糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

超加工食品は若年成人の糖尿病リスクを押し上げる

 工業的に作られ添加物が多用されている「超加工食品」が、若年成人の糖尿病リスクを高める可能性を示唆するデータが報告された。米南カリフォルニア大学ケック医科大学のVaia Lida Chatzi氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrition & Metabolism」に11月10日掲載された。  この研究から、超加工食品の摂取量が多いことが、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなること(インスリン抵抗性)や、2型糖尿病または前糖尿病(初期の高血糖状態であり2型糖尿病のリスクが高い状態)と関連のあることが示された。論文の上席著者であるChatzi氏は、「超加工食品の摂取量が少しでも増えると、肥満リスクのある若年成人の血糖調節が乱れる可能性がある。食生活は修正可能であり、若年者に生じる早期の代謝性疾患を予防する上で速やかに対処すべきターゲットであることを、われわれの研究結果は示している」と話している。

メトホルミンが運動療法の効果を阻害してしまう可能性

 古くからある経口血糖降下薬で、米国では現在も2型糖尿病の第一選択薬として位置付けられているメトホルミンが、運動療法の効果を阻害してしまう可能性を示唆するデータが報告された。米ラトガーズ大学ニューブランズウィック校のSteven Malin氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月7日掲載された。  この研究の背景について、論文の筆頭著者であるMalin氏は、「多くの医療従事者は、1+1=2だと考えている。しかし、メトホルミンがわずかながら運動の効果を弱めることを示唆するエビデンスも存在する」と話している。この問題の本質を探るため同氏らは、メタボリックシンドロームのリスクのある成人において、同薬が血管インスリン感受性(インスリンによる血管拡張や血流促進作用)を低下させる可能性の有無を、二重盲検プラセボ対照試験で検討した。

小児期の肥満は成人後に診療数が多くなる

 小児期のBMIは、成人になってからの疾患リスクに影響を与えるのだろうか。このテーマについて、デンマーク・コペンハーゲン大学病院臨床研究予防センターのJulie Aarestrup氏らの研究グループは、小児約11万人を対象に調査し、その結果、小児期に肥満だった人では、成人してからの診断件数が多かったことが判明した。この結果は、Obesity 誌2025年11月18日オンライン版で公開された。  研究グループは、15~60歳までの性別特異的な疾患診断パターンが、小児期のBMIによって異なるかどうかを調査するために、コペンハーゲン学校健康記録登録簿中の1962~96年生まれで体重・身長が測定された児童11万2,952例(女子5万5,603例)を対象に、7歳時のBMIを低体重(4.3%)、正常体重(83.1%)、過体重(9.2%)、肥満(3.5%)に分類した。病院ベースの診断は、全国登録データから取得し、BMI群ごとに頻度の高い疾患上位50種について、性別別の累積発生率を算出した。

SGLT2阻害薬の腎保護作用:eGFR低下例・低アルブミン尿例でも新たな可能性/JAMA(解説:栗山哲氏)

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病、糖尿病関連腎臓病(DKD)、慢性腎臓病(CKD)、心不全患者などにおいて心・腎アウトカムを改善する明確なエビデンスがある。しかし、腎保護作用に関し、従来、ステージ4 CKD(G4)や尿アルブミン排泄量の少ない患者での有効性は不明瞭であり、推奨度は低かった。この点に注目し、SGLT2阻害薬が腎アウトカムに与える「クラス効果(class effect)」を高精度に評価することを目的とし、オーストラリアのBrendon L. Neuen氏らは、SGLT2阻害薬の大規模臨床研究(ランダム化二重盲検プラセボ対照試験:RCT)を、SGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C:国際共同研究)として統合的にメタ解析した。

認知症リスク低減効果が高い糖尿病治療薬は?~メタ解析

 糖尿病治療薬の中には、血糖値を下げるだけでなく認知機能の低下を抑える可能性が示唆されている薬剤がある一方、認知症の発症・進展は抑制しないという報告もある。今回、国立病院機構京都医療センターの加藤 さやか氏らは、システマティックレビュー・ネットワークメタアナリシスにより、9種類の糖尿病治療薬について2型糖尿病患者の認知症リスクの低減効果があるのかどうか、あるのであればどの薬剤がより効果が高いのかを解析した。その結果、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬が認知症リスクの低減効果を示し、その効果はこの順に高い可能性が示唆された。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2025年10月22日号に掲載(2026年1月号に掲載予定)。

CKDへのSGLT2阻害薬、糖尿病・UACRを問わずアウトカム改善/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)患者におけるSGLT2阻害薬の効果については不確実性が存在し、欧米のガイドラインでは糖尿病の状態や尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)に基づき推奨の強さが異なる。英国・オックスフォード大学のNatalie Staplin氏らSGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists’ Consortium(SMART-C)は、SGLT2阻害薬は糖尿病の有無やUACRの値にかかわらず、腎機能や入院、死亡のアウトカムに関して明確な絶対的便益(absolute benefit)を有するとメタ解析の結果を報告した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年11月7日号で発表された。

低用量アスピリン処方が2型糖尿病患者の初回イベントリスク低下と関連――AHA

 動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の既往のない成人2型糖尿病患者に対する低用量アスピリン(LDA)の処方が、心筋梗塞や脳卒中、全死亡リスクの低下と関連しているとする、米ピッツバーグ大学医療センターのAleesha Kainat氏らの研究結果が、米国心臓協会(AHA)年次学術集会(AHA Scientific Sessions 2025、11月7~10日、ニューオーリンズ)で発表された。追跡期間に占めるLDA処方期間の割合が高いほど、より大きなリスク低下が認められるという。  AHA発行のリリースの中でKainat氏は、「これまでのところ、ASCVD一次予防でのLDAの有用性は証明されていない。しかし、2型糖尿病はASCVDのリスク因子である。本研究では、2型糖尿病を有し、かつASCVDリスクが中等度以上に高い集団における、一次予防としてのLDA投与の意義を検討した」と、研究背景を述べている。

10人に1人が糖尿病疑い、男性は3割が肥満/国民健康・栄養調査2024

 厚生労働省は2025年12月2日、「令和6年国民健康・栄養調査」の結果概要を発表した。この調査は、健康増進法に基づき毎年実施され、2024年10〜11月に日本全国から無作為に選ばれた約1万世帯が、身体・栄養摂取状況、生活習慣についての調査に回答した。結果の要点は以下のとおり。 ・HbA1c値と自己申告に基づく推計によると、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,100万人と推計され、1997年以降、一貫して増加している。一方、「糖尿病の可能性を否定できない者」は約700万人で、こちらは2007年をピークに減少傾向を示した。 ・20歳以上の「糖尿病が強く疑われる者」の割合は12.9%(男性17.7%、女性9.3%)、「糖尿病の可能性を否定できない者」は男女とも8.2%であった。「糖尿病を指摘された経験がある者」のうち現在治療を受けている者の割合は67.4%と3分の2にとどまり、とくに30〜40代において相対的に未治療率が高かった。

選択的アミリン受容体作動薬eloralintide、週1回投与で有意な減量効果/Lancet

 米国・Endeavor HealthのLiana K. Billings氏らは、同国46施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照用量漸増試験において、肥満または過体重かつ肥満関連併存疾患を有する非2型糖尿病の成人に対する新規選択的アミリン受容体作動薬eloralintideが、48週間にわたり臨床的に意義のある用量依存的な体重減少をもたらし、忍容性は良好であったことを報告した。アミリンをベースとした治療法は、有望な肥満治療薬として注目を集めている。著者は、「eloralintideが肥満治療薬として有用である可能性を支持する結果である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年11月6日号掲載の報告。

糖尿病を予防するにはランニングよりも筋トレの方が効果的?

 糖尿病の発症予防のために運動をするなら、ランニングよりもウエートリフティングの方が適しているのかもしれない。その可能性を示唆する研究結果が、「Journal of Sport and Health Science」に10月30日掲載された。米バージニア工科大学運動医学研究センターのZhen Yan氏らが行った動物実験の結果であり、高脂肪食で飼育しながらランニングをさせたマウスよりもウエートリフティングをさせたマウスで、より好ましい影響が確認されたという。  論文の上席著者であるYan氏は、「私たちは誰でも長く健康な人生を送りたいと願っている。そして、運動を習慣的に続けることが、その願いの実現のためにメリットをもたらすことは誰もが知っている。ランニングなどの持久力をつける運動と、ウエートリフティングなどのレジスタンス運動(筋トレ)は、どちらもインスリン感受性を高めるというエビデンスが、ヒトを対象として行われた数多くの研究で示されてきている」と話す。