルギー・ルーベン大学病院のWouter Froyman氏らが、国際共同前向きコホート研究「International Ovarian Tumor Analysis Phase 5:IOTA5」の中間解析を行い、超音波検査で最初に良性と診断された付属器腫瘤を保存的に治療しても悪性腫瘍や急性合併症の発生リスクは低いと報告した。卵巣腫瘍は多くの場合、合併症リスクのため外科的に切除されるが、「今回の結果は患者のカウンセリングに有用で、良性の付属器腫瘤に対する保存的治療を支持するものである」とまとめている。Lancet Oncology誌2019年3月号の掲載報告。 IOTA5研究の対象は、超音波検査後に手術または保存的治療が選択された1つ以上の付属器腫瘤を有する18歳以上の患者で、14ヵ国の36施設から連続的に登録された。 研究グループは今回、超音波画像の主観的評価に基づき最初に良性と診断され保存的治療が選択された患者について、追跡期間2年における付属器腫瘤の嚢胞合併症および悪性腫瘍の累積発生率を推定する目的で中間解析を行った。保存的治療では3ヵ月後、6ヵ月後、その後は12ヵ月ごとに超音波検査による臨床経過の観察が行われ、追跡調査は現在も進行中である。 中間解析の評価項目は、付属器腫瘤が新規に診断され登録された患者における腫瘤の自然消退、捻転または嚢胞破裂、あるいは手術で確認された境界型または浸潤性の悪性腫瘍の累積発生率であった。 主な結果は以下のとおり。・IOTA5研究には、2012年1月1日~2015年3月1日に、8,519例が登録された。・保存的治療が選択されたのは3,144例(37%)で、そのうち1,919例(74%)が、付属器腫瘤が新規に診断され登録された患者であった。・追跡期間中央値は27ヵ月。・1,919例における追跡期間2年の累積発生率は、腫瘤の自然消退20.2%(95%CI:18.4~22.1)、浸潤性悪性腫瘍0.4%(95%CI:0.1~0.6)、境界型腫瘍0.3%(95%CI:<0.1~0.5)、捻転0.4%(95%CI:0.1~0.7)、嚢胞破裂0.2%(95%CI:<0.1~0.4)であった。

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統合失調症入院患者における心血管イベント

 レバノン大学のGhina Al-Seddik氏らは、統合失調症患者における心血管(CV)および脳血管イベントと死亡率を評価するため、フラミンガムリスクスコア(FRS)および動脈硬化性疾患(ASCVD)のスコアによる予測能について比較を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2019年2月10日号の報告。 対象は、2013年1月から入院中の統合失調症患者329例。CVイベントを検出するため患者のカルテをレビューした。 主な結果は以下のとおり。・平均フォローアップ期間は41.07±12.55ヵ月であった。・フォローアップ期間中に29件のCVイベントが認められた。内訳は、心筋梗塞4件、脳卒中1件、心不全6件、CV死18件であった。・CVイベント発生率の主要複合アウトカムは9.0/100患者年、2次複合アウトカムは7.2/100患者年であった。・FRSスコアによる高CVR患者と低CVR患者の生存曲線の間には、有意な傾向が認められた(RR:1.90、p=0.078)。・ASCVDにより高CVリスクと分類された患者では、CV生存率の低下が認められた(RR:3.35、p=0.005)。 著者らは「重度の精神疾患患者の医学的評価では、ASCVDの評価を行うべきである」としている。■関連記事抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大統合失調症の心血管リスク、その出現時期は抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

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心房細動の男性、脳卒中なしでも認知症に注意

 心房細動は脳卒中リスクを増大させ、認知障害や認知症のリスクを増大させる。しかし最近、脳卒中でない場合でもこの関連を示唆するエビデンスが出てきている。そこで、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLina Ryden氏らは、コホートから脳卒中患者を除外しなかった場合とした場合の心房細動と認知症発症との関連を調査し、さらに性別や遺伝的因子についても検討した。Journal of Internal Medicine誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。 著者らは、ヨーテボリH70出生コホート研究の一環として、2000~01年、70歳の被験者561例について、身体的および神経精神学的な総合検査を実施し、75歳時と79歳時にフォローアップ調査を行った。ベースライン時の心房細動は、ECG、代理報告、National Patient Register(NPR)により確認した。ベースライン時およびフォローアップ時の脳卒中は、自己報告、代理報告、NPRにより確認した。また、ベースライン時およびフォローアップ時の認知症は、神経精神学的検査、代理報告、NPRに基づき、DSM-III-R基準に従って診断した。 主な結果は以下のとおり。・心房細動を有する参加者は、12年間のフォローアップ期間に認知症リスクがほぼ3倍に増加し(HR:2.8、95%CI:1.3~5.7、p=0.004)、このリスクはベースライン時およびフォローアップ時に脳卒中を有する参加者を除いた後も残った。・この関連は、性別で層別した場合に男性のみ(HR:4.6、95%CI:1.9~11.2、p<0.001、性別と心房細動の交互作用:p=0.047)、またAPOE対立遺伝子ε4の非保有者のみ(HR:4.2、95%CI:1.8~9.7、p<0.001、APOEと心房細動の交互作用:p=0.128)で認められた。・心房細動による認知症の人口寄与危険度は13%であった。 著者らは、「無症候性脳血管リスクの指標としての心房細動の関連をさらに調査する必要がある」とし、また「心房細動の患者は認知症状を検査されるべき」と提言している。

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統合失調症または双極性障害患者における死亡率の傾向

 重度の精神疾患を有する患者の平均寿命は、一般人口と比較し、1~20年短縮するといわれているが、その多くは身体疾患によって命が失われている。重度の精神疾患に関する大部分の研究では、疾患ごと(たとえば統合失調症と双極性障害)に調査が行われており、母集団に対する死亡率の観点から疾患を比較してはいなかった。デンマーク・オールボー大学のLine Hosbond Lomholt氏らは、統合失調症患者と双極性障害患者の標準化死亡比(SMR)の比較を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2019年3月1日号の報告。 1995~2014年に統合失調症または双極性障害と診断されたSMRを比較するため(年齢、性別で調整)、デンマーク全人口を含むレジスターベースのコホート研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。・重度の精神疾患患者のSMRは、研究期間中の各暦年につき有意に高く、全SMRは、統合失調症患者(3万8,500例)で4.58(95%CI:4.48~4.69)、双極性障害患者(2万3,092例)で2.57(95%CI:2.49~2.65)であった。・統合失調症と双極性障害のそれぞれについてSMRの時間的傾向を調査したところ、SMRの経時的な平均増加は、統合失調症で0.03/年、双極性障害で0.02/年であった(各々p<0.01)。・研究期間中の各暦年における統合失調症と双極性障害のSMRの比は、一定であった(p=0.756)。 著者らは「統合失調症、双極性障害ともに、過去20年間でSMRの増加が認められた。両疾患ではSMRに関する明らかな違いがあるにもかかわらず、SMRの経時的な増加は同様であり、両疾患の死亡率に影響する共通の根本的な要因を示唆している可能性がある」としている。■関連記事精神疾患患者の死亡率は減少しているのか統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺、とくに若者で初発統合失調症に対する治療アルゴリズムを作成~日本臨床精神神経薬理学会

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日本の頭部外傷の実態/脳神経外傷学会

 日本の頭部外傷診療の現状の把握を目的に、1998年より重症頭部外傷患者を対象とした疫学研究を開始。現在まで、日本頭部外傷データバンク(JNTDB)Projectとして1998、2004、2009、2015が行われ、Project2015(P2015)の結果がまとまり、第42回日本脳神経外傷学会にて、その結果が報告された。P2015の登録対象症例は2015年4月1日~2017年3月31日に、搬入時あるいは受傷後48時間以内にGlasgow Coma Scale(GCS)8以下、あるいは脳神経外科手術を施行した頭部外傷症例(0歳を含む全年齢)。Project2015の参加施設は32施設1,345例が登録された。転機は改善するも、高齢者の転倒、歩行者事故による頭部外傷が増加 仙台市立病院 加藤 侑哉氏はシンポジウムの中で、重症頭部外傷の年齢構成の推移についてJNTDB2015と過去のデータの比較を発表した。分析対象は6歳以上、GCS8以下などの規準を満たした重症頭部外傷患者で、P2015の1,345例中924例が検討対象となった。 JNTDBの4回のProjectの結果、若年者層での重症頭部外傷減少、高齢者層での増加を経時的に認めている。P2015では、80~84歳がピークとなり、過去の統計と比べ、さらに高齢者側にシフトした。 受傷機転をみると、交通事故は経時的に減少しているが、転倒・転落・墜落は増加しており、どちらもP2015では65歳以上で大幅に増加した。転帰については、GOS(Glasgow Outcome Scale)でGR(good recovery:日常生活に復帰)、MD(moderate disability)の転帰良好群は横ばい、SD(severe disability)、VS(vegetative state)の機能的転帰不良群は増加、死亡は減少していた。増加する高齢者頭部外傷の割合 わが国における高齢者重症頭部外傷の変遷について、日本医科大学 横堀 將司氏が発表した。4回のJNTDB Projectの合計4,539例のうち、高齢者(65歳以上)を対象に分析した。 結果、わが国の頭部外傷における65歳以上の高齢者の割合は半分以上であり、P2015では、とくに75歳以上の増加が顕著であった。積極的治療を受けている高齢者頭部外傷の割合は7割であった。死亡率は低下していたが、P2015ではSD、VS群は増加していた。機能的転帰不良患者の予測因子は、年齢75歳以上、ISS(injury severity score)25以上、GCS8以下、外傷性くも膜下出血、脳室内出血の存在であった。交通外傷による頭部外傷の変化 千葉県救急医療センター 脳神経外科 宮田 昭宏氏は、4回のJNTDBの集積データを振り返り、頭部外傷の原因として大きな比重を持つ、交通外傷の変遷について発表した。分析対象は、4回のデータベースの中から交通外傷を原因とする患者2,192例(48.3%)。 頭部外傷において、交通外傷の占める割合は減少している。年齢構成別にみると45歳以下が大きく減少する一方、65歳以上の高齢者で増加、とくに80歳以上では大きく増加している。内訳をみると4輪車事故によるものが減り、歩行者事故が大幅に増加。その傾向は80歳以上で顕著で、P2015における80歳以上の交通事故での頭部外傷の中で、歩行者事故の割合は60%を占めた。 転帰について、P2015では死亡率が顕著に下がった(33.2%)。年齢別にみると、若年者44歳以下でGR、MD群が大きく増加した反面、高齢者では、SDやVS群が増加していた。■関連記事日本の頭部外傷の現状は?/脳神経外科学会

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認知症高齢者における入院前後の抗コリン作用性負荷

 ドイツ・ライプニッツ予防研究疫学研究所のJonas Reinold氏らは、認知症高齢者における入院中の抗精神病薬と抗コリン作用薬の使用変化を評価し、抗精神病薬処方と抗コリン作用性負荷(ACB)の増加に関連する因子について検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年2月13日号の報告。 2012~14年にイタリア・ウディネ大学病院に入院した認知症患者のうち、退院時診断を受けた65歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。入院前後3ヵ月間の処方薬は、各調剤薬局より収集し、退院時の処方はHospital Electronic Medical Records(EMR)より収集した。ACBは、Anticholinergic Cognitive Burden scoreを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,908例中、退院時に抗精神病薬を使用していた患者は37.0%(入院前:9.4%、入院後:12.6%)、抗コリン作用薬を使用していた患者は68.6%(入院前:49.1%、入院後:45.7%)であり、38.4%の患者のACBは、主に抗コリン作用を有する抗精神病薬の使用増加により、退院時の増加が認められた(退院時:33%、入院前:12%)。・退院時の抗精神病薬処方は、抗精神病薬による前治療(調整オッズ比[aOR]:4.85、95%CI:3.37~6.97)、精神状態(aOR:4.39、95%CI:3.47~5.54)、外科部門からの退院(aOR:2.17、95%CI:1.32~3.55)との関連が認められた。・ACBの増加は、精神状態(aOR:1.91、95%CI:1.52~2.39)、外科部門からの退院(aOR:1.75、95%CI:1.09~2.80)、内科部門からの退院(aOR:1.50、95%CI:1.04~2.17)、心不全(aOR:1.41、95%CI:1.00~1.99)との関連が認められた。 著者らは「認知症患者のACBは、退院時に高く、抗精神病薬の使用増加が主な原因であった。認知症高齢者を治療する際、臨床医は、抗精神病薬に関連するリスクとこれらの薬剤の中には抗コリン作用リスクを増加させる可能性があることを知っておく必要がある」としている。■関連記事抗認知症薬と抗コリン薬の併用、アジア太平洋諸国の現状高齢入院患者におけるせん妄と抗コリン薬に関する観察研究認知症における抗コリン薬負荷と脳卒中や死亡リスクとの関連

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ACS発症またはPCI施行のAF患者、アピキサバンは有益か/NEJM

 直近に急性冠症候群(ACS)を発症または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けP2Y12阻害薬を投与される心房細動患者において、アピキサバン(商品名:エリキュース)を含む抗血栓療法(アスピリンは非併用)は、ビタミンK拮抗薬+アスピリン療法またはアスピリン単剤療法と比べて、出血および入院が減少し、虚血イベントの発生において有意差はみられないことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らによる2×2要因デザイン法の国際多施設共同無作為化試験「AUGUSTUS試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号で発表された。ACS発症またはPCIを受けた心房細動患者に対し、適切とされる抗血栓療法は明確にはなっていない。大出血または臨床的に重要な非大出血を主要アウトカムとして検証 試験では、ACS発症またはPCIが施行され、P2Y12阻害薬服用が予定されている心房細動患者を、アピキサバンまたはビタミンK拮抗薬の投与を受ける群、およびアスピリンまたは適合プラセボの投与を受ける群に無作為化し6ヵ月間治療した。 主要アウトカムは、大出血または臨床的に重要な非大出血とした。副次アウトカムは、死亡、入院、および複合虚血イベントなどであった。アピキサバンのビタミンK拮抗薬に対する主要アウトカムの発生ハザード比は0.69 33ヵ国から4,614例が登録された。主要または副次アウトカムに関して、2つの無作為化要因間に有意な相互作用はみられなかった。 大出血または臨床的に重要な非大出血の発生率は、アピキサバン群10.5%、ビタミンK拮抗薬群14.7%であった(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.58~0.81、非劣性および優越性ともにp<0.001)。アスピリン群は16.1%、プラセボ群は9.0%であった(HR:1.89、95%CI:1.59~2.24、p<0.001)。 アピキサバン群の患者はビタミンK拮抗薬群よりも、死亡および入院の発生率が低率であった(23.5% vs.27.4%、HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.002)。虚血イベントの発生率は同程度であった。 なおアスピリン群の患者の死亡、入院および虚血イベントの発生率は、プラセボ群と同程度であった。

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日本語版スマートフォン中毒尺度の有用性

 日本におけるスマートフォン使用は、他の多くの国と同様に若者の間で蔓延しており、時と場所を選ぶことなくオンラインやソーシャルメディアに費やす時間と関連している。ときわ病院の館農 勝氏らは、日本の大学生を対象に、日本語版のスマートフォン中毒尺度短縮版(Smartphone Addiction Scale-Short Version:SAS-SV)のテストを行った。Psychiatry Investigation誌2019年2月号の報告。 日本の大学生602例を対象に、アンケートを実施した。アンケート内容は、人口統計(年齢、性別など)、スマートフォンの所持、インターネット利用(平日と週末のインターネット利用時間、お気に入りのソーシャルネットワーキングサービス[SNS]など)、Youngのインターネット中毒テスト(Young's Internet Addiction Test:IAT)、日本語に翻訳したSAS-SVで構成された。 主な結果は以下のとおり。・アンケート回答者数は、573例(男性:180例、女性:393例)であった(平均年齢:19.3±1.3歳)。・最も人気のあったソーシャルメディアプラットフォームは、LINE(52.0%)であり、次いでTwitter(36.3%)であった。・総IATスコアは、45.3±13.2であり、4.5%が重度(IAT:70以上)であった。・平均SAS-SVスコアは、男性で24.4±10.0、女性で26.8±9.9であった。・カットオフスコアに基づきスマートフォン中毒陽性であったのは、男性の22.8%、女性の28.0%であった。・SAS-SVとIATの合計スコアに相関が認められた。 著者らは「スマートフォンユーザーの増加に伴い、スマートフォン使用に関連する問題も深刻となる。日本語版SAS-SVは、スマートフォン使用の問題を早期発見するために役立つ可能性がある」としている。■関連記事日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスクスマホ依存症になりやすい性格タイプ日本人小中学生のインターネット利用とうつ病や健康関連QOLとの関連

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低侵襲血腫除去+血栓溶解、脳内出血の予後を改善するか/Lancet

 30mL以上の脳内出血の治療において、MISTIEと呼ばれる画像ガイド下経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチは、標準治療と比較して1年後の機能的アウトカムを改善しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のDaniel F. Hanley氏らが行ったMISTIE III試験で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年3月9日号に掲載された。テント上脳出血による急性脳卒中は、合併症や死亡のリスクが高い。本症への開頭術による血腫除去は有益でないことが、大規模な無作為化試験で示されている。約500例対象に試験、1年後のmRSスコアを評価 研究グループは、低侵襲性の経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチ(MISTIE)の、脳内出血患者の機能的アウトカムの改善効果を検証する目的で、非盲検エンドポイント盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(米国国立神経疾患・脳卒中研究所とGenentech社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上の非外傷性テント上脳内出血(30mL以上)の患者であった。被験者は、血腫の大きさ15mL以下を目標に画像ガイド下MISTIEを施行する群、または標準治療群に無作為に割り付けられた。MISTIEの血栓溶解療法は、アルテプラーゼ1.0mgを8時間ごとに最大9回投与することとした。 主要アウトカムは良好な機能的アウトカムとし、365日時の修正Rankinスケール(mRS)のスコアが0~3と定義され(事前に規定されたベースラインの共変量で補正)、修正intention to treat(mITT)解析が行われた。 2013年12月~2017年8月の期間に、北米、欧州、オーストラリア、アジアの78施設で506例が登録され、499例(MISTIE群:250例、標準治療群:249例)がmITT解析に含まれた。365日mRS 0~3達成率:45% vs.41% ベースラインの全体の年齢中央値は62歳(IQR:52~71)、61%が男性であった。血腫の部位は、大脳基底核が307例(62%)、lobar regionが192例(38%)で、脳内の血腫量は41.8mL(IQR:30.8~54.5)であり、グラスゴー昏睡尺度(GCS)スコアは10(8~13)、NIH脳卒中尺度(NIHSS)は19(15~23)だった。 mITT解析による365日時のmRS 0~3の達成率は、MISTIE群が45%、標準治療群は41%と、両群間に有意な差を認めなかった(補正リスク差:4%、95%信頼区間[CI]:-4~12、p=0.33)。 7日時の死亡率は、MISTIE群が1%(2/255例)、標準治療群は4%(10/251例)であり(p=0.02)、30日時はそれぞれ9%(24例)、15%(37例)であった(p=0.07)。 症候性脳出血(MISTIE群2% vs.標準治療群1%、p=0.33)および脳細菌感染(1% vs.0%、p=0.16)の発生はいずれも同等であったが、無症候性脳出血はMISTIE群で有意に多かった(32% vs.8%、p<0.0001)。また、30日時までに1件以上の重篤な有害事象が発現した患者は、それぞれ30%(76例)、33%(84例)であり、件数は126件、142件と、有意な差がみられた(p=0.012)。 著者は、「これらの知見は、血腫量15mL以下の達成に、より重点を置いたうえで、MISTIE技術のさらなる検討を求めるものである」としている。

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リファンピシン耐性結核に短期レジメンが有望/NEJM

 リファンピシン耐性結核の治療において、高用量モキシフロキサシンを含む9~11ヵ月の短期レジメンは、2011年のWHOガイドラインに準拠した長期レジメン(20ヵ月)に対し、有効性が非劣性で安全性はほぼ同等であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAndrew J. Nunn氏らが実施したSTREAM試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月13日号に掲載された。バングラデシュのコホート研究では、多剤耐性結核患者において、2011年のWHOの推奨治療よりも治療期間が短いレジメンを用いた既存薬の投与により、有望な治癒率が得られたと報告されている。アフリカとアジア4ヵ国の非劣性試験 本研究は、多剤耐性結核の治療における、バングラデシュ研究と類似の短期レジメンの、2011年版WHOガイドライン準拠の長期レジメンに対する非劣性を検証する無作為化第III相試験である(米国国際開発庁[USAID]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、フルオロキノロン系およびアミノグリコシド系抗菌薬に感受性で、リファンピシン耐性の肺結核患者であった。被験者は、高用量モキシフロキサシンを含む短期レジメン(9~11ヵ月)または2011年版WHOガイドライン準拠の長期レジメン(20ヵ月)を受ける群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。 有効性の主要アウトカムは132週時の「良好な状態」とした。その定義は、132週時の培養および試験期間中の培養でMycobacterium tuberculosisが陰性で、不良なアウトカム(割り付けレジメンに含まれない2剤以上による治療の開始、許容期間を超える治療の延長、死亡、直近の2つの検体のうち1つで培養陽性、76週以降の受診がない)を認めないこととした。群間差の95%信頼区間(CI)上限値が10%以下の場合に、非劣性と判定した。 2012年7月~2015年6月の期間に、424例(エチオピア:126例、モンゴル:33例、南アフリカ共和国:165例、ベトナム:100例)が割り付けの対象となり、383例(短期レジメン群:253例、長期レジメン群:130例)が修正intention-to-treat(mITT)解析に含まれた。mITT集団の主要アウトカム:78.8% vs.79.8% ベースライン時に全体の32.6%でHIV感染が、77.2%でcavitationが認められた。治療期間中央値は、短期レジメン群が40.1週(5パーセンタイル値37.0、95パーセンタイル値46.3)、長期レジメン群は82.7週(72.1、102.3)だった。 mITT解析による主要アウトカムは、短期レジメン群が78.8%(193例)、長期レジメン群は79.8%(99例)に認められ、HIV感染で補正した群間差は1.0(95%CI:-7.5~9.5)であり、非劣性が示された(非劣性:p=0.02)。また、per-protocol集団(321例)においても、短期レジメン群の長期レジメン群に対する非劣性が確認された(補正群間差:-0.7%、95%CI:-10.5~9.1、非劣性:p=0.02)。 Grade3~5の有害事象は、短期レジメン群が48.2%、長期レジメン群は45.4%に、重篤な有害事象は、それぞれ32.3%、37.6%にみられた。8.5%、6.4%が死亡した。 短期レジメン群で、QT間隔または補正QT間隔(Fridericia法で補正)の500msecまでの延長が多く認められたため(11.0% vs.6.4%、p=0.14)、厳重なモニタリングとともに、一部の患者では投薬の調整が行われた。フルオロキノロン系またはアミノグリコシド系抗菌薬への獲得耐性が、短期レジメン群の3.3%(8例)、長期レジメン群の2.3%(3例)にみられた(p=0.62)。 著者は、「今回の結果は有望だが、多剤耐性結核の治療では、薬剤感受性結核と同等の有効性と安全性をもたらす短期の簡便なレジメンを見つけ出すことが、依然として重要である」としている。

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太田母斑のレーザー治療、ピコ秒アレキサンドライトが有用

 皮膚科のレーザー治療法では、技術の進展により種々のレーザー法が登場し、ナノ(1/10億)秒パルスのQスイッチレーザーに次いで、パルス幅の短いピコ(1/1兆)秒レーザーが臨床で用いられつつある。また、ピコ秒アレキサンドライトレーザー(PSAL)はさまざまな色素異常症に利用されているが、太田母斑についてQスイッチアレキサンドライトレーザー(QSAL)との直接比較データは限られている。中国・Peking Union Medical College(PUMC)& Chinese Academy of Medical Sciences(CAMS)のYiping Ge氏らは、無作為化試験を行い、PSALのほうが、臨床的アウトカムが良好で有害事象も少ないことを実証した。ただし、著者らは「客観的な評価およびアウトカムが不足している点で、結果は限定的」としている。Journal of American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年3月15日号掲載の報告。 研究グループは、太田母斑の治療における、PSALとQSALの有効性と安全性について比較。試験登録された56例の病変部位を2つに分けて、それぞれPSAL群とQSAL群に無作為に割り付け、各病変に対し12週間ごとに最大6セッションの治療を行った。有効性と安全性は、フォローアップ時の視覚評価と自己報告に基づき判定した。 主な結果は以下のとおり。・PSAL群のほうが、クリアランスが有意に良好(4.53 vs.4.0)、治療セッションが少ない(5.26 vs.5.87)、重篤な痛みを伴わなかった(5.61 vs.6.40)。・患者の満足度は、PSAL群がQSAL群よりも高かった(4.5 vs.4.0)。・処置後の色素沈着症(26% vs.34%)やメラニン減少症(21% vs.47%)の発生率も、PSAL群がQSAL群よりも低率であった。

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食べ物と認知症(解説:岡村毅氏)-1021

 これを食べると認知症にならない、というものはあるのだろうか?「危険な食べ物」などの読み物は世の中にあふれているが、科学とは別物だ。私自身も楽しく読んだり見たりするので、批判はしないが…それに支配されて生活している人がいるのは困った現象だ。 「やれ○○がいいとか悪いとか言いながら好き放題食べている日本人の何と多いことか…」 さて本研究はおよそ四半世紀という長い観察期間をとって、食べ物と認知症の発症の関係をみたものであった。臨床家は皆同意すると思うが、有意な関連はみられなかった。食べ物についてはAHEIという指標で包括的に見ている(個別ではない)点が限界(limitation)といえるが、ほかに現実的なやり方はないであろう。とはいえ、健康的な食生活はほかの多くの疾患を予防するので、健康的な食生活が望ましいことは変わりないので早とちりなきよう。 そもそも、○○を食べると認知症にならないというものが本当にあったとしたら、ヒトの集合知は侮れないので、科学者が指摘する前に、すでに人々はそのような食生活をしていることだろう。 本研究の興味深い報告は、実は、抄録にはない部分である。認知症を発症した人について、発症のはるか前には食生活は変わらないが、少し前から(およそ10年)変わり始めるのである。これは常識に照らし合わせて当然の現象であろう。認知機能が微妙に低下を始め、生活の端々で困難を感じ始めると、ストレスは増えるし、細かい自己制御をしている余裕もなく、ジャンクフードが増えたりすることだろう。なので短期間の観察だと差が出るのだ。 私たちは考え方を抜本的に変えなければならないのかもしれない。予防のために無理して頑張って○○をする、○○を食べる、ではないのだ。○○が健康的で好きだ、残念ながら時期がきて認知症になった、でも○○は続ける、に変わるべき時期かもしれない。 手前味噌で恐縮だが、東京都健康長寿医療センターの宇良研究員らが新潟県でしているRICE Studyは、認知症になっても楽しく稲作をするというものである1,2)。稲作というのは、かの地の高齢者にとっては単なる運動ではなく、深い意味のある行為なのである。社会参加、運動、野菜、仲間など、健康的で幸福な生活習慣というのは、認知症予防の文脈でもよく登場する。認知症になっても、「あなたは認知症だから社会から退場してもうデイケアでボール遊びするだけよ」などと言われずに、これまでの健康的生活を続けることができる社会であってほしいものだ。

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