フランス・Universite Bourgogne EuropeのTheo Paudex氏らは、境界性パーソナリティ障害(BPD)患者における摂食障害の有病率を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Clinical Psychology & Psychotherapy誌2025年9〜10月号の報告。
PubMed/MEDLINE、PsycINFO、Web of Science よりBPD患者サンプルにおける1つ以上の摂食障害(ED)の有病率を評価した論文をシステマティックに検索した。バイアスリスクは、有病率データを報告する研究のためのジョアンナ・ブリッグス研究所(JBI)チェックリストを用いて推定し、ランダム効果メタ解析モデルを用いて評価した。本研究は、PRISMA 2020ステートメントに基づき実施した。
主な結果は以下のとおり。
・合計34件の論文を解析に含めた。そのうち20件(4,107例)は区別なくEDに関する報告であり、神経性やせ症(AN)、神経性過食症(BN)、過食性障害(BED)、特定不能の摂食障害(EDNOS)に関する報告はそれぞれ20件(3,901例)、20件(4,369例)、7件(766例)、6件(1,773例)であった。
・BPDにおけるEDの全体的な有病率は29.7%(95%信頼区間[CI]:21.6〜38.4)と推定された。
・AN、BN、BED、EDNOSの頻度はそれぞれ9.98%(95%CI:5.6〜15.3)、16.3%(12.1〜21.1)、16.3%(6.0〜30.0)、18.8%(10.6〜28.6)と推定された。
・全体的なバイアスリスクは中等度であり、出版バイアスは認められず、エビデンスの確実性は低かった。
著者らは「本研究により、BPD患者ではEDおよびそのサブタイプの有病率が高いことが明らかとなった。この結果は、BPD患者におけるこれら併存疾患の決定因子を探るためのベースとなる可能性がある」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)