循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:127

再入院抑制施策の導入で、死亡は増大したのか/BMJ

 米国では再入院率を低下させるため、インセンティブ付きのプログラム「Hospital Readmissions Reduction Program(HRRP)」が施行されている。しかしそのために、直近の退院患者では再入院が必要となった場合も入院を拒否される可能性があり、死亡リスクが増大するのではとの指摘がある。実際にここ数年、心不全で入院が必要になったメディケア受給者で退院後30日死亡が増加しており、全米で経過観察病棟や救命救急部門(ED)での治療の増加が報告されているという。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのRohan Khera氏らは、HRRP対象症状で入院した患者の退院後間もないEDなどの利用データと患者アウトカムについて、プログラムの影響を評価する必要があるとして調査を行った。結果、プログラムの影響はみられなかったことが判明したという。BMJ誌2020年1月15日号掲載の報告。

膝関節術後のVTE予防、osocimabは有効か/JAMA

 膝関節置換術を受ける患者の術後静脈血栓塞栓症の発生(主要アウトカム10~13日時点)に関して、osocimabの術後投与(0.6、1.2、1.8mg/kg量)はエノキサパリン投与に対して非劣性を示す基準を満たし、osocimab術前投与(1.8mg/kg量)はエノキサパリン投与に対して優越性を示す基準を満たしたことが示された。カナダ・マックマスター大学のJeffrey I. Weitz氏らが、第II相の国際多施設共同非盲検無作為化試験「FOXTROT試験」の結果を報告した。osocimabは、XI因子を阻害する長時間作用型の完全ヒトモノクローナル抗体である。これまでXI因子阻害が血栓塞栓症の予防に効果があるかについては明らかになっていなかった。JAMA誌2020年1月14日号掲載の報告。

フレイル施策を掲げる、国の本当の狙いとは/日本医師会

 2020年度から75歳以上の健康診査にフレイルが追加される。高齢者の低栄養に医師の介入が求められることから、国からのプライマリケア医に対する期待は大きいであろう。2019年11月28日、「人生100年時代の健康と栄養を考える-フレイル予防対策における日本型食生活の役割-」が開催(日本医師会、米穀安定供給確保支援機構主催)。本稿では飯島 勝矢氏(東京大学高齢社会総合研究機構 教授)による基調講演の内容についてお届けする。

心房細動患者、断酒の効果は有りか無しか/NEJM

 習慣的に飲酒をしている心房細動患者が断酒をすることで、不整脈の再発が減少したことが、オーストラリア・アルフレッド病院のAleksandr Voskoboinik氏らが、140例を対象とした多施設共同前向き非盲検無作為化比較試験の結果、示された。これまで、過剰な飲酒が心房細動の新規発症や有害な心房リモデリングと関連することは知られていたが、断酒による心房細動2次予防への効果は明らかにされていなかったという。NEJM誌2020年1月2日号掲載の報告。

中年期の健康的な生活様式は平均余命にどう影響?/BMJ

 中年期の健康的な生活様式の順守は、主要慢性疾患(がん、心血管疾患、2型糖尿病)のない平均余命を延長することが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のYanping Li氏らによる検討の結果、示された。これまで、修正可能な生活様式因子(喫煙、身体活動、アルコール摂取、体重、食事の質)が、平均余命および慢性疾患発症の両者に影響することは知られていた。しかし、複数の生活様式因子の組み合わせと、主要な疾患(糖尿病、心血管疾患、がんなど)のない平均余命との関わりについて、包括的に検討した研究はほとんどなかったという。BMJ誌2020年1月8日号掲載の報告。

short DAPT vs.standard DAPTの新展開:黄昏るのはアスピリン?クロピドグレル?(解説:中野明彦氏)-1170

本邦でBMSが使えるようになったのは平成6年、ステント血栓症予防には抗凝固療法(ワルファリン)より抗血小板剤:DAPT(アスピリン+チクロピジン)が優れるとわかったのはさらに数年後だった。その後アスピリンの相方が第2世代のADP受容体P2Y12拮抗薬:クロピドグレルに代わり、最近ではDAPT期間短縮の議論が尽くされているが、DAPT後の単剤抗血小板薬(SAPT)の主役はずっとアスピリンだった。そして時代は令和、そのアスピリンの牙城が崩れようとしている。

PM2.5短期曝露、心血管疾患の入院増加と関連/BMJ

 中国において、微小粒子状物質(PM2.5)への曝露は、短期間で現在の規制濃度内であっても、出血性脳卒中を除くすべての主要心血管疾患による入院の増加と関連していることが明らかにされた。中国・華中科技大学のYaohua Tian氏らが、中国の主要184都市で実施した研究結果を報告した。疫学研究では、PM2.5による大気汚染と心血管疾患との正の関連性が報告されてきたが、ほとんどが先進国で実施されたもので、大気汚染レベル、構成、資源が大きく異なる発展途上国でのPM2.5汚染と心血管疾患との関連性は明確にはなっていなかった。BMJ誌2019年12月30日号掲載の報告。

尿酸値を本気で下げる方法とは?

 高尿酸血症の治療には食生活を中心とした生活習慣改善が欠かせないが、無症状の場合も多く、継続的に取り組むことは容易ではない。患者を“本気にさせる”尿酸値を下げる方法や、乳酸菌による尿酸値の上昇抑制効果とは? 2019年11月29日、「疾病リスクマーカーとして注目すべき尿酸値に関する新知見」と題したメディアセミナー(主催:明治)が開催された。久留 一郎氏(鳥取大学大学院医学系研究科)、野口 緑氏(大阪大学大学院医学系研究科)、藏城 雅文氏(大阪市立大学大学院医学研究科)が登壇し、高尿酸値と疾病リスクの関係や患者指導のポイント、生活習慣改善にまつわる新旧のエビデンスについて講演した。

CVD患者へのAKCEA-APO(a)、用量依存的にLp(a)値低下/NEJM

 リポ蛋白(a)値が高く心血管疾患を有する患者に対して、肝細胞直接作用型アンチセンスオリゴヌクレオチドAKCEA-APO(a)-LRx(APO(a)-LRx)の投与は、用量依存的にリポ蛋白(a)値を低下することが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のSotirios Tsimikas氏らが、286例を対象に行った第II相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、明らかにされた。リポ蛋白(a)値は遺伝的に規定されており、上昇が認められる場合は心血管疾患および大動脈弁狭窄症のリスク因子となることが報告されている。しかしリポ蛋白(a)値を降下させる承認治療薬はないのが現状である。NEJM誌オンライン版2020年1月1日号掲載の報告。

左冠動脈主幹部狭窄、PCIはCABGより5年臨床転帰不良/Lancet

 左冠動脈主幹部病変の血行再建術では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)に比べ、5年時の臨床転帰が不良であることが、デンマーク・オーフス大学病院のNiels R. Holm氏らが行った「NOBLE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年12月23日号に掲載された。PCIは近年、左冠動脈主幹部病変を有する患者の血行再建において、標準治療のCABGに代わり使用機会が増えている。本研究では、追跡期間中央値3.1年の時点で、これら2つの介入法の死亡率は類似するが、PCIでわずかに高かったと報告されている。