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1941.

COPD――多彩な併存症を持つ全身性疾患

2007年10月23日、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬スピリーバ(販売:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社/ファイザー株式会社)承認取得3周年記念記者会見で、日本医科大学呼吸器内科教授、同大学呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞氏はCOPDの多彩な併存症について講演を行った。COPDは虚血性心疾患、肺がん、骨粗鬆症、糖尿病、うつなど多彩な併存症をもつことで注目を浴びています。木田氏が以前、解剖になった4,552名の患者を対象に、COPDの主要病態である肺気腫の合併疾患の頻度を調べたところ、脳血管障害70.9%、肺炎61.0%、胃潰瘍43.9%、肺結核24.1%、肺がん21.5%が認められ、いずれも肺気腫なしの患者より有意に高かった。また、COPD患者の死因の35%は肺炎、27%は心血管疾患、21%はがんであった(*1)。COPD患者は、呼吸機能の低下に従って、骨粗鬆症の発生頻度が大幅に増加することが知られている(*2)。COPDにおける骨粗鬆症のリスクファクターとしては、喫煙、活動量の低下、体重減少と筋肉量の減少、およびステロイド治療などが考えられている(*3)。また、COPD患者の41%にうつがあり、死亡率が高いとの報告がある(*4)。一方、COPD患者の13~17%に貧血が起こり、貧血が併存する場合、運動機能が落ち、生存率も下がる(*5,6)。このように、COPDの併存症は、多彩であるため、プライマリ・ケアと専門性の高い医療機関との連携(紹介・逆紹介)が望ましいと木田氏が強調した。一方、木田氏は、併存症を治療すると同時に、COPDに対し、効果の乏しい不適切な薬物処方をやめ、適切な治療を行うことで、患者QOLの向上、医療費の抑制につながると話した。【文献】*1 Rabe KF. N Engl J Med 2007; 356: 851.*2 Bolton CE. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170:1286.*3 lonescu AA. Eur Respir J 2003; 22(suppl 46): 64s.*4 Fan VS, et al. Gender, depression, and risk of hospitalization and mortality in COPD*5 John M, et al. Chest 2005; 127: 825-829.*6 Cote C, et al. Eur Respir J 2007; 29: 923-929.(ケアネット 呉 晨)

1942.

小児喘息リスクは新生児期の細菌定着で増加する

小児喘息では一般に先行して、繰り返す喘息様症状=喘鳴(recurrent wheeze)がみられる。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らは、重度の繰り返す喘鳴を呈する幼児の気道に病理学的にみられる細菌定着と、喘息の起因との関連を示唆してきた。その関連を明らかにするスタディを実施。NEJM誌10月11日号に結果が報告された。無症候の新生児下咽頭からの吸引液を培養し5歳児までモニタリング検証が行われたのは、無症候の新生児の下咽頭の細菌定着と、5歳時までの喘鳴・喘息・アレルギー発現との関連。喘息の母親から生まれ、コペンハーゲン小児喘息前向き研究(CPSAC:Copenhagen Prospective Study on Asthma in Childhood)に登録された小児が対象となった。無症候の新生児(生後1ヵ月の乳児)の下咽頭部位から吸引液を採取し、肺炎球菌、インフルエンザ菌、Moraxella catarrhalisと黄色ブドウ球菌を培養。5歳児まで喘鳴の評価が前向きにモニタリングされ、日記に記録。4歳時に血中好酸球算定と総IgE、特異的IgE測定を行い、5歳時に肺機能の評価および喘息の診断が行われた。肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がリスク増加培養されたサンプル数は321例。乳児の21%が、肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌、あるいは複数の細菌が定着していた。黄色ブドウ球菌の定着はみられなかった。細菌定着(黄色ブドウ球菌を除く1つ以上の)と持続的な喘鳴とのハザード比は2.40、喘鳴の急性かつ重度の増悪とのハザード比は2.99、喘鳴による入院は3.85で、有意に関連していることが明らかとなった。またこれら細菌定着がみられた小児には、4歳時の好酸球数、総IgE値に有意な増加がみられた。特異的IgE値には有意な影響がみられていない。β2作動薬投与後5歳時の、喘息有病率と気道抵抗性の可逆性は、新生児期に細菌の定着がみられた小児 vs みられなかった小児でそれぞれ33% vs 10%、23% vs 18%と、いずれも細菌定着がみられた小児で有意に高いことが判明した。Bisgaard氏らは、「肺炎球菌、Moraxella catarrhalis、インフルエンザ菌の1つ以上の定着がある新生児は、幼児期に繰り返す喘鳴と喘息のリスクが増加する」と結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

1943.

キノロン系抗菌剤「ジェニナック」発売

アステラス製薬、大正富山医薬品、富山化学の3社は5日、新タイプのキノロン系経口合成抗菌剤「ジェニナック」(一般名:メシル酸ガレノキサシン水和物)を新発売した。幅広い抗菌作用を持ち、1日1回の経口投与で効果を発揮する。(1回400mg)また、合成抗菌剤で初めてペニシリン耐性肺炎球菌が適応菌種に明記されたことから、既存薬剤の薬価と比較して有用性加算が認められた。適応菌種ガレノキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ) 適応症咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎

1944.

民間保険加入小児に生じているワクチン投与格差

米国では最近5年間で小児および思春期の若者へのワクチンが倍増した。髄膜炎、3種混合(破傷風-ジフテリア-百日咳)、A型肝炎、インフルエンザ、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)など新たにもしくは拡大推奨されたワクチンを、小児全員に投与するための公的セクターのコストは7.5倍(1995年155ドル→2007年1,170ドル)に膨らんだという。 ワクチン投与は罹患率の低下など効果をもたらす一方、州の政策立案者や臨床家から、ワクチン接種をカバーしないタイプの民間保険に加入する小児(2000年時点で約14%)の問題が指摘されるようになった。彼らのワクチンコストは州がカバーすることになっているが、その適用に格差が生じているというのである。 ハーバード大学メディカルスクール&ハーバード・ピルグリム・ヘルスケアのGrace M. Lee氏らは、格差の実態と原因を調査。JAMA誌8月8日号に詳細が報告された。州担当者にワクチン購入・供給について聞き取り本研究は、各州の予防接種プログラム・マネジャーへの2段階の聞き取り調査によって行われた。州保健局に雇用される予防接種プログラム・マネジャーは、公的資金で必要なワクチンを購入し、公的セクター(保健所など)や民間クリニックの臨床家に配布する役割を果たしている。第1 段階の調査は2005年11月~12月にかけて、それぞれ異なる資金調達方針を掲げる9人のマネジャーに対する、1時間に及ぶ質的な質問項目からなる電話インタビュー。第2段階は2006年1月~6月にかけて、全国50州のマネジャーを対象とする電話と書面による調査が行われた。回答が得られたのは48州(96%)。格差の原因は資金調達システムにその結果、髄膜炎ワクチンについて、公的資金での購入・供給を民間クリニックに対して行っていないと回答したのが30/43州(70%)、公的セクターにしていないと回答したのは17/43州(40%)に上った。肺炎球菌ワクチンについてはそれぞれ24/48州(50%)、8/48州(17%)だった。また10の州で、新規ワクチン購入資金が限られていることを理由に2004年~2006年前半の間に、私的保険加入小児が公的資金で購入した新規ワクチンを接種できないように州の政策を変更していた。米国では、保険未加入およびメディケイドなど公的保険に加入する小児へのワクチン投与は連邦政府が資金を提供するVFCプログラムによって保障される。マネジャーはこのVFC資金、セクション317と呼ばれる資金と、州が割り当てる予算でワクチンを購入するのだが、調査ではマネジャーから「私的保険加入児の前には連邦および州政府の財源不足という壁が立ちふさがっている」との指摘が相次いだ。こうした結果を踏まえLee氏らは、「子どもたちがすべてのワクチン接種を受けられるような資金調達システムの戦略が必要だ」と提起した。(武藤まき:医療ライター)

1945.

早期・持続的・重層的な非薬物的介入は有効なインフルエンザ対策となる

インフルエンザ・パンデミック(世界的大流行)への重要な対策の1つに、非薬物的介入がある。流行時期を遅らせ、全体の発病率やピークを低下させ、死亡者数を減らす可能性のほか、ワクチンや抗ウイルス剤の生産と供給に時間的余裕をもたらす可能性があるからだ。最適かつ適切な非薬物的介入は、医療サービスと発症地域の負担を減少させることになる。ミシガン大学医学部医学史センターのHoward Markel氏らは、最適かつ適切な非薬物的介入を明らかにするため、20世紀最悪と言われたいわゆる「スペイン風邪」流行時の、全米43都市における非薬物的介入の状況を調べた。JAMA誌8月8日号の報告から。非薬物的介入を3つのカテゴリーに分類し比較検証本研究は、1918年9月8日から1919年2月22日の間に全米43都市で流行を緩和するために実行された非薬物的介入を、史実研究や統計学的解析、疫学的分析をもとに検証された。調査対象は、非薬物的介入のタイミング、期間、組み合わせによる都市ごとの死亡率の差異、先行流行波による集団感染率の変化、年齢および性分布、人口規模・密度など。非薬物的介入は主に「学校閉鎖」「集会の禁止」「隔離、封鎖」の3つにカテゴリー化された。主要評価項目は、週間超過死亡率(EDR)、非薬物的介入開始からファーストピークEDRまでの時間、ファーストピークの週間EDR、そして対象期間24週の累積EDR。「学校閉鎖」+「集会の禁止」を34都市で実施24週にわたる43都市の肺炎・インフルエンザの超過死亡は115,340人(EDR、人口500/100,000)だった。各都市は非薬物的介入の3つのカテゴリーのうち、少なくとも1つを採用しており、組み合わせでは「学校閉鎖」+「集会の禁止」が最も多く34都市(79%)で実行していた。この組み合わせの実行期間中央値は4週(範囲1-10週)で、週間EDR低下と強い相関を示した。また、非薬物的介入を早期に実行した都市ほどピーク死亡率を遅らせ(Spearman r=-0.74、P<0.001)、ピーク死亡率は低く(同 r =0.31、P=0.02)、総死亡率が低かった(同 r=0.37、P=0.008)。介入期間の長さと総死亡率の減少には統計学的に有意差が認められた(同 r=-0.39、P=0.005)。Markel 氏らは、「これらの所見は、非薬物的介入を早期から持続的かつ重層的に行うこととインフルエンザによる死亡率の減少との強い関連性を示すもの。インフルエンザ大流行への対策として、ワクチン開発や薬物療法と並んで非薬物的介入を考慮に入れるべきだ」と結論付けている(武藤まき:医療ライター)

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