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日本における統合失調症、患者と介護者の負担は?

 統合失調症は重篤な精神疾患であり、臨床的、経済的、そして人道的に大きな影響を及ぼす。日本ベーリンガーインゲルハイムのFumiko Ono氏らは、日本における統合失調症患者と介護者への負担を評価するため、文献レビューを行った。Schizophrenia誌オンライン版2026年1月20日号の報告。 2013~23年のPubMed、医中誌、CiNii、J-STAGE、Cochraneデータベースおよび2018~23年の医師会、政府機関、患者団体からの補足資料から該当データを収集した。本レビューでは、統合失調症患者と介護者が経験する疫学、臨床管理、社会的、人道的、そして経済的負担に焦点を当てた。 主な内容は以下のとおり。・本レビューでは、156件の学術雑誌論文、73件の会議録、37件の追加データソースを特定した。・頻発する併存疾患として肥満、うつ病、2型糖尿病が注目されていた。・統合失調症における認知機能障害は、統合失調症簡易認知評価(BACS)によって評価され、zスコア-2.1で重度の機能障害を示した。・社会的孤立や退院後サポートの不足など、長期入院に関連する問題も報告されていた。・認知機能の改善、セルフケアの促進、地域社会との連携強化を目的とした介入が、早期再入院リスクを低下させる重要な因子として特定された。・介護者は、とくにプレゼンティーイズム(出勤しているが業務遂行能力が低下している状態)により、著しい生産性の低下を経験しており、年間約240万円の損失につながったと推定された。・さらに、統合失調症の包括的な負担に対処するための啓発キャンペーン、教育プログラム、多職種連携アプローチといった、関係者主導の取り組みが十分でないことが明らかとなった。 著者らは「日本における統合失調症の多面的な負担が明らかとなり、患者、介護者、医療従事者、政策立案者など多様な関係者が関与する、協調的かつエビデンスに基づいた対策の緊急の必要性が示唆された。統合失調症に伴う負担を軽減し、医療を改善するためには、必要な介入と関係者の関与とのギャップを埋めるためのさらなる研究が求められる」としている。

102.

祝日や年末に外傷は増える? 国内データが示す外傷の季節性

 救急外来や外傷医療の現場では、患者数の増減が医療提供体制に大きな影響を与える。これまで外傷の発生には季節性があることが知られてきたが、祝日や年末年始といった社会・文化的イベントとの関係を、長期かつ日単位で検証した研究は限られていた。日本全国38万人超の外傷データを解析した本研究では、ゴールデンウィークや年末など特定の時期に外傷が増加する一方で、お盆や年始には減少することが明らかになった。研究は、総合病院土浦協同病院救命救急センター・救急集中治療科の鈴木啓介氏、遠藤彰氏によるもので、詳細は12月18日付で「Scientific Reports」に掲載された。 外傷は世界的に主要な死因・障害原因であり、医療・社会に大きな負担を与えている。外傷発生の季節性や祝日の影響はこれまでにも報告されてきたが、多くは短期間の観察にとどまっていた。比較的均質な文化・行動様式を持つ日本では、ゴールデンウィークやお盆、年末年始など生活リズムが大きく変化する時期が存在し、加えて自殺は春から夏に多いという季節性も知られている。本研究は、18年間にわたる全国外傷データを日単位で解析し、こうした年間を通じた行動パターンと外傷・自殺企図の発生動向を包括的に評価することで、医療資源配分や予防戦略の最適化に資する知見を得ることを目的とした。 本研究では、2004年1月から2021年12月までの日本外傷データバンク(JTDB)を用いて後ろ向き解析を行った。JTDBは、少なくとも1部位で簡易傷害度スケール(AIS)3以上を有する重症外傷患者のみを登録対象とする全国データベースである。JTDBからは、年齢、性別、受傷日および受傷機転、外傷分類、外傷重症度スコア(ISS)、AIS、退院時転帰などの変数を抽出し、受傷日(年月日)が特定可能な外傷患者を対象とした。対象患者は搬送日ごとに分類し、1年365日それぞれの日単位で解析した。日別の患者数、外傷重症度、自殺企図、死亡率を評価し、周期関数を組み込んだ負の二項回帰、外傷重症度で調整したロジスティック回帰、ならびに一般化極端スチューデント化偏差(GESD)検定を用いて外れ値を同定した。 本研究では38万3,473人が解析に含まれた。解析の結果、外傷症例数は年間を通じて大きく変動し、9~12月に多い傾向が示された。ゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)や、文化の日(11月3日)、体育の日(現スポーツの日:10月10日)、年末(12月28~29日)にピークがみられた一方、お盆期間(8月中旬)、特に8月15日前後や年始には減少し、最少は3月7日(886例)、次いで1月3日(898例)であった。 自殺企図は21,637例(全体の5.6%)で、5~6月および8月下旬~9月に増加し、10~12月に減少するなど、全外傷とは異なる季節性が認められた。 日別死亡率は平均9.6%で、年間を通じた変動は小さく、明確な季節性や有意な外れ値は認められなかった。また、2004~2021年の全期間を通じて、外傷症例数の季節変動パターンは概ね一貫していた。 著者らは、「日本の外傷症例数は、祝日や季節的な生活習慣に沿った一定の年間変動を示した。自殺企図は独自の季節性を示したが、外傷全体の症例数や死亡率に大きな影響はなかった。本研究は、外傷医療リソースの計画や予防策を検討するうえで、行動や社会的要因を考慮することの重要性を示している」と述べている。 なお、本研究の限界として、重症外傷患者に限定した解析であり、日本特有の文化的背景を反映している点や、後ろ向き研究のため、祝日と外傷発生の因果関係を直接示せない点などを挙げている。

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「専属産業医」を一度経験してみませんか?【実践!産業医のしごと】

臨床現場に例えて考える産業医活動産業医として働く際には、大きく分けて「専属産業医」と「嘱託産業医」の2つの働き方があります。専属産業医は特定の企業に常勤し、日々その組織の中で活動します。一方、嘱託産業医は月に数回、限られた時間の中で企業を訪問し、面談や職場巡視を行います。両者の違いを一般の臨床現場に例えると、専属産業医は「病棟を持つ医師」、嘱託産業医は「外来のみを担当する医師」に近いかもしれません。臨床の現場を振り返ってみましょう。外来診療がスムーズに機能するのはなぜでしょうか? それは多くの場合、外来担当医が、過去に病棟内で患者の日々の経過を追った経験を持っているからではないでしょうか。発症から悪化、そして回復に至るまでの一連のプロセスを肌で知っているからこそ、外来という限られた時間の中でも「この所見は注意が必要だ」「この経過なら次回まで大丈夫だろう」と判断できます。病棟経験で培われた「時間軸を持った臨床感覚」が、限られた時間の外来の中での意思決定を支えているのです。専属産業医だからこそ見えるもの産業医活動にも同じことが言えます。専属産業医として企業の中に身を置くと、外からでは決して見えないものが見えてきます。たとえば、企業の意思決定がどのようなプロセスで行われるのか。人事異動や組織再編の裏側にある経営判断。職場環境を調整したくても、予算や人員枠(ヘッドカウント)の制約があること。利益を生み出すために現場がどれほどの努力をしているか。リストラという重い決断が、どのような苦悩の中で下されるのか。こうした「企業のリアル」は、月に数回の訪問では、なかなか実感を持って理解することが難しい領域です。専属産業医として日々組織の中にいるからこそ、社員が働く環境の限界や、会社として対応できることの境界線が体感的にわかるようになります。「職場環境を改善しましょう」「配置転換を検討してください」など、産業医としてよく口にする提案も、企業の内部構造を深く知ったうえで発する言葉と、外から一般論として述べる言葉とでは、その説得力も実現可能性もまったく異なってきます。企業の仕組みを変えるという営みは、一度その仕組みの中に深く入った経験がなければ、難しい場面が多いのも事実です。嘱託産業医の活動をより豊かにするために誤解のないように申し上げますが、これは嘱託産業医として活躍されている方の活動を否定するものではまったくありません。嘱託産業医には、複数の企業を担当することで得られる幅広い視野や、外部の立場だからこそ言えることがあるという強みがあります。ただ、もしキャリアのどこかで専属産業医を経験する機会があるならば、一度飛び込んでみる価値は大いにあると思います。病棟を経験した医師の外来が一段深くなるように、専属産業医の経験は、その後の嘱託産業医活動にも確実に厚みをもたらします。面談の場で社員が語る言葉の背景にある組織の事情を想像できるようになる。人事担当者への助言に、より現実的な視点が加わる。「会社とはこういうものだ」という肌感覚が、産業医としてのあらゆる判断を支えてくれるようになる…。産業医としてのキャリアは長い道のりです。その中で、専属産業医という経験は、産業医活動の奥深さをより味わうための、またとない一歩になるのではないでしょうか。

104.

片頭痛予防に有効性と安全性のバランスが最もよいCGRP関連抗体薬は?

 反復性片頭痛は、生活の質を著しく低下させる神経疾患である。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体薬は、反復性片頭痛の予防と治療に有効性が示されている。パキスタン・Islamic International Medical CollegeのIshwa Shakir氏らは、反復性片頭痛に対する各CGRP関連抗体薬の有効性および安全性を比較するため、ランダム化比較試験(RCT)のネットワークメタ解析を実施した。European Journal of Clinical Pharmacology誌2026年1月17日号の報告。 2024年9月にPubMed、Cochrane、Embaseデータベースよりシステマティックに検索し、反復性片頭痛に対するCGRP関連抗体薬に関するRCTを特定した。有効性(1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化)と安全性(有害事象発現率)を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。オッズ比(OR)と累積順位曲線下面積(SUCRA)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・16件の研究(9,123例)をネットワークメタ解析に含めた。・ガルカネズマブ(240mg)は、最も高い有効性を示した(標準化平均差:0.5012、p<0.0001)。・フレマネズマブ(225mg)は、片頭痛日数の50%以上の減少のオッズが最も高かった(OR:3.1684、p<0.0001)。・エレヌマブ(28mg)は、最も優れた安全性プロファイルを示した(OR:0.6815、p=0.2220)。・フレマネズマブは、有効性(SUCRA:84.6%)と安全性(SUCRA:61.8%)の両方で最も評価が高かった。 著者らは「フレマネズマブは有効性と安全性のバランスが最も優れている。今後、フレマネズマブの長期試験の実施が望まれる」と結論付けている。

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蛋白尿の進行が認知機能低下と独立して関連

 慢性腎臓病(CKD)患者を対象とした前向きコホート研究により、CKDの重症度が認知機能障害の発症リスク上昇と関連し、とくに蛋白尿の進行が注意力・処理速度および実行機能の低下と独立して関連することが、米国・Tulane University School of Public Health and Tropical MedicineのZhijie Huang氏らにより示された。JAMA Network Open誌2026年2月17日号掲載の報告。 これまでの研究により、CKDが認知症や認知機能低下のリスク因子となる可能性が指摘されているが、CKD患者のみを対象に前向きに検討した研究は限られている。そこで研究グループは、推算糸球体濾過量(eGFR)の低下と尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)の上昇が認知機能障害の発症率上昇と関連するという仮説を立て、eGFRおよびUPCRに基づくCKD重症度と認知機能障害の発症との関連を検討した。 対象は、Chronic Renal Insufficiency Cohort(CRIC)研究に2003~08年および2013~15年に登録された21~79歳のCKD患者5,607例であった。ベースラインで認知機能障害を有する患者は除外した。統計分析は2024年8月~2025年12月に実施した。 認知機能は、全般的認知機能をModified Mini-Mental State Examination、言語記憶・遅延再生をBuschke Selective Reminding Test、注意力・処理速度をTrail Making Test A、実行機能をTrail Making Test Bで年1回または2年ごとに評価した。各検査において、ベースライン時のコホート全体平均から1SD以上低い値を示した場合を認知機能障害の発症と定義した。Cox比例ハザードモデルを用い、人口統計学的因子や生活習慣、臨床因子を段階的に調整して解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・参加者5,607例のうち、男性は3,159例(56.3%)、平均年齢は59.6歳(SD 10.8)、追跡期間中央値は各検査で4~6年であった。・対数変換したUPCRが1SD上昇するごとに、注意力・処理速度障害のリスクは21%増加し(ハザード比[HR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.05~1.41、p=0.01)、実行機能障害のリスクは16%増加した(HR:1.16、95%CI:1.02~1.31、p=0.02)。・eGFRが1SD低下するごとに、注意力・処理速度障害のリスクは21%増加した(HR:1.21、95%CI:1.05~1.38、p=0.006)。・CKDステージ別では、G4~5はG1~2と比較して、注意力・処理速度障害リスクが54%増加した(HR:1.54、95%CI:1.05~2.27、線形傾向のp=0.03)。・UPCRと認知機能障害との関連はeGFRで調整した後も維持された一方、eGFRと注意力・処理速度との関連はUPCRで調整した後に大きく減弱した。・eGFRとUPCRを組み合わせた統合解析では、両方が最も進行した群(eGFRが60mL/分/1.73m2未満かつUPCRが150mg/g以上)は、基準群(eGFRが60mL/分/1.73m2以上かつUPCRが150mg/g未満)と比較して、全般的認知機能障害のリスクが38%増加し(HR:1.38、95%CI:1.05~1.82、p=0.003)、言語記憶・遅延再生障害のリスクが54%(HR:1.54、95%CI:1.08~2.19、p=0.02)増加した。・これらの関連は、年齢、性別、人種、糖尿病の有無にかかわらず一貫して認められた。 これらの結果より、研究グループは「CKDの重症度が認知機能障害の発症率増加と前向きに関連することが示された。これらの知見は、CKDの重症度が認知機能低下の危険因子であることを強調するものである」とまとめた。

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中年日本人男性における就寝前の水分摂取が睡眠や抑うつ症状に及ぼす影響

 日中の適切な水分摂取はメンタルヘルスを向上させることが知られている。しかし、就寝中への影響はいまだ明らかになっていない。産業技術総合研究所の甲斐田 幸佐氏らは、就寝前の白湯摂取が睡眠パラメーターおよび抑うつ気分に及ぼす影響を明らかにするため、本研究を実施した。PLoS One誌2026年1月6日号の報告。 本研究は日本人2,000人を対象に、就寝前の水分摂取とうつ病自己評価尺度(CES-D)を用いて測定した抑うつ気分との関連を明らかにするため、質問票を用いて調査を行った(Study1)。また、就寝直前に280mLの白湯を摂取した場合と、就寝前2時間以上何も摂取しない場合の影響を比較した(Study2)。 主な内容は以下のとおり。・Study2の結果、就寝直前の白湯摂取は、翌朝の抑うつ気分を軽減し、レム睡眠潜時を延長させ、レム睡眠時間を短縮させることが示唆された。・しかし、白湯摂取は夜間頻尿の可能性を増加させた。 著者らは「メリットとデメリットのバランスを取ることは重要ではあるものの、就寝前に普通の水を飲む習慣は、主観的ウェルビーイングを高めるシンプルで効果的な手段である」としている。

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日本における認知症の診断遅延と関連する要因は?

 認知症患者とその家族の生活の質を向上させるには、早期の診断とケア開始が不可欠である。日本では、支援団体が診断前後の孤立期である空白期間に注目しているが、その決定要因を検討した量的研究は、これまでほとんどなかった。東京都健康長寿医療センター研究所の岡村 毅氏らは、空白期間という枠組みを用いて、診断の遅れとケアアクセスの遅延に関連する要因を調査した。Psychogeriatrics誌2026年1月号の報告。 本研究では、日本国内の医療機関78施設と認知症サポート医27人の協力の下、外来診療を受けている認知症患者の家族介護者を対象に、探索的横断的調査を実施した。空白期間は、空白期間I(BP1、認知症の認知から診断まで)と空白期間II(BP2、診断から介護保険サービス開始まで)の2つの段階に分類した。BP期間が75パーセンタイルを超えた参加者は、診断遅延または医療アクセス遅延に分類した。ロジスティック回帰分析は、BursacらおよびZhangらが提案した目的変数選択戦略に基づいて実施された。 主な結果は以下のとおり。・分析には、合計216の質問票が使用された。・BP1およびBP2の平均期間は、それぞれ13.5ヵ月と16.9ヵ月であった。・診断遅延は、女性介護者(オッズ比[OR]:4.51、95%信頼区間[CI]:1.72〜11.92、p=0.002)および患者の受診躊躇(OR:4.52、95%CI:2.07〜9.87、p<0.001)と関連していた。・ケアアクセス遅延(BP2)は、診断時に65歳未満であること(OR:7.44、95%CI:1.93〜28.66、p=0.004)および同居していること(OR:3.78、95%CI:0.85〜16.91、p=0.082)と有意な関連が認められた。 著者らは「日本における認知症患者の診断およびケアの遅延には、社会的要因、文化的要因、病理学的要因が関連していることが明らかになった」と結論付けている。

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医師に対する死と終末期ケアに関する教育は不十分

 医師は、あらゆる職業の中でもとりわけ「死」に直面する機会が多い。それは、人命を救い、人を助けることに人生を捧げる職業に伴う宿命だ。しかし、現代の医学教育は、この避けられない課題に対して医師を十分に準備させていないようだ。最新のエビデンスレビューにおいて、医学部生が、人生の最終段階を迎える患者やその家族を支援する方法について学べる、エビデンスに基づいた教育はほとんど存在しないことが明らかになった。米ワシントン州立大学人間発達学分野のRaven Weaver氏らによるこの研究結果は、「Academic Medicine」に12月3日掲載された。 研究グループは、この状況は、患者にとってだけでなく、将来医師になる学生自身にとっても不利益であると指摘している。Weaver氏は、「トレーニングは、医師が患者や家族の死に対する恐怖を和らげるのに役立つが、同時に医師自身の恐怖も軽減する。医学部生は、実際に現場で働き始めるまで、この問題について十分な経験を積むことができない場合が多い。患者と直接向き合う前に、教室での教育によってこの課題について考えるきっかけを与えることができる可能性がある」とニュースリリースで語っている。 Weaver氏らは今回、PubMedとEMBASEで2010年1月から2025年4月の間に発表された、医学部における死や終末期ケア教育についての論文を検索し、最終的に43件の研究を対象にスコーピングレビューを行った。 その結果、医学部における死や終末期ケアの教育方法には大きなばらつきのあることが明らかになった。その中には、死亡診断書の書き方、終末期医療の定義、事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)などの基本事項の説明にとどまる場合もあった。一方で、1週間のホスピス実習や、3年次に必修の緩和ケア実習など、より実践的な教育を行っているカリキュラムも存在した。しかし研究グループは、「米国の医学部において、死や終末期ケアに関する一貫したエビデンスに基づく教育アプローチは存在しない」と結論付けている。また、たとえこうした教育が行われている場合でも、実施期間が短く、長期的な影響はほとんど期待できないと指摘している。 論文の筆頭著者であり、米ワシントン州立大学の卒業生であるLogan Patterson氏は、不十分な教育が将来の医師をいかに無防備な状態にするかを、身をもって経験したという。同氏は、「救急外来で1回でも当直をすれば、終末期について十分に向き合ってこなかった患者に出会うだろう。慢性疾患の患者を、本人が望んでいると思って家族が病院に連れて来たものの、実際には本人は入院を望んでいなかったというような場面も何度か目にした。医師に対するより良い教育があれば、こうした混乱を、病院で時間との戦いになる前に防げるはずだ」と話している。 Weaver氏は、医学部在学中または臨床現場で追加研修を行うことで、望まれない治療を減らし、家族の不必要な医療費負担を回避できる可能性があるとの見方を示す。同氏は、「研究によると、医療費が最も高くなるのは人生の最後の1年で、その多くが本人の望まない治療だ。医師は、当然のことながら、患者の命を救いたいと思う。しかし、患者の生活の質(QOL)を十分に考慮できていないことが多いのだ」と語る。 さらに、このような教育は、患者や家族とともにこの避けられない人生の最終段階を迎える際の、医師自身の精神的負担を軽減する助けにもなるとPatterson氏は言う。同氏は、「ほぼ全ての医師が、死や終末期ケアに関する教育が不足していると感じているだろう。医師が患者とこの話題について話すことは避けられない。キャリアの早い段階で少しでも死や終末期ケアの知識を得ておくことは、医師だけでなく患者にとっても必ず役立つはずだ」と話している。

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孫の世話は祖父母の脳に良い?

 孫の世話をすることは脳の老化に良い影響を与え、認知機能の低下を防ぐ可能性があるようだ。新たな研究で、孫の世話をする高齢者は、世話をしていない高齢者と比べて、記憶力や言語能力のテストのスコアが高いことが示された。興味深いことに、このような効果は、孫の世話をする頻度とは関係していなかったという。ティルブルフ大学(オランダ)のFlavia Chereches氏らによるこの研究結果は、「Psychology and Aging」に1月26日掲載された。 Chereches氏は、「われわれにとって最も印象的だったのは、孫の世話をすること自体が、どのくらい頻繁に世話をしたか、あるいは具体的にどのような活動を一緒に行ったかよりも、認知機能に影響を与えるように見えたことだ」とニュースリリースで述べている。 この研究では、英国の高齢者を対象とした長期研究(English Longitudinal Study of Ageing;ELSA)に参加した50歳以上の祖父母2,887人(平均年齢67.46歳、祖母56.70%)のデータを用いて、祖父母による孫の世話と認知機能との関連を検討した。試験参加者は、2016年から2022年の間に3回、アンケートに回答し、認知機能(言語流暢性、エピソード記憶)の評価を受けた。アンケートでは、過去1年間に、親のいない状態で孫の世話をしたかどうか、どのくらいの頻度で世話をしたか、どのような活動を行ったかが尋ねられた。 その結果、世話の頻度にかかわらず、孫の世話をしている祖父母はいずれも、世話をしていない祖父母に比べて、言語流暢性とエピソード記憶のレベルが高く、世話をすること自体が高齢者の脳に良い影響を与える可能性が示された。ただし、経時的に見た場合に認知機能低下が抑えられていたのは祖母のみであった。また、世話をする頻度と認知機能との関連を検討したところ、有意な関連は認められず、頻繁に世話をしているからといって影響が大きくなるわけではないことが示唆された。一方、世話の内容別に検討すると、孫との余暇活動や宿題の手伝いを頻繁に行っている祖父母では、頻度が低い祖父母に比べて言語流暢性とエピソード記憶のレベルが高かった。さらに、孫の食事の準備や学校への送迎を行う頻度が高い祖父母では、言語流暢性が高い傾向が見られた。 Chereches氏は、「さらなる研究によりこの結果が再現されるか確認する必要はあるが、もし祖父母による孫の世話に何らかの利点があるとすれば、それは、世話の頻度や具体的な活動内容よりも、孫の世話に関わる経験そのものに起因する可能性がある」と述べている。 Chereches氏はさらに、「支援的な家族環境の中で自発的に孫の世話をする場合と、世話が自発的ではなく負担に感じられるような、よりストレスの多い環境で世話をする場合とでは、祖父母に及ぶ影響は異なる可能性がある」と指摘し、祖父母の認知機能にもたらされ得る利点が、家族関係により影響されるのかを検討する必要があると述べている。

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コーヒーやお茶を飲むと認知症にならない?(サハラ砂漠のお茶)(解説:岡村毅氏)

 とても楽しい論文だし、科学的にもしっかり書いてある。一方で、ああそうですか、というのが私の正直な感想だ。例えるならば「夕方の天気を予測する因子を探したところ、傘を持っている人が多い日は、夕方から雨になる可能性が高いことが判明した!」と言われたような感じだ。そうかもしれないが、別に意味のある発見じゃないよな、ということだ。 あと、この論文は「コーヒーやお茶が認知症予防になる」とは一言も言っていない。しかしそのように誤読される危険があるという意味で、このコラムで取り上げる価値はある。 この論文が明らかにしたことは、「米国の医療職の長期コホートで、カフェイン入りコーヒーおよび茶の摂取量が多いことは、認知症リスクの低下と関連しており、カフェインレスコーヒーではそうではなかった」というだけのことだ。コーヒーやお茶を飲めば認知症にならないということではない。著者も「認知症予防」の「よ」の字も書いていない点はさすがである。 この論文からは、安定してカフェイン入りコーヒーやお茶といった嗜好品を飲み続けられる人は認知症にならないということはいえそうだ。こういうふうにもいえる。カフェイン入りコーヒーについていえば、長期にわたって働いている人、働けている人は認知症にならないから働けているわけだ。お茶についていえば、文化的な生活をしている人、できている人は、認知症にならないからできているわけだ。 カフェインの有無も面白い。カフェインレスコーヒーは、不眠や興奮などの有害事象はないため認知機能が低下しても飲めるということかもしれない。 この論文を読んで思い出したのは『サハラ砂漠のお茶』の寓話だ。私の愛読書であるポール・ボウルズの『シェルタリング・スカイ』に出てくる寓話だが、スティングのいたポリスというバンドが『Tea in the Sahara』という曲にしているので、それのほうが有名かもしれない。サハラ砂漠で完璧なお茶会をしようとするモロッコの女性の話だが、それは永遠にやって来ないという話である。コーヒーもお茶も認知症のことなど考えずに街で自然と飲めばよい、という気がする(わざわざ砂漠で飲まなくてもよいのだ)。

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日本人片頭痛患者に対する抗CGRP mAbsの有効性と患者満足度

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRP mAbs)は、臨床試験および実臨床において片頭痛に対する有効性が確認されている。しかし、東アジアにおいては、頭痛頻度以外のデータは、依然として限られていた。慶應義塾大学の今井 俊吾氏らは、日本の実臨床における抗CGRP mAbsの長期的な有効性、忍容性、患者満足度を調査した。Journal of the Neurological Sciences誌2026年2月15日号の報告。 本単施設観察研究には、2021年8月〜2023年2月に、3種類の抗CGRP mAbs(エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブ)のいずれかを投与された片頭痛患者を登録した。ベースラインの人口統計学的特性および頭痛特性を収集し、治療成績、有害事象、片頭痛関連症状、患者満足度を経時的に評価した。 主な結果は以下のとおり。・登録された患者は、発作性片頭痛患者81例または慢性片頭痛患者69例を含む合計150例。そのうち40例に片頭痛の前兆が認められた。・1ヵ月当たりの片頭痛日数が50%以上減少した患者は、6ヵ月後で67例中36例(54%)、12ヵ月後で42例中22例(52%)であった。・多変量ロジスティック回帰分析では、治療反応群と非治療反応群における人口統計学的特性および頭痛特性の差の中で、3ヵ月後の治療反応率は6ヵ月後の治療反応率と関連していることが示唆された。・片頭痛関連症状および前兆は、抗CGRP mAbs投与開始後5ヵ月まで改善傾向を示した。・安全性については、注射部位反応は、1、6、12ヵ月時点でそれぞれ146例中35例(24%)、57例中14例(25%)、37例中4例(11%)に認められた。・患者満足度について「非常に満足」または「やや満足」と回答した患者は、1、6、12ヵ月時点でそれぞれ74%、92%、94%であった。 著者らは「片頭痛に対する抗CGRP mAbsの長期的な治療反応を予測するうえで、早期治療反応が果たす役割が明らかとなった。また、片頭痛の病態生理をより深く理解するためには、片頭痛の頻度に加えて、患者満足度と片頭痛前兆の頻度を記録することの重要性も強調した」としている。

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コーヒーや紅茶、認知症リスク低下と関連した摂取量は/JAMA

 カフェイン入りコーヒーおよび紅茶の摂取量の多さは、認知症リスクの低下、認知機能の軽度改善と関連しており、その関連性は摂取量が中程度レベルで最も顕著であったという。米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのYu Zhang氏らが、大規模前向きコホート研究のデータを用いた解析結果を報告した。コーヒーや紅茶と認知機能との関連を示すエビデンスはまだ決定的ではなく、また、ほとんどの研究でカフェイン入りコーヒーとデカフェコーヒーを区別できていなかった。JAMA誌オンライン版2026年2月9日号掲載の報告。約13万人を最長43年(中央値37)追跡 研究グループは、米国の1976年に開始されたNurses’ Health Study(NHS)に参加した30~55歳の女性看護師と、1986年に開始されたHealth Professionals Follow-Up Study(HPFS)に参加した40~75歳の男性医療従事者のデータを用いた前向きコホート研究を行った。本解析では、研究期間をNHSは1980~2023年、HPFSは1986~2023年とし、いずれもベースラインでがん、パーキンソン病、認知症の既往歴がなく、カフェイン含有飲料の摂取量が報告されている参加者(NHS:8万6,606人、HPFS:4万5,215人)を対象として、コーヒー・紅茶の摂取と認知症リスクおよび認知機能との関連性について解析した。 カフェイン入りコーヒー、デカフェコーヒー、紅茶の摂取量は、2~4年ごとの食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価した。 主要アウトカムは認知症とし、死亡記録と2年ごとの質問票から得た自己報告による医師の診断に基づいて特定した。 副次アウトカムは、主観的認知機能低下(質問票の一般的な記憶、実行機能、注意力などに関する6~7項目のスコア[範囲:0~7、高得点は認知機能低下の程度が大きいことを示し、スコアが3以上の症例と定義])である。また、NHSコホートのみ、1995~2008年に4回の電話による認知機能検査(Telephone Interview for Cognitive Status[TICS、範囲:0~41]、East Boston Memory Test[EBMT]、言語流暢性検査、逆唱検査を含む6つの検査)を実施して客観的認知機能を評価し、3つの認知スコアを算出した。 解析対象は、計13万1,821例(ベースライン平均年齢はNHSコホート46.2[SD 7.2]歳、HPFSコホート53.8[SD 9.7]歳、65.7%が女性)、追跡期間は最長43年(中央値:36.8年、四分位範囲:28~42年)であった。1日にカフェイン入りコーヒー2~3杯、または紅茶1~2杯で認知症リスク低下 追跡期間中に認知症を発症した参加者は1万1,033例(NHSコホート7,975例、HPFSコホート3,058例)であった。 2つのコホートを統合し交絡因子を調整した結果、カフェイン入りコーヒーの摂取量が多いほど、認知症リスクの低さ(10万人年当たりの認知症発症頻度:摂取量の最多四分位群141例vs.最少四分位群330例、ハザード比:0.82、95%信頼区間[CI]:0.76~0.89)、ならびに主観的認知機能低下有病率の低さ(それぞれ7.8%vs.9.5%、有病率比:0.85、95%CI:0.78~0.93)と有意に関連していた。 NHSコホートでは、カフェイン入りコーヒーの摂取量が多いほど客観的認知機能がわずかに良好であることが示された。最多四分位群は最少四分位群と比較して、平均TICSスコアが有意に高く(平均群間差:0.11、95%CI:0.01~0.21、p=0.03)、全般的認知機能も有意ではないものの高値であった(平均群間差:0.02、95%CI:-0.01~0.04、p=0.06)。 紅茶の摂取量でも、同様の関連がみられた。一方で、デカフェコーヒーの摂取量と認知症リスクの低下または認知機能の向上との関連はみられなかった。 用量反応解析では、カフェイン入りコーヒーおよび紅茶の摂取量と、認知症リスクおよび主観的認知機能低下の間に非線形の逆相関が認められ、最も顕著な関連はカフェイン入りコーヒーを1日当たり約2~3杯、または紅茶を1日当たり約1~2杯摂取した場合に観察された。

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第49回 コーヒー好きの脳は老けにくい!? 13万人・40年の調査で判明した「理想の飲み方」

あなたは、コーヒーや紅茶を毎日飲む習慣がありますか? 何を隠そう、著者の私は1日3~4杯、あるいはそれ以上飲む日も珍しくありません。そんなコーヒー好きのあなたには、心躍るニュースになるかもしれません。もしコーヒーを飲んでいるだけで、認知症のリスクが下がるとしたら…? とくにコーヒーを愛してやまない私のような人間にとっては、豆を挽く手がいつもの2倍速になってしまうような話です。しかし、先走ってはいけません。物事には、常に「適量」や「条件」が伴います。それではここから、膨大なデータが指し示した、脳を守るための「理想的な飲み方」やその背景にあるメカニズムを、ひもといていきましょう。40年以上の追跡が明かした「一杯」の長期的メリット今回ご紹介する研究1)の特筆すべき点は、その調査期間の長さにあります。1980年代から2023年までという、人生の半分以上にも及ぶ歳月をかけて、看護師や医師といった医療従事者たち約13万人の食習慣と健康状態を克明に記録し続けてきました。それほど長い期間、多くの人を追いかけたからこそ、短期的な話ではない「本物の傾向」が見えてきたのです。分析の結果、カフェイン入りのコーヒーや紅茶を習慣的に飲んでいる人は、ほとんど飲まない人に比べて、将来的に認知症を発症するリスクが有意に低いことが示されました。最も多くコーヒーを飲んでいたグループ(1日4杯以上)では、ほとんど飲まないグループに比べて認知症のリスクが18%低下していたのです。これは単に「目が覚める」といった一時的な刺激の効果ではなく、数十年にわたる習慣が脳の構造的な老化に対して、何らかの保護的な役割を果たしたことを示唆するものだと思います。脳の若さを保つ「理想のライン」とカフェインの正体では、飲めば飲むほど脳は若返るのでしょうか。今回のデータが示唆したのは、必ずしもそうではなく、リスクの低下効果が最大化される「ちょうどよい量」が存在するかもしれないということです。研究チームの詳細な分析によれば、認知症リスクが最も低くみられていたのは、カフェイン入りコーヒーであれば1日に2~3杯程度、紅茶であれば1~2杯程度を嗜む層でした。それ以上たくさん飲んでもリスクは低いままでしたが、さらなる低下はみられず、効果は頭打ちになっていました。画像を拡大するまた、ここで注目したいのは、カフェインを除去した「デカフェ」のコーヒーでは、こうした明確なリスク低下との関連が認められなかった点です。このことから、脳を守る立役者の一人はやはりカフェインであると推察されています。カフェインには、アルツハイマー病の原因の一つとされるゴミ(アミロイドβ)が脳に溜まるのを防いだり、脳内の炎症を鎮めたりする働きがあることが以前から指摘されてきました。また、コーヒーに含まれるポリフェノールなどの成分が、血管の健康を保つことで間接的に脳を守っている可能性もあります。自身の感覚とテストが一致する、認知の衰えへの防御策今回の研究がさらに踏み込んだのは、医師に診断される「認知症」という段階に至る前の、より日常的な変化についても調査している点です。参加者本人が感じる「最近、以前より物忘れが気になるようになった」という主観的な衰えの感覚についても、コーヒーを飲む習慣がある人ほど、その不安を感じる割合が15%も低いという結果が示されています。さらに、電話を通じた客観的な知能テストにおいても、コーヒーや紅茶を好むグループは高いスコアを維持しており、その差は加齢による衰えを約0.6年分押し戻している計算になりました。わずかな時間に思えるかもしれませんが、1年近くも「聡明な自分」でいられる時間が延びる可能性があると考えれば、その積み重ねは計り知れません。私たちコーヒー愛好家が、一杯の香りに包まれて「頭がさえる」と感じるあの感覚は、単なる気のせいではなく、実際に脳のパフォーマンスを支える一助となっている証なのかもしれません。期待しすぎは禁物? 賢い付き合い方コーヒー好きにはたまらないこの結果ですが、冷静に受け止めるべきポイントも忘れてはなりません。この研究はあくまで「観察」に基づいたものであり、コーヒーが直接的に認知症を治したり完全に防いだりすることを証明した「因果関係」とは言い切れない部分があります。たとえば、もともと脳が健康的で活動的な生活を送っている人だからこそ、毎日コーヒーを楽しむ余裕があるという、原因と結果が逆転している可能性もゼロではないからです。また、カフェインへの耐性は体質によって大きく異なります。「健康に良いから」といって無理に飲み、睡眠の質を下げてしまったりしては、かえって健康を損なうことになりかねません。私たちはこの研究結果を、毎日の楽しみをより肯定するための材料にするのがいいでしょう。何気ない日常の習慣が、数十年後の自分を支える大切な「脳の習慣」になっている。そんな風に考えながら、今日も最高の一杯をお楽しみください。1)Zhang Y, et al. Coffee and Tea Intake, Dementia Risk, and Cognitive Function. JAMA. 2026 Feb 6. [Epub ahead of print]

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抗精神病薬誘発性体重増加に最も有効な介入は〜ネットワークメタ解析

 統合失調症は、思考、感情、行動に影響を及ぼす重篤な精神疾患であり、世界人口の0.32%が罹患していると報告されている。抗精神病薬による治療は統合失調症の症状管理に不可欠であるが、患者の約半数が体重増加を経験しており、治療アドヒアランスの低下やさらなる健康合併症につながる可能性がある。エジプト・Zagazig UniversityのMohamed Ezzat M. Mansour氏らは、抗精神病薬誘発性体重増加に対する薬理学的および非薬理学的介入の安全性および有効性を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2025年12月24日号の報告。 本研究は、PRISMAステートメントに基づき実施した。公表された研究をPubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryから2025年7月まで検索した。対象研究は、ランダム化プラセボ対照試験のみとした。身体測定値と安全性プロファイルに焦点を当て評価した。主要アウトカムは体重変化とし、副次的アウトカムはウエスト/ヒップ比、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径とした。 主な結果は以下のとおり。・55件(2,977例)の研究をメタ解析に含めた。・通常治療群と比較し、体重減少に最も効果的な治療法である可能性が高い上位3つの介入は、セマグルチド(平均差[MD]:-13.5、95%信頼区間[CI]:-17.3~-9.57)、メトホルミン+NutriEx(MD:-6.34、95%CI:-9.85~-2.9)、ニザチジン(MD:-5.46、95%CI:-7.77~-2.76)であった。・非薬理学的介入では、すべての介入において有意な体重減少が認められた(p<0.05)。 著者らは「体重増加とBMIの減少において、セマグルチドが最も効果的な治療法である可能性が高いことが明らかとなった。リラグルチドは、軽度の副作用との関連が認められた。非薬理学的アプローチにより焦点を当てた追加試験が今後求められる」としている。

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男女のストレスの差異:女性は日々の運動からより多くの恩恵を受ける

 運動はどんな人にもメリットがあるが、ストレス軽減効果という点では、男性よりも女性の方がより多くの恩恵を受けられることが、米ギャラップ社が発表した健康・幸福指数に関する調査報告書で明らかになった。毎日運動している女性は、運動していない女性に比べてストレスを自覚する割合が20%低く、このストレス軽減効果は男性の約3倍に上るという。 米国の成人約1万7,000人を対象に昨年行われた調査に基づくと、30分以上の運動を週に6日間以上行っている女性は、全く運動していない女性に比べてストレスレベルが顕著に低いことが分かった。例えば、運動をしていない女性の56%が強いストレスを感じていると回答したのに対して、毎日体を動かしている女性はその割合が45%だった。つまり、ストレスを感じる程度が相対的に20%低かった。 一方、女性に比べて男性の場合、運動の効果が限られていた。運動をしていない男性の43%がストレスを感じていると回答し、毎日運動している男性でもその割合は40%であり、その差は3パーセントポイント(相対的には7%)に過ぎなかった。 このような性差が生じる原因として研究者らは、女性の方がベースラインのストレスレベルが高いために、運動によって改善できる範囲が大きいからではないかと考えている。なお、運動習慣そのものには性別による大きな差はなく、男性の14%と女性の12%が週に6~7日運動し、男性の26%と女性の28%が全く運動していなかった。 年齢も、ストレスに対する運動の軽減効果に影響を及ぼしていた。18~44歳の女性の場合、ストレスを感じるとの回答は、運動をしていない人では68%、毎日運動している人では54%という差であった。これに対して65歳以上の高齢女性では、その差が12パーセントポイント(39%と27%)であった。しかし、高齢男性では運動習慣による差がほとんど見られなかった(25%と24%)。 報告書によると、運動で汗をかくことと気分が改善することの関連には、体内での化学反応が関係しているという。運動は体内の主要なストレスホルモンであるコルチゾールの影響を抑制する一方、ドーパミンやエンドルフィンなどの“気分を良くする”物質を増やし、ホルモンバランスの調節にも役立つ。 ギャラップ社の研究者らは、社会的要因もストレスの性差に影響している可能性があると指摘している。女性は友人と一緒に運動したり、グループレッスンに参加したりする傾向が強く、そのことが社会的なサポートとなって不安を和らげるように作用する。また、女性は男性に比べて睡眠の悩みを抱えていることが多く、運動の睡眠改善効果が女性にとってはより強い恩恵となって、ストレスが解消されやすくなる可能性があるとのことだ。研究者らはさらに、「労働環境もストレスの性差に影響している可能性があり、長時間の労働をしている人は自分の裁量で労働時間を加減できる立場の人よりもストレスが多く、かつ、運動に充てる時間が少ないのではないか」と付け加えている。 なお、本調査では、米国成人の46%が調査前日に強いストレスを感じたと回答していた。そして、運動日数が多いほどストレスが少ないという明確な傾向が認められた。

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日本人のMg摂取と認知症リスク

 食事性マグネシウム(Mg)は認知症予防における変更可能な因子だが、そのエビデンスは不十分である。今回、新潟大学のIrina Bulycheva氏らが、日本人の中高年者コホートでMg摂取量と認知症リスクの関連を調べた結果、男性でのみMg摂取量が少ないと認知症リスクが高いことが示唆された。Journal of Nutritional Science誌2026年1月22日号に掲載。 本研究は、40~74歳の地域住民1万3,032人が参加した8年間のコホート研究である。食事データは2011~13年に検証済み食品摂取頻度質問票を用いて収集した。Mg摂取量は残差法を用いてエネルギー摂取量で調整した。評価項目は日本の介護保険データベースで判定した新規の認知症診断とした。共変量は、年齢、性別、BMI、婚姻状況、教育水準、職業、総身体活動レベル、喫煙、アルコール摂取量、コーヒー摂取量、総エネルギー摂取量、病歴(心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、高血圧)とし、調整ハザード比(HR)はCox比例ハザードモデルを用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は59.0歳で、認知症は男性148例、女性138例で発症した。・男性では、エネルギー調整Mg摂取量が低い四分位群は認知症の高リスクと関連し(多変量調整後の傾向のp=0.0410)、最低四分位群(Q1)は最高四分位群(Q4、基準)より認知症リスクが高かった(HR:1.73、95%信頼区間[CI]:1.07~2.83)。この関連は女性では認められなかった。・男性の病歴によるサブグループ解析では、両サブグループでQ1のHRが低く、病歴あり群で1.52(95%CI:0.74~3.11)、病歴なし群で1.40(同:0.73~2.69)であった。 本研究において、日本人中高年男性において、Mg摂取量が少ないと認知症リスクが高かった。ただし、著者らは「この関連は基礎疾患の既往歴に一部起因する可能性がある」と考察している。

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VR介入はMCI/認知的フレイルの高齢者に有効な介入なのか?

 軽度認知障害(MCI)や認知症、またはフレイルを有する高齢者の認知機能、移動能力、情緒面の健康をサポートするための介入として、没入型バーチャルリアリティ(VR)の利用が増加している。そのエビデンスは拡大しているが、いずれも小規模なランダム化試験や実現可能性試験であり、依然として情報は断片化している。下関市立大学の窪田 和巳氏らは、MCI/認知症およびフレイルの高齢者に対するVR介入のベネフィット、リスク、VR導入における考慮事項を明らかにするため、最近のシステマティックレビューを実施し、研究結果の統合を試みた。BMC Geriatrics誌2026年1月13日号の報告。 PRISMA2020に基づき、2019年1月1日~2025年10月15日に公表された研究をPubMed、CINAHLより検索した。対象にはMCI、認知症、フレイル/認知的フレイルを有する65歳以上の高齢者を登録した研究を含めた。ヘッドマウントディスプレイまたは大画面投影(インタラクティブタスクまたは360度コンテンツ)を介した没入型または半没入型VRを用いて、認知機能、移動能力、感情/行動に関するアウトカムを評価したランダム化比較試験、準実験試験、事前事後比較試験を抽出した。2人の独立したレビューアーにより、データ抽出およびスクリーニングを行った。バイアスリスクの評価には、RoB 2(ランダム化試験)またはJBIツール(非ランダム化試験)を用いた。異質性によりメタ解析は実施できなかったため、構造化ナラティブ・シンセシスを実施した。 主な結果は以下のとおり。・70件(PubMed:28件、CINAHL:42件)の研究が特定された。・重複した9件の研究を除外した後、61件の研究をスクリーニングし、24件の全文を評価し、13件の研究(ランダム化比較試験:10件、実現可能性試験/混合研究:3件)を分析に組み入れた。・MCIまたは認知的フレイルを有する高齢者において、最も一貫した改善が認められたのは実行機能と処理速度であり、いくつかの試験では全般認知機能においても若干の改善が報告された。・複数の試験において、Timed Up & GoとBerg Balanceスコアのアウトカムが、対照群と比較して良好であり、予測的な姿勢調整能の向上も認められた。・施設介護において、没入型回想法とグループVR介入は、不安およびアパシーの軽減が認められ、忍容性も良好であった。・有害事象はまれで軽度であり、監督下での実施では順守率が高かった。・ほとんどのランダム化試験でバイアスに関する懸念が認められたが、1件は全体的に低いリスクであった。 著者らは「MCIまたは認知的フレイルのある高齢者において、没入型および半没入型VR介入は監督下での実施が可能であり、認知機能および移動能力のアウトカムの改善に寄与する可能性が示された。施設における感情面および行動面のアウトカムに関するエビデンスは有望であったが、いまだ予備段階でもあった。適切な介入(2~3回/週、8~12週間、合計15時間以上)、適応型課題、スーパービジョンを備えたVR介入プログラムは、良好なアウトカムと最も高い関連が認められた。これらの結果をさらに明らかにするためにも、標準化されたアウトカム、実施および経済評価を組み込んだ、より大規模な多施設ランダム化試験が求められる」としている。

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迷走神経刺激療法が治療抵抗性うつ病の症状を長期にわたり改善

 治療抵抗性うつ病は、埋め込み型デバイスによって脳と内臓を結ぶ迷走神経に電気刺激を送る迷走神経刺激療法(VNS)により改善する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。このデバイスによる治療で症状の改善が認められた患者の約80%が2年後もその状態を維持し、さらに20%以上は、2年後には抑うつ症状がほぼ消失していたという。米ワシントン大学セントルイス校治療抵抗性気分障害センター所長のCharles Conway氏らによるこの研究結果は、「International Journal of Neuropsychopharmacology」に1月13日掲載された。研究グループによると、VNSは以前からうつ病治療に有望とされており、米食品医薬品局(FDA)は、てんかんおよびうつ病の治療としてVNSを承認済みである。 Conway氏は、「2年後に5人に1人の患者が実質的に寛解状態であったことには、われわれも驚いた。うつ病のような複雑な疾患でこうした結果が得られたことから、この治療法の将来には大きな希望を感じている」とニュースリリースで語っている。さらに同氏は、「重度の治療抵抗性うつ病を対象とした研究では、効果が長期的に持続することは非常にまれであり、まして2年後まで続く例などなかったことを考えると、今回の結果は極めて異例だ。症状が改善した患者が、その状態を維持しているのだ」と付け加えている。 今回の研究では、4種類以上の抗うつ薬による治療に反応しなかった中等度から重度のうつ病を有する成人患者214人(平均年齢55.2歳)を対象に、補助療法としてのVNSの効果が検討された。患者は、英国のLivaNova USA社が製造した「VNS Therapy System」と呼ばれる埋め込み型デバイスを装着し、盲検下で12カ月間、さらにオープンラベル条件下で12カ月間、VNSを受けた。研究グループは、治療から12カ月時点で、抑うつ症状(3種類の指標で評価)、日常生活機能、生活の質(QOL)、これら3領域を統合した三領域複合指標、および全般的改善度(CGI-I)の改善が、18カ月時点および24カ月時点でも維持されているのかを評価した。 その結果、12カ月時点で意味のある改善(少なくとも30%改善)以上を達成した対象者の割合は、指標ごとに差があり、最も低かったのは抑うつ状態の評価尺度の1つであるモンゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)での43.6%、最も高かったのは三領域複合指標での80.0%であった。12カ月時点で意味のある改善を達成した対象者のうち、18カ月時点および24カ月時点でもその改善を維持していた割合は、18カ月時点で78.0〜89.2%、24カ月時点で79.2〜89.6%であった。7種類の指標を統合して見ると、12カ月時点で意味のある改善を達成した対象者のうち、その改善を維持していた割合の中央値は、18カ月時点で83.1%、24カ月時点で81.3%であった。 なお、研究グループによると、本研究の目的の一つは、米国メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が、将来的なVNSの保険適用を判断するためのエビデンスを提供することだという。VNSは、現状では治療費が非常に高額であり、多くの患者にとって利用が難しい。CMSがこの治療をカバーすれば、多くの民間保険会社も追随すると研究グループは見ている。 Conway氏は、「この試験で対象とされた治療抵抗性うつ病患者の重症度は、過去の臨床試験の対象患者と比べてはるかに重症だと思われる。こうした患者には、現状では他に治療選択肢がないため、有効な治療法が切実に求められている。慢性的で重度の障害を伴うこのような疾患では、たとえ部分的な改善であってもそれが人生を大きく変える。今回、VNSによりその改善効果が持続することが示された」と述べている。

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若手医師は帰属意識が高い?首都圏出身者も移住希望?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2025年12月23日、『令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』1)を公表し、都道府県別にみた人口10万人当たりの医師数などが明らかになった(参考:「医師数公表、人口当たり医師数が最も多い県・少ない県/厚労省」)。厚生労働省ではこれを基盤として医師偏在をさらに客観的に把握するため、2018年度より「医師偏在指数」*も公表している。また、2025年11月に行われた医師偏在対策に関する検討会では、労働時間などの違い、地域ごとの医療需要(医療ニーズ)などといった考慮すべき5つの要素が示され、2027年度からの次期医師確保計画に向けて必要な見直しが検討されるという2)。*計算式は、標準化医師数÷[地域の人口(10万×地域の標準化受療率比)]で、数値が低いほど医師不足を表す。現行は「医師の性別・年齢分布」が考慮されているが、2027年度より5つの要素(医療需要[ニーズ]及び将来の人口・人口構成の変化、患者の流出入等、へき地等の地理的条件、医師の性別・年齢分布、医師偏在の種別[区域、診療科、入院/外来])が考慮される予定。 そこで、このような状況を踏まえ、ケアネットでは医師が勤務地選択の際にどのような条件を重視するのかなどを調査。20~60代の会員医師1,018名を対象に、移住(Iターン・Jターン・Uターン)3)希望の有無、将来的に希望する勤務地・定住先とその理由、勤務地を決定したタイミングについて、アンケートを行った。若手の地方出身者は帰属意識が高い?首都圏出身者は? まず、回答者の出身エリアと主な勤務エリアは以下のとおりであった。―――――――――――――――――――<出身エリア>北海道:5.8%  東北:7.2%  関東:22.3%  中部:16.7%  近畿:21.3%  中国:8.3%   四国:4.3%  九州・沖縄:12.8%  海外:0.6%<現在の主な勤務エリア>北海道:5.3%  東北:6.1%  関東:30.1%  中部:16.1%  近畿:19.6%中国:8.3%   四国:3.9%  九州・沖縄:10.3%  海外:0.2%――――――――――――――――――― 将来的な勤務希望地(出身地や実家[義実家を含む]のある地域での勤務希望)について、全体の60%超が「はい(いつか戻りたい)」「現在、出身地・実家のある地域で働いている」と回答。また、すでに地元などで勤務している医師は40代以上では4割を超えていた。 今回、本アンケート結果のp.12では、参考までに年代・出身地別の移住意向率も示した。現在、県外に勤務し将来的に移住を希望する割合は20代で高く(47.7%)、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)を除外した場合にも高い傾向であった。また、驚いたことに、首都圏出身者(263人)のうち85人が首都圏外で勤務していたが、そのうちの7割は戻る意向を示さなかった。一方で、東北エリア、中国エリア出身者の県外勤務者の移住意向は低かった(それぞれ9.1%、7.4%)。 なお、診療科別(内科・外科・その他)での希望有無の違いを比較すると、外科系医師の移住希望はやや少ない傾向であった。希望地の選択理由、20代と60代で共通する理由 本結果から各年代での勤務地選択理由の傾向が明らかになった。20代は「地域/へき地医療への貢献」(18.5%)、30~40代は「子育て・教育環境」(各25.0%、14.9%)を重視する傾向にあった。50代以降では、「親の介護/実家管理」などの問題もやや増加した。60代以降でも約2割の医師は「地域/へき地医療への貢献」を選択していた。 各年代の選択理由については、以下のようなコメントも寄せられた。<20代>・地域枠(山梨県出身/山梨県勤務・糖尿病・代謝・内分泌内科)・出世するためにどこへでも行きたいから(兵庫県出身/千葉県勤務・病理診断科)・家賃が高い(大阪府出身/東京都勤務・眼科)<30代>・義務だったため(新潟県出身/新潟県勤務・内科)・医局を辞め新しい居住地を探す際に、地元が便利なため(神奈川県出身/兵庫県勤務・神経内科)<40代>該当コメントなし<50代>・子を保育園に預けられないとき(感染症など)、実家にみてもらうため。教授から「実家がないと復帰は無理」と言われ、辞めることを暗に勧められた(岩手県出身/岩手県勤務・心療内科)・需要と供給、利便性、将来性などのバランス(東京都出身/山口県勤務・精神科)<60代>長女だから仕方ない(大阪府出身/大阪府勤務・小児科)将来の勤務先、20~30代が意識する時期は… 将来の勤務地を意識する/した時期については、各年代ともに「意識したことがない」医師が最も多かったものの、その傾向は若手になるほど減少に転じている。年代別でみると、20~30代は「前期研修時」(各25.0%、16.2 %)、40代は「医学部入学時」(10.9%)、50代は「親の健康状態の変化」(9.3%)、60代は「入局時」(12.6%)という結果であった。 このほかのアンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。『将来の希望勤務地は?いつ決めた?/医師1,000人アンケート』

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妊婦へのベンゾジアゼピン使用が妊娠アウトカムに及ぼす影響

 妊娠中のベンゾジアゼピン(BZD)使用は、流産、死産、早産、在胎不当過小など、妊娠アウトカムへの潜在的なリスクに対する懸念がある。しかし、依然としてその使用は増加している。これまでのエビデンスは、不明確な臨床解釈と方法論的バイアスによって限定的であった。台湾・National Cheng Kung UniversityのBrian Meng-Hsun Li氏らは、BZD使用と早産および在胎不当過小のリスクとの関連を、流産と死産のリスクを競合事象として考慮しながら評価した。JAMA Internal Medicine誌2026年2月1日号の報告。 2011~21年の台湾国民健康保険研究データベースを用いて、妊娠0~36週までの妊婦を対象にオープンラベルランダム化試験を実施した。対象患者の適格基準は、妊娠0~36週までの妊娠、母体年齢15~55歳、過去6ヵ月間にBZDを使用していないとした。データは、2024年11月~2025年4月に解析した。BZD使用の有無による妊娠アウトカムへの影響を評価した。主要評価項目は、流産(自然流産および選択的流産)、死産、早産、在胎不当過小とした。一連の試験を通じて、相対リスク(RR)を推定した。潜在的な競合イベント(流産または死産)を考慮するため、すべての妊娠においてベースライン後の予後因子を考慮した安定化打ち切り逆確率重み付けを適用した。解析は、妊娠期間ごとに層別化し、妊娠第1期(0~13週)、第2期(14~26週)、第3期(27~36週)に分類した。 主な結果は以下のとおり。・BZD使用群は5万9,521例、非使用群は39万4,956例であった。・平均年齢は、BZD使用群で31.9±5.8歳、非使用群で31.6±5.3歳であった。・BZD使用は、流産(RR:1.58、95%信頼区間[CI]:1.50~1.66)、自然流産(RR:1.65、95%CI:1.55~1.76)、選択的流産(RR:1.83、95%CI:1.70~1.98)のリスク増加と関連していた。・一方、死産との関連は認められなかった(RR:0.96、95%CI:0.78~1.17)。・競合リスクを考慮した後、BZD使用は早産(RR:1.20、95%CI:1.18~1.23)および在胎不当過小(RR:1.06、95%CI:1.00~1.09)のリスク増加と関連しており、その影響は妊娠中期のBZD使用でより顕著であった。 著者らは「本コホートにおける研究の結果、競合する事象との関連を考慮したうえで、BZD使用は早産リスクの上昇と関連しており、在胎不当過小リスクの上昇とも関連している可能性が示唆された。しかし、後者の関連は小さく、分析方法に敏感であった可能性がある」としている。

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