循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:143

高血圧症、閾値を問わず心血管転帰の独立リスク因子/NEJM

 高血圧症は、その定義(収縮期・拡張期血圧値)が130/80mmHg以上または140/90mmHg以上にかかわらず、有害心血管イベントのリスク因子であることが、一般外来患者130万例を対象に行ったコホート試験で示された。収縮期高血圧および拡張期高血圧はそれぞれ独立したリスク因子であることや、収縮期血圧上昇のほうがアウトカムへの影響は大きいことも示されたという。米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニア(KPNC)のAlexander C. Flint氏らによる検討で、NEJM誌2019年7月18日号で発表された。外来での収縮期・拡張期血圧値と心血管アウトカムの関連は不明なままである中、2017年に改訂された高血圧症のガイドラインでは2つの閾値が示され、治療における複雑さが増していた。

14年間追跡でもEVARの生存率に優位性なし(解説:中澤達氏)-1082

OVER試験の最長14年間追跡で腹部大動脈瘤に対する待機的血管内治療は、従来の開腹手術と比較して周術期死亡率を低下させるが、4年以降の生存には差がないことが示された。EVAR-1試験、DREAM試験の長期追跡でも同様の結果であり、新しい知見は得られなかった。破裂性腹部大動脈瘤に対する臨床的効果および費用対効果の無作為化試験「IMPROVE試験」でもほぼ同様で、3年では、EVAR群の死亡が開腹手術群よりも有意に少なかった。しかし、7年時点では、死亡率は両群とも約60%となった。3年時点ではEVARが開腹手術よりも生存期間を延長し、質調整生存年(QALY)の獲得が大きく、再手術率は同程度であり、コストは低く、費用対効果に優れていた。

抗凝固薬服用のまま可能な大腸ポリープ新治療法が有用~大阪国際がんセンター

 大阪国際がんセンター(大阪市中央区)の竹内洋司氏(消化管内科副部長)らの研究グループが、10mm未満の大腸ポリープに対し、電気を使わずにポリープを切除する「コールドスネアポリペクトミー」が、抗凝固薬を服用したままでも従来の治療法より出血が少なく、入院が不要で、治療時間が短いことを、多施設研究において世界で初めて証明した。この研究結果は、Annals of Internal Medicine誌2019年6月16日号に掲載。  大腸ポリープの多くは、将来的に大腸がんの原因となり得るため、一般的に内視鏡切除が行われる。その際、通電して焼灼し、血液を凝固させながら切除する方法が従来は一般的であった。

非難されても致し方がない偏った論文(解説:野間重孝氏)-1081

今回の論文評では少々極端な意見を申し述べると思うので、もし私の思い違い・読み違いだったとしたら、ご意見を賜りたくお願いしてから本題に入らせていただく。本研究は虚血性心筋障害が疑われる患者に対して高感度トロポニンT/Iが心筋梗塞の正確な診断に利用されうるだけでなく、その予後情報としても利用できることを示そうと行われた研究である。具体的には救急外来受診時すぐに採血された値とその後一定時間をおいてから採血された2回目の採血結果を比較し、初回値だけをみるのではなく、2回目の数値を採血の間隔とも統合してみることにより、より正確な診断のみでなく、その後の心血管イベントの発生リスクまでも予測できるとしたものである。

今どきの女性目線を川田アナから学ぶ/日本Men’s Health医学会

 2019年7月13~14日に第19回日本men’s Health医学会が開催。本学会の目玉でもあるトークショーにフリーアナウンサーの川田 裕美氏(株式会社セント・フォース所属)を招き、学会理事長の堀江 重郎氏(順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学教授)と大会長の森下 竜一氏(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授)の3名によるトークで会場内に盛り上がりをみせた。  昭和時代には“タバコ”が男の象徴だったと話す堀江氏と森下氏。禁煙時代を生きる川田氏にとって、理想とする男性像を両氏から質問されると、「過去に吸っていたけれど、“今は止めた”と聞くとステキに感じる」と、禁煙意識をもつ男性に好感を抱くとコメント。

2型DM、食事の脂肪の質が死亡リスクと関連/BMJ

 2型糖尿病患者において、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取量増加は炭水化物または飽和脂肪酸の摂取と比較して、全死亡および心血管死の低下と関連していることが認められた。中国・浙江大学のJingjing Jiao氏らが、米国のNurses' Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyのデータを解析して明らかにした。著者は、「結果は、2型糖尿病患者の心血管死および全死亡の予防に、食事中の脂肪の質が重要な役割を果たすことを強調するものである」とまとめている。糖尿病患者の食事ガイドラインでは、良好な健康を維持するためにトランス脂肪の摂取を減らし、飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えることを推奨しているが、これは一般集団での検討結果に基づいたもので、糖尿病患者における特定の食事中の脂肪と全死亡および心血管死との関連性についてはほとんど知られていなかった。BMJ誌2019年7月2日号掲載の報告。

DES留置後のクロピドグレル併用DAPT、至適期間は?/BMJ

 中国・中南大学のShang-He-Lin Yin氏らは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で薬剤溶出ステント(DES)留置後のクロピドグレルを用いる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)について、標準(12ヵ月間)または長期(>12ヵ月間)と短期(<6ヵ月間)の有効性と安全性を比較検証したシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。すべての臨床症状を有する患者において短期と比較して、長期は大出血と非心臓死が増加し、標準で全出血のリスクが増加した。また、急性冠症候群(ACS)患者では、短期と標準で有効性と安全性は同様であった。新世代DES留置患者では、短期と比較して長期で全死因死亡が増加した。著者は、「DAPTの至適期間は、患者個々の虚血/出血リスクを考慮すべきではあるが、本検討において、DESを留置するPCIではほとんどの患者に短期DAPTを考慮することが望ましいことが示唆された」とまとめている。BMJ誌2019年6月28日号掲載の報告。

安定狭心症の血行再建適応評価はMRIとFFRのいずれで行うべきか?(解説:上田恭敬氏)-1076

典型的な狭心症症状があって、トレッドミル負荷心電図陽性で、複数の冠危険因子を持つ918症例を登録して、MRIによる虚血評価を行う群とFFRによる虚血評価を行う群に無作為に割り付ける、国際多施設無作為化非劣性試験が行われた。主要評価項目は12ヵ月時点でのMACE(全死亡、心筋梗塞、target-vessel revascularization)であった。MRI群(454症例)のうち445例が実際にMRIを受け、221例が虚血陽性となったためCAGが必要とされた。実際にCAGを実施した219例のうちCAG陽性であった184例(40.5%)が血行再建(PCIまたはCABG)の適応ありと判断されたが、実際に血行再建を受けたのは162例(35.7%)であった。

非左脚ブロックに対するCRT-Dの効果【Dr.河田pick up】

 非左脚ブロックに対する心臓再同期療法(CRT)の有効性については、賛否両論があり、いまだ結論が出ていない。本研究では、米国のナショナルデータベースである、全米心血管データ登録(NCDR)の植込み型除細動器(ICD)レジストリを用いて、非左脚ブロック患者を右脚ブロック群と非特異的心室内伝導障害群に分け、除細動器を伴った心臓再同期ペースメーカー(CRT-D)の有効性を評価した。   この論文は、私(Hiro Kawata)とJonathan Hsu氏らがJournal of the American College of Cardiology誌6月号に発表した。

ステント留置後のDAPT投与期間、1ヵ月は12ヵ月より有効?/JAMA

 STOPDAPT試験(2016年)により、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)留置術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を3ヵ月で終了するアプローチの安全性が確認されている。京都大学の渡部 宏俊氏らSTOPDAPT-2試験の研究グループは、今回、DAPT投与期間をさらに短縮して1ヵ月とし、その後クロピドグレル単剤投与に切り換える治療法について検討し、この超短期的DAPTは、主要な心血管イベント/出血イベントの抑制効果に関して、DAPTを12ヵ月投与する標準治療に対し非劣性で、優越性も有することが示された。JAMA誌2019年6月25日号掲載の報告。