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医師が医師に薦める、今年買ってよかったモノ【CareNet.com会員アンケート結果発表】

歴史的な物価上昇が続いた2023年。こんなときだからこそ、良い商品にお金を使っていきたいものではないでしょうか。CareNet.comの会員医師1,000人に、「今年買ってよかったモノ」をお聞きしました。先生方のおススメコメントとともにご紹介します。1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ1.掃除機、洗濯機、トースターなど家電のおススメは?【家電部門】[掃除機]ルンバ「j9+はゴミの収集も自動(消化器外科、30代)」「勝手に掃除してくれてゴミも収集してくれて、時短になる(内科、60代)」「すごく性能が良く、いつもベッドの下まできれいになっている(消化器外科、30代)」ダイソン「あまり汚れてないと思ったところでもかなり埃が吸えている(内科、30代)」「モップがけもできて大変良い(消化器内科、60代)」「吸引力が違う(精神科、30代)」シャーク「ハンディクリーナー:ごみ捨てが簡単で細かいところまで掃除が行いやすい(整形外科、40代)」「スティック型掃除機:コードレスで置場所もとらない(その他、50代)」その他メーカー「シャープ コードレス掃除機(最上位機種):ダイソンを使っていたが、シャープは音も静かで軽くて、吸引力も変わらなかった(心臓血管外科、50代)」「パナソニック ルーロ:スマホから操作できる(消化器内科、30代)」「エコバックス DEEBOT T20 OMNI:毎日帰るときれいな床が保たれていて最高(神経内科、30代)」[ドラム式洗濯乾燥機/乾燥機]「パナソニック:仕上がりがフワフワと口コミで見て購入したが本当だった。乾燥機つき洗濯機は乾燥がしっかりできるかが問題だが、満足できるレベル(内科、40代)」「東芝:圧倒的に生活が楽になった(臨床研修医、20代)」「アクア:コスパが良い(内科、40代)」「リンナイ 乾太くん:ガス式乾燥機は時短!(整形外科、40代)」[空気清浄機]「Airdog mini portable:車内の換気がすばらしかった(その他、50代)」「シャープ 加湿空気清浄機プラズマクラスター:今年ぜんそくにかかったが空気清浄機で改善した気がする(脳神経外科、30代)」[調理家電]トースター「アラジン:表面がカリッとしてめちゃくちゃ美味しく温まる(耳鼻咽喉科、40代)/立ち上がりが早い(呼吸器内科、60代)」「バルミューダ:パンがおいしく焼ける(血液内科、30代)」オーブンレンジ「バルミューダ:日々楽しい(心臓血管外科、50代)」「パナソニックビストロ:賢すぎる(臨床研修医、20代)」その他「Toffy ホットサンドメーカー:簡単においしいホットサンドが作れる(内科、60代)」「ソーダストリーム:家で気軽に炭酸が飲める(内科、20代)」「デロンギ コーヒーメーカー:おいしい(放射線科、30代)/エスプレッソメーカー:自宅で手軽にカフェラテが飲め、買ってよかった(小児科、30代)」「シャープ ヘルシオホットクック:発酵食品から煮物、煮込み料理まで料理の幅が広がる(皮膚科、40代)」「パナソニック ホームベーカリーSDMDX4:自宅でおいしいパンが焼ける(産婦人科、30代)」[その他]「ソニー 有機ELテレビ(BRAVIA):画像がきれい(泌尿器科、50代)」「パナソニック15V型ハイビジョンポータブル液晶テレビ(プライベート・ビエラ):家じゅう持ち歩けて便利(呼吸器内科、50代)」「ブラウン 電動歯ブラシOral-B:強力に汚れを落としてくれる(内科、40代)」「フィリップス 電動歯ブラシ:時短になる(小児科、30代)」「パナソニック ヘアドライヤーナノケアEH-NA0J:コンパクトなのに速乾・大風量で、熱くなり過ぎず、潤いを保った毛質をkeepできるすぐれもの(脳神経外科、50代)」2.パソコンやスマホ、イヤホンなど周辺機器のおススメは?【PC&ガジェット部門】[パソコン]「MacBook Air:見た目がおしゃれで使い心地が良い(内科、50代)」「MacBook Pro:早い(消化器外科、40代)/おしゃれで高機能(精神科、40代)」「Mac mini:小型で性能が良く、価格も適切(血液内科、70代以上)」「マイクロソフト Surface Go 3:軽くて持ち運びしやすい。スライド作りにもweb講演聞くのにもネット見るのにも、wifi環境があれば使えてとても便利(リハビリテーション科、50代)」「パナソニック Let's note:壊れにくく優秀(小児科、60代)」「NEC LavieA23:Web会議に使用しやすいデスクトップを購入。オールインワン型で非常にコンパクトであり、かなりハイスペック(腎臓内科、40代)」「dynabook:毎日使用するものは高くても最新のものを買うと満足度がとても高い(外科、30代)」[スマートフォン]「iPhone15:写真がきれい(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)/快適(消化器内科、50代)」「iPhone15pro:カメラ、操作性が格段に向上(脳神経外科、60代)/散々な評判に反して、熱くならないし、電池持ちもよいし、ProMotionテクノロジーも想像以上に良い(放射線科、40代)/写真が誰でも超きれいにとれる(内科、60代)」「iPhone15ProMAX:カメラの5倍ズームで写真を撮る楽しみが倍増する(麻酔科、30代)」「iPhone SE3:コスパがよい(消化器内科、40代)」「Xperia:7年ぶりに機種変更したが、スピードも使い勝手も断然良い(精神科、50代」[タブレット]「iPad mini 6:携帯性と性能が良い(消化器内科、60代)」「iPad Pro:使い勝手がよく、作業がはかどる。モチベーションも上がる(小児科、30代)」「Amazon Fire:セールで買ったから安かったし、使い勝手も良い(整形外科、40代)」「Androidのタブレット:ほとんどの作業はこれですんでしまうので、最近Windowsはいらないかなと思うようになった(外科、50代)」[イヤホン・ヘッドホン]「AirPods Pro(第2世代):低音の出がすごい(眼科、70代以上)」「OpenComm骨伝導イヤホン:骨伝導なので耳が痛くならず、周囲の環境にも注意を払える(放射線科、30代)」「オーディオテクニカ 骨伝導イヤホンATHCC500BT:待合室のような静かな環境で聴くのに最適(その他、50代)」「Anker Bluetooth5.0ワイヤレスヘッドホンSoundcoreLifeQ20+:性能が良かった(神経内科、50代)」[その他]「Apple Watch:体を動かすこと、睡眠を取ることを意識するようになった(眼科、50代)/スマホからの離脱ができる(腎臓内科、20代)/生活が便利になった(内科、20代)」「Google Chromecast:テレビでのプレゼンに便利(精神科、40代)」「Amazon Alexa:声だけでライトの点灯消灯、テレビ・エアコン・扇風機のオンオフ、カーテンの開け閉めまでらくちんになった。リモコンがほとんど不要になりサイドテーブルが広く使えるようになった(放射線科、60代)」「GERCEO モバイルバッテリー(GERCEOHP8):複数の充電方法に対応しており、日常でも災害発生時でも役立つ(麻酔科、40代)」「エレコム パッド型iPhone充電器:iPhoneにわざわざケーブルを刺す必要がなく非常に重宝(整形外科、30代)」「EXARM ZETA モニターライト:買ってから目が疲れにくくなった(小児科、40代)」「ロジクールマウス:一度使うとやめられない(放射線科、40代)」「おもいでばこ:写真や動画の保管、整理に非常に便利。ふるさと納税の商品にある(膠原病・リウマチ科、30代)」「RayCue DisplayPortHDMI変換アダプタ:PCからモニタへ接続するDsubケーブルがごつくて邪魔でネジ止めが面倒。PCのモニタ出力からHDMIに変換して通常のHDMIケーブルで自在に接続できる(整形外科、70代以上)」3.電気自動車?ハイブリット車?それとも…?【自動車部門】[トヨタ]「シエンタ:多人数で乗ることができて燃費が良い(消化器外科、60代)」「ヤリス クロス:比較的安価で安全装備が充実(糖尿病・代謝・内分泌内科、60代)」「ノア:子連れには最適なファミリーカー(麻酔科、30代)」「プリウスの新車:安全装備が充実(消化器外科、60代)」[日産]「アリア:加速や走行性、静寂性が素晴らしい(内科、60代)」「サクラ:通勤の足に最高です(神経内科、50代)」「セレナ:運転が楽(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」[他メーカー]「スバル レガシィアウトバック:いい車です(整形外科、50代)/とてもいい車です(内科、50代)」「スバル XV:オートクルーズ機能がとても良い。運転の負担が軽減された(臨床研修医、40代)」「マツダ CX8:6~7人乗りのSUV。国産車SUVの中で唯一まともに座れる3列目。インテリアの質感は国産SUVの中でも有数の出来。希少なディーゼルエンジンがある(循環器内科、40代)」「ホンダ フィット:エコカーでしっかりしていて満足(産婦人科、50代)」「メルセデス・ベンツ 新型Cセダン:ISGで電動化された(内科、60代)」「BMW X3:燃費良く静粛(小児科、60代)」「TESLA ModelX:多少値は張るものの優れた性能と唯一性がある(形成外科、30代)」「フォルクスワーゲン Golf GTI:加速の良さ、日常の走行の安定(脳神経外科、50代)」「ポルシェ 911:楽しい(糖尿病・代謝・内分泌内科、50代)」「ロータス エミーラ:ロータス最後の純ガソリンスポーツカー(脳神経外科、50代)」4.寝具、キッチン用品など、さまざまなおススメ商品【その他】[寝具など]「エマ・スリープ マットレス:睡眠の質が格段に上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、20代)」「コアラマットレス:寝心地がよい(内科、40代)」「トゥルースリーパー プレミアベッドマットレス:A社ポイントで入手したが、畳でも布団より快適(内科、60代)」「DryCool 高密凸凹ウレタンマットレス:反発性強いマットで、睡眠の質が上がった(糖尿病・代謝・内分泌内科、30代)」「西川 マットレス:大谷翔平も選んだ寝心地の良さ(循環器内科、40代)」「西川 オーダー枕:肩こりが解消され、毎晩眠ることが楽しみになった(精神科、30代)」「シルクの枕カバー:当直中も枕カバーを付け替えるだけで良い睡眠になる(内科、20代)」「リライブシャツ:途中で目が覚めることなく眠れる(皮膚科、30代)」[その他]「レンジメート:干物もギョーザもステーキも嘘みたいにうまくできる。片付けも楽。忙しい先生方にはうってつけと思う(整形外科、50代)」「ルピシア 茶こしマグモンポット:日々忙しい中でもおいしい紅茶を手軽に味わえる時間が今の癒し。食洗機も使える(精神科、20代)」「タイガー 真空断熱炭酸ボトル(MKB-T048):炭酸、食洗器対応ながらシンプルな構造で、炭酸以外の普段使いにも良い(整形外科、50代)」「松徳硝子 うすはりタンブラー:飲み物が美味しく飲める(皮膚科、20代)」「SHINfilter ステンレスコーヒーフィルター:コーヒーの味の変化に驚かされる(小児科、40代)」「ロールシュライファー 包丁研ぎ:自炊する必要に迫られた時の相棒(ナイフ)の手入れに最適!(総合診療科、60代)」「パナソニック LEDネックライト:薄暗いところでの書類の記載等、細かい作業の際手元だけを照らしてくれるため、周囲に影響が少なく非常に便利(総合診療科、50代)」「SUWADA クラシックつめ切り:ニッパー式だが、切れ味が全然違う(精神科、50代)」「リファ ファインバブル:よく落ちる(内科、50代)」5.番外編:サブスクや宅配サービスのおススメ「Kindle Unlimited:好きな漫画がかなり読める、当直の暇つぶしになる(耳鼻咽喉科、40代)」「nosh 冷凍宅配おかず:冷凍食品だが、バランスがいい(臨床研修医、20代)/手軽においしいご飯が食べられる(臨床研修医、20代)」「ワタミの宅食 あっとごはん:子育てを機にはじめたが、とても便利で楽!(眼科、30代)」アンケート概要アンケート名『2023年を総まとめ!今年の漢字と他の医師にも薦めたい今年の購入品をお聞かせください』実施日   2023年11月8日~15日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,029件

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映画「イン・ハー・シューズ」【なんで読み書きだけできないの?なんで計算できないの?(学習障害)】Part 1

今回のキーワード読字の障害(ディスレクシア)書字の障害算数の障害知的障害発達性言語障害ADHD合理的配慮障害者権利条約話すことは普通にできるのに、読むのがとても苦手なお子さんはいませんか? 読めても書くのがとても苦手なお子さんはいませんか? 計算するのがとても苦手なお子さんはいませんか? このような場合、学校や医療の現場では、学習障害と呼ばれています。これは、発達障害の1つです。今回は、この学習障害をテーマに、ラブコメ映画「イン・ハー・シューズ」を取り上げます。この映画を通して、学習障害の特徴を整理し、その起源に迫ります。それを踏まえて、その本質的な対策を考えてみましょう。学習障害の特徴は?主人公のマギーは、誰もが羨むルックスとスタイルを持ち、人当たりが良い魅力的なキャラクターです。それなのに、あるハンディキャップによって、仕事は長続きしません。まず、彼女のハンディキャップを主に3つ挙げ、学習障害の特徴を整理してみましょう。(1)読むのが苦手マギーがテレビ局のアナウンサーのオーディションに挑むシーン。目の前のプロンプターに流れて表示される文章を読み上げるよう指示されますが、彼女は読むのが遅く、読み間違えも連発していました。1つ目の問題は、読むのが苦手であることです。これは、読字の障害(ディスレクシア)と呼ばれます。流暢に読めず、読み間違いが目立ち、読解力がないなどの特徴があります。(2)書くのが苦手マギーがケンカ別れをしてしまった姉のローズに手紙を書こうとするシーン。宛名だけは書きますが、その先はずっと白紙のままです。そして、書きかけと思われる紙がいくつもくしゃくしゃに丸められて、バッグの中に入れられていました。2つ目は、書くのが苦手であることです。これは、書字の障害と呼ばれます。マギーのように、読むのが苦手であるということは、必然的に書くのも苦手になります。書き間違いが多く、文章構成力がないなどの特徴があります。なお、読むことやこの後の計算することとは違い、書くことについては、速さについての診断基準はありません。一方、読むのが苦手ではなくても、書くのだけ苦手な場合もあります。この場合は、書字の障害のみと診断されます。(3)計算が苦手マギーがアルバイトでジーンズ屋のレジ係をしていた時の回想シーン。彼女は、レジのスキャナーが反応しないことで戸惑うなか、15%引きのクーポン券を差し出した女性客から、「クーポンは15%割引。合計金額から引くだけ。42ドルの15%、すぐに自分で計算できないの!?」と怒鳴られます。そして、その女性の後ろには長い列ができていたのでした。3つ目は、計算が苦手であることです。これは、算数の障害と呼ばれています。スムーズに計算ができず、計算間違いが目立ち、数学的推理力がないため、日常生活で算数の応用ができないなどの特徴があります。このように、マギーは大人になるまで読み書きや計算ができないというハンディキャップによって、自信(自己効力感)をなくしていました。姉から学校に戻って勉強し直すよう勧められても、「バカの学校(学習障害向けの学校)には戻りたくない」とも言っていました。生活するお金がないなか、男をたらし込んでおごらせたり、ケチな盗みを繰り返して、その日暮らしの生活をし、自尊心(自己肯定感)も低くなってしまっているのでした。他の発達障害との関係は?学習障害の特徴は、読むのが苦手、書くのが苦手、計算が苦手であることがわかりました。それでは、他の発達障害との関係はどうなるのでしょうか? ここから、主に3つの発達障害を挙げて、鑑別診断をしてみましょう。(1)知的障害マギーは、ずっと音信不通だと思っていた祖母を頼って訪ねます。そして、祖母の勧めから、近くの老人ホームで食事を運ぶ仕事に就きます。彼女は、読み書きや計算を必要としない仕事なら続けることができています。買物や交通機関の利用など日常生活は普通に送れています。1つ目は、学習障害は知的障害(トータルIQ 75以下)を除外することです。知的障害であれば、書き言葉だけでなく、話し言葉の理解や生活の自立が難しくなってきます。つまり、知的障害であった場合は、学習障害とは診断しません。(2)発達性言語障害マギーは老人ホームで、目の見えない老人から詩の本を読んでくれと何度も頼まれます。実はその老人は元教授で、マギーが学習障害であることを見抜いたのでした。マギーは渋々教授に詩を読みます。詰まりながらも、勧められたとおりゆっくり読みきったあと、教授から詩の意味を聞かれます。すると、彼女は詩の描写にある隠れた意味を言い当てたのでした。マギーは、教授から「Aプラスだ。君は頭がいい」と褒められます。このシーンから、マギーは読み書きがうまくできないものの、抽象的な言葉を使いこなせることがわかります。つまり、彼女の言語理解IQ(言語能力)は少なくとも正常範囲(85以上)、Aプラスと評価された点では110以上であることが推定できます。2つ目は、学習障害は発達性言語障害(言語理解IQ 75以下)と区別することです。もともと発達性言語障害があれば、そもそも話し言葉の理解でさえ難しくなってきます。つまり、その後に学習障害を併発する可能性がとても高くなります。一方、マギーのように、もともと発達性言語障害がない学習障害の場合は、話し言葉の能力を生かすことができます。なお、文部科学省の定義では、発達性言語障害は学習障害に含まれています。国際的な診断基準(ICD-11)や米国精神医学会の診断基準(DSM-5)とは違うことに注意する必要があります。(3)ADHDマギーは、老人ホームの仕事に就く前に、トリマーの見習いをします。しかし、段取りを覚えきれず、動物が動き回るなどのちょっとしたアクシデントですぐにパニックになっていました。3つ目は、学習障害はADHDの合併が最も多いことです。学習障害もADHDも、ワーキングメモリーのIQが低くなることが共通しています。ワーキングメモリーとは、同時に複数の違う記憶を保持するマルチタスクのことです。老人ホームで食事を運ぶだけの仕事なら、マルチタスクではなく自分のペースでできるため、マギーには合っていることがわかります。次のページへ >>

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映画「イン・ハー・シューズ」【なんで読み書きだけできないの?なんで計算できないの?(学習障害)】Part 2

読み書きや計算の能力はいつ生まれたの?学習障害は、知能(IQ)に問題がないのに、読むこと(読字)・書くこと(書字)・計算すること(算数)における学習のどれかまたはすべてに困難がある状態であることがわかりました。それでは、これらの能力はいつ生まれたのでしょうか? ここから、その起源に迫ってみましょう。約20万年前に、現在の私たち人類(ホモサピエンス)が誕生し、言葉を話すようになりました。約8万年前に、人類は石片に格子模様を刻むようになりました。約5万年前に、洞窟の中で壁画を描くようになりました。これが、描く起源です。この詳細については、関連記事1をご覧ください。約2万年前には、獲物の数を数え、その数を動物の骨に縦線として刻むようになりました。これが、数字の起源です。約5千5百年前には、粘土板に当時の数字と動物の絵の形を模式化した絵文字を一緒に刻むようになりました。これが、文字の起源です。こうして、家畜などの数の情報管理が可能になり、より大きな集団(都市)を維持することができるようになりました。その後に、絵文字はどんどん簡素化されていき、アルファベットのような一字で音だけを表す文字(表音文字)と漢字のように一字で意味を表す文字(表語文字)が生まれました。そして、聖書や般若経などのように、話し言葉が文字に変換されるようになりました。これが、読み書きの起源です。7世紀には、インドで0の概念が発見され、物の売買において、数えるだけでなく計算もできるようになりました。これが、計算の起源です。18世紀後半の産業革命以降、読み書きや計算は、職業的により多くの人に必要とされるようになり、学校が増えるととともに広がっていきました。同時に、このころから、読み書きや計算がもともとできない人があぶりだされてしまったのでした。これが、学習障害の起源というわけです。なんで学習障害になるの?約20万年の私たち現世人類(ホモサピエンス)の歴史のなかで、多くの人が読み書きや計算をするようになったのは、たかだか200年ちょっとであり、ごくごく最近のことであることがわかります。読み書き計算をすべての人ができるようになるには、進化の歴史としては短すぎます。つまり、読み書きや計算の能力は、これまで人類が進化の歴史で獲得した別の能力を流用し、文字の音韻化(デコーディング)、音韻の文字化(インコーディング)、数操作(ナンバースキル)の神経ネットワークを、まさに学習によって構築しているわけです。だからこそ、これらの神経ネットワークがもともとうまくつながらない人が一定数いるのです。実際の画像研究では、学習障害の原因は脳の特定の部位の機能障害があることが指摘されています1)。たとえば、子供はよく左右反転した文字(鏡文字)を書きますが、これを書かないようになっていくのは、顔認識をする脳の部位(ビジュアル・ワード・フォームエリア)の発達と関係があることが指摘されています2)。つまり、文字の形を認識するのは、人の顔を認識する脳の部位を流用していることがわかります。また、読むことを繰り返すことで、文字認識の自動化が促進され、文字・文章を速く読むことができるようになります。一方で、そのために、「ヘリプコター」と書いてあっても、「ヘリコプター」と読んでしまい、誤字脱字に気付きにくくもなります2)。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「イン・ハー・シューズ」【なんで読み書きだけできないの?なんで計算できないの?(学習障害)】Part 3

学習障害にどうする?学習障害の原因は、脳の機能の障害であり、学習環境ではないことがわかりました。これを踏まえて、学習障害の本質的な対策を大きく3つの時期にわけてみましょう。(1)小学校マギーは、実際に学習障害者向けの特別な学校に行っていました。小学校では、読み書き計算への特別なトレーニングをすることです。日本では、米国のような特別な学校はありませんが、たとえば、週1回2時間の特別支援教室を利用することができます。また、学習障害専門の医療機関で指導を受けることもできます。小学校は、読み書き計算の敏感期であることが考えられるため、この対策を優先的に行うことが必要です。(2)中学校・高校マギーは、自信も自尊心も低くなり、軽はずみな行動(逸脱行動)を繰り返していました。これは、学習障害による二次障害です。しかし、おばあちゃんや教授のサポーティブなかかわりによって、マギーは自信と自尊心を取り戻し、真面目に働くようになりました。中学校・高校では、このような二次障害の予防のために、もはや特別なトレーニングをするのではなく、読み書き計算へのサポートツールを使うことです。たとえば、読字の障害なら読み聞かせの音読機能のアプリを使う、書字の障害ならパソコンを持ち込む、計算の障害なら計算機を使うことです。また、字の書き順が間違っていても、形がほぼ合っていて読めるなら問題なしとすることです。このように、学習の形にこだわらないようにする必要があります。これは、学習条件を合理的に配慮する取り組みで、障害者差別解消法の一環の合理的配慮として推進されています。そもそも小学校で特別なトレーニングをしても限界があるなら、これ以上トレーニングを続けるメリットがなくなります。むしろ「どうせ自分はできないしだめだ」という二次障害のリスクを高めます。そうではなくて、「自分にもできることはあるし、大丈夫だ」という心を育むことがまず必要です。この点では、場合によっては、小学校高学年からこの取り組みを検討することが必要です。(3)成人後マギーは、やがて自分の美的センスを生かして、高齢者向けの服のコーディネートのビジネスを始めます。受付は、おばあちゃんが代わりにやっていました。成人後は、読み書き計算をなるべくしなくて済む仕事を選ぶことです。たとえば、専門職よりも一般職です。事務職よりも営業職です。デスクワークよりもフィールドワークです。ほとんどの能力(機能)の敏感期が20歳までであることを踏まえると、読み書き計算も20歳までであることが推定されます。成人してからの学習の効果があまり期待できないことから、やはり自分に合った、自分にできる仕事を見つけることが必要です。なお、敏感期の詳細については、関連記事2をご覧ください。「イン・ハー・シューズ」とは?マギーの姉は、弁護士という最も読み書き計算を駆使する職に就いていましたが、地味で容姿に自信がありませんでした。姉は、そんなマギーとは真逆なキャラクターですが、唯一同じなのが足のサイズなのでした。2人は反発し合いながらも、最後は仲直りします。そして、マギーは姉の結婚式で詩をゆっくり読み上げます。その中で「私の心を重ねて」(I carry your heart with me.)という言い回しが繰り返されます。「イン・ハー・シューズ」とは、「彼女の立場だったら(彼女の靴を履いたら)」という意味で、まさに「私の心を重ねて(わかり合えれば)」という言い回しに重なります。これは、この2人だけのことではなく、まさに社会としても学習障害を理解し、サポートすることであることをこの映画はほのめかしているように思われます。現代の社会は、ICT(情報通信技術)によって、学習障害へのサポートツールがますます充実してきています。そんななか、「自分だけずるい」「特別扱いだ」という周りのクラスメートの目も気になってきます。これは、「教育の平等」というこれまでの価値観によるものです。そして、個人の学習という内容を優先するか、それとも教育の平等という形式を優先するかという教育理念のぶつかり合いでもあります。この時、何が一番大事なのかを考えることが必要になってきます。それは、なんのために学んでいるのかということです。それは、たとえ障害があってもその子その子が成長するためです。足並みを揃えるためではないです。優劣をつけるためでもないです。この考え方は、先ほど紹介した合理的配慮(障害者差別解消法)が根拠としている障害者権利条約に通じており、グローバルスタンダードになっています。今回の「イン・ハー・シューズ」を通して、まさにその子その子の身になってみたら、持っている能力に寄り添う学びのあり方が必要であることをより理解できるのではないでしょうか?1)医療スタッフのためのLD診療・支援入門 P20:玉井浩(監)、診断と治療社、20222)ヒューマニエンス 40億年のたくらみ「“文字” ヒトを虜にした諸刃の剣」:NHKオンデマンド、2022<< 前のページへ■関連記事ピカソ「泣く女」【なんでこれがすごいの?だから子供は絵を描くんだ!(アートセラピー)】Part 1海外番組「セサミストリート」【子供をバイリンガルにさせようとして落ちる「落とし穴」とは?(言語障害)】Part 1

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オミクロン株感染で脳が変化、認知機能に影響か

 新型コロナウイルスのオミクロン株による感染後急性期の脳への影響はわかっていない。今回、中国・Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのYanyao Du氏らが、オミクロン株感染後の男性患者における臨床症状、灰白質と皮質下核の変化を調べたところ、急性期に左楔前部と右後頭外側部の灰白質厚と、頭蓋内総容積に対する右海馬容積の割合が大幅に減少していたことがわかった。また、灰白質厚と皮質下核容積損傷が不安や認知機能と有意に関連することが示された。JAMA Network Open誌2023年11月30日号に掲載。コロナの脳への影響で右海馬容積の割合が有意に減少していた 著者らは、2022年8月28日~9月18日に健康診断でMRI検査を受けた男性207人のうち、98人の完全な画像データと精神神経学的データを収集し、オミクロン株感染前後の灰白質と皮質下核の変化を調べた。オミクロン株感染者については、感染急性期に精神神経学的データ、臨床症状、MRIデータを収集し、3ヵ月後に臨床症状を再度調査した。灰白質指標と皮質下核の容積を解析し、灰白質厚の変化と精神神経学的データとの関連を相関分析で評価した。 新型コロナウイルスのオミクロン株による感染後急性期の脳への影響を調べた主な結果は以下のとおり。・ベースラインの完全データを収集できた98人のうち、オミクロン株に感染した61人(平均年齢:43.1歳)の急性期のデータを登録し、17人(平均年齢:43.5歳)は3ヵ月後の臨床症状も調査した。・新型コロナウイルスのオミクロン株感染前と比較して、感染後急性期の調査では、Beck Anxiety Inventoryスコアが有意に増加し、depression distressスコアが有意に減少していた。・感染後急性期の主な症状は発熱、頭痛、疲労、筋肉痛、咳、呼吸困難で、3ヵ月後の調査参加者においては発熱、筋肉痛、咳が有意に改善していた。・感染後急性期に、左楔前部および右後頭外側部の灰白質厚、頭蓋内総容積に対する右海馬容積の割合が有意に減少していた。・発熱患者では、非発熱患者より右下頭頂部の溝の深さが減少していた。・感染後の期間において、左楔前部の厚さがBeck Anxiety Inventoryスコアと負の相関を示し、頭蓋内総容積に対する右海馬容積の割合がWord Fluency Testスコアと正の相関を示した。 著者らは、これらの結果について「オミクロン株感染の感情的および認知的メカニズムに関する新たな洞察を提供し、神経系の変化との関連を実証し、神経学的後遺症の早期発見と介入のための画像基盤を検証するもの」としている。

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医師が選ぶ「2023年の漢字」TOP10を発表!【CareNet.com会員アンケート】

12月12日は漢字の日。毎年年末に1年の世相を表す漢字1字が募集され、最も応募数の多かった漢字が「今年の漢字」として発表されます(主催:日本漢字能力検定協会)。本家の発表に先立ち、CareNet.com医師会員の皆さんに選ばれた「2023年の漢字」TOP10を発表します。2023年を表す漢字として、どのような漢字をイメージしましたか?第1位「戦」(155票)第1位は、昨年に引き続き「戦」が選ばれました。2022年に始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻に加え、2023年10月7日にはイスラム組織ハマスによるイスラエル急襲が発生し、戦争状態となっています。戦争に関するニュースを目にすることも多く、戦争に関するコメントが多く寄せられました。一方、野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表「侍ジャパン」が優勝したことなど、ポジティブな「戦」に関するコメントもみられました。「戦」を選んだ理由(コメント抜粋)ウクライナ‐ロシア間の戦争、パレスチナでのイスラエルの無差別攻撃、中国の海洋進出、北朝鮮の弾道ミサイルなど戦争につながる事態が多かった。(60代 外科/群馬)コロナとの戦い、ガザ地区やウクライナの戦争などがあるから。(50代 耳鼻咽喉科/北海道)争いが絶えない。(70代以上 内科/宮城)良い戦いから悪い戦いまで、いろいろな戦いがあった。(70代以上 内科/大阪)WBC優勝。(20代 整形外科/長野)第2位「税」(62票)第2位には、「税」がランクイン。物価上昇や増税、減税に関する報道が多く、票を集めました。税負担の大きさを感じているというコメントもみられました。岸田 文雄総理大臣がインターネット上などで「増税メガネ」と揶揄され、話題となったことも理由に挙げられました。2023年10月にインボイス制度が始まったことも記憶に新しいのではないでしょうか。 「税」を選んだ理由(コメント抜粋)税金が増える話ばかりで嫌になった1年だった。(30代 神経内科/福岡)今年は税負担の大きさを強く感じたため。(50代 小児科/群馬)増税、減税など税に関わる報道が多く、値上げなどにも関連しているため。(30代 小児科/宮城)「増税メガネ」の言葉が話題になった。(30代 内科/北海道)政府の税金対策、インボイスなど。(40代 内科/東京)■第3位「争」(46票)第3位は「争」。第1位の「戦」と同様に戦争に関するコメントが多く寄せられました。ロサンゼルス・エンジェルスの大谷 翔平選手についての話題など、スポーツの「争い」に言及するコメント、個人的な「争い」に関するコメントもみられました。 「争」を選んだ理由(コメント抜粋)ウクライナに続いてパレスチナでも戦争が始まり、争いが絶えなくなり今後が不安な世の中になってきた。(50代 その他/茨城)世界的な紛争。スポーツ界でも良い意味での争い(大谷選手のホームラン王、MVPなど)がみられたように思う。(40代 小児科/鹿児島)世界のあちこちで紛争があり、さまざまなスポーツで勝利を目指して争われ、メジャーリーグでは大谷選手の争奪戦が始まりそう。(50代 放射線科/福岡)争いが絶えない1年であった。(60代 小児科/福島)第4位「高」(43票)第4位は「高」。今年は、物価や気温など「高い」ものが多く、話題となった1年でした。生活に直結するものが多かったため、票を集めたのではないでしょうか。皆さんは「高」といえばどのようなものを思い浮かべますか? 「高」を選んだ理由(コメント抜粋)物価が高い、株価が高い、気温が高い。(50代 内科/滋賀)商品の値段が次々値上げ。価格を見て「高っ」と何度つぶやいたか。(50代 眼科/福岡)物価高、賃金上昇、金高騰など、なにかと高くなる出来事が多い1年でした。(40代 整形外科/徳島)高齢化、高税率など。(40代 小児科/静岡)医療費高騰のため。(30代 血液内科/東京)第5位「暑」(42票)第5位は「暑」。気象庁は、2023年の夏(6~8月)の全国の平均気温が、1898年の統計開始以来最高となったことを発表しています。この記録的な暑さは、印象的だったのではないでしょうか。また、アンケートを実施した11月上旬も季節外れの暑さとなり、夏日を記録した地域があったことに言及するコメントも複数寄せられました。 「暑」を選んだ理由(コメント抜粋)記録的な夏の暑さだったから。(60代 内科/三重)夏自体も暑かったが、東京では11月に夏日が3日もあってなかなか暑さがおさまらないから。(40代 消化器内科/東京)歴史的な猛暑の夏と暖冬。(40代 内科/奈良)第6~10位惜しくも第5位と1票差で第6位となった漢字は「虎」。阪神タイガースが1985年以来38年ぶりとなる日本一を達成したことで票が集まりました。第6~10位は以下のとおりでした。第6位:「虎」(41票)「言うまでもなく、阪神タイガースの38年ぶりの日本一!」など第7位:「乱」(40票)「混乱、戦乱、乱暴、騒乱、落ち着きの無い年だった。」など第8位:「明」(21票)「コロナが明けて、生活スタイルがもとに戻ったから。」など第9位:「変」(18票)「いろいろな価値観、常識、観念の変化が見え出した。」など第10位:「貧」(16票)「物価上昇が著しく、国民生活は苦しくなるばかり。」など アンケート概要アンケート名『2023年を総まとめ!今年の漢字と他の医師にも薦めたい今年の購入品をお聞かせください』実施日   2023年11月8日~15日調査方法  インターネット対象    CareNet.com医師会員有効回答数 1,029件

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片頭痛の隠れた経済的影響~英国政府のコスト分析

 片頭痛は、15~49歳の人々において世界的に最も高い疾患負担をもたらす疾患であり、行動不能に陥る可能性のある精神疾患である。欧州における片頭痛有病率は、北米、南米、中央アフリカに次いで4番目に高く、アジアやアフリカよりも高いといわれている。片頭痛による直接的な医療費は比較的少額であるものの、生産性の低下による間接的な経済的影響は大きい。オランダ・フローニンゲン大学のRui Martins氏らは、片頭痛の経済的負担について、政府のコストの観点から検討を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2023年10月3日号の報告。 片頭痛の経済的負担は、政府コストの観点を適用した分析財政モデリングのフレームワークを用いて、英国一般人口と比較し、推定した。就労に対する片頭痛の影響に関する公表された測定値は、一般人口の経済活動率/非活動率を用いた。本モデルでは、ライフコースにわたる雇用からの収入、負担した直接税および間接税、財政的支援の生涯にわたる変化を推定した。片頭痛の影響を受ける人とそうでない人における差異は、純財政上の影響としての公的会計に、財政コストは、20年にわたる英国の年間コホート全体の1人当たりの割引平均として報告されている。 主な結果は以下のとおり。・片頭痛の影響を受けている人は、欠勤、失業、障害者、早期退職となる可能性が高かった。・44歳の片頭痛患者は、非片頭痛患者と比較し、英国政府に対し1万9,823ポンドの過剰な財政コストをもたらしており、片頭痛を抱えながらの生活は、年間1,379ポンド相当の影響を及ぼしていることが推定された。・片頭痛は、公共経済に対し年間122憶ポンドの影響を及ぼしており、これは片頭痛1件当たり約130.63ポンドであると推定された。・本モデルでは、医療および社会福祉労働者の年間生産性損失を20億5,000万ポンド、年間生産性損失の合計は58憶1,000万ポンドを超えると推定した。 著者らは「本財政分析により、税収の損失と支出の両方の観点から、英国政府のコストにおける片頭痛に関連する就労上の影響が明らかとなった。本結果は、疾患重症度を特徴づけ、医療技術の費用対効果を評価検討するうえで、意思決定者にとって役立つであろう」としている。

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第192回 ヒト細胞の小さなロボットが神経損傷を修復

ヒト細胞の小さなロボットが神経損傷を修復小さなロボットのように動く有毛の細胞塊が神経損傷を治癒しました1)。ロボットのように動く細胞入りの構造物であるバイオボット(biobot)などの生きた機械を作る取り組みが近年盛んになっています。バイオボット作りの古くからの手段の1つは細胞とそれを支えるゲルや3Dプリンター印刷物などの不活性の物質を組み合わせることです。細菌、神経・筋肉・神経筋接合部などの哺乳類細胞、加工した細胞といった種々の細胞を慎重に手間ひまかけて細工する手順を経て生理機能を担う構造物が完成します。そういう手の込んだ手段のほかに、細胞がひとりでに集まるに任せて作られる多細胞構造のバイオボットの取り組みがあり、米国・タフツ大学のMichael Levin氏のチームは4年ほど前の2020年1月にそのような多細胞構造を実験動物としてよく知られるアフリカツメガエルの胚細胞から作ったことを報告しています2)。アフリカツメガエルの学名はXenopus laevis(ゼノパス レービス)で、同チームが作ったバイオボットはゼノボット(Xenobot)と呼ばれます。ゼノボットは船やカヌーのオールのような役割を担う繊毛で覆われており、そのおかげで這ったり泳いだりさえします。また多才で、通路を進んだり、物を集めたり、情報を記録したり、傷を自己治療したり、何回かの自己複製すらやってのけます3)。未経験の仕事を教えてできるようにすることも可能です4)。ゼノポットがヒトにもそのまま利用できればよいのですが、いかんせん両生類の細胞でできているのでヒトの免疫は受け入れずに拒絶してしまうでしょう。またゼノポットは削って目当ての形へ整える工程を要します。そこでLevin氏らのチームはヒトの細胞での取り組みを始めます。目をつけたのは繊毛を有する気道細胞です。その繊毛がゼノボットの繊毛と同様に機動力を担うことを研究チームは期待しました3)。まず気道細胞はヒトの気道に似せたゲルの環境で2週間を過ごして球状の小さな塊になります。続いてより粘性が低い環境に1週間置かれ5)、繊毛が外側を向いた球状の塊が完成します。人類(anthropos)起源で生物ロボット(biorobotics)として活用しうることからアンスロボット(anthrobot)とされたそれら球状の細胞塊は10~100個ほどの細胞で構成され、大きさも形もまちまちで、繊毛の配置も異なります。動きも異なり、まっすぐ進む、回転する、あるいはその両方の動きをするものもあれば、移動せず小刻みに動くものもありました。アンスロボットはそれら同士がひとりでに凝集して大型のスーパーボットを形成することができます。そのスーパーボットをあえて傷つけた神経細胞のシートに与えたところ、スーパーボットの下で神経が再び繋がって元どおりになりました。そのような治癒効果を得るにはアンスロボットにひと工夫必要だろうと考えられていましたが、驚いたことに手を加えていないアンスロボットがそれをやってのけました。研究チームはその意外な治癒効果がどういう仕組みによるのかを調べ始めています4)。アンスロボットの研究の資金の一部をLevin氏が設立者に名を連ねる企業Astonishing Labsが提供しています。同社はアンスロボット技術による神経疾患や脊髄損傷の治療を目指しています3)。また、同社の経営担当者の1人は熱傷治療への応用も想定しています。できそうなことはほかにも多くあり、人それぞれの組織から作ったアンスロボットでたとえば動脈の通りをよくしたり薬を届けたりすることが可能になるかもしれません5)。参考1)Gumuskaya G, et al. Adv Sci (Weinh). 2023 Nov 30. [Epub ahead of print] 2)Kriegman S, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2020;117:1853-1859. 3)Tiny ‘anthrobots’ built from human cells could help heal the body / Science 4)Scientists build tiny biological robots from human cells / Eurekalert5)Tiny robots made from human cells heal damaged tissue / Nature

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コーヒーがアルツハイマー型認知症リスクに及ぼす影響~メタ解析

 アルツハイマー型認知症は、世界中で数百万人が罹患している神経変性疾患である。その予防や発症を遅らせる可能性のある生活要因の特定は、研究者にとって非常に興味深いことである。現在の研究結果に一貫性はないものの、広く研究されている因子の1つにコーヒーの摂取量がある。韓国・仁済大学校のIrin Sultana Nila氏らは、コーヒー摂取量がアルツハイマー型認知症リスクに及ぼす影響について、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、1日のコーヒー摂取が1~4杯でアルツハイマー型認知症リスクの低減がみられたが、4杯超ではリスクが増加する可能性が示唆された。Journal of Lifestyle Medicine誌2023年8月31日号の報告。コーヒー摂取でアルツハイマー型認知症の発症リスクが増加するのは1日4杯超 "coffee"、"caffeine"、"Alzheimer's disease"など、さまざまなキーワードを組み合わせて、各データベース(Pubmed、Embase、Web of Science)より関連する研究を検索した。相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出し、エフェクトサイズを推定した。分析には、ランダム効果モデル(不均一性がI2>50%の場合)または固定効果モデル(不均一性がI2<50%の場合)による一般化逆分散分析に制限付き最尤法を用いた。なお、分析に使用したソフトではp値の結果はp=0.00と表示された。 コーヒー摂取量がアルツハイマー型認知症リスクに及ぼす影響について調べた主な結果は以下のとおり。・11件の研究をメタ解析に含めた。・日常的に1日当たり1~2杯および2~4杯のコーヒーを摂取する人は、アルツハイマー型認知症の発症リスクが有意に低かった。 【1~2杯】RR:0.68、95%CI:0.54~0.83、I2=50.99% 【2~4杯】RR:0.79、95%CI:0.56~1.02、I2=71.79%・1日当たり4杯超コーヒーを摂取する人では、アルツハイマー型認知症の発症リスクの増加が認められた。 【4杯以上】RR:1.04、95%CI:0.91~1.17、I2=0.00%

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卒業試験に失敗、そしてこれから起きること(解説:岡村毅氏)

 アルツハイマー型認知症の病態の「本丸」、すなわちアミロイドをターゲットにした薬剤が世に出始め、新たな時代が始まりつつある。すでにエーザイと 米国・Biogen によるアデュカヌマブそしてレカネマブ、米国・Eli Lilly and Companyのdonanemabにおいて科学的効果が確認され、市場に出てくる。 レカネマブのスタディ名はClarity AD(明快AD)、そしてdonanemabのスタディ名はTRAILBLAZER(開拓者)であった。アルツハイマー型認知症を明らかにしたい、新世界を開拓したいという研究者の夢が詰まったスタディ名である。 一方で、今回のロシュ・ダイアグノスティックスのgantenerumabは残念ながら有意な結果を得られなかった。市場に出る前の卒業試験に落ちたわけである。奇しくもこのスタディ名はGRADUATEであった…。 とはいえ、2010年代は失敗の連続だったわけで、今後すべて成功するというわけではない。挑戦に失敗は付きものである。 さて、これから臨床現場では何が起きるのだろうか? アルツハイマー型認知症は、根本治療薬はない、あるのは症状の出方を和らげる薬だけだ、という時代が長く続いた。しかしこれからは、アミロイドに作用する薬がある時代だ。ドネペジル(アリセプト)の時のような、内科の先生がとにかく処方しまくったようなバブルが起きるのだろうか。とはいえ、月に1回点滴しないといけない、重大な副作用もあるので脳神経内科のある総合病院でなければ無理だ、といった情報も正しく報道されている。夢の薬ができた、という熱狂はないように思える。 私の周りでも、「多くの高齢者が外来に殺到する。大変だ」という意見もあれば、「いや人々は意外に冷静だ。そんなことはなかろう」という意見もある。 また、この薬の恩恵を受けられない人が受診し、診断はされるが処方の対象ではないという事態も起きるだろう。たとえば、すでに重度認知症の人や、アルツハイマー型認知症ではない他の認知症の人が、家族の誤解と共に受診してしまうような事態だ。何かに困って受診するわけであり、「あなたは薬の対象ではないので、もう来なくてもいいです」というわけにもいかないだろうから、認知症疾患医療センターのPSWやMSWが忙しくなってしまうかもしれない。

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ベンゾジアゼピン使用と認知症リスク~メタ解析包括レビュー

 高齢化社会に伴い、認知症の患者数は増加しており、認知症が主な死因の1つとなっている。しかし、ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関係については、一貫した結果が得られておらず、エビデンスの最新レビューが必要とされる。台湾・中国文化大学のChieh-Chen Wu氏らは、メタ解析の包括的レビューを実施し、ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連についての入手可能なエビデンスを要約した後、その信頼性を評価した。Journal of Personalized Medicine誌2023年10月12日号の報告。 ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関係を調査した観察研究のメタ解析をシステマティックに評価した。各メタ解析について、全体的なエフェクトサイズ、不均一性、バイアスリスク、論文の公表年を収集し、事前に指定した基準に基づきエビデンスの格付けを行った。各研究の方法論的な品質の評価には、システマティックレビューを評価するための測定ツールAMSTARを用いた。 主な結果は以下のとおり。・30研究を含む5件のメタ解析を分析に含めた。・ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連についてのエフェクトサイズは、1.38~1.78であった。しかし、この関連性を裏付けるエビデンスは弱く、含まれた研究の方法論的質は低かった。 著者らは「ベンゾジアゼピン使用と認知症リスクとの関連性を示唆するエビデンスは限られており、因果関係を明らかにするためには、さらなる研究が必要である」としたうえで「医師は、適応症に準じたベンゾジアゼピン使用を行わなければならない」とまとめている。

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片頭痛の前駆症状/予兆期、ubrogepantは有効か?/Lancet

 片頭痛の前駆症状/予兆(prodrome)期におけるubrogepant 100mgの服用は、プラセボと比較して中等度/重度の片頭痛発作を減少させ、忍容性は良好であった。米国・メイヨー・クリニックのDavid W. Dodick氏らが、米国内の研究センターおよび頭痛クリニック75施設で行われた多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー第III相試験「PRODROME試験」の結果を報告した。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体アゴニストのubrogepantは、片頭痛の急性期治療薬として承認されているが、片頭痛発作の最も早い段階である前駆症状/予兆が出現した際に服用した場合の有効性については不明であった。Lancet誌オンライン版2023年11月15日号掲載の報告。前駆症状/予兆出現時に服用、24時間以内の中等度/重度頭痛の発現なしを評価 研究グループは、前兆の有無にかかわらず片頭痛歴が1年以上あり、スクリーニング前の3ヵ月間に中等度~重度の頭痛を伴う片頭痛発作が月に2~8回あった18~75歳の患者を試験の対象とした。適格被験者は、前駆症状/予兆の初回出現時にプラセボを、2回目の出現時にubrogepant 100mgを投与する群(プラセボ群)と、初回にubrogepant 100mgを、2回目にプラセボを投与する群(ubrogepant群)に、自動双方向ウェブシステムによる4ブロック置換法を用いて1対1の割合で無作為に割り付けられた。被験者は、初回および2回目の服用後4日以内に受診し評価を受けた。 試験期間中、介入提供者およびアウトカム評価者は、全員が割り付けに関して盲検化された。試験終了後のデータ解析担当者は盲検化されなかった。また、各被験者は二重盲検治療期間中、それぞれの前駆症状/予兆出現時に試験薬を2錠服用するよう指示された。 主要エンドポイントは、試験薬服用後24時間以内に中等度または重度の頭痛が発現しないこととした。有効性の解析は、無作為化され試験薬を服用後24時間以内に、少なくとも1回の頭痛評価を受けた全患者を修正ITT[mITT]集団と定義し、対象集団とした。安全性の評価は、試験薬を少なくとも1回服用した全患者が対象であった。中等度/重度頭痛の発現なし、ubrogepant群46%、プラセボ群29% 2020年8月21日~2022年4月19日に、計518例が無作為化された。安全性評価集団は480例、mITT集団は477例であった。480例中421例(88%)が女性、男性は59例(12%)であった。 服用後24時間以内に中等度または重度の頭痛が発現しなかった患者の割合は、ubrogepant群46%(190/418例)、プラセボ群29%(121/423例)であった(オッズ比:2.09、95%信頼区間:1.63~2.69、p<0.0001)。 試験薬服用後48時間以内の有害事象は、ubrogepant群で456例中77例(17%)、プラセボ群で462例中55例(12%)に認められた。

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早期アルツハイマー病へのgantenerumab、2件の第III相試験結果/NEJM

 早期アルツハイマー病患者において、完全ヒトモノクローナルIgG1抗体のgantenerumabは116週時点のアミロイド負荷をプラセボより減少させたものの、臨床症状の悪化を抑制しなかった。米国・ワシントン大学のRandall J. Bateman氏らGantenerumab Study Groupが、30ヵ国288施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第III相試験「GRADUATE I試験」および「GRADUATE II試験」(それぞれ15ヵ国156施設、18ヵ国152施設)の結果を報告した。アミロイドβ(Aβ)を標的とするモノクローナル抗体は、早期アルツハイマー病患者の認知機能や身体機能の低下を遅らせる可能性がある。gantenerumabは、Aβの凝集体に対して高い親和性を有しており、皮下投与のアルツハイマー病治療薬として開発が進められていた。NEJM誌2023年11月16日号掲載の報告。116週後の臨床認知症評価尺度6項目合計スコア(CDR-SB)を評価 研究グループは、陽電子放射断層撮影(PET)または脳脊髄液(CSF)検査でアミロイド斑が認められ、臨床認知症評価尺度(CDR)の全般的スコア(CDR-GS、範囲:0~3、スコアが高いほど認知障害が高度)が0.5または1、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが22以上(範囲:0~30、スコアが低いほど認知障害が高度)などのアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度アルツハイマー型認知症を有する50~90歳の患者を登録し、gantenerumab群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 投与量は120mg(4週ごと、3回)より開始し、255mg(4週ごと、3回)、510mg(4週ごと、3回)と漸増した後、510mgを2週ごとに皮下投与した。 主要アウトカムは、116週時点のCDR6項目合計スコア(CDR-SB、範囲:0~18、スコアが高いほど認知障害が高度)のベースラインからの変化量であった。CDR-SBのベースラインからの変化量に有意差なし GRADUATE I試験に985例、II試験に980例が登録された。ベースラインのCDR-SBスコアは、それぞれ3.7、3.6であった。 116週時点のCDR-SBスコアのベースラインからの変化量は、GRADUATE I試験ではgantenerumab群3.35、プラセボ群3.65であり(群間差:-0.31、95%信頼区間[CI]:-0.66~0.05、p=0.10)、II試験ではそれぞれ2.82、3.01であった(-0.19、-0.55~0.17、p=0.30)。 116週時点の脳アミロイドPET画像におけるアミロイドのgantenerumab群とプラセボ群の差は、GRADUATE I試験では-66.44センチロイド、II試験では-56.46センチロイドであり、gantenerumab群でのアミロイド陰性状態の患者の割合はGRADUATE I試験で28.0%、II試験で26.8%であった。また2試験のいずれにおいても、gantenerumab群がプラセボ群と比較してCSF中のリン酸化タウ181濃度が低く、Aβ42濃度が高かったが、PETでのタウ凝集蓄積は両群で同程度であった。 浮腫を伴うアミロイド関連画像異常(ARIA-E)は、gantenerumab群で24.9%に認められ、症候性ARIA-Eの発現率は5.0%であった。プラセボ群はそれぞれ2.7%、0.2%だった。

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アミロイド陽性アルツハイマー病患者の皮質萎縮に対する炭水化物制限の影響

 インスリンレベルを低下させる炭水化物制限は、アルツハイマー病(AD)発症を遅らせる可能性がある。炭水化物の摂取を制限するとインスリン抵抗性が低下し、グルコースの取り込みや神経学的健康が改善すると考えられる。ADの特徴は、広範な皮質の萎縮だが、アミロイドーシスが確認されたAD患者において、正味炭水化物摂取量の低下が皮質萎縮の軽減と関連しているかは、明らかとなっていない。米国・Pacific Neuroscience Institute and FoundationのJennifer E. Bramen氏らは、炭水化物制限を行っているアミロイド陽性アルツハイマー病患者を対象に、中程度~高度の炭水化物摂取の場合と比較し、皮質厚が厚いとの仮説を検証した。Journal of Alzheimer's Disease誌2023年10月号の報告。 アミロイド陽性アルツハイマー病患者31例を、正味炭水化物のカットオフ値130g/日に基づき2群に分類した。皮質厚は、FreeSurferを用いて、MRIのT1強調画像より推定した。皮質表面分析は、クラスタワイズ回帰分析を用いて、多重比較のために補正した。群間差異の評価には、両側独立サンプルt検定を用いた。交絡因子を考慮した連続変数として正味炭水化物を用い、線形回帰分析も行った。 主な結果は以下のとおり。・正味炭水化物摂取量が低い群は、体性運動ネットワークおよび視覚ネットワークの皮質厚が有意に厚かった。・線形回帰では、正味炭水化物摂取レベルの低下は、前頭頭頂葉、帯状鞠膜、視覚ネットワークの皮質厚の厚さとの有意な関連が認められた。 著者らは「炭水化物制限は、AD患者の皮質萎縮を軽減する可能性がある。正味炭水化物摂取を130g/日未満に抑えることは、検証済みのMIND食を順守することにつながり、インスリンレベル低下による恩恵も受けることになるであろう」としている。

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日本における慢性疼痛・片頭痛患者の医療アクセスへの障壁

 慢性疼痛および片頭痛は、患者のQOLや生産性の低下などの経済的な負担が大きいにもかかわらず、十分に治療されていないケースが少なくない。治療を受けない理由を明らかにすることは、介護を求める行動を改善するための介入を可能にするためにも重要である。しかし、日本において、疾患特有の治療を受けない理由に関する報告は限られている。順天堂大学の唐澤 佑輔氏らは、慢性疼痛および片頭痛を有する未治療の患者における医療アクセスへの障壁を明らかにするため、調査を行った。その結果から、痛みに伴うリスクとその原因、安価な治療選択肢の利用の可能性、適切な治療施設へのアクセスについて患者教育を行うことで、治療率が向上する可能性が示唆された。Frontiers in Pain Research(Lausanne, Switzerland)誌2023年10月3日号の報告。 慢性疼痛および片頭痛患者を対象に、非介入的な横断的インターネット調査を行った。主要評価項目は、慢性疼痛および片頭痛の未治療の理由とした。副次的評価項目は、患者背景、患者報告ベースのアウトカム、ジェネリック医薬品またはオーソライズド・ジェネリック(AG)の認知度、医療アクセスに関する因子を含めた。 主な結果は以下のとおり。・2021年、慢性疼痛患者1,089例(未治療:605例、55.6%)および片頭痛患者932例(未治療:695例、74.6%)を対象に調査を行った。・治療を受けない理由は、慢性疼痛では「痛みを我慢できる」、片頭痛では「市販薬で疼痛管理が可能」であった。・未治療の慢性疼痛と有意な関連が認められた因子は、若年であること、最寄りの医療機関までの移動時間が短い、痛みが少ない、ADLスコアが高い、後発医薬品やオーソライズド・ジェネリック(AG)に対する認識の低さであった。・未治療の片頭痛と有意な関連が認められた因子は、女性であること、最寄りの医療機関までの移動時間が短い、人口5万人未満の自治体に居住、中等度~重度の痛みを経験、ADLスコアが高い、AGに対する認識の低さであった。・AGの認識率は、治療を受けた患者のほうが、未治療の患者よりも2倍高かった。

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脳が萎縮していても、必ずしも認知症ではない?【外来で役立つ!認知症Topics】第11回

当クリニックでは、「『脳が萎縮している、認知症が疑われる』と言われました。本当に私は認知症なんですか?」と泣かんばかりの表情で初診する人が年間に数人はいらっしゃる。前頭葉萎縮と海馬萎縮脳の萎縮は2つに大別できる。まずは大脳半球を左右に分け前後に走る深い溝、すなわち大脳縦裂の前方が開いているので前頭葉萎縮があると言われた人である。「前頭側頭型認知症の疑いと言われました」と告げる人もいる。このタイプはこの画像所見だけで、下角の拡大などの所見がなければ、問題なしが普通である。しかしこのタイプの人には飲酒する人が多い。ざっくり言うと、相当の「吞兵衛」が少なくない。この飲酒と前頭葉萎縮の関係を報告した論文は、欧米でも国内でも出ている。もう1つが有名な海馬萎縮である。「海馬が痩せている、イコール、アルツハイマー病」という簡単な筋書きが世間一般はもとより、認知症を診る医師にもかなり浸透している。実際、海馬を含む側頭葉内側と知的機能との相関を、MRIの容量測定により検討することで、健康高齢者とごく軽度のアルツハイマー病患者の区別が、容量値により可能だとした報告もある。「海馬萎縮=アルツハイマー病」ではないこともあるだが、海馬萎縮が必ずしもアルツハイマー病であるとは言えない。意外なことに、海馬を含む側頭葉内側と認知機能の関連は最近まであまり知られていなかった。軽度認知障害(MCI)で有名なピーターセンらは、側頭葉内側の容積と記憶、言語、一般的な知的機能との相関を、アルツハイマー病患者と健康高齢者コントロールにおいて評価している。全体では、記銘や想起のテスト成績と海馬の容積は比例した。しかし健康高齢者とアルツハイマー病患者に分けてみたところ、こうした相関はアルツハイマー病患者群においてのみ観察されたという1)。一方で記憶に関わる海馬の役割は、PETなど脳画像技術の進歩、また記憶に関する新たな知見により見直されつつある。側頭葉内側の機能は記憶に限らないこと、また記憶のプロセス(記銘、把持、想起)には海馬以外に、側頭葉内側、間脳領域のみならず新皮質から小脳までもが含まれると分かっている。さらに健康高齢者において加齢によって影響を受ける脳構造を調べた研究もある。海馬を含む辺縁系の容積はいかなる認知機能(言語性ワーキングメモリー、言語性の明示的記憶、言語性プライミング)とも無関係という驚きの結果であった。このように海馬萎縮の背景は単純でない。アルツハイマー病とは別の病理学的な影響も受ける。世界最大のアルツハイマー病研究組織であるAlzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)のデータに、海馬萎縮に関与する遺伝子を調べた報告がある2)。ゲノムワイド関連研究(GWAS)から3つの遺伝子多型、すなわちTOMM40-APOC1領域にあるrs4420638、rs56131196、rs157582が関与すると報告されている。アルツハイマー病患者の海馬萎縮速度は3倍以上なおアルツハイマー病患者や健康高齢者において海馬はどの程度の速度で萎縮するのだろうか? アルツハイマー病における年間あたりの海馬萎縮率をメタ解析した報告がある。それによればアルツハイマー病患者での萎縮率は4.66%(95%信頼区間[CI]:3.92~5.40)、また健康コントロールでは1.41%(95%CI:0.52~2.30)であった3)。つまりアルツハイマー病患者では海馬の年間萎縮率は健康高齢者の3倍以上も大きい。以上をまとめると、知的健康でも海馬の萎縮を示す人がいる。1回の海馬萎縮のMRI画像によってアルツハイマー病の診断はできるわけではない。しかしアルツハイマー病になると海馬は規則的に萎縮していくということになる。海馬萎縮はVSRADで評価さてこれに絡めてわが国では、「海馬萎縮といえばMRI画像のVSRAD(Voxel-Based Specific Regional Analysis System for Alzheimer's Disease)」と定着している。確かにこのZスコアを使うことで、多くの場合、海馬萎縮が客観的に評価されてすっきりする。ところがMRI画像の視覚評価で海馬萎縮がはっきりしているのに、Zスコアが低い、つまり数字上はアルツハイマー病を示唆するとは言い難い症例がある。またその逆もある。つまり視覚評価とZスコアが乖離する症例が時にはある。こうしたケースでは、「VSRADの測定が誤っているのではないか?」とも尋ねられる。そうしたご意見には、次のようにお答えしている。「VSRADは絶対値の測定ではない。全脳に対する海馬領域の体積、正確に言えば、全脳の灰白質体積で正規化した海馬領域の灰白質体積を意味します。だから乖離がありえます」。もちろんすべてがそうだと言わないが、アルツハイマー病は海馬領域の選択的萎縮を示すため、視覚評価よりもVSRADのほうがアルツハイマー病の特徴を良く捉える。ちなみに私信(松田 博史先生)では、視覚評価による海馬萎縮からアミロイド沈着の可能性の診断率は60%ぐらいだが、VSRADによると70%を超えるとされる。参考1)Petersen RC, et al. Memory and MRI-based hippocampal volumes in aging and AD. Neurology. 2000;54:581-587.2)Wang WY, et al. Impacts of CD33 Genetic Variations on the Atrophy Rates of Hippocampus and Parahippocampal Gyrus in Normal Aging and Mild Cognitive Impairment. Mol Neurobiol. 2017;54:1111-1118.3)Barnes J, et al. A meta-analysis of hippocampal atrophy rates in Alzheimer's disease. Neurobiol Aging. 2009;30:1711-1723.

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地域のソーシャルキャピタルと認知症発症との関連~日本老年学的評価研究データ分析

 近年、社会や地域における、人々の信頼関係・結びつきを意味するソーシャルキャピタルという概念が注目されている。個人レベルでのソーシャルキャピタルは、認知機能低下を予防するといわれている。また、コミュニティレベルでのソーシャルキャピタルが、認知症発症に及ぼす影響についても、いくつかの研究が行われている。国立長寿医療研究センターの藤原 聡子氏らは、日本人高齢者を対象とした縦断的研究データに基づき、コミュニティレベルのソーシャルキャピタルと認知症発症との関連を調査した。その結果から、市民参加や社会的一体感の高い地域で生活すると、高齢女性の認知症発症率が低下することが示唆された。Social Science & Medicine誌2023年12月号の報告。 日本老年学的評価研究の9年間(2010~19年)にわたる縦断的データを用いて、分析を行った。対象は、7つの自治体、308のコミュニティに在住する65歳以上の身体的および認知的に独立した3万5,921人(男性:1万6,848人、女性:1万9,073人)。認知症発症は、公的介護保険の利用により評価した。ソーシャルキャピタルは、市民参加、社会的結束、社会的相互関係の3つの側面より評価した。性別で層別化し、2レベルのマルチレベル生存分析を行い、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、6,245人(17.4%)であった。・認知症の累積発症率は、男性で16.2%、女性で18.4%であった。・共変量で調整した後、個人レベルの市民参加は、男女ともに認知症発症率の低下と関連が認められた。 【男性】HR:0.84、95%CI:0.77~0.92 【女性】HR:0.78、95%CI:0.73~0.84・コミュニティレベルの市民参加(HR:0.96、95%CI:0.93~0.99)および社会的結束(HR:0.93、95%CI:0.88~0.98)は、女性の認知症発症率の低下と関連していた。また、個人、コミュニティレベルを超えて、女性の社会的相互関係は認知症発症率の低下と関連が認められた(HR:0.95、95%CI:0.90~0.99)。 著者らは「地域社会における市民参加や社会的一体感を促進することで、認知症発症までの期間を遅らせたり、予防したりする可能性がある」としている。

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遠隔虚血コンディショニングは脳卒中急性期患者の転帰を改善するか?(解説:内山真一郎氏)

 急性期脳卒中における遠隔虚血コンディショニング (RIC)の有効性は確立されていない。RESIST試験は、脳卒中発症後4時間以内で入院前の脳梗塞または脳出血1,500例における無作為化比較試験であった。介入方法は、治療群では上肢を200mmHgまで、対照群では20mmHgで5分の加圧と5分の除圧を5回反復した。治療は、救急車の中で開始し、病院で少なくとも1回反復し、その後7日間1日2回反復した。一次評価項目は、90日後の改定ランキン尺度スコアのシフトであった。 結果は、RICによる90日後の転帰改善効果は認められなかった。多くの虚血性脳卒中患者は血栓溶解療法や血管内治療を行っても転帰は改善しないので、RICは機能回復や脳保護に有効な補助的治療として期待されている。先行して行われたRICAMIS試験は、発症後48時間以内の1,893例において両側のRICを10~14日間行い、対照群より有意に転帰良好例が多かったことを報告している。 両試験はRICの方法、治療開始時間枠、治療継続期間、症例数、評価法が異なっており、今後どのようなRICの試験デザインが妥当であるかを再考する必要があるように思われる。また、脳保護療法の効果は90日後ではなく、もっと長い6ヵ月や1年後で判定すべきであるとの意見も増えている。

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早期アルツハイマー病患者のQOLに対するレカネマブの有用性~第III相試験

 レカネマブは、アミロイドβプロトフィブリルに高い親和性を示すヒト化IgG1モノクローナル抗体である。第III相試験において、レカネマブは早期アルツハイマー病のアミロイドマーカーを減少させ、18ヵ月時点での認知および機能の臨床的エンドポイントの低下を軽減することが示唆されている。カナダ・Toronto Memory ProgramのSharon Cohen氏らは、Clarity AD試験での健康関連QOL(HRQoL)の結果について、評価を行った。その結果、レカネマブは、HRQoLの相対的な維持および介護者の負担軽減と関連しており、さまざまなQOL尺度においてベネフィットが確認された。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌2023年号の報告。 Clarity AD試験は、18ヵ月にわたる多施設共同二重盲検の第III相試験である。参加者は、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病による早期認知症と診断され、PETまたは脳脊髄液検査において脳アミロイド蓄積が認められた50~90歳。参加者には、プラセボまたはレカネマブ10mg/kg IVの隔週投与を行った。HRQoLは、European Quality of Life-5 Dimensions(EQ-5D-5L:患者)およびQuality of Life in AD(QOL-AD:患者および介護者)を用いて、ベースライン時および6ヵ月ごとに測定した。介護者に対してZarit Burden Interview(ZBI)を実施した。 主な結果は以下のとおり。・登録患者数は1,795例(レカネマブ群:898例、プラセボ群:897例)。・18ヵ月時点での対象患者におけるHRQoLは、ベースラインからの調整平均変化の低下がEQ-5D-5Lで49%、QOL-ADで56%減少した。・介護者におけるQOL-ADの低下は、23%減少した。・18ヵ月時点のベースラインからの平均変化調整後のZBIでは、介護者の負担増が38%減少した。・HRQoLの検査項目およびディメンションについても、レカネマブのベネフィットが示唆された。 著者らは「レカネマブは、これまで報告されている認知、機能、疾患進行、バイオマーカーに関連する尺度に対するベネフィットと合わせて、治療患者、その介護者および社会に対して、さらなるベネフィットをもたらす可能性がある」としている。

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