糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

生活保護受給者、糖尿病の受診動向と転帰は?/筑波大学ら

 日本において生活保護受給者は医療費が免除されているが、医療費無償化の健康アウトカムに対する効果はどの程度なのか。糖尿病患者を対象に、生活保護受給者と国民健康保険加入者の治療と転帰の違いを調査した研究が行われた。筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野の山岡 巧弥氏らによる本研究は、Journal of Diabetes Investigation誌オンライン版2025年12月4日号に掲載された。  本研究は後ろ向き観察研究で、2017年4月〜2022年3月につくば市で収集された基本住民台帳・生活保護調査・医療保険請求データを用いた。対象は20〜68歳で2型糖尿病と診断され、糖尿病薬を使用している患者だった。主な評価項目は「年次の眼科検診受診」「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の使用率」「医療費(総額・外来・入院)」「健康アウトカム(低血糖および入院発生率)」であり、多変量回帰モデルにより治療プロセスの差と転帰のリスク比や発生率比を推定した。

自然光を浴びることで、2型糖尿病の血糖管理と代謝が改善

 現代では多くのオフィスワーカーが生活時間の8~9割を屋内で過ごしているとされ、慢性的な日光不足が2型糖尿病などの代謝疾患のリスク因子として注目されている。日中の自然光曝露が2型糖尿病患者において血糖変動を安定化させ、脂肪利用を高めるとともに、骨格筋の概日リズム(体内時計)を調整する可能性が示された。この研究成果は、Cell Metabolism誌オンライン版2025年12月18日号に掲載された。

若々しい脳を保つ秘訣は筋肉量の維持と脂肪のカット

 身体が健康的で筋肉量が多いと脳の健康状態が良好に維持されやすいことが、米セントルイス・ワシントン大学放射線学・神経学准教授のCyrus Raji氏らによる新たな研究で示された。Raji氏は、「筋肉量が多く内臓脂肪が少ない健康的な身体では、脳もより健康的で若々しい傾向にある」と話している。この研究結果は、北米放射線学会年次学術集会(RSNA 2025、11月30日~12月4日、米シカゴ)で発表された。  Raji氏は、「年齢を重ねると、筋肉量が減り内臓脂肪が増えることは広く知られているが、こうした健康指標が脳の老化そのものに関連していることが、今回の研究で示された。体内の筋肉量と脂肪量は、脳年齢に基づいた脳の健康状態を反映する重要な指標であることが明らかになった」と説明している。

SGLT2阻害薬のCKD進行抑制:糖尿病およびアルブミン尿の有無にかかわらず得られる絶対的ベネフィット/JAMA(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しいか? SMART-C(SGLT2 Inhibitor Meta-Analysis Cardio-Renal Trialists' Consortium)は、SGLT2阻害薬のランダム化比較試験(RCT)における心・腎アウトカムをメタ解析する国際共同研究組織である。SMART-C研究の成果は、2024~25年にLancet誌などに4編の論文として主要誌に報告された。そのうち2編は主として腎保護効果に焦点を当てた解析であり、JAMA誌オンライン版(2025年11月7日号)に同時掲載された。その第1報はNeuenらによる論文で、これは「腎アウトカム」のクラスエフェクトを解析した研究である。

糖尿病患者は心臓突然死リスクが極めて高い

 1型か2型かにかかわらず糖尿病患者は、心臓突然死のリスクが極めて高いとする論文が、「European Heart Journal」に12月4日掲載された。コペンハーゲン大学病院(デンマーク)のTobias Skjelbred氏らの研究によるもので、心臓突然死が多いことが一因となり、糖尿病患者は寿命も短いという実態も示されたという。  この研究では、デンマーク全国民の医療記録データベースが解析に用いられた。2010年の1年間で6,862件の心臓突然死が記録されており、そのうち97件が1型糖尿病、1,149件が2型糖尿病の患者だった。心臓突然死の発生率は一般集団と比較して、1型糖尿病では3.7倍、2型糖尿病では6.5倍だった。年齢層別に解析すると若年層で発生率の差がより大きく、50歳未満の糖尿病患者は一般集団の7倍であり、特に30代の1型糖尿病患者では22.7倍と極めて高値だった。

スリムな体型を維持するには運動と食事の双方が大切

 年齢とともに増えがちな体重を抑制しスリムな体型を維持するには、食生活の改善と習慣的な運動の双方を実践することが、最も効果的であることを示すデータが報告された。英オックスフォード大学のShayan Aryannezhad氏(研究時点の所属は英ケンブリッジ大学に設置されている英国医学研究会議〔MRC〕の疫学部門)らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に11月21日掲載された。食事と運動の組み合わせは、健康への悪影響が強い「内臓脂肪」を抑えるという点で特に効果的だという。  Aryannezhad氏は、「体重の変化について語るとき、人々は体重計の数値のみに注目していることが多い。しかし、体重が全く同じように変化しているとしても、その意味が同じであるとは限らない。第一に、糖尿病や心臓病といった心血管代謝疾患のリスクを考える場合は、筋肉を減らさず脂肪を減らす必要がある。第二に、その脂肪も蓄積されている場所によって、健康への有害性が異なる。つまり、体重が増えたり減ったりした場合、筋肉や脂肪がどのように変化したのかを知ることが重要だ」と語っている。そして研究者らは、「2型糖尿病や脂肪肝、心臓病と強く関連しているのは『内臓脂肪』だ」と指摘している。

男性のビール腹は心不全リスクの可能性

 男性によく見られ、“ビール腹”と呼ばれることもある腹部肥満が、心不全のリスクと関連しているとする研究結果が、北米放射線学会年次総会(RSNA 2025、11月30日~12月4日、シカゴ)で報告された。ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センター(ドイツ)のJennifer Erley氏らが発表した。  この研究から、腹部肥満は心筋の肥厚と心室の縮小に関連していることが示された。研究者らによると、これらの変化は心不全リスクにつながるものと考えられるという。Erley氏は、「腹部肥満、つまりウエスト・ヒップ比(W/H比)が高い状態は、単にBMIが高い場合よりも、心臓リモデリングとの関連が強いようだ。心筋が厚くなるのに心臓の全体的な大きさは増えず、心臓の容積が小さくなる」と解説。そして、「心臓の心室が狭くなるため、心臓が送り出す血液の量は減少する。また、血液を送り出した後に心臓が弛緩し拡張する能力も低下する。それらの変化により、最終的には心不全につながる可能性がある」とのことだ。

フィネレノン、慢性心不全の適応追加/バイエル

 バイエル薬品は、非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノン(商品名:ケレンディア)への慢性心不全の適応追加を2025年12月22日に取得したことを発表した。  本適応追加は、日本人を含むLVEF40%以上の心不全患者約6,000例を対象とした国際共同第III相臨床試験FINEARTS-HFに基づき承認された。同試験でフィネレノンは、主要評価項目である心血管死およびすべて(初回および再発)の心不全イベント(心不全による入院または緊急受診)の相対リスクを統計学的有意に16%減少させた(rate ratio:0.84[95%信頼区間:0.74~0.95、p=0.0072])。また、フィネレノンの忍容性は良好で、既知の安全性プロファイルと一貫していた。

難治性下肢潰瘍治療の課題を解決するヒト羊膜製品/マイメディクス

 糖尿病患者数は全世界8億2,200万例に上り、日本国内でも約1,000万例に達している。東京医科大学形成外科学分野 松村 一氏は、「難治性足潰瘍治療の現状とアンメット・ニーズ」と題し講演した。  糖尿病合併症の1つであるDFUは血流障害と神経障害を背景に発症する。近年、患者数は増加し続けている。長期にわたるDFUは感染や組織障害を起こし足の切断に至る。生命予後も悪く、切断に至った場合の5年死亡率は全がんよりもさらに高い。従来はデブリードマン、オフローディング(免荷)、血行再建、感染制御などの治療が行われるが、約10%が切断に至り、治癒しても再発が多い。

SGLT2阻害薬の投与により自己免疫性リウマチ性疾患の発症が抑制される?(解説:住谷哲氏)

糖尿病合併症に慢性炎症が深く関与していることはよく知られている。そこで、慢性炎症を抑制する作用のある血糖降下薬があれば、それを選択するのが合併症予防のためには有用と考えられる。SGLT2阻害薬が糖尿病合併症である腎症や心不全の予後を改善することは現在ではほぼ確立しているが、その想定されているメカニズムの1つにSGLT2阻害薬の抗炎症作用がある1)。慢性炎症の持続が自己免疫性リウマチ性疾患の発症につながるのかは不明であるが、著者らはSGLT2阻害薬の抗炎症作用に着目して、SGLT2阻害薬の投与が自己免疫性リウマチ性疾患の発症抑制と関連するか否かをSU薬を対照として検討した。