日本食はうつ病予防に有効なのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/30

 

 老年期うつ病は、高齢化社会においてますます重要な公衆衛生問題となっている。日本は世界有数の平均寿命と健康寿命の長さを誇るにもかかわらず、日本食と老年期うつ病との具体的な関連性に特化したプロスペクティブコホート研究はこれまで行われていなかった。北海道大学のHo Chen氏らは、日本食と老年期うつ病との関連性を検証し、この関連性が食事の質の向上に起因する身体的健康状態の改善にとどまらないかどうかを評価するため、本研究を実施した。The Journal of Nutrition, Health & Aging誌2025年9月号の報告。

 本研究では、1996〜2005年に65歳となる愛知県・日進市の住民を対象とした、年齢別プロスペクティブコホート研究である「the New Integrated Suburban Seniority Investigation(NISSIN)プロジェクト」のデータを利用した。高齢者1,620人(男性:827人、女性:793人)を対象に、70歳時点での老年期うつ病の発症状況を評価した。老年期うつ病の評価には、老年期うつ病尺度15項目質問票を用いた。日本食の順守状況は、修正版日本食インデックス(JDI)を用いて測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・70歳時点で老年期うつ病を発症した高齢者は合計135例であった。
・主要な交絡因子を調整した後、日本食の順守が最も高かった群では、順守が最も低かった群と比較し、老年期うつ病の発症リスクが有意に低かった(調整オッズ比[aOR]:0.525、95%信頼区間[CI]:0.286〜0.962)。
・また、JDIの各ポイントも老年期うつ病リスクの低下との関連が認められた(aOR:0.900、95%CI:0.816〜0.992)。
・食事項目別の解析では、魚介類(p=0.024)、緑黄色野菜(p=0.003)、大豆由来製品(p=0.001)が老年期うつ病リスクの低下と有意に関連していることが示唆された。

 著者らは「日本食、とくに緑黄色野菜、大豆由来製品、魚介類を多く含む食生活を順守することは、老年期うつ病の予防につながる可能性がある」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)