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【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来~前編

【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来<前編>医師が行う”がん教育”、実際どのように授業を行っているのか?佐々木 治一郎氏(北里大学)、笠井 信輔氏(フリーアナウンサー)出演の特別インタビュー企画<前編>。

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【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来~中編

【特別インタビュー企画】がん教育が拓く未来<中編>”がん教育”で実現できること、医師が携わることの意義とは?佐々木 治一郎氏(北里大学)、笠井 信輔氏(フリーアナウンサー)出演の特別インタビュー企画<中編>。

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isCGMは低血糖予防に有効/京都医療センターほか

 低血糖予防教育に間歇スキャン式持続血糖測定器(intermittently scanned continuous glucose monitoring:isCGM)を用いることで低血糖時間や重症低血糖リスクが低減されることが、村田 敬氏(京都医療センター臨床栄養科)、坂根 直樹氏(同センター臨床研究センター 予防医学研究室長)らの19施設の糖尿病専門医と臨床研究専門家の共同研究により明らかとなった。詳細はDiabetes Research and Clinical Practice誌に11月13日掲載された。isCGMは低血糖予防に役立つツールか 低血糖は、1型糖尿病を持つ人の生活の質を悪化させ、労働生産性を損なうだけでなく、最悪の場合、重大な事故や突然死の原因となることはよく知られていた。しかし、血糖自己測定(SMBG)だけでは、低血糖を予防するには十分ではなかった。村田氏は「isCGMではグルコース値を表示するだけでなく、画面で表すトレンド矢印により血糖変動速度を表示することができる。このトレンド矢印をみて早めに対処することで低血糖時間や重症低血糖リスクが低減したのではないか」と示唆している。 村田氏らのISCHIA研究はインスリンの頻回注射を行っている成人1型糖尿病患者104例を対象に、従来の指先で測る血糖測定器で血糖マネジメントする期間(84日間)とisCGMで血糖マネジメントする期間(84日間)にランダムに割り付けるクロスオーバー試験で行われた。isCGMを使用する患者は、1日10回以上、センサーの表示を確認し、下向きの矢印が出ていて急速に血糖値が低下している状況では、実際に低血糖の症状が出現する前に補食するなどの予防対処をするよう、教育された。isCGMは低血糖リスクを有意に減少 試験を終了した93例のデータが解析され、主要評価項目である低血糖時間(70mg/dL未満)が従来の指先で測る血糖測定器と比べて1日あたり3.1時間(12.9%)から2.4時間(10.1%)に有意に減少することが立証された。また、低血糖指数(LBGI)が5以上の重症低血糖リスクの割合が23.7%から8.6%に減少することがわかった。 本研究について、坂根氏は「isCGMをどの程度活用できたかには個人差があり、センサーのスキャン回数に及ぼす要因やisCGMの費用対効果について検討する必要がある」と述べている。

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映画「心のカルテ」(後編)【なんでやせ過ぎてるって分からないの?(エピジェネティックス)】Part 2

やせになる3つの「細胞の記憶」とは?ここから、やせになる代表的な3つの「細胞の記憶」(エピジェネティックな変化)を挙げて、やせの正体を突き止めてみましょう。(1)代謝メモリーグループホームのメンバーのメーガン(神経性やせ症の排出型)は、妊娠しましたが、食べ吐きを止められずにやせ過ぎて、結局流産してしまいました。ここで、もしも彼女が何とか無事に出産したらどうなるでしょうか? 生まれた子どもは、胎児期に栄養不足であったために、低出生体重児として生まれ、その後に小柄(低身長)になることが考えられます4)。それでは、この子の食行動や代謝はどうなるでしょうか?1つ目は、代謝メモリーです。これは、とくに胎児期の栄養状態(栄養環境)が「細胞の記憶」として刻まれ、成人期の代謝能力に影響を与えることです。つまり、胎児期に栄養不足だと、その後に代謝が節約されるような体質になることです。よって、ダイエットをすれば(栄養不足になれば)、それに順応しやすいので、やせになります。その一方で、裏を返せば太りやすい体質であることから、ダイエットをしていなければ、つい食べてしまい肥満にもなります。つまり、この代謝メモリーによって、少食(やせ)か過食(肥満)かの両極端になりやすくなることがわかります。実際の疫学調査によると、第二次世界大戦でのオランダの飢饉があった時期に生まれた人たちは、成人してから肥満が著しく高かったことがわかっています。なお、生まれてすぐではなく、成人してから肥満になるというタイムラグがあるのは、子どもの時期は食行動(食習慣)が親によってある程度コントロールされていたことも考えられます。ただし、胎児期に栄養不足だったために実際に生まれた子どもが摂食障害や肥満になるという状況は、実際には少ないようです。その理由は、行動遺伝学において、神経性やせ症、神経性過食症、そして肥満における胎児環境(家庭環境)の違いの影響が0%であるからです。この解釈として、そもそも胎児期に栄養不足になるくらいなら始めから無月経となり妊娠できないからです。妊娠前に栄養が保たれていて妊娠後に栄養不足になるのは、ある時を境に起こる飢饉や食べ吐きをしたりしなかったりするメーガンのような極めて特殊な状況であると考えることができます。ちなみに、マウスの実験では、胎児期に栄養過多(妊娠糖尿病など)であった場合でも、逆の太りにくい体質になるわけではなく、栄養不足である場合と同じように太りやすいことがわかっています5)。必ずしも代謝が「浪費」されるような真逆の体質にならないのは、私たちの体が、常に飢餓との隣り合わせの原始の時代に適応するように進化しており、常に飽食で溢れる現代の社会に完全に適応するまで進化していないからであることが考えることができます。代謝メモリーによるやせと肥満の両方へのなりやすさは、食料確保が安定している現代では、結果的に肥満のリスクを高めるだけで、もちろん適応的ではありません。しかし、食料確保が不安定な原始の時代においては、不足している時期はやせてしのいで、過剰な時期は肥満になってため込むことできるため、むしろ適応的であったと言えるでしょうなお、やせ(栄養不足)で無月経になる、つまり一定レベル以上の栄養状態(栄養環境)でなければ、生殖活動は抑制される現象は、実際に多くの哺乳類で見られます。これは、適応的生殖抑制と呼ばれています6)。そのわけは、オスと違ってメスは妊娠から授乳までの一連のプロセスが一大ライフイベントであり、膨大なコストがかかる点で、栄養の確保が不可欠であるためです。だからこそ、メーガンは流産したのだと捉えることもできます。そもそも初潮をはじめとする二次性徴は、栄養不足だと現れません。まさにエレンのように小柄で子どものような体型のままになります。従来から精神医学で指摘されてきた神経性やせ症の独特の成熟拒否という心理状態は、この成熟拒否があるからやせようとすると考えられてきました。しかし、生物学的に考えれば、逆です。やせ過ぎた結果、生殖抑制が働いてしまい、無意識に成熟拒否をするという心理状態になってしまったと捉え直すことができます。(2)愛着メモリーエレンは、義母をはじめ多くの人に暴言を吐き、あまり心を許していません。お互いに好意を寄せる相手であるルークからキスをされても素直に受け止められません。そんな状況の中、エレンの実母から、エレンを生んでから「産後うつ」になり、ちゃんと面倒を見てあげられなかったと打ち明けられます。2つ目は、愛着メモリーです。これは、乳幼児期の愛着関係(保護環境)が「細胞の記憶」として刻まれ、成人期のストレス耐性に影響を与えることです。つまり、乳幼児期の抱っこやスキンシップが十分にされていないと、その後にストレスに過敏になることです。これは、親から守られていない(ストレスに曝されやすい)ため、早くから危険(ストレス)を察知して自分で逃げたり攻撃して、危険な生活環境を生き残る能力でもあります。さらに、この愛着メモリーによって、ダイエットによる減量の刺激(栄養不足のストレス)にも過敏になり、先ほどご説明した適応的生殖抑制が働きやすく(よりやせやすく)なります。実際に、古くからあるラットの実験(アクティビティモデル)でも確かめることができます7,8)。これは、ラットに決まった時間だけ少しエサを与え、それ以外の時間は回し車(活動を促す装置)に乗せることです。すると、ラットは、エサを食べる量が減ってしまう一方で運動量が増えてしまい、最終的に消費カロリーが摂取カロリーを上回って餓死します。これは、神経性やせ症の動物モデルです。そして、この傾向は、早期に母子分離したメスのラットほど早くて顕著であることがわかっています。畜産学では、もともと低脂肪種になるように交配したメスの子豚は、早く母子分離をさせられ新しい集団生活に入れられると、低カロリーのわらだけ食べて動き回ることが広く知られています。この状態は「雌豚やせ症」と呼ばれています3,8)。これも、神経性やせ症の動物モデルと言えるでしょう。ただし、乳幼児期の愛着形成がうまく行っていなかったためにその後にその子が摂食障害になるという状況は、実際には少ないようです。その理由は、行動遺伝学において、神経性やせ症、神経性過食症、さらには肥満における家庭環境の違いの影響が0%であるからです。この解釈として、やはり摂食障害の原因は複合的であり、愛着の問題はほかの原因よりも相対的に小さいと考えることができます。愛着メモリーによるストレスへの過敏さ(ストレス耐性の弱さ)は、平和な現代社会においては、人間関係をこじらせたり、心や体の病気のリスクを高めて寿命を縮めるため、もちろん適応的ではありません。しかし、常に危険な原始の時代においては、人間関係や長生きが現代ほど当てにならないため、生まれた時に守られていないならストレスを敏感に感じるという反応があるほうがその瞬間を生き抜くためにむしろ適応的であったと言えるでしょう。(3)社会性メモリーエレンは、唯一仲良くやってきた妹(異母妹)から「食べない理由を聞いてもまともに答えてくれない」と詰め寄られます。しかし、それでも平然と「コントロールできる」「悪いことは起こらない」としか答えません。エレン自身、なぜ食べられないのか自分でもよくわかっていないようです。もはや理屈ではない何かに突き動かされているように見えます。それは何でしょうか?3つ目は、社会性メモリーです。これは、思春期までの生活スタイルが「細胞の記憶」として刻まれ、成人期のアイデンティティ(社会適応能力)に影響を与えることです。つまり、人間関係のあり方をはじめ、思春期までにどう生きてきたかが、その後の自分らしさとして固まってしまうことです。たとえば、それは、外向的か内向的か、協調的か反抗的か、親分肌か子分肌かなどのさまざまな性格の違いでもあります。現代にしても原始の時代にしても、成人後に社会でどんな生き方をする(役割を果たす)かは、思春期までの生き方(人間関係)で形作られています。だからこそ、行動遺伝学でのどの性格(ビッグファイブを含む)の遺伝率も50%程度なのです。残りの50%である環境の影響が、社会性メモリーによるものであり、エピジェネティックな変化であると言えます。なお、このような社会適応能力としての性格の詳細については、関連記事2をご覧ください。さらに、この社会性メモリーによって、栄養不足(やせ)になるという生活スタイルを「やせアイデンティティ」として固定化させてしまう可能性が考えられます。たとえば、エレンは、やせたまま社会復帰しつつ、味方になってくれている妹が将来的に子どもを産んだら、その子育てを助けることです。つまり、この社会性メモリーによって、やせ(適応的生殖抑制)は維持されつつ、社会の一員として生きて、血縁者のサポート役(血縁ヘルパー)になることができます。これは、血縁者を助けることによって、間接的に子孫を残すことであり、結果的に生殖の適応度をある程度保つ生殖戦略です9)。この生殖戦略は、社会性昆虫であるミツバチでも確認できます。ミツバチが働きバチではなく女王バチになるのは、遺伝子が違うからではなく、幼虫の時にローヤルゼリーを与えられ続けてエピジェネティックな変化が起きたからであることが指摘されています。この変化によって、女王バチはどんどん卵を産んでいく一方、働きバチは卵巣が縮小してしまい生殖能力を失います。しかし、働きバチ(娘)は、女王バチ(母親)をサポートして、自分の妹(※ミツバチのオスが生まれるのはもともとごくわずか)が生まれることで、自分の遺伝子を部分的に残しています(包括適応度を高めています)。つまり、働きバチも、神経性やせ症の動物モデルと言えそうです。もちろん、 人間の社会は、ミツバチの社会より遥かに複雑である分、そのエピジェネティックな変化(性格形成)も多様であると言えるでしょう。社会性メモリーによる「やせアイデンティティ」は、飽食の現代社会においては、早死にするリスク、子どもをつくれないこと、そして見た目が目立つため、決して適応的ではありません。しかし、常に食料不足の原始の時代においては、そもそも長生きできず、やせているのが当たり前です。そんな中、運悪く飢餓状態が長く続いた女性が、適応的生殖抑制を慢性化させ(神経性やせ症になって)、食事量を少なくして、その食事の分を妊娠可能な(適応的生殖抑制が働いていない)血縁者に回すことは、部族(血縁集団)の存続としてはむしろ適応的だったと言えるでしょう。なお、エレンは、長らく生理がないくらい栄養不足なのに、逆に取り憑かれたように腹筋運動をしてカロリー消費をしようとしていました。この過活動の原因については、単純にやせていたいと本人が意識的にやっているというよりも、無意識にやっていることが考えられます。その根拠として、過活動を抑える抗肥満ホルモン(レプチン)を分泌する脂肪細胞が減ることで、結果的に過活動が促されることがわかっているからです7)。さらに進化の視点で見れば、これは過活動によって食料を探し回ろうとする体(脳)の反応と捉えることができます。それでも、見つけた食料を自分が食べるわけではないので、まさに「働きバチ」と言えるでしょう。<< 前のページへ | 次のページへ >>

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映画「心のカルテ」(後編)【なんでやせ過ぎてるって分からないの?(エピジェネティックス)】Part 3

やせの謎の答えは?先ほどの社会性メモリー(エピジェネティックな変化)による「やせアイデンティティ」の確立が、神経性やせ症に病識がない原因であると考えることができます。つまり、エレンの根っこの心理を代弁すれば「このまま(少食のまま)でいい」です。「やせたい」ではないです。「やせたい」という気持ちは現代のダイエット文化の影響による後付けであると考えることができます。そうすれば、すでにやせ過ぎているのにあまり食べないというやせ願望(肥満恐怖)や、やせ過ぎていてもそう思わないボディイメージの障害などの症状があるのも納得がいきます。また、男性は妊娠能力がなく、適応的生殖抑制を働かせる必要がないため、そもそも神経性やせ症にはなりにくいです。これが、神経性やせ症の顕著な男女差の原因であると考えられます。一方で、女性は児童期までに妊娠能力がなく、適応的生殖抑制を働かせる必要がありません。これが、神経性やせ症の好発年齢が児童期以前ではなく思春期に多い原因であると考えられます。また、成人期以降ではアイデンティティの確立はすでに終わっています。これが、神経性やせ症の好発年齢が成人期以降ではなく思春期に多い原因であると考えられます。さらに、エレンは子どもをつくれなくても、妹の子どものサポート役になることができます。そして、その子が思春期になった時に、過激なダイエットをしてしまえば、神経性やせ症になる可能性があるでしょう。これが、神経性やせ症を発症させる遺伝子が残っている(遺伝率が高い)原因です。つまり、直接的には子孫(遺伝子)を残せませんが、血縁者をサポートすることで間接的に「やせ遺伝子」を残すことになるというわけです。真の治療とは?神経性やせ症の正体は、過激なダイエットや食べ吐きなどによる栄養不足への反応のしやすさ(代謝メモリー)、栄養不足のストレスへの過敏さ(愛着メモリー)、栄養不足(やせ)へのアイデンティティ(社会性メモリー)という3つのエピジェネティックな変化であることがわかりました。つまり、神経性やせ症は、最終的にはアイデンティティという生き方の問題であり、説教や説得をしてもあまり効果がないことがわかります。もっと言えば、食事制限は、宗教的な理由から輸血を拒否することと同じとも捉えられます。早死にするリスクがあっても本人がその生き方を望むなら、私たちは神経性やせ症を病気として特別視せず、生き方の違いとして捉え直し、静かに見守ることが必要です。逆に言えば、本人に同意のない経鼻栄養(強制栄養)は、輸血を拒否する人に輸血をするのと同じ人権侵害に発展する恐れがあります。また、過激なダイエットも、生き方の問題として止められない点で、食べ吐きと同じ行動依存(嗜癖)であると捉えることができます。それでは、この神経性やせ症の正体を踏まえたうえで、ここからその真の治療を捉え直します。エレンが生活するグループホームでの取り組みを通して、主に3つ挙げてみましょう。(1)病識を促す-集団療法グループホームでは、メンバーたちが集まって話し合うミーティングが1日に朝と夕に1回ずつあります。心理カウンセラーが「夕方は反省会。今日の悪かったことと良かったことをテーマにします」と始めています。日常生活を通して、お互いの気持ちを聞き合い、励まし合ったり、慰め合ったりしています。1つ目は、病識を促すための集団療法です。これは、本人に自分と似た人を実際に見てもらうことで、「やせアイデンティティ」を見つめ直してもらう効果があります。また、仲間と一緒にいるという集団心理によって、同調の効果もあります。アルコール依存症と同じく、自助グループとしての取り組みです。ただし、同調によって、やせとして生きるアイデンティティが逆に強化される場合もあるため、カウンセラーのような方向付けをする役割が必要です。(2)治療意欲を高める-行動療法グループホームでは、目標の体重に戻るための生活上のさまざまなルールがあり、それを守るとポイントが加算され、破ると減点されます。ポイントが貯まると、外出などの自由が増えていきます。2つ目は、治療意欲を高めるための行動療法です。これは、行動を変えていくことで、生き方(アイデンティティ)を変えていく効果があります。アルコール依存症と同じく、飲酒を誘発する行動をしないようにする取り組みです。ただし、この取り組みも、本人が同意していないと、人権侵害になるリスクがあるため、日々のコミュニケーションが必要です。(3)家族が距離感を知る-家族療法実は、エレンの家族関係は複雑でした。そんな彼女のために、主治医のベッカム先生は「誰も責めない」と言い、家族を集めて、語らせます。しかし、言い争いになって、収集がつかなくなるのでした。3つ目は、家族が本人との距離感を知るための家族療法です。これは、家族が本人や誰かを責めるのではなく、本人をほど良くサポートする効果があります。アルコール依存症と同じく、家族が関わり方を学ぶ取り組みです。なお、ラストのほうで、実母がエレンを赤ちゃんに見立てて擬似授乳するシーンがあります。うまく育まれなかった愛着形成のやり直しをすることで、遠い記憶の上書きの象徴として描かれています。しかし、愛着メモリー(エピジェネティックな変化)は基本的に不可逆であることから、模擬授乳の実際の治療的な効果は不明です。予防は?映画のストーリーのその後に、もしもエレンが回復して、ルークと結ばれて娘を生んだとしたら、どうでしょうか?もちろん、幸せな家庭になってもらいたいです。ただし、その娘はもちろん「やせ遺伝子」を色濃く引き継ぎます。なお、エレンとルークのやせのエピジェネティックな変化も、娘に引き継がれるかどうかについては、現時点でまだはっきりしたことがわかっていません。植物や動物などにおいて、いくつかの特定のエピジェネティックな変化が次の世代に引き継がれていることがすでに確認されています。人間においても、いくつか可能性の報告はあるものの、遺伝子レベルで確認されているわけではありません。この現象はあったとしても、その影響度は植物や動物と比べて小さいものであることが推定されます。その理由は、人間は、植物やほかの動物と違い、文化も引き継いでいるからです。人間においてのエピジェネティックな変化の報告はどれも、現時点で、文化について触れられていませんでした。人間は、遺伝と並んで、文化(家庭外環境)の影響が大きいことから、エピジェネティックな変化が次の世代に引き継がれる必要がないとも言えます。この点で、「(エピジェネティックな変化によって)遺伝子は後から変わる」と言い切ることには慎重になったほうが良いと思われます。以上より、神経性やせ症への予防のヒントが見いだせます。それは、過激なダイエットをすることは、エピジェネティックな変化を招き、食べ吐きと同じように止められなくなり(依存的になり)、危険であるという事実を、もっと世の中に啓発して文化的に広めていくことです。そうすることで、神経性やせ症をはじめとする摂食障害の予防を徹底することができます。そんな文化の社会になった時、エレンとルークから生まれた娘は、神経性やせ症にならないことが期待できるのではないでしょうか?3)標準精神医学(第8版)P402:医学書院、20214)進化医学P184:羊土社、20135)もっとよくわかる!エピジェネティックスP162:羊土社、20206)摂食障害の進化心理学的理解の可能性P47:日本生物学的精神医学会誌Vol. 23 No. 1、20127)摂食障害の最近の動向」P148:心身医学、日本心身医学会、20148)人間と動物の病気を一緒にみるP295:バーバラ・N・ホロウィッツ、インターシフト、20149)進化と人間行動P167:長谷川寿一ほか、東京大学出版会、2022<< 前のページへ■関連記事ちびまる子ちゃん(続編)【その教室は社会の縮図? エリート教育の危うさとは?(社会適応能力)】

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B型肝炎(HB)ワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第15回

今回は、ワクチンで予防できる疾患(VPD:vaccine preventable disease)の1つであるB型肝炎を取り上げる。B型肝炎はがんの原因となりうるウイルス性疾患の1つで、わが国では2006年に定期接種に導入された。ワクチンで予防できる疾患B型肝炎ウイルス(HBV)は肝臓に感染し、一過性の感染もしくは持続性の感染を起こす。B型肝炎に感染すると20~30%が急性肝炎を発症し、そのうち1%前後が劇症化して昏睡・死亡に至ることがある。ウイルスを排除できず持続感染に至ると、慢性肝炎を発症し、さらに肝硬変、肝細胞がんを生じることがある。この持続感染の多くは出産時や乳幼児期に成立するため、ワクチンによる出生早期からの予防が望まれる1)。感染は血液や体液を介して成立する。母親がHBV保有者である場合、妊娠中あるいは出産中に、胎児もしくは新生児が母親の血液を介して感染することがある(垂直感染)。また、近年では性感染の割合も増加しており、2006~2015年に報告された急性B型肝炎のうち70%は性的接触による感染であった2)。さらに父子感染、保育園での集団感染といった汗、涙などによる感染が疑われる例も報告されている。そのほか医療従事者や清掃業者などが針刺し事故などの血液曝露で感染することがある1)(水平感染)。急性B型肝炎は感染症法において5類感染症に位置付けられており、診断から7日以内の届け出が義務付けられている1,3)。WHO(世界保健機関)による2019年の報告によると全世界の2億9,600万人がHBV持続感染者(キャリア)で、肝硬変や肝細胞がんにより年間82万人が亡くなっている4)。ワクチンの概要と接種スケジュール(表)表 B型肝炎ワクチンの概要画像を拡大する(おとなとこどものワクチンサイトより引用)開発、普及の歴史B型肝炎ワクチンは、1985年に母子感染予防事業として導入された。この事業では全妊婦で感染を確認し、HBs抗原陽性妊婦から出生した乳児に公費でワクチンおよび免疫グロブリン投与を行った。これにより94~97%と高率に母子感染が予防できるようになった5)。さらにWHOおよびUNICEF(国際連合児童基金)は、1992年にB型肝炎制圧のため、全世界の全新生児を対象にB型肝炎ワクチンの接種を行うように推奨した。これを受けて2016年10月には定期接種(A類疾病)となり、わが国においてもB型肝炎ワクチンはユニバーサルワクチンとなった1,3)。1)効果B型肝炎ウイルスの感染を予防する。2)対象定期接種(1)1歳に至るまでの年齢にある者(2)長期療養などで定期接種期間中に受けることができなかった者(治療後2年間)3)保険適応(1)HBs抗原陽性(B型肝炎ウイルスキャリア)の母親から出生した児(2)血液曝露後:事故発生からなるべく早く経静脈的免疫グロブリン療法(IVIG)と共に1回目を接種する(保険適応は7日以内)。業務上の曝露でHBs抗原が陽性なら労災保険が適応される。4)任意接種上記以外のすべての場合5)副反応ワクチン接種による一般的な副反応のみで、特異的な副反応は報告されていない。複数回の接種により、副反応の発現率が上昇することはない。6)注意点B型肝炎ワクチンによりアナフィラキシーを起こしたことがある場合は禁忌である。日常診療で役立つ接種ポイント1)どのような人に勧めるか?血液・体液に曝露する可能性のあるすべての人、つまり基本的にはすべての人に推奨される。特に医療・介護従事者、清掃業者、血液透析患者、コンタクトスポーツ(ラグビー、レスリングなど)をする人には必須である。そのほかHIV陽性者などの免疫不全者、HBs抗原陽性者のパートナーにも強く推奨される。また、海外留学の要件になることも多く、留学を考える人にとっても必須ワクチンの1つである。2)3回接種の途中で、異なる種類のワクチンを使っても良いか?問題はない。現在国内には、遺伝子型A由来のワクチン(商品名:ヘプタバックス-II[MSD社])と遺伝子型C由来のワクチン(同:ビームゲン[KMバイオロジクス社])の2種類が流通している。いずれも異なる遺伝子型に対しても有効であり、互換性がある。3)3回目接種が遅れた場合はどうすればよいか?気付いた時点で速やかに3回目を接種する。4)3回接種後の抗体確認は必要か?定期接種では不要である。ただし母子感染予防対象者、医療従事者などのハイリスク者では、3回目接種から1~2ヵ月後の抗体検査が推奨される。HBs抗体値が10mIU/mL未満の場合は1回の追加接種を行い、環境感染学会が推奨する図のアルゴリズムで対応する。被接種者の約10%が、1シリーズ(3回)接種後も抗体反応ができない(non responder)もしくは悪い(low responder)とされている。なお、若いほど抗体獲得率が高い7)ため、なるべく早期の接種が推奨される。図 ワクチン接種歴はあるが抗体の上昇が不明の場合の評価画像を拡大する(環境感染学会. 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版. 2020.より転載)今度の課題、展望従来のワクチンで十分な感染予防効果が期待できないワクチンエスケープ株が報告されており、新しいワクチンの開発が進んでいる。HBVは3種類のエンベロープ蛋白(small-S、middle-S、large-S蛋白)を持つ。従来のワクチンはsmall-S蛋白を抗原としているが、現在開発されているのはmiddle-S蛋白からなる“Pre-S2含有”ワクチンと、large-Sとsmall-S蛋白を併用するワクチンで、より多くのHBV株に対する効果が期待される1,8)。B型肝炎ワクチンはユニバーサルワクチンである。職種を問わず全世代で推奨されるワクチンの1つであり、2016年4月以前に生まれた人の多くはワクチン接種歴がなく免疫を持たないため、1度は接種を検討すると良いだろう。参考となるサイトこどもとおとなのワクチンサイト1)B型肝炎、海外渡航者のためのワクチンガイドライン/ガイダンス2019. 日本渡航医学会; 2019.p.85-86.2)国立感染症研究所. IASR.2016;37:438.3)日本ワクチン産業協会. 予防接種に関するQ&A集. 2021.(2022年9月アクセス)4)Hepatitis B. WHO.5)白木和夫. IASR. 2000;21:74-75.6)環境感染学会. 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版. 2020.(2022年11月アクセス)7)厚生労働省. B型肝炎ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版).(2022年9月アクセス)8)Washizaki A, et al. Nature Communications. 2022;13:5207.講師紹介

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事例012 アトピー性皮膚炎疑いでのTARC検査で査定【斬らレセプト シーズン3】

解説事例では、アトピー性皮膚炎疑いの患者に、「D015 血漿蛋白免疫学的検査の(19)TARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)検査」を施行したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)にて査定となりました。査定の理由には、「TARC検査は、アトピー性皮膚炎およびCOVID-19の確定病名以外では原則認められない」と付記されていました。査定内容を確認するために、医師に問い合わせたところ「炎症が著しかったためにアトピー性皮膚炎を強く疑い、確定診断検査に合わせて行った」と説明を頂きました。査定時の付記を確認するためにTARC検査の留意事項を参照したところ、「アトピー性皮膚炎の重症度評価の補助を目的として、血清中のTARC量を測定する場合に、月1回を限度として算定できる」とありました。アトピー性皮膚炎の確定診断後の検査であることが分かります。医師には、2022年度診療報酬改定時に新しく示された留意事項を示して、レセプトには確定診断を付与いただくようにお願いしました。レセプトシステムには、アトピー性皮膚炎およびCOVID-19に「疑」が付与されている場合には、確定診断が必要と表示されるように改修し査定対策としています。

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うつ病と自殺念慮に対する思春期~成人期の24時間行動ガイドラインの重要性

 若年および成人の24時間行動ガイドラインでは、最適な健康状態を確保するために特定の身体活動時間、座位時間、睡眠時間を推奨しているが、メンタルヘルスの指標との関連についてはよくわかっていない。スペイン・ナバーラ州立大学のAntonio Garcia-Hermoso氏らは、思春期~成人期の24時間行動ガイドラインと、成人期のうつ病および自殺念慮を伴う思春期中期(12~17歳)から成人期(33~39歳)までの軌跡との関係を調査するため、本検討を行った。その結果、思春期中期~成人期での24時間行動ガイドラインの利用促進および継続で、メンタルヘルスに関する問題が予防可能であることが示唆された。ただし、本研究結果について著者らは、エラーやバイアスにつながる恐れのある自己評価や、1994~96年のガイドラインへの適合測定を2016年に行いデータセットを作成した点などから、慎重に解釈する必要があるとしている。The International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌2022年10月23日号の報告。 米国における思春期~成人期の健康に関する全国縦断研究(Add Health)のWeves I(1994~95年)およびV(2016~18年)の参加者を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。身体活動時間、スクリーンタイム、睡眠時間は、アンケートを用いて収集した。過去4週間でうつ病の自己申告歴および/または抗うつ薬の使用があった成人は、うつ病として分類した。自殺念慮は、Weves IまたはVにおいて自己申告の単一質問を用いて収集した。Weves Iでの24時間行動ガイドラインにおける特定の組み合わせおよび思春期~成人期の軌跡に応じて、成人期のうつ病および自殺念慮の発生率比(IRR)を推定するため、ポアソン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象は、7,069人(女性の割合:56.8%)。・思春期中期に身体活動ガイドラインおよび3つのガイドラインすべてを満たしていた人は、いずれも満たしていなかった人と比較し、成人期のうつ病(IRR:0.84、95%信頼区間[CI]:0.72~0.98)および自殺念慮(IRR:0.74、95%CI:0.55~0.99)のリスクが低かった。・思春期および成人期ともにスクリーンタイムのガイドラインおよび3つのガイドラインすべてを満たしていた人は、満たしていなかった人と比較し、うつ病([スクリーンタイム]IRR:0.87、95%CI:0.72~0.98、[3つすべて]IRR:0.37、95%CI:0.15~0.92)および自殺念慮([スクリーンタイム]IRR:0.74、95%CI:0.51~0.97、[3つすべて]IRR:0.12、95%CI:0.06~0.33)のリスクが低かった。・思春期に3つのガイドラインすべてを満たしていなかったが、成人期に満たしていた人は、ガイドラインをまったく満たしていなかった人と比較し、自殺念慮のリスクが低かった(IRR:0.81、95%CI:0.45~0.89)。

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神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩)の販売を11月16日より開始したことを発表した。コセルゴカプセルは国内初の神経線維腫症1型における叢状神経線維腫の治療薬 神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。神経線維腫症1型患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。 コセルゴカプセルは、細胞増殖に関与する酵素である分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1およびMEK2)を阻害することにより、神経線維腫症1型の症状発現に関与する腫瘍細胞の増殖を抑制する薬剤である。コセルゴカプセルの承認は、米国国立がん研究所(NCI)のがん治療評価プログラム(CTEP)によるSPRINT試験第II相パート層1の結果に基づいている。コセルゴカプセルを3~18歳の疼痛や外観上の変形などの臨床症状を有し、重大な合併症のリスクを伴うことなく切除できないPNを有する患者に経口投与したところ、腫瘍の縮小が認められ、客観的奏効率(ORR:完全奏効[PNの消失]または部分奏効[20%以上の腫瘍縮小]が確認された患者の割合と定義)は66%(50例中33例)であったことが示された。SPRINT試験で最も多くみられた副作用は、嘔吐、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、下痢、悪心であった。さらに、症候性かつ手術不能なPNを有する3~18歳の日本の神経線維腫症1型患者を対象とした第I相試験において腫瘍が縮小したと示された点も承認の根拠として評価された。 アレクシオンファーマ社長の笠茂 公弘氏は、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫は今まで根本的な治療薬がなく、主な治療選択肢が手術に限られていた。そのため、痛みを伴う身体的な苦痛、外見の変形などの問題に起因する精神的な苦痛に加え、病態の進行や予後への不安を抱えながら生活する患者さん、患者さんのご家族も少なくない。国内初の治療薬コセルゴを、新たな希望として患者さんとそのご家族に届けられることは大変喜ばしく、われわれにとって大きな励みとなる。引き続き『すべての希少疾患を持つ人々に人生を変える治療法と希望を届ける』という当社のパーパスのために、革新的な治療法の研究開発に努める」としている。

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マスク要請解除で学校のコロナ感染増、職員で顕著/NEJM

 米国マサチューセッツ州のグレーターボストン地域の学区で、州全体のマスク着用方策の撤回から15週の期間に、マスク着用要請を解除した学区の小中学校はこれに応じずに着用要請を続けた学区の学校と比較して、生徒と学校職員における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患者が1,000人当たり44.9人多かったことが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のTori L. Cowger氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月9日号で報告された。グレーターボストン地域72学区の調査 2022年2月28日、マサチューセッツ州は、公立学校におけるユニバーサルマスキング方策を州全体で撤回し、その後の数週間に多くの学区で生徒や職員へのマスク着用要請が解除された。グレーターボストン地域では、ボストン地区と近隣のチェルシー地区の2つの学区だけが、2022年6月までマスク着用要請を続けた。 研究グループは、この変更された方策の実施の時間差に関して差分の差分分析を行い、グレーターボストン地域で2021~22年の学年度中にマスク着用要請を解除した地区と、この要請を継続した地区で、生徒と職員におけるCOVID-19の罹患率を比較した。 グレーターボストン地域の72学区(生徒29万4,084人、学校職員4万6,530人)が解析の対象となった。方策撤回後1週目は、要請解除が46学区、継続は26学区で、2週目にはそれぞれ63学区および9学区に、その後は70学区および2学区となった。生徒より職員で、増加分が大きかった 州全体でマスク着用方策が撤回される前のCOVID-19罹患率は、学区全体で同程度であった。 州全体のマスク着用方策の撤回から15週までに、マスク着用要請を解除した学区では、マスク着用要請を継続した学区に比べ、生徒と職員のCOVID-19罹患率が1,000人当たり44.9人(95%信頼区間[CI]:32.6~57.1)多かった。この増加分の罹患者数は推定1万1,901人(95%CI:8,651~1万5,151)で、解除学区の罹患者の33.4%(95%CI:24.3~42.5)、全学区の罹患者の29.4%(95%CI:21.4~37.5)に相当した。 要請解除による罹患リスクへの影響は、学校職員(81.7人[95%CI:59.3~104.1]/1,000人の増加)のほうが生徒(39.9人[24.3~55.4]/1,000人の増加)よりも大きかった。 マスク着用要請の延長を選択した学区は、早期解除を選択した学区と比較して、校舎の築年数が長く、周辺の環境が劣悪で、1学級の生徒数が多い傾向が認められた。また、これらの学区では、低所得家庭の生徒、障害のある生徒、英語学習中の生徒の割合が高く、黒人や中南米系の生徒や職員が多かった。 著者は、「今回の調査結果は、地域社会で感染者数が多い時期に、高品質マスクを用いたユニバーサルマスキングは、SARS-CoV-2の感染拡大と対面登校日の減少を最小限に抑えるための重要な戦略であるとの見解を支持する。また、マスク着用は、重症COVID-19のリスク、教育現場の混乱、家庭内での2次感染による健康や経済的な影響など、学校における構造的人種差別の影響を軽減するための重要な手段となる可能性が示唆された」と指摘し、「今回の知見を活用すれば、各学区は、2022~23年の学年度中に起こりうる冬のCOVID-19の波を見越して、公平な感染緩和計画を立案し、感染の波が収まった時にマスクを外すための明確な判断基準を策定できるであろう」としている。

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コロナで日本の未成年者の自殺率とその理由が変化

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に、日本の若年者(10~19歳)の自殺率はパンデミック前と比較して増加し、家族問題や人間関係の問題に起因する自殺が増加していたことを、東京大学医学部附属病院の後藤 隆之介氏らが明らかにした。パンデミックにより学校閉鎖などの前例のない感染防止対策が講じられ、若年者に多くのメンタルヘルスの課題をもたらしたが、これまでパンデミック中の若年者の自殺の傾向やその理由を調査した研究はほとんどなかった。The Lancet regional health. Western Pacific誌2022年8月10日掲載の報告。 調査は、厚生労働省発表の2016~20年の月別自殺率と、警察庁発表の2018~20年の自殺原因を用いて行われた。ポアソン回帰モデルを使用して変動を推計したイベントスタディデザインと分割時系列解析により、パンデミック前(2016年5月~2020年3月)とパンデミック中(2020年5月~2021年4月)の月別自殺率の変化を比較するとともに、自殺の原因(家族問題、精神疾患、人間関係の問題、学校問題)の変化を調査した。 主な結果は以下のとおり。・10~19歳の若年者の自殺率は、パンデミック前と比較してとくに2020年8月から11月にかけて増加した。2020年11月の自殺率は前年比1.86倍(95%信頼区間[CI]:1.30~2.66)であった。・自殺率は、2020年12月にはパンデミック前と同水準に近づいたが、2021年に入ってもわずかに上昇したままであった。・分割時系列解析によると、自殺率は2020年5月から8月にかけて上昇(+0.099件/10万人の若年者/月、95%CI:0.022~0.176)し、2020年9月から12月にかけて減少(-0.086件/10万人の若年者/月、95%CI:-0.164~-0.009)した。・すべての主な原因による自殺が2020年夏から秋にかけて増加しており、とくに家族問題や人間関係の問題に起因する自殺が増加していた。・精神疾患に起因する自殺率は、パンデミック前の水準よりも2020年12月まで高いままであった。 これらの結果より、同氏らは「パンデミック中は若年者にメンタルサポートを提供するだけでなく、定期的な社会的交流の機会の提供が有益である可能性がある」とまとめた。

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非専門医が使える「糖尿病治療のエッセンス」2022年版/日本糖尿病対策推進会議

 わが国の糖尿病患者数は、糖尿病が強く疑われる予備群を含め約2,000万人いるとされているが、糖尿病の未治療者や治療中断者が少なくない。 そこで、糖尿病診療のさらなる普及を目指し、日本糖尿病学会をはじめとする日本糖尿病対策推進会議は、糖尿病治療のポイントをとりまとめて作成した『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』を制作し、日本医師会のホ-ムページより公開した。糖尿病治療のエッセンスの改訂は今回で5回目となる。 糖尿病治療のエッセンスの今改訂では、(1)かかりつけ医から糖尿病・腎臓の専門医・専門医療機関への照会基準を明確に解説、(2)最新の薬剤情報へアップデートなど、よりわかりやすい内容に見直しを行った。『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』主な内容と使用図表の一覧(主な内容)1)糖尿病患者初診のポイント2)治療目標・コントロール指標3)治療方針の立て方4)食事療法・運動療法 薬物療法のタイミングと処方の実際5)糖尿病合併症 医療連携 (使用図表)図1 糖尿病の臨床診断のフローチャート図2 血糖コントロール目標図3 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)図4 糖尿病患者の治療方針の立て方図5 有酸素運動とレジスタンス運動図6 かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準図7 かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準表1 その他のコントロール指標表2 主な経口血糖降下薬の特徴(赤字は重要な副作用)表3 GLP-1受容体作動薬 (リベルサス以外は注射薬)表4 インスリン注射のタイミング、持続時間と主な製剤の比較表5 基礎インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合注射薬表6 代表的なインスリンを用いた治療のパターン表7 糖尿病性腎症病期分類図 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム別表 安全な血糖管理達成のための糖尿病治療薬の血糖降下作用・低血糖リスク・禁忌・服薬継続率・コストのまとめ 同会議では「糖尿病診療は新しい取り組みや薬物療法など、そのとりまく環境は大きく変化している。本書を活用し、最新の知見について理解を深め、日常診療において、糖尿病患者の早期発見、治療に役立てて、糖尿病診療に携わる医療関係者にとって医療連携のツールとして、その発展につながることを願っている」と『糖尿病治療のエッセンス(2022年版)』に期待を寄せている。

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ヒドロクロロチアジド、アモキシシリンなどに「使用上の注意」改訂指示

 厚生労働省は11月16日付で、ヒドロクロロチアジド含有製剤、アモキシシリン水和物含有製剤などに対し、使用上の注意の改訂指示を発出した。 今回の改訂指示は、ヒドロクロロチアジド含有製剤4剤の「重大な副作用」の項に「急性呼吸窮迫症候群」を、アモキシシリン水和物含有製剤6剤の「重要な基本的注意」の項のショックに関する問診の注意喚起にアナフィラキシー・アレルギー反応に伴う急性冠症候群などを、ロキサデュスタットの「重要な基本的注意」の項に定期的に甲状腺機能検査を促す注意を、イマチニブメシル酸塩の「重大な副作用」の項「血栓性微小血管症」に関する注意喚起を、それぞれ追記する内容となっている。詳細は以下。●ヒドロクロロチアジド含有製剤1)ヒドロクロロチアジド(商品名:ヒドロクロロチアジド錠)2)ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド(商品名:プレミネント配合錠 LD、同配合錠HD)3)カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド(商品名:エカード配合錠 LD、同配合錠 HD)4)バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(商品名:コディオ配合錠 MD、同配合錠 EX)【改訂の概要】「重大な副作用」の項に「急性呼吸窮迫症候群」を追記●アモキシシリン水和物含有製剤1)アモキシシリン水和物(商品名:サワシリンカプセル、パセトシンカプセル)2)クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物(商品名:オーグメンチン配合錠、クラバモックス小児用配合ドライシロップ)3)ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(商品名:ボノサップパック)4)ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール(商品名:ボノピオンパック)5)ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(商品名:ラベキュアパック)6)ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール(商品名:ラベファインパック)【改訂の概要】1)、2)・「重要な基本的注意」の項のショックに関する問診の注意喚起に、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群を追記し、問診内容に関する注意を追記・「重大な副作用」の項に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を追記3)~6)・「重要な基本的注意」の〈アモキシシリン水和物〉の項のショックに関する問診の注意喚起に、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群を追記し、問診内容に関する注意を追記・「重大な副作用」の〈アモキシシリン水和物〉の項に「アレルギー反応に伴う急性冠症候群」を追記●ロキサデュスタット(商品名:エベレンゾ錠)【改訂の概要】・「重要な基本的注意」の項に、定期的に甲状腺機能検査(TSH、遊離 T3、遊離 T4)を促す注意を追記・「重大な副作用」の項に「中枢性甲状腺機能低下症」を追記●イマチニブメシル酸塩(商品名:グリベック錠)【改訂の概要】「重大な副作用」の項に「血栓性微小血管症」に関する注意喚起を追記

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