循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:144

著者ら自身が不満なのではないのか?(解説:野間重孝氏)-1251

患者アドヒアランスは単純に何かの実施率(この場合リハビリテーション実施率、服薬率)で評価できるものなのだろうか。まず少し理屈っぽくなってしまうが、コンプライアンス(compliance)とアドヒアランス(adherence)の違いを考えてみたいと思う。コンプライアンスもアドヒアランスもいずれも規則や指示に従うことを意味するが、コンプライアンスが言われたことを守るという受け身の意味合いが強いのに対して、アドヒアランスは興味を持って積極的に参加しようという意味合いが強い言葉である。近年は医師・薬剤師に言われたことを守るだけでなく、患者自身が積極的に治療に参加することが重要視されるようになり、数年前までは服薬についていえば「服薬コンプライアンス」といわれていたものが、昨今は「服薬アドヒアランス」と呼ばれるように変わってきた。

フレイルの健診に有用なテキスト公開/国立長寿医療研究センター

 2020年6月、健康長寿教室テキスト第2版が国立長寿医療研究センターの老年学・社会科学研究センターのホームページ上に公開された。これは同施設のフレイル予防医学研究室(室長:佐竹 昭介氏)が手がけたもので、2014年に初版が発刊、6年ぶりの改訂となる。  健康長寿教室テキストは介護予防に役立てるためのパンフレットで、フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)に関する基本的概念に加え、実践編として「お口の体操」「運動」「フレイルや低栄養を予防するための食事の工夫やレシピ」などが掲載されている。このほかにも、最新の話題として、新型コロナなどによる外出制限時の対策にも応用できる内容が紹介されている。なお、健康長寿教室テキストは無料でダウンロードして使えるため、後期高齢者健康診査(いわゆるフレイルの健診)、スタッフ研修、敬老会の資料としても有用である。

生活習慣病患者の2割が通院せず自粛/血糖トレンド委員会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、生活習慣病患者の多くが外出を自粛したことに伴い、医療機関への通院を控えた事例が散見される。では、実際どの程度の通院などの自粛がされていたのだろう。  血糖コントロールの重要性、および「血糖トレンド」の概念とその活用方法について、医学的、学術的および患者視点でわかりやすく正確な情報発信を行うこと目的とした委員会である「血糖トレンド委員会」(代表世話人: 西村 理明氏[東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授])は、生活習慣病患者にCOVID-19がどのような影響を与えたのかを分析するため調査を実施し、今回その結果を発表した。

新型コロナで低カリウム血症、その原因は?

 中国・温州医科大学のDong Chen氏らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における治療転帰との関連性を見いだすため、低カリウム血症の有病率、原因、および臨床的影響を調査する目的で研究を行った。その結果、COVID-19患者において低カリウム血症の有病率が高いこと、さらにその原因として、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することにより、ACE2(レニン-アンジオテンシン系を抑制)が分解され、レニン-アンジオテンシン系が活性化して持続的に腎からカリウムが排泄されることが示唆された。JAMA Network open誌2020年6月1日号掲載の報告。

中高年女性の前兆ある片頭痛、CVD発生リスクと関連/JAMA

 45歳以上の女性医療従事者を対象としたコホート研究において、前兆のある片頭痛を有する女性は、前兆のない片頭痛を有する女性または片頭痛なしの女性と比較して、心血管疾患(CVD)発生率が高いことが示された。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のTobias Kurth氏らが、米国のWomen's Health Study(WHS)の追跡調査結果を解析・報告した。前兆のある片頭痛がCVDリスクを増加させることは知られている。しかし、ほかのCVDリスク因子と比較した場合、前兆を伴う片頭痛のCVD発生への絶対的寄与率は不明であった。JAMA誌2020年6月9日号掲載の報告。

抗血栓療法受難の時代(解説:後藤信哉氏)-1246

20世紀の後半からアスピリン、クロピドグレル、DOACsと抗血栓療法が世界の注目を集めた。心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓症などは致死的イベントの代表であった。抗血栓薬にて多少出血が増えても、「心血管死亡」が減るのであれば、メリットが大きいと考えられた。冠動脈ステントなど人工物では血栓性が高いとされ、アスピリン・クロピドグレルの抗血小板薬併用療法も推奨されてきた。血栓イベント予防のために抗凝固薬と抗血小板薬を併用している症例も実臨床では多数見掛けた。21世紀になって体重コントロール、運動習慣、食事への配慮が普及した。世界的に見れば血栓イベントは重要な死因の1つであるが、教育の行き届いた先進諸国での血栓イベントが目に見えて減少した。体内に入れる医療材料の血栓性も制御されるようになった。抗血栓薬による血栓イベント低下効果よりも、抗血栓薬による出血イベントが注目されるようになった。

日本動脈硬化学会総会・学術集会のWeb開催について【ご案内】

 一般社団法人日本動脈硬化学会は、2020年7月17日(金)、18日(土)に名古屋での開催を予定していた『第52回日本動脈硬化学会総会・学術集会』をWeb開催へ変更した。また、開催日も変更し、7月17日(金)~31日(金)の期間に実施される。参加登録者は会期中に全セッションを随時視聴できる。また、同じくWeb配信が予定されている市民公開講座については、誰でも無料で視聴可能である。  本学術集会では、医師向けの最新知見の発信のみならず、大学院生向けの最新研究TECH-Seminar、メディカルスタッフを対象とした症例検討などの企画が予定されている。

心臓リハビリ、冊子&電話フォローで完了率増/BMJ

 心筋梗塞発症後、2次予防のための心臓リハビリテーション実施と薬物療法について、患者に対してその重要性を示し実施と服薬を促す冊子の郵送と電話によるフォローアップを行うことで、心臓リハビリテーションの実施率は有意に増加したことが示された。一方で、服薬のアドヒアランスは増加しなかった。カナダ・Women's College HospitalのNoah M. Ivers氏らが2,632例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、著者は、「介入を強化することで服薬アドヒアランスが改善されるのかを調べること、また心臓リハビリテーションの実施と服薬アドヒアランスとの関連を調べることが必要である」と述べている。BMJ誌2020年6月10日号掲載の報告。

降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連―システマティックレビュー、メタ解析(解説:石川讓治氏)-1245

中年期の高血圧が晩年期の認知症の発症と関連していることがいくつかの観察研究において報告されてきた。しかし、降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連を評価した過去の研究においては、降圧治療が認知症の発症を減少させる傾向は認められたものの、有意差には至っていなかった。本論文では14の無作為介入試験の結果を用いてメタ解析を行い、平均年齢69歳、女性42.2%、ベースラインの血圧154/83.3mmHgの対象者において、降圧治療によって、平均49.2ヵ月間の追跡期間で7%の認知症もしくは認知機能障害の相対的リスク減少、および平均4.1年の追跡期間の間で7%の認知機能低下の相対的リスク減少があり、これらが有意差をもって認められたことを報告した。