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第286回 OTC類似薬に追加負担、出産実質無償化 医療保険改革法案を閣議決定/政府

<先週の動き> 1.OTC類似薬に追加負担、出産実質無償化 医療保険改革法案を閣議決定/政府 2.小児医療センターで何が起きたのか 髄腔内注射で死亡発生/埼玉県 3.大学病院機能強化事業77校決定 収賄事件で東大対象外/文科省 4.赤穂市民病院の元執刀医に禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決/神戸地裁 5.リハビリ病院で799件不正請求 2027年4月に保険医療機関指定取り消し/北海道 6.再生医療投与中に60代女性死亡、都内のクリニックに緊急停止命令/厚労省 1.OTC類似薬に追加負担、出産実質無償化 医療保険改革法案を閣議決定/政府政府は3月13日、健康保険法などの改正を柱とする医療保険制度改革法案を閣議決定した。現役世代の社会保険料負担の上昇抑制と、限られた医療財源の効率的配分を目的としたもので、OTC類似薬への追加負担導入や正常分娩の実質無償化などを盛り込んだ。主な柱は、「OTC類似薬の追加負担導入」「後期高齢者医療で金融所得を保険料や窓口負担に反映」「正常分娩の実質無償化」「高額療養費制度見直し時の長期療養患者への配慮」の4点。OTC類似薬とは、市販薬と成分や効果が似た処方薬で、77成分・約1,100品目が対象と想定される。政府は薬剤費の25%を追加負担とする方向で検討しており、子供やがん・難病患者、長期療養者、低所得者には配慮措置を設ける方針。また、後期高齢者医療では、これまで十分反映されてこなかった配当などの金融所得を把握し、保険料や窓口負担に反映させることで、負担能力に応じた公平化を図る。その一方で、正常分娩については全国一律の基本単価を設定し、保険給付と現金給付を組み合わせて妊婦の自己負担を軽減する。出産費用の地域差や施設間格差の是正も狙う。ただ、薬剤自己負担の見直しなどによる保険料軽減効果は1人当たり月183円程度との試算もあり、がん患者団体や野党は「重症患者や子育て世代に負担が集中する」と反発している。医療現場では、患者説明や処方行動、産科施設の経営や地域医療への影響など、制度改正の実務的な影響を注視する必要がある。 参考 1) 現在検討している医療保険制度改革についての考え方(厚労省) 2) 【OTC類似薬の自維合意】薬剤費の25%の上乗せされる薬剤(77成分1,100品目)(保団連) 3) 健康保険法など改正案決定 OTC類似薬に追加負担、75歳以上の医療費は金融所得反映(産経新聞) 4) 健保法改正案が閣議決定 OTC類似薬に追加負担 分娩、保険適用で無償に(日経新聞) 5) 市販薬と成分・効果似る「OTC類似薬」は患者が追加負担、健康保険法など改正案を閣議決定(読売新聞) 6) ロキソニンやアレグラなど1,100品目、27年3月から患者追加負担…厚労省が「OTC類似薬」提示(同) 7) “出産の無償化”法案が閣議決定 分娩1件の単価設定 分娩施設に直接支給へ 妊婦の負担軽減・現金支給も(FNNプライムオンライン) 2.小児医療センターで何が起きたのか 髄腔内注射で死亡発生/埼玉県埼玉県立小児医療センターで、白血病治療のため抗がん剤の髄腔内注射を受けた3人に重篤な神経障害が生じ、10代男性1人が死亡、10歳未満の男児と別の10代男性2人が重体となっている。3人はいずれも2025年1月、3月、10月に治療を受け、歩行困難や大腿部痛、全身まひなどを発症した。病院は2025年11月に髄腔内注射を中止し、外部有識者を含む調査対策委員会を設置。髄液検査の結果、本来この治療で使用しない抗がん剤のビンクリスチンが3人全員から検出され、原因薬剤の可能性が高いと判断した。ビンクリスチンは、白血病や悪性リンパ腫に用いる一方で、強い神経毒性があり髄腔内投与は禁止されている。世界でも誤投与事例が報告され、わが国でも2021年に静岡県内で同種の事故が起きていた。今回の髄腔内注射自体は、小児急性リンパ性白血病で中枢神経再発を防ぐ標準治療で、通常は慎重な管理のもと行われる。調剤室は3重のセキュリティー管理下にあり、薬剤は鍵付き保管庫で厳重保管、調剤・運搬・投与も複数職種で確認していたとされ、記録上も使用形跡や手順上の明確な不備は確認されていない。このため病院は事故と事件の両面を視野に3月10日に県警へ届け出た。当初病院側は1例目、2例目は副作用として捉えていたが、3例目を受け「9ヵ月で3回は異常」と判断して本格的な調査に着手した。上野 賢一郎厚生労働大臣はさいたま市と連携して対応する考えを示し、埼玉県も原因究明と医療安全の徹底、患者家族への説明を求めている。同センターは、県内小児高度医療の中核施設で、2024年には延べ512人、2025年も中止までに427人が髄腔内注射を受けていた。専門家からは「通常では考えられない」との声が出ており、同様の治療を受ける患者家族への不安対応も課題となっている。 参考 1) 小児医療センターにおける髄腔内注射治療後の重篤な神経症状の発症について(埼玉県立小児医療センター) 2) 髄くう内注射で患者が神経症状 病院 “3回は異常”で調査(NHK) 3) 埼玉県立小児医療センターで抗がん剤の髄腔内注射を受けた10代男性死亡、2人に重度の後遺症(読売新聞) 4) 小児医療センター、抗がん剤手順に「落ち度なし」「事件事故両面の可能性」(同) 5) 3重セキュリティーの調剤室、鍵付き保管庫、分単位の調剤記録…抗がん剤で患者死亡は「考えられない事態」(東京新聞) 6) 埼玉県立小児医療センターの患者死亡「市と連携し対応」厚労相(NHK) 7) 埼玉県立小児医療センター死亡問題 県「重く受け止める」 早期究明を要請(東京新聞) 3.大学病院機能強化事業77校決定 収賄事件で東大対象外/文科省文部科学省は3月11日、大学病院の教育・研究基盤の強化を支援する「大学病院機能強化推進事業」の対象として国公私立77大学を選定したと発表した。物価高や人件費上昇などで経営環境が悪化する大学病院を支援するため、2025年度補正予算で349億円を計上し、最先端医療機器の整備や人材育成、研究体制の強化などに対し1大学当たり最大5億円を補助する。医学部を持つ81大学のうち78の大学が申請したが、東京大学は唯一選定されなかった。その理由として大学院医学系研究科の元教授らが収賄容疑で逮捕・起訴された事件を受け、医学部・附属病院の組織風土改革や病院長のマネジメント体制など具体的な改革案が示されていない点が問題視された。また、九州大学は病院長が出張旅費の不正支出問題で辞任したことを踏まえ、交付額が3割減額された。選定委員会は、大学病院が高度医療の提供や医師養成、地域医療の中核を担う一方で、近年は経営悪化が進んでいると指摘している。また、各大学が提出した改革プランや自治体との連携体制、設備整備計画などを審査し、選定したとしている。大学病院を巡っては高度医療と教育研究を担う役割が大きいだけに、今回の選定結果は経営改革やコンプライアンス体制の重要性を示すものとなった。 参考 1) 大学病院機能強化推進事業(経営環境の改善に資する教育研究基盤の充実)の選定結果について(文科省) 2) 文科省の大学病院支援事業、東京大学選ばれず 汚職事件が影響(日経新聞) 3) 国の大学病院支援に東京大学のみ選ばれず 元教授らの収賄事件が影響(朝日新聞) 4) 大学病院機能強化事業、東大以外77大学を選定…文科省(リセマム) 4.赤穂市民病院の元執刀医に禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決/神戸地裁兵庫県の赤穂市民病院で2020年、腰椎手術中に81歳女性患者の脊髄神経を医療用ドリルで切断し重い後遺障害を負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた元執刀医に対し、神戸地裁姫路支部は3月12日、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。判決では、止血が不十分で術野の視認性が確保できないまま、ドリル操作を続けた点について、「止血に努めるのは基本中の基本」であり、基本的注意義務違反は明白だと指摘。患者は下半身不随や膀胱直腸障害、強い疼痛など全治不能の障害を負っており、「罰金刑にとどまる事案ではない」とした。その一方で、助手を務めた上級医が手術を止めず、経験の浅い術者を支えるチームが機能していなかったことや、被告が事実上医師として就労困難で社会的制裁を受けている事情を踏まえ、執行猶予を付けた。同病院では、同医師が関与した手術で計8件の医療事故が判明しており、本件はウェブ漫画『脳外科医竹田くん』を通じても広く知られた。被害者家族は判決後、「奪われた身体の自由と時間は戻らない」と厳しい処分を求め、代理人は医道審議会での免許取り消しも検討すべきだと訴えた。赤穂市は判決を厳粛に受け止め、医療安全体制の強化と再発防止に取り組むとしている。民事訴訟ではすでに市と元医師に約8,900万円の賠償を命じる判決が確定している。今回の刑事判決は、個人の手技上の過失だけでなく、指導・監督体制やインシデント把握後の組織対応も含めて医療安全を問い直す事案として受け止められている。被害者側は、通常の医療事故の刑事事件化拡大には慎重姿勢を示しつつも、本件は「基本中の基本」を欠いた特異な事案だと強調。判決を1つの節目としながらも、再発防止と信頼回復を求める声はなお強い。また、病院事業管理者は経営悪化の責任を取って3月末で辞任する意向を示しており、病院運営全体への影響も広がっている。 参考 1) 赤穂の患者神経切断、元執刀医に有罪 目視困難でもドリル操作(日経新聞) 2) 手術中ドリルで神経切断、半身不随に 医師に禁錮1年・執行猶予3年(朝日新聞) 3) 手術中に神経切断 元赤穂市民病院医師に執行猶予付き有罪判決(NHK) 4) 経営責任取り今月末で辞任 高原秀典・病院事業管理者(赤穂民報) 5.リハビリ病院で799件不正請求 2027年4月に保険医療機関指定取り消し/北海道北海道厚生局は3月11日、札幌市西区の平和リハビリテーション病院(160床)について、診療報酬の不正請求を理由に、保険医療機関の指定を2027年4月1日付で取り消すと発表した。確認された不正請求は2024年3~9月診療分までの799件、総額約1億8千万円に上る。厚生局によると、同院は療養病棟入院基本料1の施設基準である看護職員や看護補助者の配置数を満たしていないことを認識しながら、必要な変更届を出さないまま、同基本料や夜間看護加算、療養病棟療養環境加算1、医療安全対策加算2、感染対策向上加算3などを請求していた。開設者からの報告を受けた厚生局は、個別指導後に監査へ移行し、2025年3月から9月に計5回の監査を実施して不正を認定した。同病院を運営する医療法人社団静和会は謝罪し、保険指定取り消し後は運営継続が困難になるとして、地域医療への影響を避けるため、札幌市南区の医療法人社団CHCPヘルスケアシステムへの事業譲渡に向け調整を進める方針だと公表した。病院側は、内部監査で不正請求を把握したとし、「意図的ではなく管理不足が原因」と説明しているが、厚生局は保険診療の根幹を揺るがす重大事案と判断した。同院は内科、整形外科を標榜し、病床稼働率は9割超という。療養病床の看護配置や加算算定は慢性期医療の収益基盤に直結するだけに、届出基準と実態の乖離を放置した責任は重い。事業譲渡まで診療は継続する方針で、患者受け入れ体制を維持しながら信頼回復と再発防止策の具体化が求められる。慢性期病院を巡っては、人員確保難が続くが、基準未達のまま算定することは認められず、今後は法人統治とコンプライアンス体制の立て直しが焦点となる。 参考 1) 診療報酬不正請求799件 札幌の病院指定取り消し-来年4月1日付(CB news) 2) 札幌・平和リハビリテーション病院、保険指定取り消し 27年4月 診療報酬1億8千万円不正受給(北海道新聞) 3) 札幌市の病院が不正請求1億8,000万円 保険医療機関指定取り消し(毎日新聞) 6.再生医療投与中に60代女性死亡、銀座のクリニックに緊急停止命令/厚労省東京都中央区の「医療法人ネオポリス診療所銀座クリニック」で自由診療の再生医療を受けた外国籍の60代女性が死亡し、厚生労働省は2026年3月13日、再生医療安全性確保法に基づき同クリニックなどに業務の一時停止を命じる緊急命令を出した。女性は10日、慢性的な痛みの改善を目的として、自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、静脈内に投与する治療を受けていたが、投与中に容体が急変し、救急搬送中に心肺停止となり、搬送先の医療機関で死亡が確認された。死因は現時点で不明で、厚労省は原因究明を進めている。治療に用いられた細胞は、京都市の「JASC京都幹細胞培養センター」と韓国・ソウルの「RBio幹細胞培養センター」で製造されていた。厚労省は国内施設である京都のセンターに対して細胞製造の一時停止を命じ、韓国の施設には日本向けの出荷停止を要請した。さらに同施設の細胞加工物を使用している国内の医療機関にも使用中止を求めている。再生医療を巡っては、2025年8月にも都内の別のクリニックで患者が死亡する事案が発生しており、今回の緊急命令は2例目となる。厚労省は、再生医療を提供する医療機関に対し、救急対応体制の整備や法令順守の徹底を求める通知も出しており、自由診療の再生医療の安全管理のあり方が改めて問われている。今後、厚労省は立ち入り調査などを含め、治療の安全性や運用体制の実態解明を進める方針だ。 参考 1) 再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について(厚労省) 2) 再生医療で60代女性死亡 銀座のクリニックなどに業務一時停止の緊急命令 厚労省(時事通信) 3) 都内クリニックで再生医療受けた60代女性が死亡…死因は不明、厚労省が医療提供一時停止の緊急命令(読売新聞) 4) 自由診療の細胞投与で死亡 厚労省、東京の診療所に治療提供停止命令(日経新聞)

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第304回 Lancet誌が怒りあらわに、ケネディ氏に向けたEditorialを掲載

INDEX保健福祉省長官が公衆衛生を破綻に追い込む危険な結果を導き出す愚策感染症の流行で結果は明確保健福祉省長官が公衆衛生を破綻に追い込む前回は米国によるイラン攻撃の影響を取り上げたが、米国の無茶苦茶ぶりはほかでも進行中である。何かといえば、昨年2月に保健福祉省長官に就任したロバート・ケネディ・ジュニア氏のことである。過去に本連載でもケネディ氏によるLancet誌、NEJM誌、JAMA誌の3誌の腐敗呼ばわり、米国疾病予防管理センター(CDC)が推奨する小児向けワクチン接種スケジュールの大幅縮小、CDCにワクチン政策の助言・提案を行う外部専門家機関・ACIP(予防接種の実施に関する諮問委員会)の委員全員解任とワクチン懐疑派委員への入れ替え、mRNAワクチン開発への研究支援の縮小、自分の主張と反する科学的研究論文を掲載したジャーナルへの論文撤回要請などを取り上げてきた。しかし、ケネディ氏の傍若無人ぶりには、いよいよ目を背けたくなる。ケネディ氏の長官就任1年を経た2026年2月28日付のLancet誌407巻では、表紙にデカデカと“The destruction that Kennedy has wrought in 1 year might take generations to repair, and there is little hope for US health and science while he remains at the helm.”(ケネディがこの1年で引き起こした破壊は、修復するのに何世代もかかるかもしれない。そして彼が指揮を執り続ける限り、米国の保健と科学に希望はほとんどない)と謳い、冒頭では「Robert Kennedy Jr:1year failure(ロバート・ケネディ・ジュニア:1年間の失敗)」と題したEditorialが掲載された1)。詳細は省くが、これまでの数々の悪行を取り上げ、「ジャンクサイエンスや異端の信念が正当な説明もなく重視されている」「誤情報を拡散し、国の最も弱い立場にある人々を犠牲にして政治的な政策を推進し続けている」「議会から自身の決定について説明を求められても、彼は逃げ腰で攻撃的な態度をとってきた」と徹底的にこき下ろしている。危険な結果を導き出す愚策前述のようにケネディ氏は、小児向けワクチン接種スケジュールの大幅縮小により、従来は小児全員に推奨されていたインフルエンザ、B型肝炎、A型肝炎、ロタウイルス、髄膜炎菌、新型コロナウイルスの6種類のワクチンを推奨から外し、「高リスク群のみ」または「医師と個別に相談して決定」という枠組みに変更した。また、2025年10月、ケネディ氏が刷新したACIPは、「MMRV(麻疹・おたふくかぜ・風疹・水痘)ワクチン」の4歳未満への定期接種の推奨を取り消した。これにより州レベルでは、フロリダ州が接種義務解除に踏み切ったほか、低所得者層向けの無料接種プログラム(VFC)からMMRVワクチンが外れ、接種のハードルが上がった。そしてこれらの影響と思われる現実は深刻である。感染症の流行で結果は明確CDCによると、米国での2025年の麻疹感染報告は2,283例、2026年(3月6日時点)は1,281例で、今年はわずか3ヵ月で前年の半数超に達している。2024年が285例なので昨年は前年比で9倍弱、感染報告が増加したことになる。もちろんMMRVワクチンの非推奨は2025年秋のことなので、これが同年の麻疹患者増加の主要な原因とまでは言えない。しかし、2026年の急速な感染報告数の立ち上がりを見る限り、ケネディ氏の政策の影響は徐々に顕在化していると言わざるを得ない。しかも、ケネディ氏はこうした危機的な状況に対して何も具体的な対策を講じてはおらず、保健福祉省の公式声明でもコメントしていない。そもそも、ケネディ氏は以前からワクチン懐疑派であることは有名だが、昨年3月のFOX Newsでのインタビュー2)では麻疹ワクチンに関し、「ワクチンの効果は年間約4.5%低下する」「麻疹ワクチン接種が毎年死者を出している」と科学的根拠の乏しい発言をしている。ちなみにこの当時、麻疹が流行していたテキサス州では、米国では10年ぶりとなる麻疹による死者が発生し、2025年全体で麻疹による死者は3例が確認され、いずれもワクチン未接種者だったことがわかっている。この数字から算出される2025年の米国の麻疹感染者の死亡率は0.1%強。一般に先進国の麻疹感染者の死亡率は0.01%程度と言われるが、それより1桁高い数字だ。このままでは2026年はもっと悲惨なことになるかもしれない。また、インフルエンザについても懸念が生じ始めている。CDCの報告では、2025~26年シーズンの小児のインフルエンザによる死者は暫定値で90例。2024~25年シーズンの293例と比べればかなり少ない。ケネディ氏の考えに基づき、インフルエンザワクチンの接種推奨が外された中で、この数字は不思議に思われるかもしれない。ここはおそらく米国小児科学会(AAP)のケネディ氏に抗った努力の成果かもしれない。2025年9月にはAAP独自でインフルエンザワクチンの接種を推奨する声明を発表した3)ほか、今年1月にはアメリカの保険業界団体であるAHIP(America's Health Insurance Plans)と直接交渉し、インフルエンザワクチンなど推奨から外されたワクチン接種を2026年末までは無償提供を維持する旨の共同声明を発表している。もっとも2026年2月最終週の死者報告は11例だが、それ以前の3シーズンでは同時期に死者はいない。これも踏み込んで解釈すれば、ケネディ氏の政策決定の負の効果が表れているとは言えないだろうか。いずれにせよ国外では戦争、国内ではパンデミックというまさに内憂外患状態が今の米国である。ボーダレス化が一層加速する現在の世界で、この禍に日本が無縁でいられるだろうか?参考1)The Lancet. Lancet. 2026;407:825.2)FOX NEWS:We will make sure anyone who wants a vaccine can get one, says HHS secretary3)Committee on Infectious Diseases. Pediatrics. 2025;156:e2025073620.

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第285回 診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省

<先週の動き> 1.診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省 2.MMRワクチン承認へ、麻疹再拡大で接種体制強化が課題に/厚労省 3.急性期病院の要件厳格化 救急・手術実績で拠点化進める/厚労省 4.医師偏在対策が次の段階へ 地域医療構想と医師養成を一体で見直し/厚労省 5.社会保険料抑制へ制度改革 OTC類似薬と高額療養費が焦点/政府 6.美容クリニックの再生医療で訴訟相次ぐ 安全性と説明責任が焦点に 1.診療科名に「睡眠障害」追加へ 18年ぶり見直し、受診導線改善狙う/厚労省厚生労働省は、医道審議会医道分科会の専門部会で、医療機関が看板や広告で掲げる診療科名に「睡眠障害」を追加することを了承した。診療科名の見直しは2008年以来で、政令改正を経て、今春にも施行される見通し。医療機関は「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」など、既存の基本診療科名と組み合わせた形で標榜できるようになる。診療科名は医療法に基づき規制されており、医療機関が自由に名乗ることはできない。現在は「内科」「外科」「小児科」など約20の基本診療科名に加え、「糖尿病」「腫瘍」など疾患名や臓器名を組み合わせる形で標榜が認められている。今回の見直しで「睡眠障害」もこの組み合わせ名称の1つとして追加される。背景には、睡眠に関する医療ニーズの拡大がある。不眠症や睡眠時無呼吸症候群、過眠症など睡眠障害は多様で、成人の約5人に1人が何らかの睡眠問題を抱えるとされる。その一方で、どの診療科を受診すればよいか、わかりにくいことから受診が遅れるケースも多いとされ、日本睡眠学会が診療科名の追加を要望していた。睡眠障害の診療は内科、精神科、耳鼻咽喉科など複数の領域にまたがる。精神科受診への心理的抵抗から適切な診療につながるまで時間を要する例もあり、診療科名として明示することで受診先の選択が容易になり、早期診断や治療につながることが期待されている。一方、制度上は専門資格がなくても「睡眠障害科」を標榜できるため、専門性を伴わない医療機関が患者集めを目的に掲げる可能性も指摘されている。睡眠障害治療では、睡眠薬の長期使用による依存や離脱症状の問題もあり、専門的な診断や治療体制の整備が課題とされる。日本睡眠学会の専門医は約660人にとどまり、地域偏在も大きい。診療科名の追加を契機に、専門医育成や診療体制整備をどう進めるかが今後の課題となる。 参考 1) 第8回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会(厚労省) 2) 病院の診療科名に「睡眠障害」追加 厚労省部会が了承(日経新聞) 3) 「睡眠障害」の診療科名追加を了承、今春にも導入…通院先選びの利便性向上期待(読売新聞) 4) 「睡眠障害」診療科名に追加へ、受診の目印に 08年以来の見直し(朝日新聞) 2.MMRワクチン承認へ、麻疹再拡大で接種体制強化が課題に/厚労省厚生労働省は3月2日に開かれた薬事審議会医薬品第二部会で、麻疹(はしか)、おたふくかぜ、風疹を防ぐ3種混合ワクチン(MMRワクチン)の製造販売承認を了承した。開発した第一三共の製品「ミムリット皮下注用」が正式に承認されれば、わが国で使用可能なMMRワクチンは約30年ぶりとなる。今後、定期接種に組み込むかどうかの検討が進められる。わが国では1989年にMMRワクチンが導入されたが、おたふく風邪成分に関連した無菌性髄膜炎の報告が相次ぎ、1993年に使用が中止された経緯がある。今回のワクチンは、無菌性髄膜炎の発生頻度が極めて低い株を使用しており、臨床試験でも重大な副作用は確認されていないとされる。海外では100以上の国・地域でMMRワクチンが定期接種として導入されており、わが国でも接種回数の減少など接種体制の効率化が期待される。その一方で、麻疹の感染は国内外で拡大の兆しを見せている。国内では愛知県で高校を中心に感染が広がり、2026年に入ってすでに20例以上の感染が確認された。東京都や埼玉県、神奈川県、岐阜県、鹿児島県などでも散発的な患者が報告され、医療機関や商業施設で不特定多数と接触した可能性のある事例も相次いでいる。海外渡航歴のない患者も複数確認されており、地域内感染の可能性も指摘されている。麻疹は、空気感染で感染する極めて感染力の強いウイルス感染症で、発熱や咳、結膜充血などの症状の後に高熱と発疹が出現する。肺炎や脳炎を合併すると重症化することがあり、ワクチン接種が最も有効な予防策とされる。海外でも流行は深刻化している。米国では、今年に入り約2ヵ月で1,100例以上の感染が報告され、前年の年間患者数を上回る可能性が指摘されている。患者の大半はMMRワクチン未接種、または2回接種を完了していない人だった。米疾病対策センター(CDC)はワクチン接種を改めて呼びかけている。国内でのMMRワクチン承認は、麻疹対策の強化に向けた制度的転換となる可能性がある。麻疹排除状態の維持には、2回接種率の向上とともに、集団免疫を維持するためのワクチン政策の整備が重要となりそうだ。 参考 1) 新薬等15製品が承認へ 第一三共のMMRワクチン・ミムリットなど 薬事審・第二部会が了承(ミクスオンライン) 2) 麻疹・おたふく・風疹の3種混合ワクチン承認へ…かつて報告された無菌性髄膜炎の発生頻度、極めて少なく(読売新聞) 3) はしか感染の20歳代男性、2月21日に日本医科大付属病院で不特定多数と接触か…東京都が注意呼びかけ(同) 4) 愛知県内で新たに2人が「はしか」に感染(NHK) 5) 米はしか感染 2カ月で1、100人 高水準だった去年の年間2,300人を上回る見通し(東日本放送) 6) 米CDC所長代理、はしかワクチン接種呼びかけ(ロイター) 3.急性期病院の要件厳格化 救急・手術実績で拠点化進める/厚労省令和8(2026)年度の診療報酬改定の詳細が明らかになってきた。今回の改定では、急性期入院医療の評価軸が「病棟単位」から「病院全体の急性期機能」へと変更され、実質的に急性期の担い手は急性期A、看護・多職種協働加算を組み合わせた急性期B、急性期1、同様の急性期4に集約される流れが強まった。厚生労働省は、3月5日に「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」として通知を発出し、その中で急性期病院Bの実績要件として救急搬送1,500件以上、または500件以上+全麻手術500件以上などを示し、さらに急性期総合体制加算では、総合性と高い手術実績を備えた拠点病院を評価する仕組みに再編した。中央社会保険医療協議会(中医協)でも、人口の少ない地域では救急搬送の受入件数に加え、外来・在宅診療体制の確保を支援する拠点病院を評価する方向性が示されている。その一方で、人口減少地域への影響は大きい。地域の急性期病床を持つ病院が同時に高度急性期を目指せば、看護師やリハビリスタッフ、症例数が分散し、どこも基準を満たせず、かえって経営不振や医療の質の低下を招きかねない。仮に50床の病棟で多職種7対1を実現するには看護師24人に加え、多職種約10人が必要で、人材が少ない地域の病院にはハードルが高くなる。結果として、急性期機能は一部病院へ集約され、周辺病院は包括期医療や在宅医療へ役割転換を迫られる可能性が高い。住民にとっては、高度急性期病院へのアクセスが遠のく一方で、地域内での「救急受け止め→早期転院→在宅復帰」の流れが整えばメリットもある。ただし、その前提は地域のかかりつけ医や在宅医療機関や介護施設の協力医療機関が軽症の救急患者の受け入れ、退院後のフォロー、看取りの支援を担えることだ。今回、介護施設の入所者の救急搬送は、協力医療機関で対応可能な例を原則として急性期A・Bの実績に算入しない方針も示され、急性期病院と地域密着病院で役割分担する発想がより鮮明になった。過疎地では、病院再編だけでなく、クリニックや訪問看護ステーションとの連携強化、訪問診療、余剰病床の介護施設への転換を含めた検討が不可欠になる。 参考 1) 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(厚労省) 2) 急性期入院医療の提供主体は「急性期A、多職種7対1の急性期B、急性期1、多職種7対1の急性期4」に集約されるのでは(Gem Med) 3) 急性期総合体制加算の施設基準詳細、「総合的かつ高度な体制を整え、小児・周産期含めた十分な手術実績」持つ病院が加算1を取得(同) 4) 救急患者応需係数で底上げ、地ケア病棟は対象外 看護必要度 C項目に腰椎穿刺など追加(CB news) 4.医師偏在対策が次の段階へ 地域医療構想と医師養成を一体で見直し/厚労省厚生労働省は、3月3日に「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」を開き、2040年を見据えた「新たな地域医療構想」についてガイドラインを取りまとめた。また、医師の偏在について「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」での検討を重ねてきていた第8次「医師確保計画」の見直し方針をとりまとめ、公開した。今回の2つの検討会の取りまとめは、病床数の議論だけでなく、医師偏在対策や医師養成過程の見直しまで一体で進める点にある。人口減少と高齢化、医療人材不足を前提に、地域ごとに「どの病院が急性期を担い、どこが高齢者救急や在宅を支えるか」を再設計する考えだ。まず、新たな地域医療構想では、人口減少と高齢化を前提とした医療提供体制の再編を進めるため、2040年の必要病床数を最新のNDBデータで推計し、高度急性期79%、急性期84%、包括期89%、慢性期92.5%の病床稼働率で換算する。急性期は少なめ、包括期は厚めに見積もる方向で、厚労省はこの数値を「必要病床数を算定するための換算値」であって、各病院が目標とすべき経営指標ではないと明示した。また、2028年度までに全病院・有床診療所が将来担う医療機関機能を整理し、地域で協議する枠組みを示している。医師確保計画の見直しでは、従来の「目標医師数」だけでなく、「地域で不足する診療科」などの定量指標を導入する。さらに、医師数は極端に少なくなくても、へき地尺度(RIJ)が高くアクセスに課題のある地域を新たに支援対象とする。小児科や産科に加え、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科なども、人口減少地域では常勤確保が難しい診療科として位置付けられ、遠隔医療の活用も検討対象となる。医師にとって重要なのは、外来医師過多区域への新規開業で、地域に不足する医療機能の提供を要請する仕組みが本格化する。その一方で、医療資源が乏しい地域では、承継支援や医師派遣、代替医師確保への支援が行われる。また、国は都道府県任せにせず、運用状況を毎年度把握し、必要なフォローを行う方針も示している。今後は、病院の再編だけでなく、診療所が休日夜間対応、在宅医療、退院後フォロー、遠隔診療をどう担うかが、地域医療構想の実効性を左右しそうだ。医師養成では、医学部の地域枠、臨床研修、専門研修、総合的な診療能力を持つ医師の育成を組み合わせる方向性が整理された。政府は、2040年の医療提供体制を「病床再編」と「医師配置」、さらに「医師の育て方」まで連動させて作り直そうとしている。2040年に向けた医療体制は、急性期医療の集約、高齢者救急への対応、在宅医療との連携、医師偏在是正を一体で進める形となる。病院にとっては、自院が地域で担う医療機能を明確にすることが求められ、外来患者数減少に直面する開業医は、医師会や地域の病院と連携して、地域で何を担うかがこれまで以上に問われる局面に入った。今後は限られた医療人材の中で、どう医療提供体制を維持するか重要な課題となりそうだ。 参考 1) 第12回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会(厚労省) 2) 「医師確保計画策定ガイドラインの見直しに向けた医師養成過程における取組のとりまとめ」(同) 3) 急性期病床2040年の必要数、稼働率84%で推計 高度急性期79%、包括期89%、慢性期92.5%(CB news) 4) 2040年の必要病床数、病床利用実態・業務効率化等加味し「急性期は少なめ・包括期は多め」に推計-地域医療構想・医療計画検討会(Gem Med) 5.社会保険料抑制へ制度改革 OTC類似薬と高額療養費が焦点/政府政府が進める医療保険制度改革により、公的医療保険の加入者1人当たりの社会保険料が年間約2,200円減少する見通しであることがわかった。上野 賢一郎厚生労働大臣が3月6日の閣議後の会見で明らかにした。改革の柱は、高額療養費制度の見直しと、市販薬と成分や効能が類似する「OTC類似薬」の保険給付の見直しなどで、医療費の抑制を通じて保険料負担の軽減を図る狙いがある。高額療養費制度では、医療費が高額になった場合の患者自己負担の月額上限を段階的に引き上げる。2026年8月と2027年8月の2段階で実施され、最終的には現行より最大38%引き上げられるケースも想定される。厚生労働省は、この見直しにより医療費を年間約2,450億円削減できると試算しており、保険料は加入者1人当たり年間約1,400円程度の軽減効果が見込まれるとしている。薬剤費の見直しも改革の柱となる。市販薬と成分や効能が近い「OTC類似薬」については、保険給付を受ける場合でも薬剤費の4分の1を患者が「特別の料金」として負担する制度を新設する。対象は鼻炎、胃痛、解熱鎮痛薬など77成分、約1,100品目とされ、2027年3月の施行を予定している。これにより社会保険料は年間約400円の減少が見込まれる。また、後発医薬品(ジェネリック)があるにもかかわらず先発薬を選択した場合の追加負担も拡大する。現在は差額の4分の1を患者が負担しているが、これを差額の2分の1まで引き上げる方針だ。こうした薬剤関連の見直し全体では年間約800円の保険料軽減効果が見込まれている。その一方で、高額療養費の上限引き上げに対しては、患者団体や野党から「重症患者の負担増につながる」との批判も出ている。国会審議では、保険料軽減が月額150円程度にとどまるとの指摘もあり、受診控えが生じる可能性への懸念も示された。政府は制度の持続可能性確保のための改革と説明するが、患者負担と保険財政のバランスをどう取るかが引き続き議論となりそうだ。 参考 1) 医療保険制度改革で保険料1人当たり年2,200円減、高額療養費制度やOTC類似薬の負担見直し(読売新聞) 2) 高額療養費見直しなどで社会保険料年2,200円減 厚労相が見通し(毎日新聞) 3) OTC類似薬の負担見直し、保険料減は月額33円程度 高額療養費は117円減 上野厚労相(CB news) 4) 「ペットボトル1本分の社会保険料負担軽減のために、高額療養費の負担増やすのか」共産議員が見直し迫る 衆院予算委で質疑(ABEMA TIMES) 6.美容クリニックの再生医療で訴訟相次ぐ 安全性と説明責任が焦点に美容医療を巡る訴訟が相次いでいる。焦点となっているのは、顔のしわやたるみ改善をうたう「プレミアムPRP皮膚再生療法」を受けた後に、頬や目の下にしこりや隆起が残ったとする事案だ。2026年2月には女性3人が東京都内のクリニックを東京地裁に提訴し、施術費用の返還、原状回復のための治療費、慰謝料など計約1,850万円を求めた。原告側は、施術前に重い合併症や除去の困難さ、使用成分の実態について十分な説明がなく、安全性を強調する宣伝の下で同意が取られたと主張している。被害相談の増加を受け、医療問題弁護団は3月1日にプレミアムPRP皮膚再生療法の被害者救済を目的に無料ホットラインも開設し、同種事案の掘り起こしを進めている。この訴訟で争点となるのは、単なる仕上がり不満ではなく、説明義務違反と再生医療法令への適合性だ。報道では、「bFGFを加えたPRP療法は未承認の再生医療に当たり、患者への説明事項は省令で定められているのに、同意書や説明内容が不十分だった可能性」が指摘されている。実際、2025年1月には同種の美容目的再生医療を巡る別件で、東京地裁が医療法人の責任を認める決定が確定した。そこでは、「施術の有効性に十分な科学的根拠が乏しいこと」、「bFGFによる長期のしこりや隆起が起こりうることを説明すべき義務があったのに尽くされなかった」と判断され、解決金支払いと再発防止が求められた。今回の3人提訴は、この先行事例を踏まえ、同種施術の説明体制や広告表示を改めて司法の場で問う意味合いが大きい。美容医療トラブルが急増する背景として、過度な広告、一括払いの勧誘、十分な訓練を経ない医師の参入が挙げられる。消費者保護の視点から患者側は施術を受ける前に「専門医かどうか」「リスク説明が十分か」を見極める必要性がある。今回の訴訟は、その問題が個人の後悔ではなく、説明不足を伴う構造的な消費者被害として司法判断の対象になり始めたことを示している。美容医療では、適応外使用や未承認技術を含む施術ほど、インフォームド・コンセントの質そのものが法的責任の核心になる。 参考 1) 「鏡向くたびに絶望」顔にしこりなど副作用…美容医療受けた女性ら、都内のクリニック提訴(産経新聞) 2) 「成功してるじゃん」美容医療で“しこり”も医師が失敗認めず…被害者が施術費用の返還など求めクリニックを提訴(弁護士JPニュース) 3) 3月1日(日)プレミアムPRP皮膚再生療法被害ホットラインを実施しました(医療問題弁護団) 4) 「美容目的の再生医療で合併症」 医療法人の責任認定、訴訟が終結(朝日新聞) 5) トラブル急増・美容医療の見極め方 消費者保護に取り組む医師・大塚篤司(TBS)【動画】 6) プレミアムPRP皮膚再生療法で被害相談ホットライン開設 医療問題弁護団が3月1日に電話受付 2026年2月には3人の女性が美容クリニックを提訴

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睡眠薬、抗コリン薬を処方中の患者を受け持つプライマリケア医に、電子カルテを介し減薬を勧める介入は、不適切処方を減らす効果があるが、死亡リスクを高めるかもしれない(解説:名郷直樹氏)

 高齢者の不適切処方は日本においても大きな問題の1つだが、本研究は米国のプライマリケア医を対象として、65歳以上の高齢者でベンゾジアゼピン、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗コリン薬が処方されている患者の不適切処方に対し、電子カルテを通し、前もって介入する群、診察後減薬を検討させる群と標準的な診療を比較し、1剤以上の減薬の効果を検討したクラスターランダム化比較試験である。ランダム化はプライマリケア医ごとに行われ、結果は患者ごとで解析されている。 2つの介入方法であるが、診療前群では、医師が電子カルテを開くと、初回には薬剤継続のリスクの患者との共有、患者向け説明資料、代替治療や減薬アルゴリズムへのリンクが表示され、2回目以降は、前回の情報提供を想起させ、具体的な減薬のお勧めが表示される。診療後介入群では、初回診察時に前もって介入する群と同様な通知が表示され、4週後に電子カルテ上のメールボックスに減薬のお勧めが送信され、診察時間以外に減薬を検討させるという具合である。 結果であるが、1次アウトカムの1剤以上の減薬ができた割合は、前もって介入する群で36.8%、診療後介入群で34.3%、通常診療群で26.8%、通常診療群に対して減薬できる割合が診療前介入群で1.4倍、95%信頼区間(CI)1.14~1.73、リスク差で10.4%、診療後介入群で1.26倍(95%CI:1.01~1.57)、リスク差で6.5%と報告されている。 しかし死亡については、診療前介入群で1.4%、診療後介入群で3.9%、通常診療群で1.8%と、診療後介入群で高い傾向にある。 医療費の視点で見れば、この結果は処方を減らすことによる医療費削減が見込まれ、医療政策の決定に対して重要である。しかし個々の患者の視点で見れば、診療後介入群で減薬が死亡リスクの増加につながる可能性が示されているように、こうした介入を現実に行うかどうかの判断は難しい。減薬は代用のアウトカムにすぎず、その後の患者アウトカムにつながっていない可能性があるという点は、この論文を実装するに当たって十分考慮すべき点だろう。

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第301回 麻疹の流行が止まらない!見落としていたもう一つのセキュリティーホール

INDEX2026年麻疹発生状況もう一つのセキュリティーホールと解決策2026年麻疹発生状況年明けからわずか2ヵ月弱だが、現在の麻疹の発生動向を見ると、何とも不気味である。国立健康危機管理研究機構が公表する感染症発生動向調査週報(IDWR)1)の2026年第6週(2月2~8日)までの速報ベースの累計報告数は32例。昨年の同週での累計が3例だったことを考えれば、年初からかなりのハイペースである。第1週から第6週を見ると以下のような推移になり、第5週を境に感染報告数が跳ね上がっている。画像を拡大する累計報告数を都道府県別で見ると、東京都が6例、栃木県、新潟県、大阪府が各4例、埼玉県、千葉県が各3例、神奈川県、岩手県が各2例、北海道、茨城県、愛知県、京都府が各1例。現状は首都圏、東海圏、近畿圏という人口密集地域での報告が主である。本連載でもすでに取り上げているが、昨年の麻疹発生状況もかなりのものだった。2025年最後の第52週(12月22~28日)までの速報ベースの累計報告数は265例で、2024年の同週(12月23~29日)の45例と比較して約6倍まで増加していた。さらに、日本の麻疹土着株の遺伝子型D5は長きにわたって検出事例はなく、それがゆえに日本は2015年、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局から麻疹排除国として認定されている。現在の麻疹感染報告はいわば輸入例であり、ウイルスの遺伝子型からも、その多くが東南アジア・南アジア方面を起源とするものと推定されている。実際、米国・ボストン小児病院が開発・運営する世界の感染症発生情報を可視化したサイト「HealthMap」2)を参照すると、現状、東南アジアや南アジアでは麻疹がかなり流行していることがわかる。だからこそ、前回、この地域からの技能実習や特定技能での来日者やその雇用主へのワクチン接種の積極的勧奨、そのための接種費用の一部助成などの施策を考えてもよいのではないかと私個人は提案したのであった。もう一つのセキュリティーホールと解決策この考えに今も変更はないが、最近、もっと重要な視点が抜け落ちていると気付き始めた。それは日本人でのワクチン接種の推進である。前回も紹介したように、令和6年度(2024年4月1日~2025年3月31日)のワクチン定期接種対象者の接種率は、第1期が92.7%、第2期が91.0%であり、麻疹の集団免疫獲得に必要なワクチン接種率95%以上にはやや及ばない。ここは従来どおり、国や各自治体による地味な啓発の継続が必要である。だが、麻疹に関してはここにセキュリティーホールがあることを私自身はすっかり忘れていた。それは現在の麻疹のワクチン接種が2回体制になったのは、2006年からである。ご存じのように1回接種では、約5%の人では十分な免疫を獲得できず、また、経年での抗体価低下を補うブースター効果を期待して、このような措置へと変更された。日本で麻疹ワクチンの定期接種が始まったのは1978年で、約30年間は1回接種で済まされていた。当然ながらこの世代には、免疫獲得が不十分な人もかなり抗体価が低下した人もいるはずだ。その意味では、国がかつて風疹ワクチンの接種対象ではなかった中高年男性に対して抗体価検査の無料クーポン配布とその結果に応じた無償接種の機会を提供したことは記憶に新しい。この事業は2024年度で終了したが、改めて麻疹ワクチンの1回接種世代を対象に似たような事業を行ってもよいのではないだろうか?ちなみにざっくり対象人口を計算すると、約1億人と推計される。一般に麻疹の抗体価検査は3,000円前後であるので、この全員が抗体検査を受ければ、予算規模は約3,000億円。そのうち3割程度が接種対象だったと仮定した場合、約8,000円と言われるMRワクチンの接種費用を掛け合わせて約2,400億円。総額5,400億円の計算になる。もちろん大変な規模の支出にはなるが、その後の経済効果まで考えれば、赤字国債を発行しても元が取れるのではないだろうか? いっそこのケースでは、あの“悪名高き”肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンのように、各年度で対象者を絞った実施でもよいかもしれない。これならば単年度の予算規模は抑えられる。健康安全保障をキーワードに予防医療を強く訴える高市政権にとっても悪い政策ではないと思うのだが。ついでに言うならば、現在、麻疹報告数が多く、大きな予算規模を抱える東京都あたりが先鞭をつけて始めてもよいかもしれない。それこそ東京都お得意の「東京アプリ」を使って、対象者が抗体検査を受けたら〇ポイントを付与する、といった仕組みだ。麻疹に関してWHOは2026年1月26日にイギリス、スペイン、オーストリア、アルメニア、アゼルバイジャン、ウズベキスタンが排除国認定を喪失したことを発表したばかり。日本が同じ轍を踏んでほしくはない。参考1)国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト:感染症発生動向調査週報2)HealthMap

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「ビラノア」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第84回

第84回 「ビラノア」の名称の由来は?販売名ビラノア®錠20mg、ビラノア®OD錠20mg一般名(和名[命名法])ビラスチン(JAN)効能又は効果◯アレルギー性鼻炎◯蕁麻疹◯皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒用法及び用量通常、成人にはビラスチンとして1回20mgを1日1回空腹時に経口投与する。警告内容とその理由設定されていない禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2026年2月16日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2024年7月改訂(第11版)医薬品インタビューフォーム「ビラノア®錠20mg/ビラノア®OD錠20mg」

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政府主導の現金給付プログラムが死亡率に関連する行動および健康決定要因に与える影響:差の差研究(解説:名郷直樹氏)

 ランダム化比較試験で検討困難な疑問に関して、ビッグデータを用いた観察研究によって検討しようという流れの中にある研究である。37の低~中所得国家を対象とし、政府主導の現金給付プログラムを提供している国と提供していない国を比較し、また提供された国における提供前と提供後を比較して、死亡に関連する17のアウトカムを検討している。 解析方法は、“difference-in-differences study”とあるように、少し特殊である。具体的には、現在現金給付を行っている国の行っていない時期とのアウトカムの差から、行っていない国の現在のアウトカムと行っている国の行っていないのと同時期のアウトカムの差を差し引いたものを効果の指標としている。それぞれのアウトカムの差は、介入前後比較と呼ばれるもので、時間経過に伴う変化が大きなバイアスとなる。この研究で言えば、現金給付が行われる前後で比較すると、時代によるさまざまな変化があり、現金給付と無関係な社会の変化の影響を排除することができず、効果を過大評価しやすい。その影響を考慮するために、両国の時間的なアウトカムの変化を除いて、バイアスの影響を調整しているというわけである。実際の計算式であるが、現在現金給付を行っている国のアウトカムがa%、行っていない国でb%、現在現金給付を行っている国の行っていない時期のアウトカムがc%、行っていない国の同時期でd%としたときに、“difference-in-differences”、「差の差」は (a-c)-(b-d) ということになる。 実際の結果を見てみよう。アウトカムの変化における差95%信頼区間は、早期妊婦健診で+5.0%(2.1~7.9)、施設分娩 +7.3%(3.2~11.3)、熟練者による分娩 +7.9%(3.2~12.6)、望まれた妊娠 +1.9%(0.5~3.2)、排卵間隔の延長 +2.5ヵ月(1.8~3.1)、避妊法の情報不足 -10.3%(-15.2~-5.3)、完全母乳育児 +14.4%(13.3~15.5)、最低限の食事提供 +7.5%(5.5~9.5)、麻疹ワクチン接種 +5.3%(1.6~8.9)、男児の双胎出産0.8/1,000男児出産(0.3~1.4)、下痢の罹患率 −6.4%(-11.7~-1.1)、低体重 −2.0%(-3.6%~-0.4)で、17のうち12の項目で改善がみられている。 この「差の差」分析では、現金給付を行っている国と行っていない国でのアウトカムのトレンドが同様という仮定が必要である。行っていない国での改善が小さければ効果を過大評価するし、大きければ効果を過小評価する危険がある。それについてはほぼパラレルであることが示されている。しかしながら、ランダム化比較試験ほど交絡因子が排除できるわけではない。このデザインから言えるのは、因果というより相関と考えるのが妥当かもしれない。

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第297回 前年比20倍を記録!?2025年に最も流行した国内感染症

INDEX2025年に国内で流行した感染症報告件数が増加した感染症ベスト3今年の流行予測は…2025年に国内で流行した感染症2025年も本連載では数々の感染症を取り上げてきたが、そもそも各種感染症の国内動向はどのようになっているのか、ふと気になった。ということで、2025年の各種感染症発生動向について、2024年と単純に比較しやすい全数報告感染症で比較してみた。比較は国立健康危機管理研究機構(JIHS)が発表する感染症発生動向調査週報(IDWR)速報データ第52週までの累計値である。なお、2025年は第52週の最終日が12月28日、2024年は12月29日だが、全体の傾向を見る点では大きな相違はないだろう。2024年比±5%を「不変」、これを超える増減をそれぞれ「増加」「減少」と勝手に定義してみた。以下はその結果だ。画像を拡大するこのうち2024年の報告件数が10例未満のものは、増減が大きく出やすいため、あえて*を付けた。多くはいわゆる輸入感染症である。ただ、このなかで注目すべきは風疹である。2025年の報告件数は11例で、前年の7例からは単純計算で57.1%増となる。しかし、昨年9月26日、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局は、日本が「適切なサーベイランス制度の下、土着株による風疹感染が3年間確認されないこと、または遺伝子型の解析によりそのことが示唆されること」という風疹の排除認定基準を満たしたとして、正式に風疹排除国と認定した。国内での地道な啓発活動などが実を結んだといえるだろう。報告件数が増加した感染症ベスト3では、*の感染症を除き、2024年と比べ、2025年に報告件数が増加した感染症だが、まず第3位は重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の191例で、前年比59.1%増で同感染症の年間報告数として過去最多を記録した。SFTSについては過去の本連載でも触れたとおりである。第2位は前年比488.9%増の麻疹の265例であり、これも過去の本連載で触れた。そして2025年に前年比で最も報告件数が増えた“不名誉”な第1位は百日咳である。2025年の累計報告件数は実に8万9,387例。前年が4,054例なので、増加率は2,104.9%と驚異的な数字である。この原因については、さまざまな指摘があるが、複合的な要因とみられる。もっとも私個人が注目しているのは、IDWR第22週の「注目すべき感染症」に記載された百日咳の疫学動向1)である。これを見ると、第21週までの報告件数の58.7%は10代となっている。ざっくりいえば、2006~15年生まれの年代である。日本では1981年から乳児の百日咳ワクチン接種は、副反応の少ない無細胞ワクチンを含む3種混合ワクチン(DTP)が長らく使用されてきた。これが2012年からは不活化ポリオワクチンが加わった4種混合ワクチン(DPT-IPV)、さらに2024年からはこれにインフルエンザ菌b型(Hib)が加わった5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)に変更されてきた。このことを考慮すると、昨年に百日咳が多発した10代は3種混合ワクチンから4種混合ワクチンへの切り替えがあったやや微妙な年代である。しかし、厚生労働省のワクチン接種実施率を見る限りは、この時期のDTPとDPT-IPV実施率(接種率)の合算値は、それほど低い数字とはいえない。一方でこの年齢層に多かった理由の1つとして、「経年によるワクチンの効果減弱」が考えられる。従来から百日咳ワクチンの経年効果減弱を指摘する報告はある。たとえば、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のグループが行ったケースコントロールスタディ2)によると、百日咳ワクチンの有効率は、接種1年以内は80%、接種後1〜3年は84%で維持されるものの、接種4〜7年後は62%、8年以上経過後は41%まで低下すると報告している。この影響を考えれば、10代が百日咳のボリュームゾーンになることはある意味納得できるのだが、免疫減弱がより進行していると思われる20代以降の報告割合が前出のIDWR第21週までの解析で15.2%に過ぎなかったことと、一見すると整合性がないように映る。ただ、一般的に成人の百日咳は軽症で咳が長期間続いても見過ごされることが多いといわれるため、そもそも受診すらしていない可能性が十分に考えられる。その点ではそれほど矛盾は生じていないといえるだろう。今年の流行予測は…一方で、私たちが気になるのは「今年も百日咳の流行が起こるか否か」だ。ちなみにノースカロライナ大学チャペルヒル校のグループによる研究3)では、百日咳罹患による獲得免疫の持続期間は4~20年と報告されており、これを前提にするならば今年は昨年ほどの流行はないとも考えられる。しかし、現時点で公開されている2026年のIDWR第2週までの百日咳の累積報告件数は336例で、前年同期の163例の2倍超となっている点は何とも不気味ではある。これが2025年からの残り火的なものなのか、それともこれから再び本格流行に転じるかは、現時点で何ともいえない。だが、いずれにせよ警戒しておくに越したことはないだろう。 1) 国立感染症研究所:IDWR 感染症週報2025年第22週 2) Schwartz KL, et al. CMAJ. 2016;188:E399-E406. 3) Wendelboeet AM, et al. Pediatr Infect Dis J. 2005;24(5 Suppl):S58-61.

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ムコ多糖症II型、新たな酵素補充療法が有望な可能性/NEJM

 ムコ多糖症II型(MPS II、ハンター症候群)は、イズロン酸-2-スルファターゼ活性の欠損によって発生する進行性のX染色体連鎖型のライソゾーム病で、神経系を含む臓器機能障害や早期死亡をもたらす。tividenofusp alfaは、イズロン酸-2-スルファターゼと改変トランスフェリン受容体(TfR)結合Fcドメインから成る、血液脳関門の通過が可能な融合タンパク質で、MPS IIの神経学的および末梢症状の治療を目的に開発が進められている新たな酵素補充療法(ERT)である。米国・University of North Carolina School of MedicineのJoseph Muenzer氏らは、小児男性患者を対象に行った、本薬のヒト初回投与の臨床試験の結果を報告した。NEJM誌2026年1月1日号掲載の報告。国際的な非盲検第I/II相試験 研究グループは、tividenofusp alfaの安全性および中枢神経系、末梢症状に対する効果の評価を目的に、国際的な非盲検第I/II相試験を実施した(Denali Therapeuticsの助成を受けた)。年齢18歳までのMPS IIの男性患者を対象とした。 tividenofusp alfa(週1回、静脈内投与)を24週間投与した後、80週間の安全性に関する延長試験と157週間の非盲検延長試験を行った(全261週)。 47例(用量設定コホート20例、15mg/kg投与コホート27例)を登録した。年齢中央値は5歳(四分位範囲:0.3~13)だった。44例(94%)が神経症状を伴うMPS IIで、3例(6%)は神経症状を伴わないMPS IIであり、15例(32%)がERTを受けた経験があった。注入反応の頻度が高いが管理可能 47例の全例で、3段階の試験期間中に少なくとも1件の有害事象を認め、最も高い重症度は、中等度が68%、重度が28%であった。死亡例の報告はなかった。治療関連の重篤な有害事象は3例(注入反応[infusion-related reaction]2例、貧血1例)に認めたが、これらの患者はすべて治療を継続した。 41例(87%)で、試験期間中に少なくとも1件の注入反応が発現し、最も頻度の高い有害事象であった。中等度が55%、重度が6%だった。注入反応の症状では、発熱、蕁麻疹、嘔吐の頻度が高く、ルーチンに前投薬を行ったにもかかわらず40%以上の参加者に発現した。 注入反応は全般に、担当医の判断による前投薬、注入速度の減速、減量によって管理可能であった。注入反応の発生は時間の経過とともに減少し、グルココルチコイドを含む前投薬も試験の進行に伴い減少した。ヘパラン硫酸値が低下、適応行動、肝臓容積も改善 その他の一般的な有害事象として、上気道感染症(60%)、発熱(55%)、咳嗽(47%)、嘔吐(43%)、下痢(40%)、発疹(40%)、貧血(38%)、新型コロナウイルス感染症(38%)、鼻漏(38%)を認めた。ベースライン時に19%(47例中9例)で貧血がみられたが、貧血を理由に試験を中止した参加者はいなかった。また、尿中総グリコサミノグリカン(GAG)値が悪化することはなく、改善の傾向を示した。 バイオマーカーについては、ベースラインと比較した24週時の脳脊髄液(CSF)中および尿中のヘパラン硫酸が、それぞれ91%および88%減少した。ヘパラン硫酸濃度の低下は153週目まで持続し、適応行動は安定化または改善した。ベースライン時に、24%(21例中5例)で肝臓容積に異常を認めたが、24週時には、これらを含む全例(18例中18例)で正常化または正常を維持していた。 著者は、「MPS II小児男性患者に対する週1回15mg/kgの静脈内投与によるtividenofusp alfa治療では、ERTの既知のリスクである注入反応を含む有害事象が高頻度に発現した」「中央値で2年間の治療により、基質の蓄積および神経細胞損傷の、中枢神経系および末梢のバイオマーカーが減少傾向を示し、臨床エンドポイント改善の可能性が示唆された」としている。

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オールラウンド外来診療ガイドブック

診療にすぐ活かせる知識と判断力を集約自身の専門外の疾患に遭遇した時、あるいは患者から専門外の愁訴を相談された際に、医師は、(1)何をすべきか? (2)何をすべきでないか? (3)どの段階で専門医に紹介すべきか? という視点で、500の疾患・症状を、24分野の診療科のスペシャリスト474名が見開き2ページで解説する。病態の理解から診療のエッセンス、患者さんへの説明の工夫に至るまで「明日からの診療にすぐに活かせる知識と判断」が集約されている。ジェネラリストの診療の迷いを解き、明日からの外来診療に差がつくスペシャリストからの珠玉の処方箋。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大するオールラウンド外来診療ガイドブック定価13,200円(税込)判型B5判(並製)頁数1,064頁発行2025年12月総編集宮地 良樹(京都大学名誉教授/静岡社会健康医学大学院大学学長)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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ワクチン接種率の低下により世界で麻疹患者が急増

 世界保健機関(WHO)は11月28日、麻疹(はしか)排除に向けた世界の進捗状況をまとめた報告書を発表した。それによると、2000年から2024年の間に、世界の麻疹による死亡者数は88%減少し、およそ5800万人の命が救われた。一方で、かつて麻疹排除を目前にした国々で再び感染が広がっている事実も明らかにされた。これは、麻疹ワクチンの定期接種を受けていない小児が増えていることを示唆している。報告書では、「世界的な麻疹排除の達成は、依然として遠い目標だ」と指摘されている。 2024年には、米州を除く全てのWHO地域(アフリカ、南東アジア、欧州、東地中海、西太平洋)の59カ国で麻疹の大規模または深刻な流行(アウトブレイク)が59件発生した。これらのうち、23件(39%)がアフリカ地域、20件(34%)が欧州地域、10件(17%)が東地中海地域、5件が西太平洋地域、1件が南東アジア地域で報告された。麻疹のアウトブレイク数は、2021年には21件、2022年には37件であり、2024年のアウトブレイク数は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生以降では最多で、2003年以来2番目に多かった。 WHOは、麻疹ワクチンの定期接種や感染監視体制がパンデミック以降、十分に回復していないことが、これまでの成果を危うくしていると警告している。 米国は2000年に麻疹排除を達成した。これは、「12カ月間以上、伝播を継続した麻疹ウイルス(国内由来、国外由来を問わず)が存在しない状態」と定義されている。しかし、米疾病対策センター(CDC)は今年、1,798件の麻疹確定症例を報告した。これは、排除達成以降で最多である。WHOは現在、米国やカナダをはじめ、かつて麻疹排除を達成したにもかかわらず感染が再燃している国々を注視している。 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は、「麻疹ウイルスは、依然として世界で最も感染力の強いウイルスだ。有効で低コストのワクチンがあるにもかかわらず、ウイルスは接種率のすき間を突いて広がる」とCNNに対して語っている。 WHOで予防接種プログラムを統括するDiana Chang Blanc氏によると、2024年に麻疹ウイルスに対する免疫が十分でなかった小児は、世界で3000万人以上に上ったという。2024年の世界全体での麻疹ワクチンの初回接種率は84%であり、ワクチンの効果を95%まで高めるために必要な2回目の接種率は76%でしかなかった。 一方で、前進も見られている。今年、カーボベルデ、セイシェル、モーリシャスがアフリカ地域で初めて麻疹排除を達成した。さらに、太平洋地域の21の島嶼国では、麻疹風疹の両方の排除を達成した。 Blanc氏は、「麻疹排除に向けて確かな進展があるのは事実だ。それでも、症例数と死亡者数は今なお容認できないほど高水準だ」と話す。同氏は、麻疹による死亡はワクチンの2回接種を受けることで全て予防可能であることを強調する。 WHOによると、接種率低下の背景には、パンデミック中の接種機会の喪失やワクチンに関する誤情報、紛争地域などワクチンを届けることが困難な地域の存在、資金減少が要因だとしている。さらにWHOは、麻疹風疹実験室ネットワークへの支援縮小など、近年のグローバルヘルス分野における資金削減により免疫ギャップが拡大し、今後さらに大規模なアウトブレイクが発生する可能性があると警告している。

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化学療法中のワクチン接種【かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ】第6回

化学療法中のがん患者は、化学療法の影響や原疾患により免疫力が低下しているため、感染症に罹患しやすく重症化しやすい傾向があります。国内のガイドラインやASCOガイドラインおいても、がん患者の治療やケアにおいて適切なワクチン接種がもたらす良い影響が述べられています。今回は固形がん化学療法中の患者を想定した、5つの主なワクチンの特徴や効果、推奨される接種時期についてお話しします。1)インフルエンザワクチン背景がん患者がインフルエンザに罹患した場合、死亡のリスクが高いことが複数の研究から報告されています。とくに肺がんや血液腫瘍患者はより重症化するリスクが高いことが知られています。インフルエンザワクチンは、A型(H3N2・H1N1)とB型の3株を含む混合ワクチンであり、世界的流行株とWHO推奨株に基づき毎年選定されるため、毎年の接種が推奨されます。健康な人における有効性は70~90%程度とされていますが、流行株との一致度により変動します。予防効果と安全性複数の研究から、血清学的な反応は健康な人と比較して劣る可能性はあるものの、予防医学的な意義は明らかであることがメタアナリシスにより示されています。近年、高用量インフルエンザワクチン(商品名:エフルエルダ筋注)が承認され、米国では65歳以上のがん患者に高用量ワクチン接種が推奨されています。化学療法中のインフルエンザワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。注意点リツキシマブやオファツムマブ、オビヌツズマブなどの治療後は、少なくとも半年間はワクチン効果が期待できない可能性があります。また、免疫抑制薬を服用中の患者でも効果が低い場合があります。接種時期インフルエンザワクチンは10~12月までの接種が推奨されています。化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種するのが理想ですが、治療中に流行期を迎える場合は接種時期を調整する必要があります。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。2)肺炎球菌ワクチン背景日本の成人市中肺炎では、肺炎球菌が最も頻度の高い起炎菌です。65歳以上や糖尿病・心不全などの基礎疾患を有する場合には、重症感染症を起こしうるため、肺炎球菌ワクチン接種が推奨されています。国内データでは、侵襲性肺炎球菌感染症の死亡率は約19%と高く、患者の約7割は65歳以上です。また、固形がん患者や脾摘患者が肺炎球菌感染症に罹患した場合、非がん患者と比較して死亡のリスクが高いことが報告されています。予防効果と安全性肺炎球菌ワクチンによる抗体価の上昇は、化学療法中であっても健康な人と同等であると報告されています。化学療法中の肺炎球菌ワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。ワクチンの特徴ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス[PPSV23]:定期接種)と結合型ワクチン(キャップバックス[PCV21]、プレベナー20[PCV20]、バクニュバンス[PCV15])の2種類があります。免疫力をつける力(免疫原性)はPCV21/20/15のほうがPPSV23より高いです。日本ワクチン学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会では、がん患者へのPCV20の1回接種もしくはPCV15とPPSV23の連続接種を推奨しています。画像を拡大する接種時期肺炎球菌感染症は1年を通して発生するため、季節を問わず接種が可能です。化学療法開始前(少なくとも2週間前)に接種、もしくは化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。3)帯状疱疹ワクチン背景水痘帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルス3型)初感染は水痘として発症し、感染後に後根神経節に不活性状態で長期間潜伏します。その後、加齢・疲労・病気などで免疫が弱まるとウイルスが再活性化し、帯状疱疹として発症します。症状は片側に帯状に広がる発疹と刺すような痛みが典型的で、約10%の症例で帯状疱疹後神経痛が発生し、QOLを低下させる原因になります。免疫不全のない患者と比較して、固形がん患者は約5倍、血液がん患者は約10倍帯状疱疹の頻度が高いことが報告されています。画像を拡大する安全性化学療法中の帯状疱疹ワクチン投与に関してとくに重篤な有害事象が増加するという報告はありません。生ワクチンは、免疫低下患者(がん薬物療法中やステロイド使用中)には接種不可です。接種時期化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種します。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。4)新型コロナ(COVID-19)ワクチン背景がん患者はCOVID-19に罹患すると重症化しやすいため、ワクチン接種の利益は大きいです。そのため、基本的には接種を検討すべきとされています。ただし、がんの種類や治療内容、免疫状態により、効果や副反応が異なる可能性があります。治療のタイミングにより接種時期を調整したほうがよい場合もあります。副反応が治療の有害事象と区別しにくい場合があるため注意が必要となります。総じて、患者ごとの状況に応じて主治医と相談して判断することが重要と考えられます。予防効果と安全性ワクチンを接種したがん患者約3万例を対象とした観察研究が報告されており、がん患者であってもCOVID-19ワクチンを2回接種することで感染リスクが低下することが示されています。一方でワクチンの感染リスク低下効果は58%(非がん患者:90%以上)であり、がん患者ではワクチンの効果が減弱する可能性が示唆されています。とくにワクチン接種前6ヵ月以内に化学療法を受けた場合はワクチンの効果が低いことが報告されています。定期的な追加接種が推奨され、感染時は早期の受診と抗ウイルス薬治療が重要となります。接種時期基本的に最新の推奨スケジュールに従った接種が推奨され、明確な最適時期はまだ不明ですが化学療法の開始前に接種して、化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期を避けて接種することが望ましいです。抗CD20抗体(リツキシマブやオビヌツズマブなど)治療後半年以内はワクチンの効果が乏しいことが示されています。注意事項ワクチン接種により、接種側の腋窩・鎖骨上窩・頸部リンパ節の腫大が報告されており、PETでも集積を認めることがあり、転移との鑑別が必要になる場合があります。画像検査の際にはワクチン接種歴と部位の情報を得ておくことが望ましいです。5)RSウイルスワクチン背景高齢者、慢性の基礎疾患(喘息、COPD、心疾患、がんなど)、免疫機能が低下している人は、RSウイルス感染症の重症化リスクが高く、肺炎、入院、死亡などの重篤な転帰につながる可能性があります。また、RSウイルス感染症は、喘息、COPD、心疾患などの基礎疾患の増悪の原因となることもあり、日本では約6万3,000例の入院と約4,500例の院内死亡が推定されています。米国での大規模データ研究では、がん患者がRSウイルス感染症に罹患した場合、非がん患者と比較して死亡のリスクが2倍以上高いことが報告されています。画像を拡大する接種時期化学療法の開始前(少なくとも2週間前)に接種します。化学療法中は骨髄抑制の最も低下した時期(nadir)を避けて接種することが望ましいです。1)Kamboj M, et al. JCO Oncol Pract. 2024;20:889-892. 2)日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会. 新型コロナウイルス感染症とがん診療について(医療従事者向け)Q&A:2021.3)国立がん研究センター:がん情報サービス4)日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン2022年版. 金原出版:2022.5)アレックスビー筋注用添付文書6)アブリスボ筋注用添付文書講師紹介

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デュピルマブ、6~11歳の気管支喘息の用法・用量追加/サノフィ

 サノフィは2025年12月22日、デュピルマブ(商品名:デュピクセント)について、6~11歳の小児の気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の患者に限る)に関し、製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。 本承認は、既存治療でコントロール不良の中等症から重症の喘息を有する6~11歳の小児を対象とした海外第III相試験「LIBERTY ASTHMA VOYAGE(EFC14153試験)」、EFC14153試験を完了した患者を対象に実施した海外第III相試験「LTS14424試験(main study)」、国内第III相試験「LTS14424試験(Japan substudy)」の結果などに基づくものである。 EFC14153試験において、2型炎症性喘息(呼気中一酸化窒素濃度[FeNO]:20ppb以上または好酸球数150/μL以上)集団の年間増悪発現率(回/人年)は、デュピルマブ群0.305、プラセボ群0.748であり、デュピルマブ群で有意な改善が認められた(p<0.0001)。 電子化された添付文書の改訂後の「効能又は効果」「用法及び用量」の記載は、以下のとおり(下線部が変更箇所)。4. 効能又は効果300mgペン、300mgシリンジ既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 ○アトピー性皮膚炎注) ○結節性痒疹 ○特発性の慢性蕁麻疹○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)○慢性閉塞性肺疾患(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)○鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)200mgペン、200mgシリンジ既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 ○アトピー性皮膚炎注) ○特発性の慢性蕁麻疹○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)注)注)最適使用推進ガイドライン対象6. 用法及び用量(一部抜粋)〈気管支喘息〉通常、成人及び12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する。通常、6歳以上12歳未満の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として体重に応じて以下を皮下投与する。 15kg以上30kg未満:1回300mgを4週間隔 30kg以上:1回200mgを2週間隔

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米国でアルファガル症候群による初の死亡例を確認

 米国で、ダニが媒介するまれな肉アレルギーであるアルファガル(α-gal)症候群による死亡例が初めて確認されたことを、米バージニア大学医学部のアレルギー専門医であるThomas Platts-Mills氏らが報告した。この症例報告は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice」に11月12日掲載された。 Platts-Mills氏らによると、アルファガル症候群で死亡したのは、米ニュージャージー州在住の健康な47歳の男性である。この男性は、2024年夏、キャンプ先で夕飯に牛肉を食べた4時間後の深夜2時に、腹部に不快感を感じて目を覚ました。不快感はもがき苦しむほどの強さになり、下痢と嘔吐も生じたが、2時間後に容態は改善し、再び眠りについたという。翌朝、男性の体調は良く、5マイル(8km)歩いた後に朝食を食べた。夫婦でこの出来事について話し合い、医師に診てもらうことも考えたが、結局、受診しなかった。ただ、男性は息子の1人に「死ぬかと思った」と話したという。 2週間後、男性は午後3時にハンバーガーを食べた。妻が外出した午後7時の時点で、男性に消化器症状はなかった。しかし、7時30分頃までに男性の子どもが母親に電話をかけ、父親の様子が再びおかしいことを告げた。その後、息子は男性がバスルームの床の上に意識不明で倒れているのを見つけた。周囲には吐瀉物が見られた。息子は7時37分に救急車を呼び、蘇生措置を開始した。男性は病院に搬送され、2時間にわたる蘇生措置が施されたが、午後10時22分に死亡が確認された。 剖検では、心臓、呼吸器、神経系、腹部に異常は認められず、心臓、右肺、肝臓の顕微鏡検査、心臓病理学検査でも異常はなかった。毒物検査の結果は、血中エタノール濃度は0.049%、ジフェンヒドラミン濃度は440ng/mLだった。剖検の結論は、「原因不明の突然死」とされた。しかし、妻は原因究明を求め、この男性を診察していた医師は、バージニア大学の研究者に連絡を取った。Platts-Mills氏らが行った血液検査から、アルファガル症候群が確認された。 アルファガル症候群は、マダニに噛まれた際に、ダニの唾液に含まれるアルファガルが体内に取り込まれ、それに対するIgE抗体が産生されることを原因として発症する。このようにして感作が成立した人が、牛、豚、羊、その他の哺乳類の肉を摂取すると、この抗体が肉に含まれるアルファガルと反応してアレルギー反応を引き起こすのだ。主な症状は、蕁麻疹、吐き気、胃の痛みだが、専門家は以前より重症化してアナフィラキシーにより死に至る可能性もあると懸念していた。 今回死亡した男性の場合、直近でダニに噛まれた経験はなかったものの、2024年の夏に、足首に12~13カ所、かゆみを伴うダニの刺し口が見られた。Platts-Mills氏は、これらは主にローンスターダニの幼虫によるものと指摘している。また研究グループは、男性のアレルギー反応を悪化させた可能性のある要因として、ハンバーガーとともにビールを飲んでいたことや運動、花粉などを挙げている。 Platts-Mills氏はこの症例を踏まえた注意喚起として、「一般の人にとって重要な情報は、第一に、牛、豚、羊の肉を食べてから3~5時間後に激しい腹痛が起こった場合は、アナフィラキシーショックの可能性があるため、検査が必要だということ。第二に、1週間以上かゆみが続くダニの刺し口がある場合も、哺乳類由来の肉に対する過敏症を誘発したり、悪化させたりする可能性があることだ。一方、軽度から中程度の蕁麻疹であれば、ほとんどの場合、食事管理で症状をコントロールすることができる」とニュースリリースで述べている。

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英語で「蕁麻疹」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第43回

医学用語紹介:蕁麻疹 urticaria「蕁麻疹」を患者さんに説明する際、専門用語であるurticariaでは通じないことが多いと思います。それでは、蕁麻疹と伝えたいとき、どのような一般用語で言い換えればよいでしょうか?講師紹介

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認知症リスク低下と関連しているワクチン接種は?

 高齢者で多くみられる認知症は、公衆衛生上の優先事項である。しかし、認知症に対するワクチン接種の有用性については、十分に解明されていない。イタリア・National Research CouncilのStefania Maggi氏らは、一般的な成人向けのワクチン接種が認知症リスク低減と関連しているかを評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Age and Ageing誌2025年10月30日号の報告。 2025年1月1日までに公表された研究をPubMed、Embase、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。対象研究は、50歳以上の成人において、ワクチン接種を受けた人と受けていない人の間で認知症および軽度認知障害(MCI)の発症率を比較した観察研究とした。4人の独立したレビュアーがデータを抽出し、ニューカッスル・オタワ尺度を用いて研究の質を評価した。リスク比(RR)と95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。主要アウトカムは、認知症(そのサブタイプを含む)の発症率とした。 主な結果は以下のとおり。・分析対象研究は21件(参加者:1億403万1,186例)。・帯状疱疹ワクチン接種は、すべての認知症(RR:0.76、95%CI:0.69~0.83)およびアルツハイマー病(RR:0.53、95%CI:0.44~0.64)のリスク低下と関連していた。・インフルエンザワクチン接種は、認知症リスクの低下と関連しており(RR:0.87、95%CI:0.77~0.99)、肺炎球菌ワクチン接種もアルツハイマー病リスクの低下と関連していた(RR:0.64、95%CI:0.47~0.87)。・破傷風、ジフテリア、百日咳の三種混合ワクチン接種も、認知症発症リスクの有意な低下と関連していた(RR:0.67、95%CI:0.54~0.83)。 著者らは「成人に対するワクチン接種、とくに帯状疱疹、インフルエンザ、肺炎球菌、三種混合のワクチン接種は、認知症リスクの低下と関連している。認知症予防のための公衆衛生施策に、ワクチン接種戦略を組み込むべきである」と結論付けている。

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現金給付による死亡率低下、そのメカニズムとは/Lancet

 米国・ペンシルベニア大学のAaron Richterman氏らは以前、現金給付プログラムが低・中所得国(LMIC)において、女性と幼児の死亡率を人口集団レベルで大幅に低下させることを報告している。同氏らの研究チームは今回、この死亡率の低下の背景にあるメカニズムの探索を目的に検討を行い、現金給付プログラムによって、妊産婦保健サービスの利用や子供の健康・栄養状態などに関連する12のアウトカムが大幅に改善されることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年11月10日号に掲載された。37のLMICで17のアウトカムを差分の差分分析で評価 本研究では、2段階差分の差分分析を用いて、アフリカ、中南米・カリブ海地域、東南アジアの37のLMICにおける人口動態・健康調査(DHS)の個人レベルのデータと、2000~19年の政府主導の現金給付プログラムの包括的なデータベースを統合し、プログラム導入前後で、プログラム実施国と非実施国を比較した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 現金給付プログラムが、妊産婦保健サービスの利用(3項目)、妊孕性・生殖に関する意思決定(5項目)、養育者の健康行動(3項目)、子供の健康・栄養状態(6項目)に関連する合計17項目のアウトカムに及ぼす影響を評価した。 研究対象の37ヵ国のうち、研究期間中に20ヵ国が大規模な現金給付プログラムを導入した。生児出生215万6,464人のデータと、5歳未満児95万4,202人のデータを解析の対象とした。子供の死亡率低下に4項目が直接関連 政府主導の大規模現金給付プログラムは、評価対象の17項目のうち次の12のアウトカムについて大幅な改善をもたらした。 早期妊婦健診(現金給付による絶対変化:5.0%ポイント、95%信頼区間[CI]:2.1~7.9、padjusted=0.0019)、施設分娩(同:7.3%ポイント、95%CI:3.2~11.3、同=0.0014)、有資格者による分娩介助(7.9%ポイント、3.2~12.6、0.0027)、希望妊娠(1.9%ポイント、0.5~3.2、0.014)、分娩間隔(2.5ヵ月、1.8~3.1、0.0017)、避妊ニーズの未充足(-10.3%ポイント、-15.2~-5.3、0.0006)、完全母乳育児(14.4%ポイント、13.3~15.5、0.0004)、最低限適切な食事(7.5%ポイント、5.5~9.5、0.0009)、麻疹ワクチン接種(5.3%ポイント、1.6~8.9、0.026)、男子双生児出生(男子生児出生1,000人当たり0.8人、0.3~1.4、0.023)、下痢性疾患(-6.4%ポイント、-11.7~-1.1、0.038)、低体重栄養状態(-2.0%ポイント、-3.6~-0.4、0.029)。 これらは、妊産婦保健サービスの利用、妊孕性・生殖に関する意思決定、養育者の健康行動、子供の健康・栄養状態に影響を及ぼし、施設分娩(補正後リスク比:0.89、95%CI:0.84~0.93)、有資格者による分娩介助(0.86、0.82~0.91)、分娩間隔(0.99/月の増加、0.99~0.99)、希望妊娠(0.88、0.81~0.96)の4項目は、その後の子供の生存率向上や死亡率低下に直接関連していた。早期妊婦健診(1.00、0.95~1.05)は死亡率とは関連しなかった。 一方、次の5項目には、現金給付プログラムによる統計学的に有意な改善を認めなかった。初産年齢(現金給付による絶対変化:1.6ヵ月、95%CI:-1.3~4.4、padjusted=0.48)、意図した妊娠(同:-0.2%ポイント、95%CI:-2.8~2.3、同=0.86)、主観的に小さい出生時サイズ(0.4%ポイント、-0.7~1.4、0.53)、やせ(-2.1%ポイント、-5.0~0.9、0.17)、低身長(4.3%ポイント、-0.2~8.7、0.10)。人口集団のカバー率が高いプログラムで優れた効果 主解析の結果は、多重比較法による補正後も頑健であった。また、サブグループ解析では、人口集団のカバー率が最も高い現金給付プログラムで最大の効果が観察された。 著者は、「現金給付と死亡率の因果経路における潜在的な役割を超えて、これらすべてのアウトカム自体が、きわめて重要な関心事である」「本研究は、LMICにおける主要な健康関連指標に関して、多数の国で実施された現金給付プログラムの集団全体への影響を包括的に評価した初の試みの1つである」「多くの国が現金給付プログラムの縮小または拡大を慎重に検討する中、これらの知見は、施策立案者が現金給付プログラムの健康面での恩恵を適切に判断するうえで有用と考えられる」としている。

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日本のプライマリケア受診の蕁麻疹患者、約3分の1が罹患期間3年以上

 日本の9つの皮膚科プライマリケアクリニックを受診した蕁麻疹患者約千例において、36.1%が罹患期間3年以上であることが明らかになった。罹患期間は、高齢患者、皮膚描記症(dermographism)およびコリン性蕁麻疹患者でより長い傾向がみられた。広島大学の齋藤 怜氏らによる、The Journal of Dermatology誌オンライン版2025年10月31日号への報告より。 本研究では、蕁麻疹の予後に関連する因子を検討するため、2020年10月1日~11月11日に9つの皮膚科プライマリケアクリニックを受診した蕁麻疹患者1,061例を対象に、罹患期間についての横断的解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・216例(20.4%)は急性蕁麻疹であり、蕁麻疹の罹患期間3年以上が383例(36.1%)、10年以上が125例(11.8%)であった。・罹患期間について、男女間で有意差は認められなかった。・20歳未満の患者では75例(38.9%)が急性蕁麻疹であった一方、50歳超の患者では20%超が罹患期間10年以上であった。・皮膚描記症およびコリン性蕁麻疹患者における罹患期間3年以上の患者の割合は、それぞれ42%および45.3%であった。

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小児のアトピー性皮膚炎、特発性慢性蕁麻疹の在宅治療に期待(デュピルマブ皮下注200mgペン発売)/サノフィ

 サノフィは、小児のアトピー性皮膚炎および特発性の慢性蕁麻疹の治療薬デュピルマブ(商品名:デュピクセント)の皮下注200mgペンを11月17日に発売した。 デュピルマブは、2型炎症において中心的な役割を果たすタンパク質であるIL-4およびIL-13の作用を阻害する、完全ヒト型モノクローナル抗体製剤。気管支喘息などのすでに承認された適応症に加え、原因不明の慢性そう痒症、慢性単純性苔癬などの開発も行っている。わが国では2025年2月に小児の気管支喘息、2025年4月に水疱性類天疱瘡に対して適応追加申請を行っている。 今回発売された「200mgペン」は、「デュピルマブ製剤」として在宅自己注射指導管理料の対象薬剤として指定されている。「あてる、押す」の2ステップによる簡便な操作で、200mgシリンジ製剤と同一組成の薬液を自動的に注入するペン型の注射剤。同社では、小児患者の在宅自己注射時の利便性向上が期待でき、新たな治療選択肢になると期待を寄せている。<製品概要>※今回の発売製品の情報のみ記載一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え)商品名:デュピクセント皮下注200mgペン効能または効果:・既存治療で効果不十分な下記皮膚疾患 アトピー性皮膚炎 特発性の慢性蕁麻疹※最適使用推進ガイドライン対象用法および用量:〔アトピー性皮膚炎〕通常、生後6ヵ月以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として体重に応じて以下を皮下投与する。5kg以上15kg未満:1回200mgを4週間隔15kg以上30kg未満:1回300mgを4週間隔30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回200mgを2週間隔60kg以上:初回に600mg、その後は1回300mgを2週間隔〔特発性の慢性蕁麻疹〕通常、12歳以上の小児にはデュピルマブ(遺伝子組換え)として体重に応じて以下を皮下投与する。30kg以上60kg未満:初回に400mg、その後は1回200mgを2週間隔60kg以上:初回に600mg、その後は1回300mgを2週間隔薬価:デュピクセント皮下注200mgペン:3万9,706円(キット)製造販売承認日:2023年9月25日薬価基準収載日:2025年11月12日発売日:2025年11月17日製造販売元:サノフィ株式会社

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第288回 日本で異常事態の “ある感染症”、その理由と対策法とは

INDEXつい気になった別の感染症の発生動向流行ウイルスは輸入型、ワクチン対象者拡大がカギ?つい気になった別の感染症の発生動向先日、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関する記事を執筆した際、国立健康危機管理研究機構が発表している感染症発生動向調査週報を参照したのだが、その際、ちょっと気になることがあったので、今回はそのことについて触れてみたい。私個人は仕事柄というか生まれつき、さまざまなことに興味を持つ性分である。悪く言えば「熱しやすく冷めやすい」、酷評すれば「何かをやらねばならない時につい横道に逸れてしまいがち」だ。前述の時もついついSFTS以外の全数報告感染症のデータをまじまじと眺めてしまった。その時に気になったのが、今年の麻疹の発生動向である。最新の第44週(10月27日~11月2日)までの全国での累計感染者数は232例。コロナ禍前年の2019年の流行時に年間744例が報告されたこともがあったが、それ以後の最多は2024年の45例であり、今年は明らかに異常事態である。第44週までの感染者報告の多い地域は、神奈川県の40例、東京都の30例、茨城県・千葉県・福岡県の各22例などである。厚生労働省もこの点に危機感を持ったのか、健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課長と予防接種課長の連名通知(感感発1003第1号、感予発1003第1号)「麻しん及び風しんの定期接種対象者に対する積極的な接種勧奨等について(依頼)」1)を10月3日付で発出した。同通知では令和6年度(2024年4月1日~2025年3月31日)のワクチン定期接種対象者の接種率が第1期は92.7%、第2期は91.0%であることにも言及している。ご存じのように感染力が強い麻疹の基本再生産数から算出される集団免疫獲得に必要なワクチン接種率は95%以上であり、厚生労働省の「麻しんに関する特定感染症予防指針」2)でもこの目標を掲げているが、現時点では達成できていない。都道府県別の接種率を見ると、95%以上を達成しているのは第1期で福島県の95.1%のみ。感染報告数トップ2の神奈川県は94.8%、東京都は94.3%とわずかに届かない。第2期では95%以上の都道府県はなく、最高でも94.2%にとどまる。全国的な動向を俯瞰すると、東高西低で九州・沖縄地方では第1期段階でも接種率90%未満の県が散見される。そして前出の通知では、厚生労働省側が文部科学省を通じ学校などでの接種勧奨に注力していることもわかる。率直に言って、95%という目標を実現するのは並大抵の労力では実現しえない。たとえて言うならば、100点満点のテストで平均50点の人を平均60点に引き上げるよりも、平均90点の人を平均95点に引き上げるほうが実際にはかなり困難なのと同じだ。各方面から接種勧奨という、半ば砂地に水をまくような努力を繰り返してようやく達成できるかどうかと言える。ただ、これをやらねば現状の維持すら難しいのは、多くの人が理解できるだろう。流行ウイルスは輸入型、ワクチン対象者拡大がカギ?一方、東京都感染症情報センターが公表している最新の麻疹流行状況3)を参照すると、麻疹流行のセキュリティーホールらしきモノが見えてくる。それを端的に示しているのが、推定感染地域も含む遺伝子型検査結果だ。麻疹ウイルスは20種類以上の遺伝子型が知られており、日本の土着株は遺伝子型D5だが、この結果を見れば現在D5は検出されていない。そもそも長きにわたって国内でD5検出事例はなく、それがゆえに日本は世界保健機関(WHO)から麻疹排除国として認定されている。そして東京都の遺伝子型検査結果からは、今の国内流行の主流となっているのは、アフリカや欧州を中心に確認されている遺伝子型B3と南アジア・東南アジアを中心に確認されている遺伝子型D8、つまり輸入例である。加えて推定感染地域として目立つのがベトナムだ。現在、日本とベトナムの人的交流はかなり活発である。日本政府観光局の公表データによると、2024年の訪日ベトナム人推計値は62万1,100人、これに対しベトナムを訪れた日本人は約70万人である。また、訪日ベトナム人は観光や商用目的の一時滞在ばかりではなく、技能実習や特定技能での労働目的も多いことは周知の事実である。出入国在留管理庁の公表数字では、2024年末現在、技能実習21万2,141人、特定技能13万3,478人を含む63万4,361人の在留ベトナム人がいる。この人数は在留外国人の国籍別で第2位だ。そのベトナムだが、WHOの報告では約5年おきに麻疹の流行が起き、最新の流行は昨年から今年にかけてである。この背景にはコロナ禍中のワクチンの在庫不足で小児の麻疹ワクチン接種率が2023年には82%まで落ち込んだことが大きく影響しているようだ。また、ベトナム国内では年齢層や居住地域によるワクチンギャップも指摘されている。このような事情や、ベトナム人に限らず日本国内で就労する外国人は当面増えることはあっても減ることはないことを考え合わせれば、従来の枠にとどまらない麻疹流行対策も浮かんでくるはずだ。具体的には技能実習や特定技能での来日者やその雇用主へのワクチン接種の積極的勧奨、さらにはそうした労働者が多い企業に関わる産業医などへの啓発である。場合によっては、雇用主に対しこうした来日者へのワクチン接種費用の一部公的助成などの施策も考えられる。このように書くと、いわゆる「日本人ファースト」的な人たちからは「公費で外国人に…」とお叱りを受けそうだが、これは日本の公衆衛生のためでもあり、また来日した人たちの母国への国際貢献や意識改革などにもつながる良策だと思うのだが。 1) 厚生労働省:麻しん及び風しんの定期接種対象者に対する積極的な接種勧奨等について(依頼) 2) 厚生労働省:麻しんに関する特定感染症予防指針 3) 東京都感染症情報センター:麻しんの流行状況(東京都 2025年)

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