糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

ラーメン摂取頻度と死亡リスクの関係~山形コホート

 週3回以上のラーメンの頻繁な摂取は、とくに男性、70歳未満、麺類のスープを50%以上摂取する習慣やアルコール摂取習慣のある人といった特定のサブグループで死亡リスク増加と関連する可能性が示唆された。山形大学の鈴木 美穂氏らは、山形コホート研究の食品摂取頻度質問票のデータを用いて、日本人一般集団におけるラーメン摂取頻度と死亡率との関連を検討した。The Journal of Nutrition, Health and Aging誌オンライン版2025年8月1日号への報告より。  本研究は、山形コホート研究の食品摂取頻度質問票調査に参加した40歳以上の6,725人(男性2,349人)を対象とした。ラーメンの平均摂取頻度を、月1回未満、月1~3回、週1~2回、週3回以上の4群に分類。麺類のスープ摂取量は、「ラーメン、うどん、そばのスープはどれくらい飲みますか?」という設問に対する回答を、「50%以上」と「50%未満」の2群に分類した。ラーメン摂取頻度と死亡との関連を明らかにするため、Cox比例ハザード解析を行った。

Lp(a)高値が及ぼす冠動脈疾患以外へのリスクとは/Circulation

 リポ蛋白(a)[Lp(a)]は動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の残余リスクの1つとして重要とされ、近年、再注目されている。今回、MIT・ハーバード大学ブロード研究所のTiffany R Bellomo氏らが、Lp(a)高値が冠動脈以外の動脈硬化疾患の発症ならびに重大な合併症の進展に関連していることを明らかにした。Circulation誌オンライン版2025年7月28日号掲載の報告。  研究者らは、冠動脈以外の動脈硬化性疾患および合併症の発症リスクが高い患者を特定する上で、Lp(a)測定が有用となることを明らかにするため、英国バイオバンク46万544例のうちLp(a)が測定されていた患者データを解析。Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、Lp(a)濃度と末梢動脈疾患(PAD)や頸動脈狭窄の発症の関連、初発の主要下肢有害イベント(major adverse limb event:MALE)および初発の脳卒中進展との関連についてモデル化した。

「永遠の化学物質」が2型糖尿病リスクと関連?

 ほとんど分解されないために環境中に長期間存在し続けることから、「永遠の化学物質」と呼ばれているPFAS(ペルフルオロアルキル化合物やポリフルオロアルキル化合物)の血中濃度と、2型糖尿病発症リスクとの有意な関連性を示唆する研究結果が、「eBioMedicine」に7月21日掲載された。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のVishal Midya氏らの研究によるもので、同氏は、「われわれの研究は多様な背景を持つ米国の一般人口において、PFASがいかに代謝を阻害し糖尿病リスクを高めているのかを探索するという、新たな研究の一つである」と述べている。

官民学で肥満対策に取り組む千葉市の事例/千葉市、千葉大、ノボ

 国民の健康維持や医療費の削減などのため、肥満や過体重に対するさまざまな取り組みが行われている。今回、千葉市とノボ ノルディスク ファーマは、官民学連携による肥満・肥満症対策の千葉モデルの実施について「肥満・肥満症対策における課題と実態調査から見る官民学連携による千葉モデルの展望」をテーマに、メディアセミナーを開催した。セミナーでは、千葉市との連携の経緯やその内容、肥満症に関する講演、肥満症に関係する課題や今後の取り組みなどが説明された。

「高齢者の安全な薬物療法GL」が10年ぶり改訂、実臨床でどう生かす?

 高齢者の薬物療法に関するエビデンスは乏しく、薬物動態と薬力学の加齢変化のため標準的な治療法が最適ではないこともある。こうした背景を踏まえ、高齢者の薬物療法の安全性を高めることを目的に作成された『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』が2025年7月に10年ぶりに改訂された。今回、ガイドライン作成委員会のメンバーである小島 太郎氏(国際医療福祉大学医学部 老年病学)に、改訂のポイントや実臨床での活用法について話を聞いた。  前版である2015年版では、高齢者の処方適正化を目的に「特に慎重な投与を要する薬物」「開始を考慮するべき薬物」のリストが掲載され、大きな反響を呼んだ。2025年版では対象領域を、1.精神疾患(BPSD、不眠、うつ)、2.神経疾患(認知症、パーキンソン病)、3.呼吸器疾患(肺炎、COPD)、4.循環器疾患(冠動脈疾患、不整脈、心不全)、5.高血圧、6.腎疾患、7.消化器疾患(GERD、便秘)、8.糖尿病、9.泌尿器疾患(前立腺肥大症、過活動膀胱)、10.骨粗鬆症、11.薬剤師の役割 に絞った。評価は2014~23年発表の論文のレビューに基づくが、最新のエビデンスやガイドラインの内容も反映している。新薬の発売が少なかった関節リウマチと漢方薬、研究数が少なかった在宅医療と介護施設の医療は削除となった。

透析前の運動は透析中の運動と同様に心筋スタニングを抑制

 透析中の運動療法が血液透析誘発性心筋スタニングを軽減することが報告されているが、日常診療での実施には設備やスタッフ配置など多くの課題がある。今回、透析前の運動療法でも透析中の運動療法と同等の心保護効果があることが、フランス・Avignon UniversityのMatthieu Josse氏らによって明らかになった。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2025年8月12日号掲載の報告。  本研究は非盲検ランダム化クロスオーバー試験として実施され、末期腎不全患者25例を対象に、(1)運動療法を伴わない標準的な血液透析を実施(標準透析)、(2)血液透析中に運動療法を実施(透析中運動)、(3)運動療法を実施してから血液透析を開始(透析前運動)の3種類の介入をランダムな順序でそれぞれ実施した。2次元心エコー検査と全血粘度の測定は、透析開始直前と透析中負荷ピーク時に実施した。心血管血行動態は30分ごとにモニタリングした。

週末にまとめて行う運動でも糖尿病患者の死亡リスク低下

 平日は多忙などの理由で運動できず、週末にまとめて運動を行う、いわゆる“週末戦士”と呼ばれる身体活動パターンであっても、糖尿病患者の死亡リスク抑制につながることを示すデータが報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のZhiyuan Wu氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月22日掲載された。  糖尿病でない一般集団においては、週末戦士のような身体活動パターンも死亡リスクの低下と関連していることが既に示されている。しかし糖尿病患者でも同様の関連があるのかは、これまで不明だった。そこでWu氏らは、前向きコホート研究により、週末戦士に該当するパターンを含む成人糖尿病患者のさまざまな身体活動パターンと、死亡リスクとの関連を検討した。

1型糖尿病への同種β細胞移植、拒絶反応なく生着/NEJM

 同種細胞移植では、術後に免疫系の抑制を要するが、これにはさまざまな副作用が伴う。スウェーデン・ウプサラ大学のPer-Ola Carlsson氏らの研究チームは、拒絶反応を回避するよう遺伝子編集されたヒト低免疫化プラットフォーム(hypoimmune platform:HIP)膵島細胞製剤(UP421)を、罹病期間が長期に及ぶ1型糖尿病患者の前腕の筋肉に移植した。免疫抑制薬は投与しなかったが、12週の時点で拒絶反応は発現しなかった。本研究は、Leona M. and Harry B. Helmsley Charitable Trustの助成を受けて行われ、NEJM誌オンライン版2025年8月4日号で報告された。

インスリン点鼻スプレー、アルツハイマー治療に新アプローチ

 点鼻スプレーによるインスリンの投与が、アルツハイマー病の治療法の一つになる可能性のあることが、新たな研究で示された。小規模な高齢者の集団において、点鼻スプレーで投与されたインスリンが、脳内の記憶に関わる重要な領域に到達したことが確認されたという。米ウェイクフォレスト大学医学部老年医学教授のSuzanne Craft氏らによるこの研究の詳細は、「Alzheimer’s & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions」に7月23日掲載された。  ホルモンの一種であるインスリンは脳の働きを増強する可能性があることから、アルツハイマー病の新たな治療法として使える可能性が注目されている。Craft氏らによると、インスリン抵抗性はアルツハイマー病の既知のリスク因子でもあるという。しかしこれまでの研究では、鼻から投与されたインスリンが本当に脳の標的領域に到達しているのか確認できていなかった。

経済的発展に関連する肥満では食事摂取量が大きな役割を担う

 肥満の原因は、さまざまな要因が指摘されている。中でも摂取エネルギーの過剰と運動不足では、どちらが肥満を起こす原因として重視しなければいけないのか、まだ結論は出ていない。この課題について米国デューク大学進化人類学科のAmanda McGrosky氏らの研究グループは、一定の生活様式と経済水準を有する約4,000例の成人について、エネルギー消費量と肥満の2つの指標を分析した。その結果、経済的発展に関連する肥満では、エネルギー消費量の減少よりも食事摂取量がはるかに大きな役割を果たしていたことがわかった。この結果は、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌2025年7月22日号に掲載された。