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日本人男性、認知機能と関連する肥満指標は?

 地域在住の日本人中高年男性において、さまざまな肥満指標と認知機能との関連を調査した結果、腹部の内臓脂肪面積/皮下脂肪面積比(VSR)が低いと認知機能が低いことが示された。滋賀医科大学の松野 悟之氏らがPLoS One誌2025年10月23日号で報告した。 これまでの研究では、内臓脂肪組織が大きい人は認知症リスクが高く、内臓脂肪組織が認知機能低下と関連していたという報告がある一方、内臓脂肪組織と認知機能の関係はなかったという報告もあり一貫していない。この横断研究では、滋賀県草津市在住の40~79歳の日本人男性を対象とした滋賀動脈硬化疫学研究(Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis)に参加した853人のうち、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)に回答し、CTで腹部の内臓脂肪面積と皮下脂肪面積を測定した776人のデータを解析した。参加者をVSRの四分位で分け、共分散分析を用いて各四分位群のCASI合計スコアおよび各ドメインスコアの粗平均値および調整平均値を潜在的交絡因子を調整して算出した。 主な結果は以下のとおり。・776人の平均年齢は68.4歳であった。・BMI、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積の四分位群間でCASI合計スコアに有意差は認められなかったが、多変量調整モデルでは、VSRが最も低い第1四分位群(Q1)の参加者のCASI合計スコアの平均(89.5)は、第3四分位群(Q3)の参加者の平均(90.9)より有意に低く、低いVSRが低い認知機能と独立して関連していた。 著者らは「本研究の結果は、比較的肥満度の低い日本人男性においては、内臓脂肪組織と皮下脂肪組織を個別に評価するのではなく、VSRに注目する必要があることを示唆する」と結論している。

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境界性パーソナリティ障害患者における摂食障害の有病率は?

 フランス・Universite Bourgogne EuropeのTheo Paudex氏らは、境界性パーソナリティ障害(BPD)患者における摂食障害の有病率を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Psychology & Psychotherapy誌2025年9〜10月号の報告。 PubMed/MEDLINE、PsycINFO、Web of Science よりBPD患者サンプルにおける1つ以上の摂食障害(ED)の有病率を評価した論文をシステマティックに検索した。バイアスリスクは、有病率データを報告する研究のためのジョアンナ・ブリッグス研究所(JBI)チェックリストを用いて推定し、ランダム効果メタ解析モデルを用いて評価した。本研究は、PRISMA 2020ステートメントに基づき実施した。 主な結果は以下のとおり。・合計34件の論文を解析に含めた。そのうち20件(4,107例)は区別なくEDに関する報告であり、神経性やせ症(AN)、神経性過食症(BN)、過食性障害(BED)、特定不能の摂食障害(EDNOS)に関する報告はそれぞれ20件(3,901例)、20件(4,369例)、7件(766例)、6件(1,773例)であった。・BPDにおけるEDの全体的な有病率は29.7%(95%信頼区間[CI]:21.6〜38.4)と推定された。・AN、BN、BED、EDNOSの頻度はそれぞれ9.98%(95%CI:5.6〜15.3)、16.3%(12.1〜21.1)、16.3%(6.0〜30.0)、18.8%(10.6〜28.6)と推定された。・全体的なバイアスリスクは中等度であり、出版バイアスは認められず、エビデンスの確実性は低かった。 著者らは「本研究により、BPD患者ではEDおよびそのサブタイプの有病率が高いことが明らかとなった。この結果は、BPD患者におけるこれら併存疾患の決定因子を探るためのベースとなる可能性がある」と結論付けている。

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病院の電力が尽きると何が起きる?【実例に基づく、明日はわが身の災害医療】第9回

病院の電力が尽きると何が起きる?日本は、世界でも有数の「災害大国」です。地震、台風、豪雨……。毎年どこかで自然災害が発生し、そのたびに医療機関は大きな試練にさらされています。では、もし災害によって病院の電力が途絶えてしまったら、一体どうなるでしょうか?病院に電気がなければ、ほとんど何もできない病院は「電気があって当たり前」の場所です。停電と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、人工呼吸器や透析装置といった医療機器でしょう。もちろんそれらが止まれば、命の危機に直結します。しかし、問題はそれだけにとどまりません。実際の病院全体の電力消費を見てみると、空調が34.7%、照明が32.6%を占めるのに対し、医療機器は6.6%にすぎません1)。空調が止まれば、真夏には熱中症、真冬には低体温症の患者さんが増えます。手術室やICUの温度・湿度管理もできなくなり、感染リスクが高まります。照明が消えれば、夜間の救急対応や処置がきわめて困難になります。さらに、電力供給が止まると、水や下水処理にも影響が及びます。電子カルテや検査システムも使えなくなり、診療は著しく制限されてしまいます。命に直結するのは、医療機器だけではありません。2018年7月豪雨で被災した岡山県のまび記念病院は、電源設備が浸水エリアの1階にあったことが被害を拡大させた一因とされました。そのため、新病院では電源を高所に移す設計がなされています。この事例は、「電源の確保」がいかに病院機能の継続に直結するかを示す教訓といえるでしょう。非常用電源はどれくらい持つのか?「非常用の発電機があるから安心」と思うかもしれません。ですが、現実はそう甘くありません。災害拠点病院では、業務継続計画(BCP)の策定が義務付けられており2)、一定の備蓄を整えています。ところが私たちの調査では3)、中核病院や一般病院では備蓄の水準に大きな差があり、燃料備蓄が1日未満という病院も少なくありません。厚生労働省のガイドラインでは「通常時の6割程度の電力をまかなえる自家発電機と、最低3日分の燃料備蓄」が目安とされています4)。しかし、2018年の北海道胆振東部地震では、災害拠点病院でさえ燃料不足に直面し、十分に機能を維持できなかった例が報告されています5)。平時からの備えをどうするか?では、どう備えればよいのでしょうか。答えは「平時からの準備」に尽きます。自院の非常用電源がどれくらい持つのかを確認しておく燃料の補給ルートをあらかじめ自治体や業者と相談しておく電力や燃料の残量を定期的にチェックする地域の病院同士で助け合える仕組みを平時に作っておく余談ですが、院内にある赤と緑のコンセントの意味を正しく理解することも大切です。赤いコンセントは非常用電源、緑のコンセントはUPS(無停電電源装置)に接続されており、停電時でも使用できる系統です(図)。人工呼吸器など生命維持に直結する機器は、必ずこれらのコンセントに接続する必要があります。さらに、非常時の電力には限りがあるため、供給可能な時間や容量を把握しておくこと、不必要な機器を接続しないことなど、平時からの準備と停電時の訓練が欠かせません。図. 電源の種類と特徴「必ず来る災害」に備えるために災害は「いつか来るかもしれないもの」ではなく、「必ず来るもの」です。そのとき、病院が機能を失うのか、最低限の医療を続けられるのかは、平時の備えにかかっています。医療従事者一人ひとりが「自分の病院の電源や燃料がどれくらい持つのか」を把握し、行動を起こすこと。そして、一つの病院だけでなく地域全体で電源や医療機器の稼働状況を「見える化」し、情報を共有すること。自治体や地域と協力して「助け合える仕組み」を作ること。その積み重ねこそが「防ぎえた死」を減らし、未来の患者さんの命を守る力になります。 1) 夏季の省エネ・節電メニュー. 経済産業省 資源エネルギー庁. 2) 病院の業務継続計画(BCP)の策定状況について.厚生労働省 第14回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会. 令和元年5月23日. 3) 平山隆浩、他. 病院機能に応じた災害時医療機器供給体制の最適化戦略 ―岡山県内病院の実態調査に基づく段階的 BCP 体制の提案―.医療機器学. 2025;95:392-400. 4) 災害拠点病院の燃料の確保について. 厚生労働省 第14回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会. 令和元年5月23日. 5) Youichi Y, et al. Field Study in Hokkaido Prefecture after the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake. Sch J App Med Sci. 2018;6:3961-3963.

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寛解後の抗精神病薬の減量/中止はいつ頃から行うべきか?

 初回エピソード統合失調症患者における寛解後の抗精神病薬の早期減量または中止は、短期的な再発リスクを上昇させる。長期的なアウトカムに関する研究では、相反する結果が得られているため、長期的な機能改善への潜在的なベネフィットについては、依然として議論が続いている。オランダ・University of GroningenのIris E. Sommer氏らは、初回エピソード統合失調症患者の大規模サンプルを対象に、4年間にわたり抗精神病薬の減量/中止と維持療法の短期および長期的影響について比較を行った。JAMA Psychiatry誌オンライン版2025年10月1日号の報告。 本HAMLETT(Handling Antipsychotic Medication Long-Term Evaluation of Targeted Treatment)試験は、2017年9月~2023年3月にオランダの専門精神病ユニット26ヵ所で実施された単盲検実用的ランダム化臨床試験である。対象患者は、入院および外来診療から寛解となった初回エピソード統合失調症患者347例(男性:241例[69.5%]、平均年齢:27.9±8.7歳)。寛解後12ヵ月以内に抗精神病薬を減量/中止した場合と維持療法を12ヵ月間継続した場合のアウトカムを比較した。主要アウトカムは、WHODAS 2.0を用いて測定した患者による機能評価とした。副次的アウトカムは、研究者評価による全般的機能評価(GAF)、生活の質(QOL)、再発、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)で測定した症状重症度、重篤な有害事象、副作用とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者347例は、早期中止/減量群(168例)と維持療法群(179例)にランダムに割り付けられた。・WHODAS 2.0では、時間と状態の交互作用は認められなかった。・1年目、中止/減量群は再発リスクの上昇(オッズ比:2.84、95%信頼区間[CI]:1.08~7.66、p=0.04)およびQOLの低下(β=-3.31、95%CI:-6.34~-0.29、p=0.03)との関連が認められた。・3年目(β=3.61、95%CI:0.28~6.95、p=0.03)および4年目(β=6.13、95%CI:2.03~10.22、p=0.003)には、時間との非線形効果が認められ、中止/減量群においてGAFが有意に良好であることが示された。4年目ではPANSSについても同様の傾向が認められた(p for trend=0.06)。・重篤な有害事象および副作用は両群で同程度であった。しかし、減量/中止群では自殺による死亡が3件確認されたのに対し、維持療法群では自殺による死亡が1件のみであった。 著者らは「抗精神病薬の減量/中止は、最初の1年目は再発リスクおよびQOL低下リスクとの関連が認められたが、3年目および4年目には研究者による機能評価が向上し、症状の重症度についても改善傾向が認められた。1年目以降、両群の抗精神病薬の投与量は同程度であったため、この結果は投与量の減少による直接的な影響ではなく、抗精神病薬を用いて精神病的脆弱性への対処を改善するための学習経験を反映している可能性がある。これらの知見は、抗精神病薬の減量/中止の潜在的な学習およびエンパワーメントの要素と短期的なリスクを慎重に比較検討する必要があることを示唆している」と結論付けている。

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脳に異なる影響を及ぼす5つの睡眠パターンを特定

 睡眠は、一晩にどれだけ長く眠るか以上の意味を持ち、睡眠パターンは、気分、脳の機能、さらには長期的な健康状態に影響を与える可能性が指摘されている。こうした中、睡眠の多面的な性質と人の健康・認知機能・生活習慣との関係を検討した新たな研究において5つの睡眠プロファイルが特定された。研究グループは、「これらのプロファイルは、ストレスや感情から寝室の快適さまで、睡眠の質に影響を与える生物学的、精神的、環境的要因の組み合わせを反映している」と述べている。コンコルディア大学(カナダ)のValeria Kebets氏らによるこの研究の詳細は、「PLOS Biology」に10月7日掲載された。Kebets氏は、「人々は睡眠について真剣に考えるべきだ。睡眠は日常生活のあらゆる機能に影響する」とNBCニュースに語った。 この研究では、770人の健康な若年成人(平均年齢28.86歳、女性53.76%)を対象に、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)の7つの下位項目(主観的睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠障害、睡眠薬の使用、日中の機能障害)と118個の生物・心理・社会的指標(認知能力、身体・精神の健康、性格特性、感情、薬物使用、人口統計学的属性との関連を検討した。 その結果、以下に挙げる5つの睡眠プロファイルが特定された。1)睡眠不良とメンタルヘルス睡眠満足度の低下や眠りに入るまでの時間の長さなどの睡眠問題を抱え、精神面でも抑うつ、不安、身体症状、内向的行動が見られ、恐怖、怒り、ストレスなど負の感情も強い。2)睡眠レジリエンス(回復力)精神的問題を抱え、特に注意力の問題(不注意、注意欠如・多動症)や誠実性の低下、負の感情が顕著に見られるが、睡眠には不満を感じておらず(睡眠レジリエンス)、日中の機能障害以外はほとんど問題が見られない。3)睡眠薬の使用と社会関係睡眠薬の使用を特徴とし、睡眠薬の使用は社会関係の満足度と関連している。日中の機能障害は少なく、注意力にも問題はない。視覚的エピソード記憶や感情認識のパフォーマンスの低下は見られるが、社会関係には満足している。4)睡眠不足と認知能力夜間の睡眠時間が6〜7時間未満であることが特徴。認知能力では感情処理、報酬判断、言語、流動性知能、社会認知タスクの正確性の低下および反応時間の延長が見られる。攻撃性が強まり、協調性は低下している。5)睡眠障害とメンタルヘルス複数回の中途覚醒、睡眠時の呼吸の問題、夜間の排尿、睡眠中に痛み・寒さ・暑さを感じることを特徴とし、これらの睡眠障害が攻撃的な行動と関連している。認知能力では、言語処理能力と作業記憶に低下が見られる。メンタルヘルス面では不安、思考の問題、内向的行動を抱えており、タバコやアルコールなどの物質使用が見られる。 この研究には関与していない米ノースウェスタン大学概日リズム・睡眠医学センター所長のPhyllis Zee氏は、「研究や臨床では、複数の睡眠パターンを考慮する必要がある。そのためには、データを多次元的に解析するアプローチが重要だ」とNBCニュースに対して語っている。 また、同様に本研究には関与していない米スタンフォード大学の睡眠医学専門医であるRafael Pelayo氏は、「この研究は、心身の健康にとって十分な休息がいかに重要であるかを再確認させるものだ。睡眠は、単にベッドで過ごす時間だけの問題ではない。睡眠を改善できれば、精神的な健康だけでなく、身体的な健康も含めた全体的な健康にも良い影響がもたらされる」と述べている。

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抗うつ薬30種類の生理学的影響を比較~ネットワークメタ解析/Lancet

 英国・キングス・カレッジ・ロンドンのToby Pillinger氏らは系統的レビューとネットワークメタ解析を行い、抗うつ薬はとくに心代謝パラメータにおいて薬剤間で生理学的作用が著しく異なるという強力なエビデンスがあることを明らかにした。抗うつ薬は生理学的変化を誘発するが、各種抗うつ薬治療におけるその詳細は知られていなかった。結果を踏まえて著者は、「治療ガイドラインは、生理学的リスクの違いを反映するよう更新すべき」と提唱している。Lancet誌オンライン版2025年10月21日号掲載の報告。15のパラメータの変化をネットワークメタ解析で評価 研究チームは、2025年4月21日の時点で医学関連データベースに登録された関連文献を検索し、系統的レビューとネットワークメタ解析を行った(英国国立衛生研究所[NIHR]などの助成を受けた)。対象は、成人の精神疾患患者の急性期(8週目まで)単剤療法において、抗うつ薬とプラセボを比較した単盲検または二重盲検無作為化臨床試験の論文とした。 頻度論的な変量効果ネットワークメタ解析により、抗うつ薬治療による抑うつ症状の重症度の変化と、次の15の代謝パラメータの変化の相関性を評価した。体重、総コレステロール、血糖、心拍数、収縮期血圧、拡張期血圧、補正QT間隔(QTc)、ナトリウム、カリウム、アスパラギン酸トランスフェラーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、ビリルビン、尿素、クレアチニン。 151件の研究と17件の米国食品医薬品局(FDA)の報告書が選択基準を満たした。対象は5万8,534例(抗うつ薬[30種の薬剤]群4万1,937例、プラセボ群1万6,597例)で、平均年齢は44.7(SD 15.8)歳、女性が62.0%、白人が74.8%であり、治療期間の範囲は3~12週(中央値:8週、四分位範囲:6.0~8.5)であった。4つの試験が、バイアスのリスクが高いと判定された。体重に4kg、心拍数に21bpm、収縮期血圧に11mmHg以上の差 代謝および血行動態に及ぼす影響について、抗うつ薬間で臨床的に有意な差を認めた。たとえば、(1)体重:プラセボと比較してagomelatineで2.44kg減少、同様にマプロチリンで1.82kg増加し(いずれも有意差あり)、両群間で4.26kgの差、(2)心拍数:フルボキサミンで8.18bpm低下、ノルトリプチリンで13.77bpm上昇し(いずれも有意差あり)、21.95bpmの差、(3)収縮期血圧:ノルトリプチリンで6.68mmHg低下、doxepinで4.94mmHg上昇し(いずれも有意差あり)、11.62mmHgの差が観察された。 また、パロキセチン、デュロキセチン、desvenlafaxine、ベンラファキシンは総コレステロール値の上昇(プラセボと比較してそれぞれ0.16、0.17、0.27、0.22mmol/Lの上昇、いずれも有意差あり)と関連し、デュロキセチンはさらに血糖値の上昇(0.30mmol/Lの上昇、有意差あり)とも関連しており、これら4つの薬剤は体重減少(それぞれ0.35、0.63、0.63、0.74kgの減少、いずれも有意差あり)をももたらした。 一方、デュロキセチン、desvenlafaxine、levomilnacipranについては、AST(プラセボと比較してそれぞれ2.08、1.27、1.78IU/Lの上昇、いずれも数値上の有意差あり)、ALT(同様に2.20、1.43、1.97IU/Lの上昇、有意差あり)、ALP(同様に2.29、7.25、4.55IU/Lの上昇、有意差あり)の濃度上昇の強力なエビデンスを得たが、これらの変化の程度は臨床的に有意とは見なされなかった。高齢ほど血糖値上昇幅が大きい QTcとナトリウム、カリウム、尿素、クレアチニンの濃度には、臨床的に有意な影響を及ぼすほどの抗うつ薬の強いエビデンスを認めなかった。また、ベースラインの体重が重いほど、抗うつ薬による収縮期血圧、ALT、ASTの上昇幅が大きく、ベースラインの年齢が高いほど、抗うつ薬による血糖値の上昇幅が大きかった。抑うつ症状の変化と代謝異常との間に関連はみられなかった。 著者は、「これらの知見は、個別の抗うつ薬には高頻度で多様な生理学的副作用があることを示しており、とくに体重、心拍数、血圧の生理学的変化の程度は大きい。マプロチリンやアミトリプチリンは、患者のほぼ半数に臨床的に重要な体重増加を引き起こす可能性がある」「抗うつ薬の選択は、臨床所見および患者、介護者、臨床医の意向を考慮し、個別に行うべき」としている。

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アルコール依存症の再発率はどの程度?

 アルコール依存症は、早期死亡や障害の主要な要因である。インドでは、男性の約9%にアルコール依存症がみられるといわれている。アルコール依存症の短期アウトカムには、いくつかの臨床的要因が関与している可能性がある。インド・Jawaharlal Institute of Postgraduate Medical Education and ResearchのSushmitha T. Nachiyar氏らは、アルコール依存症患者の短期アウトカムについて調査を行った。Indian Journal of Psychological Medicine誌オンライン版2025年9月26日号の報告。 対象は、ICD-10 DCR基準に基づくアルコール依存症男性患者122例。アルコール依存症の重症度(SADQ)、断酒動機(SOCRATES)、全般認知能力(MoCA)、前頭葉認知能力(FAB)などの社会人口学的および臨床的パラメーターに基づき評価した。その後、過去30日間の飲酒について、タイムライン・フォローバック法を用いて1ヵ月および3ヵ月時点でフォローアップ調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・患者の平均年齢は40.6±7.6歳。・アルコール摂取期間は18.56±7.22年、平均摂取量は1日当たり14.14±8.62単位であった。・SADQスコアは25.13±12.01であり、中等度の依存症と評価された。・MoCAスコアが低かった患者は67.2%(82例)、FABスコアが低かった患者は22.1%(27例)。・1ヵ月後の再発率は約30%、3ヵ月後の再発率は50%であった。・1ヵ月後の再発率と関連していた因子は、依存症発症時の年齢が若いことであった(p=0.012)。・3ヵ月時点で禁酒の継続と関連する因子は、既婚(p=0.040)、過去の禁酒歴(p=0.003)、MoCAスコア(26超)の高さ(p=0.042)であった。 著者らは「アルコール依存症患者の約30%は1ヵ月以内に再発し、50%は3ヵ月後までに再発することが確認された。依存症発症時の年齢が若いことは、1ヵ月後の再発を予測し、既婚であること、過去の禁酒歴、全般認知能力が良好であることは3ヵ月後の禁酒を予測することが示唆された」としている。

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アルツハイマー病治療薬が自閉症にも有効か

 アルツハイマー病治療薬として2003年に米食品医薬品局(FDA)に承認されたメマンチンが、自閉症スペクトラム障害(ASD)の小児や若者の社会的機能を高めるのに役立つ可能性のあることが、新たな小規模臨床試験で明らかになった。社会性の障害に改善が見られた割合は、メマンチンを投与した群では56%であったのに対し、プラセボを投与した群では21%だったという。米マサチューセッツ総合病院のGagan Joshi氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に10月1日掲載された。Joshi氏は、「メマンチンに反応を示した試験参加者は、ASDの軽度の特徴は引き続き見られたものの、社会的コンピテンスが向上しASD症状の重症度も軽減した」とMass General Brighamのニュースリリースで述べている。 アルツハイマー病などの神経変性疾患では、脳の学習や記憶に大きな役割を果たす興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰に作用し、NMDA受容体が過剰に活性化した状態になっている。メマンチンは、このように過活性化されたNMDA受容体の働きを抑制することで神経細胞の損傷を防ぐ作用を持つ。Joshi氏らは、一部のASD患者は脳内のグルタミン酸濃度が異常に高いことから、メマンチンがこうしたASD患者にも有効かもしれないと考えた。 そこでJoshi氏らは今回、知的障害のないASDの若年者(8〜17歳)を対象に、社会性の障害に対するメマンチンの安全性と有効性を評価した。42人の参加者(平均年齢13.2歳、男性76.2%)が、12週間にわたりメマンチンまたはプラセボを投与する群に21人ずつランダムに割り付けられた。主要評価項目は治療に対する反応とし、これは保護者や教師などによるSRS-2(Social Responsiveness Scale-Second Edition)総合スコアの25%以上の改善、または臨床医によるCGI-I(Clinical Global Impression-Improvement)スケールによる評価で2点以下の場合と定義した。 試験を完了した参加者は、メマンチン群16人、プラセボ群17人の計33人だった。まず、試験期間中に少なくとも1回は再評価を受けた35人(メマンチン群16人、プラセボ群19人)を対象に解析した結果、治療に対する反応が認められたのは、メマンチン群で56.2%(9/16人)であったのに対し、プラセボ群では21.0%(4/19人)であった(オッズ比4.8、95%信頼区間1.1〜21.2)。メマンチンの認容性は良好で、有害事象の発生件数もプラセボ群と同程度だった。 次に、グルタミン酸を豊富に含む領域である前帯状皮質前部(pgACC)のグルタミン酸濃度に関するデータが得られたがASD患者37人と健康な対照16人を対象に、pgACCのグルタミン酸濃度が治療反応のバイオマーカーになり得るかを検討した。その結果、ASD群では健康な対照に比べてpgACCでのグルタミン酸濃度が有意に高く(95.5IU vs 76.6IU、P<0.001)、正常より1標準偏差以上高い参加者の割合は54%に上った。グルタミン酸の濃度が高かった参加者での治療反応率は、メマンチン群の80%(8/10人)であったのに対し、プラセボ群では20%(2/10人)であった。 Joshi氏は、「メマンチンが効いた患者は、社会参加が活発になったことが分かった」と話しつつも、「この薬がASDの治療にどれほど役立つ可能性があるのかをより正確に評価するには、さらなる研究が必要だ」との見解を示している。その上で同氏は、「より大規模な臨床試験の実施が、より幅広いASD患者集団におけるメマンチンの反応を評価するのに役立つ可能性がある」と述べている。

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認知症/MCI患者に対する抗コリン薬の使用率は?

 認知機能が低下している高齢者は、抗コリン作用を有する薬剤の累積使用による副作用の影響を受けやすいとされている。しかし、このような患者における入院リスクに関する研究は依然として限られており、入院の具体的な原因に焦点が当てられていない場合が多い。マレーシア・University MalayaのRenuka Rahoo氏らは、軽度認知障害(MCI)または認知症の高齢者における抗コリン薬の負担とその役割、さらに入院リスクおよび入院理由との関連を調査した。Clinical Interventions in Aging誌2025年9月25日号の報告。 本後ろ向き研究は、2022年に物忘れ外来を受診したMCIまたは認知症の高齢者を対象に実施した。社会人口学的情報、併存疾患、認知機能評価、機能評価、神経精神症状、服薬歴に関するデータを電子カルテから収集した。抗コリン薬による負担は、抗コリン作用負荷(ACB)スコアを用いて評価した。ACBスコアと入院リスクとの関連を評価するため、Cox比例ハザード分析を用いた。入院の根本原因は、異なるACBスコア群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となった高齢者は合計657例、平均年齢は80.66±7.39歳。・抗コリン薬の使用率は35.5%、ACBスコアの平均値は0.8±1.3であった。・ACBスコアが高い高齢者は、抗コリン薬による負担のない場合と比較し、介護施設入居、神経精神症状の発現、認知機能および身体機能の低下、処方薬数の増加との関連が認められた。・単変量解析では、ACBスコアが1~2の高齢者は、入院リスクが高かった(ハザード比:1.84、95%信頼区間:1.17~2.90)。しかし、交絡因子を調整後、この関連性は減少した。・入院理由は、肺炎(5.7%)が最も多く、次いで急性腎障害(3.8%)、せん妄(2.6%)、転倒(2.6%)であった。・とくに、重篤な心血管イベントまたは褥瘡感染で入院した高齢者は、ACBスコアが有意に高かった。 著者らは「MCIまたは認知症の高齢者の3人に1人は抗コリン薬を使用しており、これは健康状態を悪化させる可能性がある」とし「これらの知見は、この脆弱な集団における抗コリン薬の負担を最小限に抑えるために、定期的な服薬レビューと減薬戦略の重要性を強調している」と結論付けている。

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花粉の飛散量が増えると自殺者が増える?

 季節性アレルギーは多くの人にとって厄介なものだが、それが命に関わる可能性があると考える人はほとんどいないだろう。しかし新たな研究で、花粉の飛散量の増加に伴い自殺者数が増加し、特に精神疾患患者への影響は大きいことが明らかにされた。米ミシガン大学社会調査研究所のJoelle Abramowitz氏らによるこの研究結果は、「Journal of Health Economics」12月号に掲載予定。Abramowitz氏らは、季節性アレルギーを原因とする身体的苦痛は睡眠を妨げ、精神的苦痛を増大させ、それが自殺増加の一因となっている可能性が高いと推測している。 Abramowitz氏は、「本研究期間中に、米国では約50万人が自殺した。この研究で新たに得られたデータに基づくと、この期間に花粉が最大1万2,000人の死亡の一因となった可能性があると推定された。これは、年間で約900人から1,200人の死亡に相当する」とミシガン大学のニュースリリースの中で述べている。 この研究でAbramowitz氏らは、米国の34の大都市圏に含まれる186の郡で、2006年から2018年の間に集計された自殺件数と毎日の花粉飛散量のデータを用いて、両者の関連を検討した。花粉の飛散レベルを4段階に分けて検討した結果、飛散レベルが上がるにつれて自殺者数も増加することが明らかになった。具体的には、飛散レベルが最も低い場合と比較して、2番目のレベルでは自殺者数は4.5%、3番目のレベルでは5.5%、4番目の最も高いレベルでは7.4%増加していた。精神疾患やその治療歴のある人では、花粉レベルが最も高い日には自殺者数が8.6%増加していた。さらに、花粉の飛散量が多い日には、Googleでの「アレルギー」「うつ症状」に関する検索が増加することも示された。 こうした結果を受けて研究グループは、「この結果は、季節性アレルギーを単なる厄介物として扱うのではなく、もっと真剣に受け止めるべきであることを示している」と述べている。また、Abramowitz氏は、「すでに脆弱な状態にある人では、小さな刺激でも大きな影響を及ぼす可能性がある」と話している。 Abramowitz氏らは、「花粉の飛散予測をより正確にし、季節性アレルギーがメンタルヘルスに与える影響について広く周知することで、人々が自身を守る手段を取れるようになり、命が救われる可能性がある」と述べている。同氏らは、気候変動が進み花粉の季節が長期化して激しくなるにつれて、このことはさらに重要になるだろうと指摘している。 Abramowitz氏は、「花粉などの小さな環境変化に対する反応やメンタルヘルス全般について、われわれは意識を高めるべきだ。本研究結果を踏まえると、医療従事者は患者のアレルギー歴を把握しておくべきだろう。アレルギーと自殺リスクの上昇との関連は、他の研究でも示されている。この研究がより個別化されたケアにつながり、最終的には命を救うことにつながることを願っている」と話している。

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第35回 特別編 ネクソムラボ特別企画『どうすればよかったか?』上映会を開催

統合失調症を発症した実姉とその家族を20年にわたって記録した映画『どうすればよかったか?』*の上映会が2025年9月21日、東京慈恵会医科大学で開催された。千葉大学病院次世代医療構想センターセンター長 特任教授の吉村 健佑氏と浜松医科大学教授の大磯 義一郎氏が共同代表を務める、「次世代社会医学オープンラボNexSoM Labo(ネクソムラボ)」が企画し、東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座教授の越智 小枝氏の協力のもと開催された。*映画『どうすればよかったか?』ドキュメンタリー監督の藤野 知明氏が、統合失調症の症状が現れた実姉と、彼女を精神科の受診から遠ざけた両親の姿を20年にわたって自ら記録したドキュメンタリー。NexSoM Laboは、コロナ禍が一段落したことを契機に2023年度に立ち上がった組織であり、全国の医療系学生・若手医療従事者が社会医学に触れる機会を提供している。第1回のイベントではオンライン双方向参加型のセミナーを、第2回のイベントではグループワークを通した学生の交流を行い、今回の上映会が第3回目のイベントとなった。第2回イベントの様子精神疾患患者へのバイアスを映画で考える今回の上映会は3部構成で開催された。第1部では映画の上映、第2部では共同代表で精神科医でもある吉村氏と映画『どうすればよかったか?』監督の藤野 知明氏による対談企画、第3部では懇親会が行われた。対談企画では、吉村氏から統合失調症治療の歴史と現状、精神疾患に関する法的制度の解説が行われた。また、藤野監督からは、映画の各シーンにおける制作の意図、当時の思いなどが語られた。対談企画中の様子(左から司会を務めた浜松医科大学3年の高木氏、共同代表の吉村氏、監督の藤野氏)【吉村氏による解説】統合失調症の無治療期間が長くなるほど、症状改善が難しくなる。1952年、世界初の抗精神薬であるクロルプロマジンが登場して以降、統合失調症が治療可能な疾患へと変遷していくが、第1世代薬が効かない患者も一定数いる上にパーキンソン症状などの副作用がみられた。1996年以降、非定型抗精神病薬(第2世代)が開発され、現在ではLAI(持続性注射製剤)や部分作動薬(アリピプラゾール)、難治性統合失調症治療薬(クロザピン)など、多くの選択肢があり治療効果が上がっている。しかし、いまだに統合失調症患者に対する偏見は根強く社会復帰の障害となっている。とくに精神科医以外の医師や看護師からの統合失調症の患者に対する偏見が強く、一般医療従事者の約4割が「統合失調症患者は危険である」というステレオタイプのイメージを持っている。また、医学生の多くが「統合失調症患者は社会生活に適応できない」といった否定的なイメージを持っている。【対談企画でのトピック】実家を離れることとなった1992年、「このままでは何も残らない」という思いから帰省ごとに家族の姿を記録するようになった。人々が受け入れがたい事実に直面した際の反応を映しているものであり、周りの人々つまり実弟である監督や両親が中心となった映画である。統合失調症の姉をもつ家族の状況を映画として世の中に出し、統合失調症と取り巻く家族について理解を深める機会を作ったことが、「どうすればよかったか?」に対する問ではないだろうか。(吉村氏)参加した学生からは、以下の感想が寄せられた。家族とは何なのか、家族外には言えない秘密を抱えているかもしれない当事者と家族を支援する在り方とは何なのか考えさせられた」(千葉大4年)答えのない問いをディスカッションしながら考えることができた」(浜松医大3年)ネクソムラボでは、第4回イベントとして、2026年春に能登でのフィールドワークを企画しているという。ネクソムラボ学生代表で浜松医科大学3年の高木 柊哉氏は「能登の復興状況を実際に見ることで、災害医療の現状や課題を肌で感じる機会になるよう企画をしている」と語っている。関連リンクNexSoM Labo『どうすればよかったか?』公式ページ

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日本人における気圧の変化と片頭痛との関係

 獨協医科大学の辰元 宗人氏らは、日本の健康保険請求データベースの大規模データと気象データを照合し、気圧変化の大きい季節が片頭痛発症に及ぼす影響を調査するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2025年9月10日号の報告。 本研究では、JMDC請求データと日本の気象データを用いて分析した。片頭痛の診断歴を有する患者を対象とし、片頭痛と最初に診断された医療機関の所在地に基づいて8つの地域サブグループに分類した。片頭痛発症までの期間(各季節の初日からトリプタンが処方されるまでの期間と定義)を、気圧変化が最も大きい季節と最も小さい季節で比較した。 主な結果は以下のとおり。・分析対象は、2万6,777例。・8つの地域全体において、夏季の気圧変化が最も小さかった。・一方、7つの地域では冬季に最も大きな気圧変化がみられ、1つの地域では秋季に最も大きな気圧変化がみられた。・いずれの地域においても、気圧変化が最も大きかった季節と最も小さかった季節の間で生存曲線に差は認められなかった。・Cox回帰分析では、性別と年齢を含む最小調整モデルにおいて、気圧変化が最も大きかった季節のハザード比は0.970(95%信頼区間[CI]:0.951〜0.989)であった。・一方、8つの共変量を含む完全調整モデルでは、気圧変化が最も大きかった季節のハザード比は1.294(95%CI:1.007〜1.663)であった。 著者らは「本研究では、気圧変化の大きい季節と片頭痛発症との間に有意な関連は認められなかった。今後の研究では、より詳細な分析を行うために、都道府県レベルを超えて、より詳細な居住地データを検討する必要がある」としている。

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難治性うつ病患者、搬送後に心室頻拍に!【中毒診療の初期対応】第1回

<今回の症例>年齢・性別52歳・女性患者情報難治性うつ病の診断で某院精神科にて通院加療していた。仕事から帰宅した夫が、リビングで倒れていて呼びかけてもまったく反応がない状態であるのを発見し、救急センターに搬送された。初診時はいびき様呼吸、呼吸数22/分、SpO2 98%(フェイスマスクにて酸素3L/分)、血圧78/46mmHg、心拍数124bpm、意識レベルJCS 200、瞳孔 左右5.5mm同大、対光反射 緩慢、体温38.6℃であった。心電図モニターでは、QRS(0.18sec)およびQTc(0.50sec)の延長(図1)が認められた。身体所見では、皮膚の乾燥、腸蠕動音の減弱が認められた。気管挿管により気道を確保し、経鼻胃管を挿入したところ薬物残渣が大量に吸引された。突然、心電図モニターで心室頻拍(図2)が出現したが、脈は触知できた。上段:(図1)搬送直後の心電図下段:(図2)経鼻胃管挿入後の心電図画像を拡大する検査値・画像所見末梢血では、WBC 9.80×103/mm3、Hb 13.8g/dL、Ht 39.6%、Plt 132×103/mm3、生化学検査では、TP 6.9g/dL、AST(GOT)12IU/L、ALT(GPT)14IU/L、LDH 320IU/L、CPK 125IU/L、AMY 253IU/L、Glu 132mg/dL、BUN 11mg/dL、Cr 0.6mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 106mEq/L、動脈血ガス(フェイスマスクにて酸素3L/分)、pH 7.336、PaCO2 30.8Torr、PaO2 112.3Torr、HCO3- 16.7mmol/L、BE -3.6mmol/L、乳酸値 4.6mmol/Lであった。<問題1><解答はこちら>2.第1世代三環系抗うつ薬<問題2><解答はこちら>4.炭酸水素ナトリウム1)上條 吉人編. 臨床中毒学 第2版. 医学書院. 2023.

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第34回 10代のSNS利用増、認知テストのスコア低下と関連か?米国大規模調査が示す懸念と対策の必要性

「若者のSNS利用は良いこと? 悪いこと?」この問題をめぐる議論は、世界中の教育者の間で熱を帯びていると言っていいでしょう。SNSが心に悪影響を与えるという研究があれば、「測れるほどの影響はない」という反論も出ます。そんな混沌とした状況が、子供たちや家庭を守るための明確なルール作りを遅らせてきた側面は否めません。そんな中、JAMA誌に掲載された最新の研究は、私たちに新たな視点を与えてくれます1,2)。今回の記事では、思春期初期のSNS利用時間の増加が、10代の認知能力にどのような影響を与えているのかについて明らかにしたこの研究について解説していきます。SNS利用時間の追跡、10代の利用パターン今回ご紹介する研究は、アメリカで行われている大規模な追跡調査「Adolescent Brain Cognitive Development (ABCD) Study」のデータをもとにしています。研究チームは、6,554人の子供たちを9歳から13歳まで追跡しました。そして、彼らが3年間にわたって、具体的に「ソーシャルメディア(SNS)」にどれくらいの時間を費やしているか、その利用パターンの違いを分析したのです。その結果、子供たちのSNS利用には、大きく分けて3つの異なるグループがあることがわかりました。まず、過半数の子供たち(57.6%)は、「ほとんど、あるいはまったく使わない」グループに属していました。彼らのSNS利用時間は非常に少なく、13歳時点でも1日の平均利用時間はおよそ18分にとどまりました。次に大きなグループ(36.6%)は、「低い頻度で(徐々に)増加する」パターンを示しました。9歳時点では利用時間が少なかったものの、年齢とともに増え、13歳時点では1日の平均利用時間がおよそ78分に達していました。少数派ながら見過ごせないグループ(5.8%)は、「高頻度で(急激に)増加する」経過をたどりました。彼らの利用時間も最初は少なかったのですが、その後急激に増加し、13歳時点では1日の平均利用時間が3時間以上と、他のグループに比べて突出して長くなっていました。ここで重要なのは、これらの時間はあくまで「SNS」の利用時間であり、ゲーム、動画視聴、学習目的でのコンピュータ利用など、他のスクリーンタイムは含まれていないという点です。SNS利用と脳のパフォーマンス次に研究チームは、これらの異なるSNS利用パターンが、13歳時点での認知能力とどのように関連しているかを調べました。認知能力の測定には、米国国立衛生研究所が開発した標準化されたテストが用いられました。そして、分析に当たっては、研究開始時点(9歳)での認知スコアを考慮に入れることで、もともとあった能力差が結果に影響するのを最小限に抑えました。その結果、一貫した傾向が見られました。「ほとんど、あるいはまったく使わない」グループと比較して、「低頻度で増加する」グループと「高頻度で急増する」グループの両方が、13歳時点でいくつかの重要な認知テストにおいて低いスコアを示したのです。具体的には、以下の項目で有意な差が見られました。読解認識文章を読む能力に関連絵画語彙言語知識を測る絵画シーケンス記憶出来事を覚える能力を測る総合スコア全体的な認知能力を示すさらに、これらの差には「量反応関係」のような傾向が見られました。つまり、「高頻度で急増する」グループは、「低頻度で増加する」グループよりも、基準となる「ほとんど使わない」グループとのスコア差が大きい傾向があったのです。ただし、この結果を解釈するには注意も必要です。統計的には意味のある差(偶然とは考えにくい差)でしたが、標準化されたスコアで見ると、実際の点差は比較的小さかったのです。また、3つのグループすべての平均スコアは、年齢相応の「平均的な範囲」内に収まっていました。では、この「小さな差」は重要ではないのでしょうか? 必ずしもそうとは言えません。集団レベルで見ればわずかな認知能力の平均的な違いでも、実社会では大きな影響をもたらす可能性があるからです。たとえば、平均的に課題を終えるのに時間がかかるようになったり、数学や読解のような積み重ねが必要な科目で遅れが出やすくなったり、学業への意欲そのものが低下したりするかもしれません。とくに、今回の研究で影響が見られたのが、語彙力や読解力といった、学習や経験を通じて獲得される能力(結晶性知能と呼ばれる)であったことは、この懸念を裏付けているようにみえます。なぜ関連が? 考えられる理由この研究は、SNS利用時間の増加と認知スコアの低さの間に「関連がある」ことを示しましたが、SNSが認知スコア低下の「原因である」と証明したわけではありません。しかし、研究者たちは、その関連性を説明できるいくつかの有力なメカニズムを挙げています。一つは「置き換え仮説」です。SNSの画面をスクロールしている時間は、本来であれば宿題、読書、趣味、あるいは学校での活動など、認知能力の発達にとってより有益な活動に使われたかもしれない時間です。SNSがこれらの活動時間を奪ってしまうことが、とくに言語知識系のスコア低下につながっているのではないかと考えられます。もう一つの重要な要因は「睡眠」です。思春期は脳が劇的に発達する時期であり、質の高い睡眠は学習、記憶の定着、感情のコントロールに不可欠です。しかし、SNSプラットフォームは、絶え間ない通知、アルゴリズムによって無限に続くフィード、刺激的なコンテンツなどで、若者の就寝時間を遅らせ、夜中の睡眠を妨害することが知られています。慢性的な睡眠不足が、注意力や学習能力に直接的な悪影響を与えている可能性があります。もちろん、逆の関係性も考えられます。つまり、もともと認知能力があまり高くない若者が、退屈しのぎや、アルゴリズムに惹きつけられやすいといった理由で、SNSにより多くの時間を費やすようになる可能性です。原因と結果の関係をはっきりさせるには、さらなる研究が必要でしょう。政策を動かすのに「十分な証拠」と言えるのか?このように、まだ解明されていない点や研究上の限界はあるものの、今回の研究結果は、既存の証拠と合わせて考えれば、社会的な対策の導入を正当化するのに「十分な証拠」なのかもしれません。エビデンス自体の強固さに疑問がついたとしても、政策決定は、証拠の確かさだけでなく、問題の緊急性、対策を講じること・講じないことの利益と不利益、実現可能性などを総合的に考慮して判断しなければならないからです。SNSには、社会的なつながりを育んだり、疎外された若者を支援したりといった潜在的な利点もあるでしょう。しかし、利益追求を第一とするプラットフォーム企業が、本質的に子供の利益を最優先する動機を持っているわけではないとも指摘されています。そして、今回の研究で示唆された発達上のコストを考えれば、行動を起こさないことのリスクは大きいとも論じられています。実際、かつて鉛への曝露に関する研究が、比較的小さな認知能力への影響を示唆しただけでも、大きな政策変更や公衆衛生上の対策につながった例もあります。それならば、今回観察された認知能力の差も、政策立案者が真剣に受け止めるべきなのかもしれません。年齢制限、より安全性を考慮したプラットフォーム設計基準、企業への説明責任の強化といった規制措置が、今こそ必要なのかもしれません。さらなる研究が待たれる一方、今回の研究は、思春期初期という脳の発達にとって極めて重要な時期におけるSNS利用が、無視できない認知的コストを伴う可能性を強く示唆しています。若者の健全な発達をデジタル時代にどう守っていくか。今こそアクションを検討すべき重要な問いだと言えるでしょう。 参考文献 1) Nagata JM, et al. Social Media Use Trajectories and Cognitive Performance in Adolescents. JAMA. 2025 Oct 13. [Epub ahead of print] 2) Madigan S, et al. Developmental Costs of Youth Social Media Require Policy Action. JAMA. 2025 Oct 13. [Epub ahead of print]

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日本食はうつ病予防に有効なのか?

 老年期うつ病は、高齢化社会においてますます重要な公衆衛生問題となっている。日本は世界有数の平均寿命と健康寿命の長さを誇るにもかかわらず、日本食と老年期うつ病との具体的な関連性に特化したプロスペクティブコホート研究はこれまで行われていなかった。北海道大学のHo Chen氏らは、日本食と老年期うつ病との関連性を検証し、この関連性が食事の質の向上に起因する身体的健康状態の改善にとどまらないかどうかを評価するため、本研究を実施した。The Journal of Nutrition, Health & Aging誌2025年9月号の報告。 本研究では、1996〜2005年に65歳となる愛知県・日進市の住民を対象とした、年齢別プロスペクティブコホート研究である「the New Integrated Suburban Seniority Investigation(NISSIN)プロジェクト」のデータを利用した。高齢者1,620人(男性:827人、女性:793人)を対象に、70歳時点での老年期うつ病の発症状況を評価した。老年期うつ病の評価には、老年期うつ病尺度15項目質問票を用いた。日本食の順守状況は、修正版日本食インデックス(JDI)を用いて測定した。 主な結果は以下のとおり。・70歳時点で老年期うつ病を発症した高齢者は合計135例であった。・主要な交絡因子を調整した後、日本食の順守が最も高かった群では、順守が最も低かった群と比較し、老年期うつ病の発症リスクが有意に低かった(調整オッズ比[aOR]:0.525、95%信頼区間[CI]:0.286〜0.962)。・また、JDIの各ポイントも老年期うつ病リスクの低下との関連が認められた(aOR:0.900、95%CI:0.816〜0.992)。・食事項目別の解析では、魚介類(p=0.024)、緑黄色野菜(p=0.003)、大豆由来製品(p=0.001)が老年期うつ病リスクの低下と有意に関連していることが示唆された。 著者らは「日本食、とくに緑黄色野菜、大豆由来製品、魚介類を多く含む食生活を順守することは、老年期うつ病の予防につながる可能性がある」と結論付けている。

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ついに始まる! 50人未満の職場にストレスチェック義務化【実践!産業医のしごと】

はじめに2025年(令和7年)5月の労働安全衛生法の改正で、ついにストレスチェックの実施義務が50人未満の事業場にも広がることになりました。施行は公布後3年以内とされているため、遅くとも2028年(令和10年)までには小規模事業場でも対応が必要になる見込みです。これから産業医として、どんな準備をすればよいのでしょうか。検討会で議論されたメリットとデメリットを整理しながら、実務のポイントを見ていきましょう。制度拡大で期待できること産業医が選任されていない事業場では、原則として外部委託を推奨する方針が示されていますが、外部機関の活用が広がってきたことで、小規模事業場でもプライバシーを守りながらストレスチェックを実施できる環境が整いつつあります。検討会でも「外部機関の活用により、対応可能な環境は一定程度整備されてきている」と評価されました。さらに、厚生労働省は「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成のためのワーキンググループを設置し、外部委託先を選ぶ際のチェックリストや、少人数職場での匿名性確保の方法など、現場で使える具体的なノウハウの標準化を進めています。もう1つ心強いのが、地域産業保健センターや産業保健総合支援センターの支援体制が強化されることです。労働者50人未満の事業場は、高ストレス者への面接指導を地域産業保健センターで無料利用できます。施行に向けて受け皿がさらに拡充される見込みで、地域による偏在も緩和される方向です。気を付けなければならない課題一方で、小規模ならではの難しさもあります。少人数の職場では、どうしても個人が特定されやすく、検討会でも「産業医不在の事業場では外部委託が原則」とされました。委託先の選び方が適切かどうか、そして外部に任せても事業者が主体性を失わないようにすることが課題として指摘されています。また、費用の問題も現実的な課題です。外部委託の費用や面接指導の増加に伴うコスト負担について、ワーキンググループでは50人未満の事業場の状況を踏まえ、「円滑な施行に向けて国において十分な支援策を講じる必要」があるとされています。また、報告義務の軽減なども検討されています。さらに、小規模事業場では配置転換などの事後措置が難しいという特性があります。「高ストレス」と判定された労働者に対して、大企業のように部署異動や業務変更で対応することが困難なケースが多いため、事業場の実情に応じた配慮の具体例や、トラブル事例の対応方法の整理が求められています。産業医が準備すべき実務のポイント50人未満の事業場には産業医選任義務がありませんが、関連会社や分散事業所を持つ企業では、本部の産業医に支援依頼が来ることも十分に考えられます。まず基本となるのは、実施規程から結果通知、面接指導の申し出、就業上の措置まで、一連の流れをルール化しておくことです。外部委託を利用する場合は、委託先の守秘体制やアクセス管理、再委託の管理体制をしっかり確認しましょう。少人数の集団では集計を10人以上の単位で行うなど、匿名性を保つための基準設定も重要です。厚生労働省の「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」が活用できます。面接指導の受け皿づくりも早めに検討が必要です。産業医が分散事業所に対応するのか、あるいは地域産業保健センターとの連携体制を構築するのか、事前に方針を決めておきましょう。また、受検率や高ストレス率、面接実施率などの指標を共有し、職場環境改善のPDCAサイクルにつなげていくことが、一次予防としての実効性を高めるカギとなります。まとめ今回の法改正は「すべての事業場で一次予防を底上げする」ことを目指し、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます。施行は公布後3年以内と十分な準備期間が確保されているため、焦る必要はありません。今から計画的に進めていきましょう。参考1)厚生労働省:「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」(2021年2月改訂)

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アルコール消費量と自殺リスクとの関係~メタ解析

 アルコール使用は、個人レベルにおける確立された自殺のリスク因子であるが、これが人口レベルで反映されているかは不明である。アルコールの有害な使用の削減について進捗状況を測る国際的な枠組みで用いられている、人口レベルの総アルコール消費量の指標である1人当たりアルコール消費量(APC)が自殺と関連しているとすれば、自殺予防の取り組みにおいて、アルコールは有用な目標となる可能性がある。カナダ・トロント大学のKatherine Guo氏らは、APCと自殺死亡率の間に関連があるかどうか、また関連がある場合には性別によって違いがあるかどうかを評価するため、メタ解析を実施した。JAMA Network Open誌2025年9月2日号の報告。 2025年2月24日までに公表されたAPCと自殺の関連を測定した独自の定量的研究をEmbase、Medline、PsycINFO、Web of Scienceより検索した。対象研究は、前後比較デザインを含む縦断的観察研究または横断的生態学的デザインによるオリジナルの定量的研究、関連性の尺度を示した研究とした。最終的に合計304件の研究が特定された。データ抽出は、1人のレビューアーで行い、2人目のレビューアーによりクロスチェックを行った。バイアスリスクは、Risk of Bias in Nonrandomized Studies of Exposure tool、エビデンスの質は、GRADEを用いて評価した。システマティックレビューおよびメタ解析は、PRISMAに従い実施した。APCと自殺死亡率の関連性のプール推定値を算出するため、ランダム効果メタ解析を実施した。性差の有無は、ランダム効果メタ回帰を用いて評価した。主要アウトカムは、1人当たりのアルコール消費量(リットル)として測定したAPCと自殺死亡率との関連とした。 主な結果は以下のとおり。・主要解析には合計13件の研究を含めた。・人口レベルでは、APCが1リットル増加するごとに自殺死亡率が3.59%(95%信頼区間:2.38~4.79)増加することが明らかとなった。・性差を示すエビデンスは、認められなかった。 著者らは「本システマティックレビューおよびメタ解析において、APCの増加は人口レベルでの自殺死亡率の上昇と関連しており、この関連は男女間で同様であった。したがって、APCは包括的な国家自殺予防戦略において検討すべき有用な目標となる可能性がある」と結論付けている。

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第290回 慢性疲労症候群の正確な血液検査を開発

慢性疲労症候群の正確な血液検査を開発原因がはっきりしない難病の筋痛性脳脊髄炎(ME)の血液検査が開発され、少人数の試験でかなり優秀な性能を示しました1-3)。重い疲労感、動作後の倦怠感、認知障害、自律神経機能障害を特徴とし、患者をひどく弱らせるMEは慢性疲労症候群(CFS)とも呼ばれ、しばしばME/CFSと表記されます。最もよく使われる定義によるとME/CFSの有病率は1%弱(0.89%)と推定され4)、それが本当なら世界人口80億人のうち実に7千万例強がME/CFSを患っています5)。しかし、報告されている有病率は手段によって大きく異なり、より客観的な診断基準の確立が急務です4)。ME/CFSを引き起こす根本的な仕組みは不明ですが、顕著な特徴の1つとして免疫不調を示すことが知られており、免疫系の一員の末梢血単核細胞(PBMC)を使ってその病理や発症の仕組みが検討されています。英国のOxford BioDynamics社のEpiSwitchという技術を使った先立つ研究で、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、前立腺がん、大腸がんに特有のPBMCの染色体構造(chromosomal conformation、CC)が同定されています。同社は同郷の大学University of East Anglia(UEA)と組み、EpiSwitchを使ってME/CFSに特有のDNAの折り畳まれ方、つまりCCを探すことを試みました。重度のME/CFS患者47例と健康な61例の血液検体を調べたところ、期待どおりME/CFSに特有のCCが見つかり、200のCC特徴に基づく検査Episwitch CFSが開発されました。ME/CFS患者24例とそうでない45例の合計69例で検証したところ、Episwitch CFSの検出感度は92%、特異度は98%、そして正確度は96%でした。すなわち69例のうち誤診は3例のみでした。ME/CFSが示す免疫不調の病状と一致し、免疫や炎症の伝達と強く関連する一連のゲノム変化も見つかっています。それらの変化は治療手段の開拓や治療の向き・不向きを予想するのに役立ちそうです。EpiSwitchを利用した検査はすでに販売されています。1つは前立腺がん診断用で、94%の正確度を誇ります。もう1つはがんの免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1阻害薬)の効果を予測するもので、正確度は85%です。Episwitch CFSは健康な人とME/CFS患者をかなり正確に区別できることが示されましたが、他の慢性炎症疾患と区別できるかは不明であり、今後調べる必要があります。また、今回の試験は重度ME/CFS患者を対象としており、軽度~中等度のME/CFS患者でもEpiswitch CFSが通用するかどうかも調べなければなりません。Episwitch CFSがどれだけ頼りになるかは、それらの課題を踏まえたより大人数を募っての多施設試験で判明するでしょう。やがてEpiswitch CFSが現場で活用され、それぞれの患者により適した効果的な治療が実現することを願うと今回の研究を率いたUEAのDmitry Pshezhetskiy氏は言っています2)。 参考 1) Hunter E, et al. J Transl Med. 2025;23:1048. 2) Revolutionary blood test for ME / Chronic Fatigue unveiled University of East Anglia in Norwich 3) First proposed blood test for chronic fatigue syndrome: what scientists think / Nature 4) Lim EJ, et al. J Transl Med. 2020;18:100. 5) Vardaman M, et al. J Transl Med. 2025;23:331.

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アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾール〜RCTメタ解析

 アルツハイマー病に伴うアジテーションは、患者および介護者にとって深刻な影響を及ぼす。セロトニンとドパミンを調整するブレクスピプラゾールは、潜在的な治療薬として期待されるが、最近の試験や投与量の違いにより、最適な有効性および安全性についての見解は、一致していない。ブラジル・Federal University of ParaibaのJoao Vitor Andrade Fernandes氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療におけるブレクスピプラゾールの有効性および安全性を用量特異的なアウトカムに焦点を当て評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Indian Journal of Psychiatry誌2025年9月号の報告。 アルツハイマー病に伴うアジテーションにおいてブレクスピプラゾールとプラセボを比較したRCTを、PubMed、Embase、Cochrane Libraryよりシステマティックに検索した。主要有効性アウトカムには、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコアの変化を用いた。安全性アウトカムには、治療関連有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、死亡率を含めた。メタ解析は、ランダム効果モデルを用いて実施し、平均差(MD)、オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・4つのRCT、1,710例を分析対象に含めた。・ブレクスピプラゾール2mg群は、プラセボ群と比較し、CMAIスコア(MD:-5.618、95%CI:-7.884〜-3.351、p<0.001)およびCGI-Sスコア(MD:-0.513、95%CI:-0.890〜-0.135、p=0.008)の有意な低下が認められた。・低用量(0.5〜1mg)群では、有効性が限定的であった。・TEAEは、ブレクスピプラゾール2mg群でより多く認められたが(OR:1.554、95%CI:1.045〜2.312、p=0.030)、SAE(OR:1.389、p=0.384)および死亡率(OR:2.189、p=0.301)はプラセボ群と有意な差が認められなかった。 著者らは「ブレクスピプラゾール2mgは、許容できる安全性プロファイルを有しており、アルツハイマー病に伴うアジテーションの軽減に有効である」と結論付けている。

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