糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

妊娠前/妊娠初期のGLP-1作動薬中止、妊娠転帰と体重変化は?/JAMA

 主に肥満の女性で構成されたコホートにおいて、GLP-1受容体作動薬の妊娠前または妊娠初期の使用とその後の中止は、妊娠中の体重増加の増大、早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群のリスク上昇と関連していた。米国・マサチューセッツ総合病院のJacqueline Maya氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。GLP-1受容体作動薬は、妊娠中に禁忌であり、妊娠初期に投与を中止すると妊娠中の体重増加や妊娠転帰に影響を及ぼす可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2025年11月24日号掲載の報告。  妊娠前3年間・妊娠後90日間、GLP-1受容体作動薬の処方妊婦vs.非処方妊婦を比較 研究グループは2016年6月1日~2025年3月31日に、マサチューセッツ州ボストン地域をカバーする15施設からなる学術医療研究機関Mass General Brighamにおいて、分娩に至った単胎妊娠14万9,790例を対象に後ろ向きコホート研究を行った。

スタチン使用は本当にうつ病リスクを低下させるのか?

 これまで、スタチンのうつ病に対する潜在的な影響については調査が行われているものの、そのエビデンスは依然として一貫していない。台北医学大学のPei-Yun Tsai氏らは、スタチン使用とうつ病の関連性を明らかにするため、最新のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。General Hospital Psychiatry誌2025年11〜12月号の報告。  2025年9月11日までに公表された研究をPubMed、the Cochrane Library、EMBASEより、言語制限なしでシステマティックに検索した。また、対象論文のリファレンスリストの検討を行った。プールされたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。

経口orforglipron、2型糖尿病の肥満にも有効/Lancet

 2型糖尿病の過体重/肥満成人において、生活習慣改善の補助的介入としての経口低分子GLP-1受容体作動薬orforglipronの1日1回投与は、プラセボと比較して体重減少効果は統計学的に優れ、安全性プロファイルは他のGLP-1受容体作動薬と同等であったことが示された。米国・University of Texas McGovern Medical SchoolのDeborah B. Horn氏らATTAIN-2 Trial Investigatorsが、第III相の多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験「ATTAIN-2試験」の結果を報告した。肥満は2型糖尿病およびその合併症と深く関わる。非糖尿病の肥満成人を対象としたATTAIN-1試験では、orforglipron 36mgの1日1回投与による治療で72週後の体重が最大12.4%減少し、心代謝リスク因子が改善したことが示されていた。Lancet誌オンライン版2025年11月20日号掲載の報告。

健康診断から見える、糖尿病予測の未来

 糖尿病は日本人の主要な生活習慣病である一方、予防可能な側面も大きく、発症リスクの理解と適切な介入の実現が課題である。この課題に対し、静岡県の国民健康保険データベースを用いて、健康診断データから2型糖尿病発症リスクを予測する新たなモデルが開発された。Cox比例ハザードモデルを基礎に構築した予測スコアは、検証データセットで良好な識別能を示したという。研究は静岡県立総合病院消化器内科の佐藤辰宣氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏、静岡社会健康医学大学院大学の臼井健氏らによるもので、詳細は10月30日付で「Scientific Reports」に掲載された。

超加工食品は若年成人の糖尿病リスクを押し上げる

 工業的に作られ添加物が多用されている「超加工食品」が、若年成人の糖尿病リスクを高める可能性を示唆するデータが報告された。米南カリフォルニア大学ケック医科大学のVaia Lida Chatzi氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrition & Metabolism」に11月10日掲載された。  この研究から、超加工食品の摂取量が多いことが、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなること(インスリン抵抗性)や、2型糖尿病または前糖尿病(初期の高血糖状態であり2型糖尿病のリスクが高い状態)と関連のあることが示された。論文の上席著者であるChatzi氏は、「超加工食品の摂取量が少しでも増えると、肥満リスクのある若年成人の血糖調節が乱れる可能性がある。食生活は修正可能であり、若年者に生じる早期の代謝性疾患を予防する上で速やかに対処すべきターゲットであることを、われわれの研究結果は示している」と話している。

メトホルミンが運動療法の効果を阻害してしまう可能性

 古くからある経口血糖降下薬で、米国では現在も2型糖尿病の第一選択薬として位置付けられているメトホルミンが、運動療法の効果を阻害してしまう可能性を示唆するデータが報告された。米ラトガーズ大学ニューブランズウィック校のSteven Malin氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に10月7日掲載された。  この研究の背景について、論文の筆頭著者であるMalin氏は、「多くの医療従事者は、1+1=2だと考えている。しかし、メトホルミンがわずかながら運動の効果を弱めることを示唆するエビデンスも存在する」と話している。この問題の本質を探るため同氏らは、メタボリックシンドロームのリスクのある成人において、同薬が血管インスリン感受性(インスリンによる血管拡張や血流促進作用)を低下させる可能性の有無を、二重盲検プラセボ対照試験で検討した。

小児期の肥満は成人後に診療数が多くなる

 小児期のBMIは、成人になってからの疾患リスクに影響を与えるのだろうか。このテーマについて、デンマーク・コペンハーゲン大学病院臨床研究予防センターのJulie Aarestrup氏らの研究グループは、小児約11万人を対象に調査し、その結果、小児期に肥満だった人では、成人してからの診断件数が多かったことが判明した。この結果は、Obesity 誌2025年11月18日オンライン版で公開された。  研究グループは、15~60歳までの性別特異的な疾患診断パターンが、小児期のBMIによって異なるかどうかを調査するために、コペンハーゲン学校健康記録登録簿中の1962~96年生まれで体重・身長が測定された児童11万2,952例(女子5万5,603例)を対象に、7歳時のBMIを低体重(4.3%)、正常体重(83.1%)、過体重(9.2%)、肥満(3.5%)に分類した。病院ベースの診断は、全国登録データから取得し、BMI群ごとに頻度の高い疾患上位50種について、性別別の累積発生率を算出した。

SGLT2阻害薬の腎保護作用:eGFR低下例・低アルブミン尿例でも新たな可能性/JAMA(解説:栗山哲氏)

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病、糖尿病関連腎臓病(DKD)、慢性腎臓病(CKD)、心不全患者などにおいて心・腎アウトカムを改善する明確なエビデンスがある。しかし、腎保護作用に関し、従来、ステージ4 CKD(G4)や尿アルブミン排泄量の少ない患者での有効性は不明瞭であり、推奨度は低かった。この点に注目し、SGLT2阻害薬が腎アウトカムに与える「クラス効果(class effect)」を高精度に評価することを目的とし、オーストラリアのBrendon L. Neuen氏らは、SGLT2阻害薬の大規模臨床研究(ランダム化二重盲検プラセボ対照試験:RCT)を、SGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium(SMART-C:国際共同研究)として統合的にメタ解析した。

認知症リスク低減効果が高い糖尿病治療薬は?~メタ解析

 糖尿病治療薬の中には、血糖値を下げるだけでなく認知機能の低下を抑える可能性が示唆されている薬剤がある一方、認知症の発症・進展は抑制しないという報告もある。今回、国立病院機構京都医療センターの加藤 さやか氏らは、システマティックレビュー・ネットワークメタアナリシスにより、9種類の糖尿病治療薬について2型糖尿病患者の認知症リスクの低減効果があるのかどうか、あるのであればどの薬剤がより効果が高いのかを解析した。その結果、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬が認知症リスクの低減効果を示し、その効果はこの順に高い可能性が示唆された。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2025年10月22日号に掲載(2026年1月号に掲載予定)。

CKDへのSGLT2阻害薬、糖尿病・UACRを問わずアウトカム改善/JAMA

 慢性腎臓病(CKD)患者におけるSGLT2阻害薬の効果については不確実性が存在し、欧米のガイドラインでは糖尿病の状態や尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)に基づき推奨の強さが異なる。英国・オックスフォード大学のNatalie Staplin氏らSGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists’ Consortium(SMART-C)は、SGLT2阻害薬は糖尿病の有無やUACRの値にかかわらず、腎機能や入院、死亡のアウトカムに関して明確な絶対的便益(absolute benefit)を有するとメタ解析の結果を報告した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年11月7日号で発表された。