糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

乳製品や甘いものを食べて寝ると悪夢を見る?

 寝る前にアイスクリームやチーズなどの乳製品を食べて悪夢を見たことがあるだろうか。1,000人以上を対象に、食生活と睡眠習慣を調査した新たな研究により、乳糖不耐症の症状が重い人は悪夢をより頻繁に見る傾向のあることが明らかになった。モントリオール大学(カナダ)精神医学教授のTore Nielsen氏らによるこの研究結果は、「Frontiers in Psychology」に7月1日掲載された。  この研究は、2015年に実施された食事と夢の関係に関する研究の続編であるという。Nielsen氏は、「以前の研究では、被験者は悪夢の原因を常にチーズのせいにしていた。今回の研究では、その点についてより良い答えが得られたと思う」と話している。

糖尿病の新たな食事療法「DASH4D」で血圧も低下

 高血圧予防のための食事スタイルとして歴史のある「DASH」を糖尿病患者向けにアレンジした、「DASH4D(Dietary Approaches to Stop Hypertension for Diabetes)」の有効性が報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学のLawrence Appel氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Internal Medicine」に6月9日掲載された。  Appel氏は、「血圧は、コントロールすべき最も重要な検査値の一つだ。数値が高いほど脳卒中や心臓病のリスクが高まる」と解説。そして、「この研究の参加者の多くは既に複数の降圧薬を服用していたが、それにもかかわらず食事スタイルを変更することで、さらに血圧が低下した」と述べている。

スタチンはくも膜下出血リスクを下げる?~日本のレセプトデータ

 スタチン使用によるくも膜下出血予防効果は、実験動物モデルやいくつかの臨床試験で検討されているが結論は得られていない。今回、東京理科大学の萩原 理斗氏らが日本のレセプトデータベースを用いて症例対照研究を実施したところ、スタチン使用がくも膜下出血リスクの減少と有意に関連していたことがわかった。Stroke誌オンライン版2025年7月8日号に掲載。  本研究では、2005年1月~2021年8月に新たにくも膜下出血(ICD分類第10改訂コードI60)と診断されて入院した患者を症例とし、症例1例につき4例の対照を無作為に選択し、incidence density samplingを用いて年齢、性別、追跡期間でマッチングした。スタチン曝露(使用頻度、期間)はくも膜下出血発症前に評価した。患者特性で調整された条件付きロジスティック回帰を使用して、スタチン使用とくも膜下出血リスクの関連を評価し、この関連が高血圧・糖尿病・脳血管疾患・未破裂頭蓋内動脈瘤の既往、降圧薬の使用によって差があるかどうかも調査した。

ダイエット飲料より水の方が血糖・体重管理に有利

 体重を減らして血糖コントロールを良好にしたいなら、ダイエット飲料ではなく、水を飲むべきかもしれない。米国糖尿病学会学術集会(ADA2025、6月20~23日、シカゴ)で発表された小規模な研究の結果であり、水を飲むように割り当てられた女性はダイエット飲料を飲むように割り当てられた女性よりも、体重が大きく減り、糖尿病が寛解した患者も多かったという。主任研究者であり、糖尿病治療サポートツールなどを手掛けるD2Type Health社のCEOであるHamid Farshchi氏は、「われわれの研究結果は、ダイエット飲料は体重や血糖値の管理に悪影響を及ぼさないとする、これまでの米国での一般的な考え方に疑問を投げかけるものだ」と述べている。

推奨通りの脂質低下療法で何万もの脳卒中や心筋梗塞を回避可能か

 スタチンなどの脂質低下薬の使用が推奨される米国の患者数と実際にそれを使用している患者数との間には大きなギャップがあり、毎年何万人もの人が、脂質低下薬を服用していれば発症せずに済んだ可能性のある心筋梗塞や脳卒中を発症していることが、新たな研究で明らかにされた。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院疫学教授のCaleb Alexander氏らによるこの研究結果は、「Journal of General Internal Medicine」に6月30日掲載された。  Alexander氏らは、まず、米国国民健康栄養調査(NHANES)に2013年から2020年にかけて参加した40〜75歳までの米国成人4,980人のデータを解析した。このサンプルは、同じ年齢層の米国成人約1億3100万人を代表するように統計学的に重み付けされた。解析では、米国およびヨーロッパの脂質低下療法(LLT)に関する薬物治療ガイドラインが完全に実施された場合に、治療状況やアウトカムがどの程度改善されるかが予測された。解析は、米国心臓協会(AHA)/米国心臓病学会(ACC)ガイドライン(2018年米国ガイドライン)、欧州心臓病学会(ESC)/欧州動脈硬化学会(EAS)ガイドライン(2019年EUガイドライン)、LDLコレステロール(LDL-C)低下のための非スタチン療法の役割に関するACC専門家決定方針(2022年米国決定方針)の3種類に基づいて行われた。

糖負荷後1時間血糖値は死亡予測マーカーになるか/東北大学

 将来起こりうる心疾患や悪性腫瘍を予防したいとは誰もが思う。これらを予測する生物学的マーカーについては、長年さまざまな研究が行われている。今回、この予測マーカーについて、東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝・内分泌内科学分野の佐藤 大樹氏らの研究グループは、岩手県花巻市大迫町の平均62歳の住民を対象に糖摂取後の血糖値と寿命の関係を調査した。その結果、ブドウ糖負荷後1時間血糖値(1-hrPG)が170mg/dL未満の群では、1-hrPG170mg/dL以上の群と比較して、心臓疾患などの死亡が少ないことが明らかになった。この研究結果は、PNAS NEXUS誌2025年6月2日号に掲載された。

子ども向けネット動画にジャンクフードの宣伝が氾濫

 YouTubeで動画を見ている子どもは、キャンディーや加糖飲料、ファストフード、甘いスナックや塩辛いスナックなどのジャンクフードを宣伝するメッセージを頻繁に目にしていることが、新たな研究で明らかにされた。この研究によると、6~8歳の子どもの75%、3~5歳の子どもの36%が、自分のモバイル端末で自由に選んだYouTubeまたはYouTube Kidsの動画を視聴中にジャンクフードの宣伝にさらされていたという。米コネチカット大学ラッド・センター・フォー・フードポリシー・アンド・ヘルス(以下、ラッド・センター)のJennifer Harris氏らによるこの研究結果は、「Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics」に6月25日掲載された。

Lp(a)による日本人のリスク層別化、現時点で明らかなこと/日本動脈硬化学会

 第57回日本動脈硬化学会総会・学術集会が7月5~6日につくば国際会議場にて開催された。本稿ではシンポジウム「新たな心血管リスク因子としてのLp(a)」における吉田 雅幸氏(東京科学大学先進倫理医科学分野 教授)の「今こそ問い直すLp(a):日本におけるRWDから見えるもの」と阿古 潤哉氏(北里大学医学部循環器内科学 教授)の「二次予防リスクとしてのLp(a)」にフォーカスし、Lp(a)の国内基準として有用な値、二次予防に対するLp(a)の重要性について紹介する。

実臨床でのGLP-1RAの減量効果は治験の成績ほどでない

 減量目的で使われているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の実臨床における有効性は、治験段階で認められたほどには高くないようだ。米クリーブランドクリニックのHamlet Gasoyan氏らの研究によるもので、詳細は「Obesity」に6月10日掲載された。  GLP-1RAは、血糖降下作用とともに、食欲抑制作用などを介して減量効果を発揮する薬。セマグルチド(商品名はウゴービ)やチルゼパチド(同ゼップバウンド)などがあり、それらが承認される根拠となった治験では、15~21%の体重減が報告されていた。しかし今回の研究では、実際に処方された患者の1年後の体重変化は、平均9%弱の減少にとどまっていた。研究者によると、実臨床では治療を中止する人や、治験で使われた用量より少ない量が処方されているケースが多いことが、有効性低下の理由として考えられるという。

GLP-1受容体作動薬、高齢者はBMI低下の一方でサルコペニア加速

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は、グルコースレベルを効果的に低下させ大幅な体重減少を促進することから、糖尿病や肥満症の治療薬として広く使用されている。一方、サルコペニアは筋肉量と筋力の低下を特徴とする進行性の疾患で、とくに高齢者に多くみられ、2型糖尿病の高齢者では、サルコペニアの有病率が非糖尿病患者に比べて2~3倍高いとされる。こうした背景から、GLP-1RAセマグルチドによる治療を受けた2型糖尿病の高齢者における筋肉量・筋力・筋機能の変化を調査したShijiazhuang People's Hospital(中国・河北)のQingjuan Ren氏らによる研究が、Drug Design, Development and Therapy誌オンライン版2025年7月3日号に掲載された。