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33701.

アロマターゼ阻害薬エキセメスタン、閉経後女性の浸潤性乳がん発症を有意に減少

 閉経後女性の乳がん予防に関して、アロマターゼ阻害薬のエキセメスタン(商品名:アロマシン)が、浸潤性乳がん発症を有意に減少することが示された。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのPaul E. Goss氏ら「NCIC CTG MAP.3」試験グループが行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果による。これまで乳がん一次予防の化学療法としては、選択的エストロゲン受容体調節薬であるタモキシフェン(抗がん薬、商品名:ノルバデックスなど)やラロキシフェン(骨粗鬆症薬、同:エビスタ)が注目されてきたが、毒性効果がもたらすリスクに対する懸念からこれらの使用は広がっていないという。一方、エキセメスタンは、閉経後女性のエストロゲン抑制に優れ、実験モデルにおいて乳がん発症を減少することが認められ、また早期乳がん対象の試験において、対側原発性乳がんを、タモキシフェンよりも減少し副作用も少ないことが報告されていた。NEJM誌2011年6月23日号(オンライン版2011年6月4日号)掲載より。4ヵ国から4,560例を登録し、無作為化プラセボ対照二重盲検試験 NCIC CTG MAP.3試験は、カナダ、米国、スペイン、フランスで被験者を募り、35歳以上で適格条件[60歳以上、Gail 5年リスクスコア>1.66%(5年以内の浸潤性乳がん発症が100である可能性)、異型乳管過形成、異型小葉過形成、非浸潤性小葉がん、乳房切除を伴う非浸潤性乳管がん]を1つ以上有する閉経後女性を対象とし行われた。 本試験は、浸潤性乳がんの65%の相対的減少を検知するようデザインされた。主要アウトカムは浸潤性乳がん発生率で、毒性効果、健康関連QOL、閉経期特異的QOLについても測定が行われた。2004年11月~2010年3月の間に、4,560例が登録。被験者の年齢中央値は62.5歳、Gailリスクスコアは2.3%で、無作為にエキセメスタン群(2,285例)とプラセボ群(2,275例)に割り付けられ追跡された。追跡期間中央値35ヵ月時点で、エキセメスタン群の65%の相対的減少を検知 結果、浸潤性乳がんの65%の相対的減少は、追跡期間中央値35ヵ月時点で検知された。同時点の浸潤性乳がん発生は、エキセメスタン群11例(0.19%)、プラセボ群32例(0.55%)で、ハザード比0.35(95%信頼区間:0.18~0.70、P=0.002)だった。 副次エンドポイントの侵襲性+非侵襲性(非浸潤性乳管がん)乳がんの年間発生率は、エキセメスタン群0.35%、プラセボ群0.77%(ハザード比:0.47、95%信頼区間:0.27~0.79、P=0.004)であった。 有害事象は、エキセメスタン群88%、プラセボ群85%で発生した(P=0.003)。毒性効果の評価指標である骨折、心血管イベント、その他のがん、治療関連の死亡に関して両群間で有意差は認められなかった。 QOLの差はわずかだった。健康関連QOLはSF-36質問票にて悪化、不変、改善の区分でスコア化されたが、両群間で有意な差は認められなかった。閉経期特異的QOLについてはエキセメスタン群の悪化(全体的に7%多く)が認められた。Goss氏は、「乳がんリスクが中程度に上昇した閉経後女性に対して、エキセメスタンは侵襲性乳がんを有意に減少した。また追跡期間中央値3年の間、エキセメスタンは重篤な毒性効果との関連は認められず、健康関連QOLについての変化はわずかだった」と結論している。

33702.

長期的ダイエットを成功または失敗させる食事、生活習慣とは?

体重安定には摂取カロリーと消費カロリーのバランスを要することから、長期的な体重増加を予防するには、「食事量を減らし、運動量を増やす」というアドバイスが単純明快な戦略にみえる。これに対して、米国・ブリガム&ウィメンズ病院循環器部門のDariush Mozaffarian氏らは、「特定の食事や生活習慣が成功の可否に影響する可能性がある」として、食事や生活習慣の詳細と体重増加との関係を調査した。NEJM誌2011年6月23日号掲載より。異なる3つのコホートで前向き研究研究グループは、12万877例の米国人男女(ベースラインで慢性疾患も肥満もない)が参加した3つの独立したコホート集団を対象に前向き研究を実施した。追跡調査期間はそれぞれ、1986~2006年、1991~2003年、1986~2006年だった。生活習慣の各因子と体重変化との関係は、年齢、各調査期間のベースラインBMI、すべての生活習慣を同時に多変量補正して、4年間隔で評価を行った。コホート特異的、性特異的な結果は類似しており、分散逆数重み付けメタ解析を用いて統合した。「カウチポテト」はやはり体重増加をもたらす?4年の間に、参加者の体重は平均3.35 lb*(5~95パーセンタイル:-4.1~12.4)増加した。食品ごとの1日の摂取量増加と4年間の体重変化をみてみると、ポテトチップス(1.69 lb)、ジャガイモ(1.28 lb)、加糖飲料(1.00 lb)、未加工の赤肉(0.95 lb)、加工肉(0.93 lb)については正の相関が最も強く認められ、野菜(-0.22 lb)、全粒穀物(-0.37 lb)、果物(-0.49 lb)、ナッツ(-0.57 lb)、ヨーグルト(-0.82 lb)では逆相関が認められた(それぞれの比較のP<0.005)。食事変化の集積は、体重変化の差と大きく関係していた(食事変化の五分位範囲にわたる体重変化は3.93 lb)。その他、身体活動(五分位範囲で-1.76 lb)、アルコール摂取(1日1杯につき0.41 lb)、喫煙(新規禁煙者5.17 lb、過去の喫煙者0.14 lb)、睡眠(6時間未満と8時間超で体重増加)、テレビ視聴(1日1時間につき0.31lb)などの生活習慣の各因子にも、体重変化と独立した関連が認められた(P

33703.

抗悪性腫瘍剤 クリゾチニブ

世界初の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であるクリゾチニブが、ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として、米国FDAに新薬承認申請し、2011年5月受理され、優先審査対象に指定された。また、わが国でも厚生労働省への申請が行われ、外資系製薬企業では初の日米新薬承認同時申請となった。NSCLCの現状と課題NSCLC患者の約75%は診断時に進行や転移が認められ、その時点からの5年生存率は、わずか6%とされている1)。進行NSCLCに対する現在の標準治療の奏効率は15~35%程度である2)。手術不能の進行NSCLCは完治が困難であり、予後が悪いのが現状である。この状況はここ10年において、さほど大きく変わっていない。ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLCに新たな可能性ALK遺伝子は、NSCLCの腫瘍発現における重要な遺伝子であると考えられている3)。2007年、自治医科大学教授の間野博行氏によって、肺がんにおけるALK融合遺伝子の存在が初めて報告されたが、NSCLC患者の約3~5%がALK融合遺伝子陽性であるとされている。こうした状況を背景に、ファイザー社はALK融合遺伝子陽性患者にフォーカスした世界初のALK阻害剤となる経口製剤クリゾチニブを開発した4)。ターゲット遺伝子を先に特定し、そのターゲット遺伝子を持つ患者を対象に薬剤開発を行ったのは、肺がん領域ではクリゾチニブが最初の薬剤となる。また、クリゾチニブは経口製剤であるため、患者にとって使いやすい薬剤といえる。高い奏効率、高い忍容性2011年にASCOで発表されたデータによると、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者116例にクリゾチニブを連続経口投与したところ、完全奏効(CR)が2%(2例)、部分奏効(PR)が59%(69例)、不変 (SD)6週間以上が27%(31例)であり、奏効率(CR+PR)は61%、臨床的ベネフィットが見られた割合(CR+PR+SD)は88%に上った5)。大半の患者は、すでに他治療を受けており、そのうち44%の患者は3レジメン以上の治療を受けていた。また、最も多かった副作用は、視覚障害、悪心、下痢、嘔吐などであり、程度は、軽度(グレード1または2)のものが多かった。ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者の特徴現段階ではALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者の特徴は明確ではないが、傾向としては、腺がん患者であること、喫煙歴がない、もしくはライトスモーカー患者が比較的多いことが挙げられる。また、患者の年齢層としては、高齢者だけではなく、若い年齢層の患者が多いこともその特徴といえる。まとめ腫瘍発現における重要な遺伝子であるALK遺伝子をターゲットとし、奏効率が高く、忍容性が高いという本剤の特徴は、患者の身体的負担の軽減など、多くのメリットにつながり、今後、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC治療においてパラダイムシフトをもたらすことが期待される。

33704.

過去20年の糖尿病患者に占める糖尿病性腎症者の割合は変化なし、背景に糖尿病治療の実施増大?

米国では1988年から2008年にかけて、糖尿病性腎症の有病率が糖尿病有病率に比して上昇し、2.2%から3.3%へと1.1ポイント増加していたが、一方で、糖尿病患者における糖尿病性腎症患者の割合には、変化はみられなかったという。また、血糖降下薬服用者が増加、特にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬の服用者が増加していた。米国・ワシントン大学腎研究所のIan H. de Boer氏らが、「糖尿病性腎症有病率は、糖尿病有病率の拡大により増えるだろうが、糖尿病治療の実施により減少する可能性もある」として、米国における糖尿病性腎症有病率の経時的変化を明らかにするため、全米健康栄養検査調査(NHANES)を元に調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月22・29日号で発表した。糖尿病性腎症の全米有病率は増加、20年前2.2%、10年前2.85%、直近5年は3.3%糖尿病の定義は、HbA1c値が6.5%以上とし、糖尿病性腎症の定義は、糖尿病で尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が30mg/g以上のアルブミン尿、糸球体濾過量(GFR)の低下(推定60mL/min/1.73m2未満)のいずれか、または両方が認められる場合とされた。調査対象は、NHANES III(1988~1994年、n=15,073)、NHANES 1999-2004(n=13,045)、NHANES 2005-2008(n=9,588)。各調査で、糖尿病定義に該当、血糖降下薬を服用のいずれかまたは両方に該当する人は、NHANES IIIは1,431人、NHANES 1999-2004は1,443人、NHANES 2005-2008は1,280人だった。結果、米国民の糖尿病性腎症有病率は、NHANES IIIが2.2%(95%信頼区間:1.8~2.6)、NHANES 1999-2004は2.8%(同:2.4~3.1)、NHANES 2005-2008は3.3%(同:2.8~3.7)だった(補正前傾向p<0.001)。人口統計学的補正後、NHANES IIIからNHANES 1999-2004への増大は18%増(1.18倍)、NHANES IIIからNHANES 2005-2008は34%増(1.34倍)であった(補正後傾向p=0.003)。これら糖尿病性腎症の有病率は、糖尿病有病率に正比例して増加していた。一方で、糖尿病患者に占める糖尿病性腎症者の割合に変化は認められなかった。NHANES IIIは36.4%、NHANES 1999-2004は35.2%、NHANES 2005-2008は34.5%、補正後増大はNHANES IIIからNHANES 1999-2004は0.99倍、NHANES IIIからNHANES 2005-2008は0.98倍であった(傾向p=0.77)。血糖降下薬服用、RAAS阻害薬服用割合がそれぞれ有意に増加糖尿病患者で血糖降下薬を服用している人の割合は、NHANES IIIの56.2%から、NHANES 2005-2008には74.2%へ、またRAAS阻害薬を服用する人の割合が、同11.2%から40.6%へ、それぞれ有意に増えていた(いずれもp<0.001)。また同期間では、GFR低下の有病率が14.9%から17.7%へ上昇(p=0.03)し、アルブミン尿は27.3%から23.7%に低下していたが統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

33705.

前立腺がん患者、現喫煙者の再発率、死亡率、喫煙未経験者と比べ増大

前立腺がんで現喫煙者は、喫煙未経験者に比べ、再発率と死亡率(全死亡率、心血管疾患死亡率、前立腺がんによる死亡率)がいずれも増大することが明らかにされた。現喫煙者は喫煙未経験者より、前立腺がんによる死亡率は約1.6倍、心血管疾患死亡率や全死亡率は、いずれも2倍超に増大するという。米国・ハーバード大学公衆衛生校のStacey A. Kenfield氏らが、全米の男性医療従事者を対象とした前向きコホート疫学研究「Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)」から、前立腺がんの診断を受けた5,366人超について分析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月22・29日号で発表した。臨床ステージT1~T3の現喫煙者、前立腺がんによる死亡は喫煙未経験者の1.8倍HPFSは、1986年までに郵送質問票に回答した男性医療従事者5万1,529人を対象とする前向きコホート試験。Kenfield氏らは、その中から1986~2006年に前立腺がんの診断を受けた5,366人について前向き観察研究を行った。主要評価項目は、全死亡、前立腺がん特異的死亡、心血管疾患死亡と生化学的再発のハザード比とした。追跡期間中の死亡は1,630人で、前立腺がんによる死亡は524人(32%)、心血管疾患による死亡は416人(26%)だった。また、生化学的に再発が認められたのは、878人だった。補正前の前立腺がんによる死亡率は、喫煙未経験者が9.6人/1000人・年に対し、現喫煙者は15.3人/1000人・年、全死亡率はそれぞれ27.3人/1000人・年と53.0人/1000人・年と、いずれも現喫煙者で高率だった。多変量解析の結果、現喫煙者の喫煙未経験者に対する、前立腺がんによる死亡に関するハザード比は1.61(95%信頼区間:1.11~2.32)、現喫煙者で臨床ステージT1~T3の前立腺がんの人では、同ハザード比は1.80(同:1.04~3.12)だった。禁煙後10年経過で前立腺がん死亡リスクは未経験者と同等に現喫煙者は、喫煙未経験者に比べ、生化学的再発リスクも大きく、ハザード比は1.61(同:1.16~2.22)、全死亡のハザード比は2.28(同:1.87~2.80)、心血管疾患死は2.13(同:1.39~3.26)だった。前立腺がんの臨床ステージとグレードレベルについて補正後も、現喫煙者の前立腺がん死亡リスクは、喫煙未経験者に比べ大きく、ハザード比は1.38(同:0.94~2.03)、臨床ステージT1~T3の前立腺がんの人の同ハザード比は1.41(同:0.80~2.49)、生化学的再発に関するハザード比は1.47(同:1.06~2.04)だった。年間40パック以上の喫煙者は、喫煙未経験者に比べ、前立腺がんによる死亡のハザード比は1.82(同:1.03~3.20)だった。また、現喫煙者との比較で、禁煙をしてから10年以上経過している人の前立腺がん死亡に関するハザード比は0.60(同:0.42~0.87)、喫煙してから10年未満かつ年間20パック未満喫煙者の同ハザード比は0.64(同:0.28~1.45)で、喫煙未経験者の同ハザード比0.61(同:0.42~0.88)と同等だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

33706.

初発慢性骨髄性白血病の治療選択肢が増加、使い分けの時代へ

 2011年6月16日、抗悪性腫瘍剤ダサチニブ(商品名:スプリセル)が慢性骨髄性白血病(CML)のファーストライン治療薬としての新たな効能が承認されたことを受け、同月30日、ブリストル・マイヤーズ株式会社と大塚製薬株式会社による記者説明会が開催された。本会では、名古屋第二赤十字病院血液・腫瘍内科部長の小椋美知則氏より、CML治療の変遷と国際共同第3相試験「DASISION試験」の結果、さらにCML治療の今後の展望について講演が行われた。初発CMLに対する治療選択肢が3剤に 2001年、チロシンキナーゼ阻害薬イマチニブが登場し、CMLの治療成績は著明に改善した。その後、より強力なBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害作用を持つ第2世代チロシンキナーゼ阻害薬、ニロチニブ、ダサチニブが開発され、イマチニブ抵抗性・不耐容のCMLに対して承認された。さらに、初発慢性期CMLに対してイマチニブと比較した臨床第3相試験の成績から、2010年12月にニロチニブが、また今月2011年6月にダサチニブが初発CMLに対して承認された。 これで、初発CML治療にイマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブの3剤が使用できることになり、年齢や合併症など患者さんの状態を考慮した治療薬の使い分けが可能となった。 現在、米国のNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)の治療ガイドライン(CML Treatment Guideline Ver2. 2011)では、慢性期CMLと診断された場合の治療選択肢として、チロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ400mg、ニロチニブ300mg1日2回、ダサチニブ100mg1日1回)がCatedory1として推奨されている。国際共同第3相試験「DASISION試験」におけるダサチニブの成績 DASISION試験は、初発慢性期CMLを対象にダサチニブ100mg1日1回投与とイマチニブ400mg1日1回投与を比較した、非盲検・ランダム化・国際共同第3相試験である。519例(うち日本人49例)が登録され、ダサチニブ259例(同26例)、イマチニブ260例(同23例)がランダムに割り付けられた。主要評価項目は、12ヵ月間のConfirmed CCyR(細胞遺伝学的完全寛解)率、すなわち28日間以上の間隔で連続したCCyR率である。 本試験において、12ヵ月時点のConfirmed CCyR(ダサチニブvsイマチニブ:77% vs 66%、p=0.0067)、CCyR(同:83% vs 72%、p=0.0011)、分子遺伝学的Major寛解(MMR)(同:46% vs 28%、p

33707.

COPD患者に対するミストタイプのチオトロピウムと死亡率との関連

慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対するミストタイプのチオトロピウム(商品名:スピリーバ・レスピマット)について、米国・ジョンズホプキンス大学医学校のSonal Singh氏らは、無作為化試験のシステマティックレビュー、メタ解析を行い、死亡率との関連を検討した。ミストタイプのチオトロピウムは世界55ヵ国で承認されているが、米国では未承認。著者らは2009年12月中旬、米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイト上に、従来製剤である粉末タイプのチオトロピウム(同:スピリーバ・ハンディへラー)の安全性への懸念から行われた同年11月19日付ヒアリング文書を見つけ、粉末タイプとミストタイプは異なった製剤と考えられるとして、ミストタイプのチオトロピウムについての安全性を行ったという。結果、「当局の安全性に対する懸念を明らかとする、ミストタイプのチオトロピウムは死亡リスクを52%増大することが示された」と報告している。BMJ誌2011年6月18日号(オンライン版2011年6月14日号)掲載より。プラセボ対照並行群間無作為化試験をメタ解析Singh氏らは、創刊~2010年7月のMedline、Embase、製薬会社臨床治験レジスター、FDAウェブサイト、ClinicalTrials.govをデータソースとし、COPDに対するミストタイプのチオトロピウムとプラセボとを比較した並行群間無作為化試験で、治療期間が30日以上、死亡率についての報告があるものを選んだ。適格条件を満たした試験は、5件だった。全死因死亡の相対リスクについて、固定効果メタ解析を用いて評価した。不均一性はI(2)統計値で評価した。死亡リスク増大との関連が有意結果、ミストタイプのチオトロピウム(チオトロピウム群)は、死亡リスク増大との関連が有意であった[90/3,686例 vs. 47/2,836例、相対リスク:1.52、95%信頼区間:1.06~2.16、P=0.02、I(2)=0%]。チオトロピウム群には10μg投与群と5μg投与群が含まれていたが、いずれの投与量群とも死亡リスク増大との関連は有意であった。10μg投与群は2倍強[相対リスク:2.15、95%信頼区間:1.03~4.51、P=0.04、I(2)=9%]、5μg投与群は46%増大[同:1.46、1.01~2.10、P=0.04、I(2)=0%]だった。全体的な評価は実質的な変化は認められなかった。すなわち、感度分析(ランダム効果モデルを用いて5試験を統合した固定効果解析による)での相対リスクは1.45(95%信頼区間:1.02~2.07、P=0.04)だった。また、死亡率の評価は主に評価期間が1年だった3試験により行われ限定的であったが、相対リスクは1.50(同:1.05~2.15、P=0.03)だった。さらに、他の治験プログラムからデータを追加した6試験による解析の相対リスクは1.42(同:1.01~2.00、P=0.05)だった。長期試験のコントロール群平均発生率をベースとする、5μg投与群で死亡が年間1例追加となるNTT(number needed to treat)は124(95%信頼区間:52~5,682)と推定された。

33708.

英国がん生存率の低さは、レジストリの問題ではない

がんレジストリ・データから推定するがん生存率が、英国のデータは他のヨーロッパ諸国よりも低いデータが示されることに関して、London School of Hygiene and Tropical medicineのLaura M Woods氏らは、最近のBMJエディトリアルで指摘された、登録プロセスにおける2つの特異的なエラーがミスリードの原因なのかどうかを検証した。英国の低過ぎるがん生存率をめぐっては、10年以上の間、それが治療によりもたらされる違いなのかどうかが議論されているという。BMJ誌2011年6月18日号(オンライン版2011年6月9日号)掲載より。診断日ではなく再発日の記録、5年以上生存者未登録が問題なのかをシミュレーションWoods氏らはシミュレーション研究にて、仮定されている2つのエラーのエビデンスについて検証した。すなわち、(1)死亡診断書からの登録者について診断日の代わりに再発日を記録していること、(2)レジストリに登録されていない5年以上の長期生存者がいること、についてシミュレーションし、それらの相対生存率への影響の可能性を推定し、英国の低い生存率はいずれか一方のエラーまたは両方によるものかを確認した。対象としたのは、イングランドとウェールズの全国がんレジストリ。具体的には、1995~2007年の間にイングランドとウェールズで登録され、2007年12月31日まで追跡された、乳がん(女性のみ)、肺がん、大腸がんと診断された患者だった。主要評価項目は、各シミュレーションとの関連でみた、1年相対生存率、5年相対生存率の平均絶対パーセントの変化とした。たとえエラー要因のレベルが極端に大きくても説明がつかない結果、英国とスウェーデンとの間にみられる乳がん1年生存率の格差は、(1)の仮定によっては説明することができた。診断日が死亡に至った女性の70%以上で、平均1年以上の誤差を有し記録されていた。一方で、(2)の仮定については、長期生存者が40%であったとしても、1年生存率の格差を説明する半分にも満たなかった。肺がんと大腸がんについても、同様の結果だった。Woods氏は、「がん登録データについて仮定されたエラー要因のレベルが極端に大きくても、英国とその他のヨーロッパ各国とにみられる生存率の国際間格差は説明することが不可能だった」と結論。最後に、英国のがん患者の生存率は実際のところ低いと言え、診断の遅れ、ヘルスケアへの投資の低さ、最適とは言えないケアに関連していそうだと述べ、「問題とすべきは、根底にある原因は何か、何をすれば英国のがん患者のアウトカムが改善されるかである」とまとめている。

33709.

HPV 4価ワクチン導入で18歳未満女児の高度子宮頸部異形成が減少傾向に:オーストラリア

オーストラリア・ビクトリア州では、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対する4価ワクチン(商品名:ガーダシル)導入後の18歳未満女児における高度子宮頸部異形成の発生率が、導入前に比べて減少する傾向にあることが、ビクトリア州細胞診サービス部のJulia M L Brotherton氏らの調査で示された。HPVに対する最初の予防的ワクチンが承認された2006年以降、4価ワクチンあるいは2価ワクチン(同:サーバリックス)の接種が、国の予防接種プログラムとして(28ヵ国以上)、または開発途上国でも地方レベルの寄付金(17ヵ国以上)によって実施されているという。オーストラリアでは、2007~2009年に12~26歳の全女性に対し4価ワクチンを用いたHPVワクチン接種プログラムが導入されている。Lancet誌2011年6月18日号掲載の報告。プログラム導入の前後で、頸部異常の傾向を比較研究グループは、オーストラリア・ビクトリア州居住の女性を対象に、ワクチン接種プログラム導入の前後における子宮頸部異常の傾向の変化について解析した。ビクトリア州子宮頸部細胞診レジストリー(VCCR)のデータを用いて、プログラム開始前(2003年1月1日~2007年3月31日)と開始後(2007年4月1日~2009年12月31日)の高度子宮頸部異形成(HGA、グレード2以上の子宮頸部上皮内新生物あるいは上皮内腺がん)と軽度子宮頸部異形成(LGA)について、5つの年齢層(<18歳、18~20歳、21~25歳、26~30歳、≧31歳)に分けて評価した。主要評価項目はHGAの発生率とし、フィッシャー正確確率検定を用いて2つの時期の比較を行い、ポアソン区分的回帰分析にて発生率の傾向を評価した。導入後3年以内のHGA発生率低下に関する最初の報告ワクチン接種プログラム導入後は、18歳未満の女児においてHGAの発生率が0.38%低下した。この低下の傾向性は徐々に増強し、ワクチン接種導入前の発生率と比べ傾向性に有意な差が認められた(発生率比:1.14、95%信頼区間:1.00~1.30、p=0.05)。LGAや18歳以上の女性ではこのような傾向はみられなかった。著者は、「これは、地域住民を対象としたHPVワクチン接種プログラム実施後3年以内のHGA発生率の減少に関する最初の報告である」とし、「この地域相関的観察研究がワクチン接種の普及に寄与することを確証し、ワクチン接種女性の検診への参加状況をモニターするには、ワクチン接種と検診の連携が求められる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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10~24歳の若年人口の世界疾病負担がWHOの調査で明らかに

10~24歳の若年人口は、世界的に保健医療の対象としては概して看過されてきたが、障害調整生存年数(disability-adjusted life-years; DALY)で評価した世界疾病負担(global burden of disease)は全人口の15.5%に及ぶことが、世界保健機構(WHO)のFiona M Gore氏らの調査で示された。2008年、世界の10~24歳の若年者人口は18億人を超え、全人口の27%という最大規模の集団を形成するに至った。2032年にはピークに達し約20億人にまで増加すると予測されるが、その90%は低~中所得国の住民だという。最近になって、この年齢層の壮年以降の健康問題や疾患リスク因子の重要性が浮上しているが、世界疾病負担に及ぼす影響は不明だという。Lancet誌2011年6月18日号(オンライン版2011年6月7日号)掲載の報告。WHOデータを用いて若年者の疾病負担を系統的に解析研究グループは、若年者における疾病負担の現況およびリスク因子がその負担に及ぼす影響について系統的な解析を行った。解析には、WHOの「2004年度世界疾病負担研究」のデータを用いた。疾患の罹患率、有病率、重症度、死亡率のデータを基に、10~24歳における原因別のDALYを地域別、低~高所得国別に評価した。比較リスク評価法(comparative risk assessment method)を用いて、特定の健康リスク因子に起因するDALYを算出した。DALYは、早死による損失生存年数(YLL)と障害による損失生存年数(YLD)に分け、年齢層別、地域別に検討した。精神神経疾患、不慮の外傷、感染症/寄生虫症がYLDの3大原因10~24歳の罹患率に関するDALYの総計は約2億3,600万年で、これは全年齢の総DALYの15.5%に相当する。この年齢層ではアフリカのDALYが最も高く、高所得国に比べ約2.5倍に達した(1,000人当たりのDALY:208 vs. 82)。全地域を合わせると、15~19歳の年齢層では男性に比べ女性のDALYが約12%高かった(1,000人当たりのDALY:137 vs. 153)。世界的にみて、10~24歳の年齢層におけるYLDの3大原因として、精神神経疾患(45%)、不慮の外傷(12%)、感染症/寄生虫症(10%)が挙げられた。この年齢層の罹患率DALYの主なリスク因子は、アルコール飲用(総DALYの7%)、危険な性交渉(同4%)、鉄欠乏症(同3%)、避妊の不履行(同2%)、非合法薬物の使用(同2%)であった。著者は、「これまで、若年層は比較的健康であるとみなされ、世界的に保健医療の対象としては概して看過されてきた。一方、この年齢層の疾患や外傷の予防機会は十分には活かされていない」とまとめ、「今回のデータは、青少年の健康は保健医療への関心の高まりによって改善される可能性があることを示唆する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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アルツハイマー型認知症治療剤リバスチグミン(商品名:イクセロン/リバスタッチ)

 2011年4月、アルツハイマー型認知症治療剤としては日本で初めての経皮吸収型製剤であるリバスチグミン(商品名:イクセロン/リバスタッチ)が、「軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を適応として承認された。薬価収載を経て、今年7月にも発売が予定されている。急速な増加が予想される認知症患者 高齢化が進むわが国において、認知症患者の増加が予想される。認知症患者数は2010年の推計で250万人、2030年には420万人にも達するといわれている1)。認知症においては、認知機能障害に加え、ADLの低下などが介護者負担の増大につながるため、患者本人だけでなく家族や介護者の負担を軽減する治療が求められている。リバスチグミン承認 このような中、国内では4番目となるアルツハイマー型認知症治療剤リバスチグミンが承認された。リバスチグミンは、スイスのノバルティス ファーマ社で創製された、1日1回貼付することで効果を示す経皮吸収型製剤である。本剤は、アセチルコリンエステラーゼとブチリルコリンエステラーゼの2種類のアセチルコリン分解酵素の働きを阻害する薬剤である。そして、認知機能障害に対する効果に加え、ADLの悪化を抑制することが示されている。また、経皮吸収型製剤として服薬管理の負担軽減も期待される。認知機能とADLの悪化を抑制 リバスチグミンは海外の臨床試験において、プラセボ群と比較し、認知機能の有意な改善が認められている。また、食事・排泄・入浴・着脱衣などの日常生活を送る際に必要な基本的動作であるADLについても、プラセボと比較して有意な悪化抑制が確認されている2)。認知症治療薬として初の経皮吸収型製剤 認知症患者が毎日正しく服薬することは容易ではなく、介護者の介助を必要とすることは少なくない。服薬管理は介護者にとって大きな負担となっている。海外のアンケート調査によると、約70%の介護者が経皮吸収型製剤はカプセル剤より好ましいと回答している3)。 主な理由として、「服薬スケジュールを遵守しやすい」「使いやすい」が挙げられている。まとめ 患者数の急速な増加が予想される認知症の診療において、専門医と非専門医が連携することが重要である。今後、医療・介護の現場で認知症の理解がさらに深まり、患者本人に加え家族・介護者のQOL向上を見据えた治療の普及が望まれる。

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ロタウイルス単価ワクチン「RV1」のリスク・ベネフィット

現在、WHOにより世界的に推奨使用されているロタウイルス単価ワクチン「RV1」について、米国疾病予防管理センター(CDC)のManish M. Patel氏らが、ブラジル、メキシコ両国での乳児への接種後の腸重積発症について評価した結果、短期リスクは約5.1万~6.8万人に1人の割合で認められたものの、ワクチン接種によるリスクよりもベネフィットがはるかに上回ると結論する報告をNEJM誌2011年6月16日号で発表した。ロタウイルスワクチンは、初期の「Rotashield」では初回接種後3~7日でリスクが最大に達し(約37倍)、約1万人に1人の割合で腸重積が認められたため1999年に市場から回収された。その後開発されたのが次世代ワクチン「RV1」や「RV5」(5価ウシ-ヒト組み替えワクチン)で、いずれも6万児以上を対象とした臨床試験を経て、「RV1」は接種後30日間、「RV5」は同42日間の腸重積リスクの上昇がみられなかったことから、世界的に推奨ワクチンとして使用されている。「RV1」接種は、ブラジルでは2006年3月に、メキシコでは2007年5月に、全国的な小児期予防接種プログラムに導入され、両国で600万例以上の乳児に接種されている。全国接種が導入されているメキシコとブラジルで症例集積および症例対照研究Patel氏らは、症例集積(case-series)および症例対照(case-control)の手法にて、RV1と腸重積との関連を評価した。2008年8月~2010年8月にかけて両国合わせて69の評価対象施設(メキシコ:10地域から16施設、ブラジル:7地域から53施設)で腸重積を有した乳児を特定し、対照群は年齢をマッチさせた乳児を近隣施設から登録した。ワクチン接種日は、接種カードまたはクリニックの記録を再調査し確認された。主要リスク観察期間は、接種後1~7日とされたが、8~14日(2週目)、15~21日(3週目)の期間もリスク評価がされた。結果、症例群に登録された腸重積を有した乳児は615例(メキシコ285例、ブラジル330例)だった。対照群には2,050例が登録された。年間超過入院96例、死亡5例に対し、年間入院8万例、死亡1,300例回避分析の結果、メキシコの乳児において、RV1の初回接種後1~7日に有意な腸重積リスクの増大が認められた。症例集積法における発生率比は5.3(95%信頼区間:3.0~9.3)、症例対照法におけるオッズ比は5.8(同:2.6~13.0)だった。なお、2回目接種後1~7日のリスク上昇はみられなかったが(症例集積法と症例対照法の各比1.8と1.1)、2週目(同:2.2と2.3)、3週目(同:2.2と2.0)に約2倍の増大が認められたブラジルの乳児においては初回接種後1~7日に有意なリスク増大は認められなかったが(同:1.1と1.4)、2回目接種後1~7日に、メキシコでの初回接種後ほどではなかったが、リスクの増大が認められた(同:2.6と1.9)。RV1接種に起因する両国合わせた腸重積の超過入院症例は年間96例(メキシコは約5.1万人に1人、ブラジルは約6.8万人に1人)、腸重積による超過死亡は年間5例だった。一方でRV1接種により、両国で入院は年間約8万例、下痢症状からの死亡は年間約1,300例が回避された。Patel氏は、「RV1と腸重積の短期リスクとの関連は、接種を受けた乳児の約5.1万~6.8万人に1人の割合で認められた。しかし、ワクチン接種により回避された死亡および入院の絶対数が、ワクチン接種と関連している可能性があった腸重積症例の数をはるかに上回った」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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わが子が受けたポリオ生ワクチンから感染

入院中の便検査でエンテロウイルスが陽性だった弛緩性麻痺例の調査結果について、米国ミネソタ州保健局Aaron S. DeVries氏らによるレポートが、NEJM誌2011年6月16日号で発表された。患者は、長期にわたり後天性免疫グロブリン血症で免疫グロブリン静注療法を受けていた44歳の女性で、突然、四肢および呼吸麻痺を来し入院、その後死亡に至ったというもので、症例経過、ウイルス検査結果、家族を含めた周辺調査および二次感染の結果などから、推定感染時期が、女性の2人の子どものうちの1人がポリオ生ワクチンの接種を受けた時期と一致したという。免疫グロブリン静注療法を受けていた44歳の女性に突然の麻痺女性に症状が現れたのは2008年12月で、咳、化膿性鼻汁、軽度の呼吸困難、倦怠感、微熱が認められたが、患者自身、慢性副鼻腔炎の増悪ではないかと考え、事実4日後にその症状は消失した。しかし2日後に、左ふくらはぎに締め付けられるような感覚を覚え、その後5日間で下肢虚弱、入院となった。入院2日後に症状は上肢にも進行、さらに8~38日にかけて自発呼吸が困難となり気管挿管、61~73日には肝機能障害悪化、肺炎、呼吸不全を来し、その後も問題改善が認められず、92日目に家族がサポート中止を選択、その後死亡に至った。患者は、1991年に後天性免疫グロブリン血症と診断され、その後、慢性リンパ様間質性肺炎、食道静脈瘤を伴う肝硬変、一連の入院前2ヵ月の間に悪化した慢性下痢症を伴う腸疾患を患っており、2006年には脾摘を受けていた。B細胞欠損、Bruton型チロシンキナーゼの発現は正常なども報告されている。当局が調査に乗り出すことになったのは、初期には陰性だったが、入院74日目の便検査でエンテロウイルスが検出され報告されたことがきっかけだった。ポリオウイルス同定、感染は11.9年より以前であると推定ゲノム塩基配列決定法の結果、ポリオウイルスtype 2が同定されたが、以前に発表されていた経口ポリオウイルスワクチンのヌクレオチド配列とは12.3%の相違が認められ、2つの弱毒化した野生型ウイルスが認められた。患者はおそらく11.9年(95%信頼区間:10.9~13.2)より以前に感染したと推定された。家族への聞き取り調査から、2人の子ども(13歳と6歳)のうちの1人がその当時、3回接種のポリオ生ワクチンを受けていることが明らかになった。一方で、同室患者3人や2,038人に上る医療従事者へのスクリーニングが行われたが、二次感染は確認されなかった。DeVries氏は、「後天性免疫グロブリン血症患者は、ポリオウイルスに慢性感染している可能性がある。そして、ポリオは免疫グロブリン静注療法を受けているにもかかわらず発症する可能性がある」と報告。米国では2000年にポリオ生ワクチンから不活化ワクチンに切り換えられた。本症例は、それ以後初の麻痺性ポリオの症例だったという。最後に、不活化ワクチン切り替え後も、ポリオ根絶のための監視と、特に慢性感染の可能性がある患者へのメンテナンスが必要だとまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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医療訴訟件数、外来と入院でほぼ同等、過去5年で外来が増加:米国

米国で、医療訴訟(賠償金支払済み分)について外来と入院で比較したところ、2009年における件数は、ほぼ同等であることが明らかにされた。米国・コーネル大学医学部(Weill Cornell Medical College)公衆衛生部門のTara F. Bishop氏らが、2005~2009年のNational Practitioner Data Bankの記録を基に調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。外来での医療訴訟の実態を分析することで、外来で重大イベントがどれぐらい、どの程度発生しているかを知り得るとして本研究を行ったという。2005年から2009年で、賠償金支払済み外来訴訟の件数が41.7%から43.1%へ研究グループは、入院および外来でのそれぞれの医療訴訟(賠償金支払済み)の件数、割合、種類ついて報告し比較を行った。後ろ向き解析にて、入院と外来での医療訴訟の傾向、特性、要因を、賠償金額と関連させながら評価した。結果、2009年に医師からの賠償金支払いが確認された医療訴訟件数は、全体で1万739件だった。そのうち、入院に関するものが4,910件(47.6%、95%信頼区間:46.6~48.5)、外来に関するものが4,448件(43.1%、同:42.1~44.0)、入院・外来両方へ行われたものが966件(9.4%、同:8.8~9.9)だった。賠償金が支払われた医療訴訟のうち、外来医療の占める割合は、2005年の41.7%から2009年の43.1%へと、わずかだが有意な増加傾向がみられた(p<0.001)。訴訟理由の筆頭、外来は診断ミス、入院は手術ミス訴訟の理由についてみたところ、外来で最も多かったのは診断に関するもので45.9%だったのに対し、入院では手術に関するものが最も多く34.1%だった。外来・入院ともに、医療ミスによるアウトカムで最も多かったのは、重篤な損傷と死亡だった。賠償金の平均支払い額は、入院36万2,965ドル(95%信頼区間:34万8,192~37万7,738ドル)に対し、外来が29万111ドル(同:27万8,289~30万1,934ドル)で、入院が有意に高額だった(p<0.001)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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急性心筋梗塞患者、救急搬送時の転送12時間以上になると死亡リスク有意に上昇

急性心筋梗塞患者の救急搬送時に、最も近い救急救命室(ER)が一時的に受け入れ不可で閉鎖され転送せざるを得ない場合、転送時間が12時間以上になると、転送時間ゼロだった人に比べ死亡リスク(30日、90日、1年)が増大することが明らかにされた。米国海軍大学院ビジネス・公共政策専門学校のYu-Chu Shen氏らが、米国高齢者向け公的医療保険(メディケア)の加入者1万4,000人弱について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年6月15日号で発表した。転送が、時間的に切迫した状況にある患者にとっては問題があるのではないかとされているが、これまで、転送がより悪い転帰と関連しているかどうかについてはエビデンス検証がほとんどされていなかったという。転送なしと比べて、転送時間12時間未満の場合の死亡率は同等研究グループは、急性心筋梗塞患者が最も近いERから何時間転送されているか、一時的閉鎖ERによる転送が死亡率上昇と関連しているかどうかを調べた。2000~2005年にかけて、カリフォルニア州4郡(ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララ)・郵便番号コードで508の地点にあるERに搬送された、急性心筋梗塞の患者1万3,860人について、2006年までの死亡について追跡調査を行った。入院が100%メディケアでカバーされており、死亡データ、転送データが記録されていた被験者について、最も近かったERは149ヵ所だった。主要アウトカムは、ER搬送入院後、7日、30日、90日、9ヵ月、1年の死亡率で、転送時間(転送なし、<6時間、6~<12時間、≧12時間)との関連を分析した。結果、2000~2006年の、ERまでの転送時間は1日平均7.9時間(標準偏差:6.1)だった。追跡データの得られた1万1,625人のうち、転送時間なしは3,541人、<6時間は3,357人、6~<12時間は2,667人、≧12時間は2,060人だった。このうち、転送時間なし群と比べた、転送時間12時間未満群の死亡率は、統計的に有意差は認められなかった。転送時間12時間以上群は30日、90日、9ヵ月、1年時点の死亡率がいずれも有意に高率転送時間12時間以上群では、転送時間なし群に比べ、30日、90日、9ヵ月、1年時点の死亡率がいずれも有意に高率だった。具体的には、補正前30日死亡率は、12時間以上群19% vs. 転送時間なし群15%(回帰補正後格差:3.24ポイント)、同90日死亡率は、26% vs. 22%(同:2.89ポイント)、同9ヵ月死亡率は、33% vs. 28%(同:2.93ポイント)、同1年死亡率は、35% vs. 29%(同:3.04ポイント)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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日医大坂本教授、セレコキシブの安全性を評価

2011年6月22日、ファイザー製薬/アステラス製薬共催のプレスセミナーが都内で行われ、坂本長逸氏(日本医科大学内科学消化器内科教授)が「変る日本の痛み治療~非ステロイド性消炎鎮痛薬の安全性~」と題して講演を行った。非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)は高い鎮痛効果から、慢性疼痛緩和を目的に多く用いられる薬剤である。その主たる作用機序はシクロオキシナーゼ(COX)阻害であるが、従来のNSAIDsは、COX-1、COX-2の両方を抑制することから、消化管粘膜への障害が知られている。一方、セレコキシブは選択的にCOX-2を阻害するという特徴を有する。今回、国内の健常成人を対象にセレコキシブとロキソプロフェンで安全性を比較したところ、セレコキシブ投与群で、胃十二指腸潰瘍の発症頻度が有意に低いことが示された。試験は健常成人185名を対象とした無作為化二重盲検比較試験。セレコキシブ群、ロキソプロフェン群はそれぞれ74人、プラセボ群は37人が割りあてられ、2週間の服用後、潰瘍の有無を内視鏡画像で判定した。結果、セレコキシブ群で1.4%、ロキソプロフェン群で27.6%の胃十二指腸潰瘍が発症し、プラセボ群では2.7%であった。この試験結果は今年5月にシカゴで開催された米国DDW(米国消化器病週間:Digestive Disease Week)で発表された。坂本氏はこの試験結果を受け、NSAIDsによる消化管障害に対する予防戦略として、「消化管障害を考慮した場合、通常のNSAIDsよりも選択的COX-2阻害薬セレコキシブが優れている」と示唆した。(ケアネット 吉田直子)

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静脈血栓塞栓症の抗凝固療法、至適な最短治療期間とは?

抗凝固療法終了後の静脈血栓塞栓症の再発リスクは、治療期間を3ヵ月以上に延長しても3ヵ月で終了した場合と同等であることが、フランス・リヨン市民病院のFlorent Boutitie氏らの検討で明らかとなった。再発リスクは近位深部静脈血栓症や肺塞栓症で高かった。一般に、静脈血栓塞栓症の治療には3ヵ月以上を要し、抗凝固療法終了後は再発リスクが増大するとされる。一方、抗凝固療法を3ヵ月以上継続すれば再発リスクが低減するかは不明で、再発抑制効果が得られる最短の治療期間も明らかではないという。BMJ誌2011年6月11日号(オンライン版2011年5月24日号)掲載の報告。静脈血栓塞栓症に対する治療期間が異なる抗凝固療法後の再発リスク 研究グループは、静脈血栓塞栓症に対する抗凝固療法の期間や臨床像が治療終了後の再発リスクに及ぼす影響、および再発リスクを最小限にする最短の抗凝固療法の治療期間を検討するために、7つの無作為化試験の参加者の個々の患者データを用いてプール解析を行った。対象は、担がん状態ではなく、治療期間が異なる抗凝固療法を施行された静脈血栓塞栓症初発患者2,925例。主要評価項目は、最長で24ヵ月のフォローアップ期間中における抗凝固療法終了後の静脈血栓塞栓症の初回再発率とした。静脈血栓塞栓症の治療期間は3ヵ月で終了してよいことを示唆するデータ 再発率は、近位深部静脈血栓症よりも孤立性の遠位深部静脈血栓症で有意に低く(ハザード比:0.49、95%信頼区間:0.34~0.71)、肺塞栓症と近位深部静脈血栓症は同等(同:1.19、0.87~1.63)、既知のリスク因子のない自発性(特発性)近位深部静脈血栓症よりも特定のリスク因子に起因する血栓症で有意に低かった(同:0.55、0.41~0.74)。抗凝固療法を1.0あるいは1.5ヵ月で終了すると、3.0ヵ月以降に終了した場合に比べ再発率が有意に高く(ハザード比:1.52、95%信頼区間:1.14~2.02)、3ヵ月で終了した場合と6ヵ月以降に終了した場合の再発率は同等であった(同:1.19、0.86~1.65)。抗凝固療法の期間と再発率に関連がみられたのは、治療終了から6ヵ月間に限られた。著者は、「静脈血栓塞栓症に対する3ヵ月間の抗凝固療法終了後の再発リスクは、3ヵ月以上治療を継続した場合と同等であった。自発性近位深部静脈血栓症や肺塞栓症は、治療の終了時期とは無関係に再発リスクが高かった」と結論し、「再発リスクが高く治療の継続が正当化される場合を除き、抗凝固療法は3ヵ月で終了してよいと考えられる」としている。

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発熱小児の重篤感染症の診断or除外診断に有用な臨床検査値はCRP、PCT

発熱で外来受診した小児の重篤感染症を診断するための臨床検査値について、英国・オックスフォード大学プライマリ・ヘルスケア部門のAnn Van den Bruel氏らは、システマティックレビューにてエビデンス照合を行った。結果、炎症マーカーのC反応性蛋白(CRP)とプロカルシトニン(PCT)が、診断に有用である可能性が認められた。ただしそれらのカットオフ値については、診断(rule in)と除外診断(rule out)の値が異なることが示され、また、白血球数は重篤な感染症の診断には有用でないことが示されたという。BMJ誌2011年6月11日号(オンライン版2011年6月8日号)掲載報告より。14研究を対象に、臨床検査値の診断価値を検証研究グループは、電子データベース、参考文献、専門家によるコンサルテーションにて次の6つの判定基準に基づいて選択された研究を分析し、エビデンス照合を行った。(1)研究デザイン(診断精度や予測ルールの研究)、(2)参加者(健康な生後1ヵ月~18歳の小児および若者を含む)、(3)研究環境(初回治療が外来診療であること)、(4)アウトカム(重篤な感染症)、(5)評価された所見(初回診療について)、(6)記録されたデータ(2×2テーブル作成に十分であること)。抽出したデータの質評価は、診断精度研究質評価ツール(QUADAS)の判定基準に基づいて行われ、メタ解析が、二変量ランダム効果法と階層化サマリーROC曲線を用いて複数の閾値について検討された。選定基準に基づき、14研究が選定された。しかし、いずれも方法論的な質が高くなく、また救急治療部もしくは小児科で評価が行われたもので、重篤感染症の罹患率は4.5%から29.3%にわたっていた。エビデンス照合が行われた臨床検査値は、CRP(5研究)、PCT(3研究)、血沈(1研究)、インターロイキン(2研究)、白血球数(7研究)、好中球絶対数(2研究)、バンド数(3研究)、左方推移(1研究)についてだった。白血球数は炎症マーカーほど「診断」に有用ではなく、「除外診断」には役立たない最も診断価値があると認められた臨床検査値は、CRPとPCTだった。CRPに関する二変量ランダム効果メタ解析(5研究、小児1,379例)の結果は、プール陽性尤度比は3.15(95%信頼区間:2.67~3.71)、プール陰性尤度比は0.33(0.22~0.49)だった。重篤感染症の診断には、PCTのカットオフ値は2ng/mL(2研究、各試験の陽性尤度比は13.7と3.6、それぞれの95%信頼区間は7.4~25.3と1.4~8.9)、CRPのカットオフ値は80mg/L(1研究、陽性尤度比:8.4、95%信頼区間:5.1~14.1)が推奨値として挙げられた。一方で、重篤感染症の除外診断するためのカットオフ値を、PCTは0.5ng/mL、CRPは20mg/L以下とする必要があった。白血球数の指標は、重篤感染症の診断価値が炎症マーカーよりも低く(陽性尤度比:0.87~2.43)、また除外診断の価値は認められなかった(陰性尤度比:0.61~1.14)。最もパフォーマンスの高い診断決定法(最新独立データセットで検証された)は、CRP、PCTと尿検査の組み合わせで、陽性尤度比は4.92(3.26~7.43)、陰性尤度比は0.07(0.02~0.27)を示した。これらの結果からBruel氏は、「救急治療部門での炎症マーカー測定は重篤感染症の診断に有用なようだが、臨床医は、診断または除外診断にそれぞれ異なるカットオフ値を用いる必要がある。白血球数の測定は、重篤感染症の診断にはあまり有用ではなく、除外診断には役立たない」と結論。同時に、「臨床検査値の評価のため、プライマリ・ケア設定、バイタルサインを含む臨床診断を含む、より厳密な研究が必要である」とまとめた。

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脳卒中の2次予防におけるterutroban、アスピリンとの非劣性確認できず

虚血性脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴のある患者に対する抗血小板薬治療として、terutrobanはアスピリンと同等の有効性を示しながらも、非劣性基準は満たさないことが、フランス・パリ-ディドロ大学のMarie-Germaine Bousser氏らが行ったPERFORM試験で示され、Lancet誌2011年6月11日号(オンライン版2011年5月25日号)で報告された。同氏は、「現在でもアスピリンがgold standard」としている。脳卒中は世界的に身体障害、認知症、死亡の主要原因であり、虚血性脳卒中やTIAの既往歴のある患者は脳卒中の再発や他の心血管イベントのリスクが高い。terutrobanは、血小板や血管壁に存在するトロンボキサン-プロスタグランジン受容体の選択的な拮抗薬で経口投与が可能であり、動物やヒトでアスピリンと同等の抗血小板活性が確認されているという。世界46ヵ国802施設が参加、勧告により早期中止PERFORM(Prevention of cerebrovascular and cardiovascular Events of ischaemic origin with teRutroban in patients with a history oF ischaemic strOke or tRansient ischaeMic attack)試験は、非心原性脳虚血イベントの既往歴のある患者を対象に、terutrobanとアスピリンの脳および心血管の虚血性イベントの予防効果を比較する無作為化並行群間比較試験。2006年2月22日~2008年4月7日までに、46ヵ国802施設から過去3ヵ月以内に虚血性脳卒中を発症した患者、あるいは8日以内にTIAをきたした患者が登録され、terutroban(30mg/日)あるいはアスピリン(100mg/日)を投与する群に無作為に割り付けられた。患者と主治医には治療割り付け情報は知らされなかった。有効性に関する主要評価項目は、致死的/非致死的な虚血性脳卒中、致死的/非致死的な心筋梗塞、他の血管死(出血死を除く)の複合エンドポイントとした。非劣性の解析を行ったのち、優越性について解析することとし、intention-to-treat解析を実施した。なお、本試験はデータ監視委員会の勧告に基づき早期中止となっている。主要評価項目は同等だが、非劣性基準満たさず、安全性の改善も得られず1万9,120例が登録され、terutroban群に9,562例が、アスピリン群には9,558例が割り付けられた。それぞれ9,556例(男性63%、平均年齢67.2歳)、9,544例(同:62%、67.3歳)が解析可能であった。平均フォローアップ期間は28.3ヵ月(SD 7.7)であった。主要評価項目の発現率は、terutroban群が11%(1,091/9,556例)、アスピリン群も11%(1,062/9,544例)で、非劣性の判定基準(ハザード比>1.05)は満たされなかった(ハザード比:1.02、95%信頼区間:0.94~1.12)。2次評価項目(14項目)、3次評価項目(6項目)にも有意な差は認めなかった。小出血の頻度がterutroban群で有意に上昇した[12%(1,147/9,556例) vs. 11%(1,045/9,544例)、ハザード比:1.11、95%信頼区間:1.02~1.21]が、その他の安全性に関する評価項目に有意な差はみられなかった。著者は、「事前に規定された判定基準により、terutrobanのアスピリンに対する非劣性は確証されなかった。主要評価項目の発現率は両群で同等であったが、terutrobanは安全性についても改善効果をもたらさなかった」と結論し、「世界的にみて、有効性、耐用性、医療コストの観点から、現在もアスピリンは脳卒中の2次予防における抗血小板薬治療のgold standardである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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市中肺炎に対するデキサメサゾン補助療法で入院期間が短縮

免疫不全状態にない市中肺炎患者の治療では、抗菌薬に補助療法としてデキサメサゾンを追加すると、入院日数が短縮する可能性があることが、オランダ・St Antonius病院(ニューウェハイン)のSabine C A Meijvis氏らの検討で示された。追加に伴い高血糖の頻度が上昇したものの、重篤な有害事象はまれだった。市中肺炎治療の中心は早期診断に基づく適切な抗菌薬療法だが、ワクチンによる予防治療の導入や抗菌薬の進歩にもかかわらず罹患率、死亡率は高いままで、医療コストを押し上げている。補助療法の有効性が示唆されており、デキサメサゾン追加は全身性の炎症を抑制することで肺炎の早期消退をもたらす可能性があるが、抗菌薬への追加のベネフィットは不明だという。Lancet誌2011年6月11日号(オンライン版2011年6月1日号)掲載の報告。デキサメサゾン追加の入院期間短縮効果を評価するプラセボ対照無作為化試験研究グループは、市中肺炎患者の入院期間に及ぼすデキサメサゾン追加の効果を評価するプラセボ対照無作為化試験を実施した。オランダの2つの教育病院の救急外来を受診し、市中肺炎と診断された18歳以上の患者が、デキサメサゾン(5mg/日)あるいはプラセボを入院後4日間静注する群に無作為に割り付けられた。免疫不全状態の患者、迅速なICUへの搬送を要する患者、すでに副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬の投与を受けている患者は除外した。主要評価項目は入院期間であった。入院期間中央値が1日短縮、高血糖が高頻度に発現2007年11月~2010年9月までに304例が登録され、デキサメサゾン群に151例(男性56%、平均年齢64.5歳)が、プラセボ群には153例(同:57%、62.8歳)が割り付けられた。304例中143例(47%)は肺炎重症度指数(pneumonia severity index:PSI)でクラス4~5の患者であった(デキサメサゾン群79例、プラセボ群64例)。入院期間中央値は、デキサメサゾン群が6.5日(IQR:5.0~9.0)と、プラセボ群の7.5日(同:5.3~11.5)に比べ有意に短縮した(p=0.0480)。院内死亡や重篤な有害事象はまれで、両群間に差は認めなかった。重複感染がデキサメサゾン群の7例(5%)、プラセボ群の5例(3%)にみられた(p=0.54)。デキサメサゾンによると考えられる胃穿孔が1例(第3日目)に認められた。高血糖が、デキサメサゾン群で44%(67/151例)と、プラセボ群の23%(35/153例)に比べ有意に高頻度にみられた(p<0.0001)。著者は、「免疫不全状態にない市中肺炎患者の治療では、抗菌薬にデキサメサゾンを追加することで、入院期間を短縮できる可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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