統合失調症または双極性障害患者における死亡率の傾向 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/03/29 重度の精神疾患を有する患者の平均寿命は、一般人口と比較し、1~20年短縮するといわれているが、その多くは身体疾患によって命が失われている。重度の精神疾患に関する大部分の研究では、疾患ごと(たとえば統合失調症と双極性障害)に調査が行われており、母集団に対する死亡率の観点から疾患を比較してはいなかった。デンマーク・オールボー大学のLine Hosbond Lomholt氏らは、統合失調症患者と双極性障害患者の標準化死亡比(SMR)の比較を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2019年3月1日号の報告。 1995~2014年に統合失調症または双極性障害と診断されたSMRを比較するため(年齢、性別で調整)、デンマーク全人口を含むレジスターベースのコホート研究を実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・重度の精神疾患患者のSMRは、研究期間中の各暦年につき有意に高く、全SMRは、統合失調症患者(3万8,500例)で4.58(95%CI:4.48~4.69)、双極性障害患者(2万3,092例)で2.57(95%CI:2.49~2.65)であった。 ・統合失調症と双極性障害のそれぞれについてSMRの時間的傾向を調査したところ、SMRの経時的な平均増加は、統合失調症で0.03/年、双極性障害で0.02/年であった(各々p<0.01)。 ・研究期間中の各暦年における統合失調症と双極性障害のSMRの比は、一定であった(p=0.756)。 著者らは「統合失調症、双極性障害ともに、過去20年間でSMRの増加が認められた。両疾患ではSMRに関する明らかな違いがあるにもかかわらず、SMRの経時的な増加は同様であり、両疾患の死亡率に影響する共通の根本的な要因を示唆している可能性がある」としている。 ■関連記事 精神疾患患者の死亡率は減少しているのか 統合失調症患者の死亡率に関する30年間のフォローアップ調査 100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺、とくに若者で 初発統合失調症に対する治療アルゴリズムを作成~日本臨床精神神経薬理学会 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Lomholt LH, et al. Int J Bipolar Disord. 2019;7:6. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病から双極性障害や統合失調症への移行~15年間のプロスペクティブ研究 医療一般(2020/06/11) 双極性障害、平均余命に大きく影響 医療一般(2015/05/01) 双極性障害リスクは父親または母親の高齢化で増加~メタ解析 医療一般(2022/04/18) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 45~49歳の大腸がん検診、受診率を上げるには/JAMA(2025/08/20) 高齢期も自由を失い管理される時代になるのだろうか?(解説:岡村毅氏)(2025/08/20) 透析前の運動は透析中の運動と同様に心筋スタニングを抑制(2025/08/20) アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾール、最大何週目までの忍容性が確認されているか(2025/08/20) 死亡診断のために知っておきたい、死後画像読影ガイドライン改訂(2025/08/20) 運動ベースの心臓リハビリは心房細動患者にも有効(2025/08/20) 週末にまとめて行う運動でも糖尿病患者の死亡リスク低下(2025/08/20) ビタミンDはCOVID-19の重症化を予防する?(2025/08/20) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)