日本人男性、認知機能と関連する肥満指標は?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/06

 

 地域在住の日本人中高年男性において、さまざまな肥満指標と認知機能との関連を調査した結果、腹部の内臓脂肪面積/皮下脂肪面積比(VSR)が低いと認知機能が低いことが示された。滋賀医科大学の松野 悟之氏らがPLoS One誌2025年10月23日号で報告した。

 これまでの研究では、内臓脂肪組織が大きい人は認知症リスクが高く、内臓脂肪組織が認知機能低下と関連していたという報告がある一方、内臓脂肪組織と認知機能の関係はなかったという報告もあり一貫していない。この横断研究では、滋賀県草津市在住の40~79歳の日本人男性を対象とした滋賀動脈硬化疫学研究(Shiga Epidemiological Study of Subclinical Atherosclerosis)に参加した853人のうち、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)に回答し、CTで腹部の内臓脂肪面積と皮下脂肪面積を測定した776人のデータを解析した。参加者をVSRの四分位で分け、共分散分析を用いて各四分位群のCASI合計スコアおよび各ドメインスコアの粗平均値および調整平均値を潜在的交絡因子を調整して算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・776人の平均年齢は68.4歳であった。
・BMI、内臓脂肪面積、皮下脂肪面積の四分位群間でCASI合計スコアに有意差は認められなかったが、多変量調整モデルでは、VSRが最も低い第1四分位群(Q1)の参加者のCASI合計スコアの平均(89.5)は、第3四分位群(Q3)の参加者の平均(90.9)より有意に低く、低いVSRが低い認知機能と独立して関連していた。

 著者らは「本研究の結果は、比較的肥満度の低い日本人男性においては、内臓脂肪組織と皮下脂肪組織を個別に評価するのではなく、VSRに注目する必要があることを示唆する」と結論している。

(ケアネット 金沢 浩子)