救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

夏の理想的な水分補給は「4つのS」で/アボット

 糖尿病管理のための持続グルコース測定器「リブレ」や循環器疾患領域などの医療機器を全世界で開発・販売しているアボットは、夏の熱中症対策と高血糖リスクの関連について、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、「ペットボトル症候群」への警鐘と夏期の糖尿病患者への対応などが解説された。  「『理想的な水分補給』と血糖管理~夏の熱中症対策が“高血糖のリスク”になる?~」をテーマに、川名部 新氏(おばな内科クリニック 院長)が、夏期の脱水予防と血糖管理の重要性について講演した。

熱中症による入院患者、多い服用薬は?/MDV

 高温環境により体温調節機能が破綻して発症する熱中症。今年もこの対策が必要な季節が到来した。昨年までの天気予報では「猛暑日」(35℃以上)の表現が多用されていたが、2026年4月17日に気象庁が最高気温40℃以上の名称を「酷暑日」と正式決定し、これまで以上に熱中症対策の重要性が高まっている。  熱中症の重症例では中枢神経障害や循環不全、急性腎障害(AKI)などの多臓器障害を引き起こし、とくにAKIでは脱水や循環血液量減少、横紋筋融解症などを要因とし、集中治療や腎代替療法を要する場合もある。発症予防はもちろんのこと、重症化予防を行うためには患者背景や併存疾患、服用薬剤から重症化リスクをあらかじめ把握しておくことが鍵になるだろう。

ECMO中の抗凝固療法、未分画/低分子ヘパリンでも出血低減/Lancet

 体外式膜型人工肺(ECMO)施行中の患者における抗凝固療法として、低用量のUFH(未分画ヘパリン)および治療用量のLMWH(低分子ヘパリン)は、重度出血・重度血栓塞栓性合併症・全死亡の複合エンドポイントに関して、標準用量のUFHに対し非劣性であることが認められた。オランダ・フローニンゲン大学医療センターのOlivier van Minnen氏らDutch ECLS Study Groupが、同国7施設の集中治療室(ICU)で実施した無作為化非盲検非劣性試験「RATE試験」の結果を報告した。ECMO中の血栓症リスク低減に対しては、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)をベースライン値の2.0~2.5倍に維持することを目標としたUFH静脈内投与が標準治療であるが、このアプローチは出血リスクを高める可能性が懸念されていた。

救急搬送後の自殺再企図、若年と過量服薬がリスク因子に

 自殺企図で救急搬送された患者の自殺再企図は、初期対応時に予測できるのだろうか。今回、国内3施設で救急入院患者を追跡した研究により、若年であることと過量服薬(オーバードーズ)が、自殺再企図のリスク因子となる可能性が示された。初回自殺企図時に過量服薬を行った患者では、再企図リスクが約2.5倍高かったという。研究は獨協医科大学精神神経医学講座の佐々木太郎氏、古郡規雄氏らによるもので、詳細は4月29日付の「Neuropsychopharmacology Reports」に掲載された。  自殺企図歴は、その後の自殺再企図や自殺死亡の強い予測因子とされる。これまで若年者では再企図が多く、性別による自殺行動の違いも報告されてきたが、その背景には自殺手段の違いが関与する可能性が指摘されている。

重症感染症患者の遠隔モニタリング、自宅で過ごす日数は改善せず

 ウェアラブル機器やスマートフォンによる通信技術の進歩により、病院では患者を早期退院させ、自宅療養中の状態を遠隔モニタリングする取り組みが進められている。このアプローチは、例えば心不全など一部の疾患では有効性が示されている。しかし、新たな研究で、敗血症や下気道感染症などに対して遠隔モニタリングを行っても、患者が自宅で過ごす日数が増えることはなく、高齢患者ではむしろ日数が減る可能性が示唆された。米ピッツバーグ大学集中治療医学分野教授のSachin Yende氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に6月11日掲載された。

敗血症患者に対する30mL/kg以上の初期輸液、30日死亡率低下と関連

 大規模コホート研究で、市中発症敗血症患者に対する初期輸液療法として、来院6時間以内に30mL/kg以上の輸液を実施した場合、30日死亡率の低下と関連することが示された。とくに低灌流例だけでなく、中等度乳酸上昇例でも死亡率低下が認められ、従来は輸液過剰が懸念され十分な輸液が控えられてきた重度心・腎疾患併存例でも有害性を示す結果は得られず、むしろ輸液量の増加に伴い死亡率が低下する可能性が示唆された。Intermountain Medical Center(米国・ユタ州)のElizabeth S. Munroe氏らによる本研究はJAMA Network Open誌2026年6月12日号に掲載された。

高齢者のポリファーマシー対策啓発資材が完成/厚労省

 さまざまな疾患を併存していることが多い高齢の患者では、処方された治療薬の副作用や相互作用などが大きなリスクとなるケースもある。そこで、厚生労働省では2018年に『高齢者の医薬品適正使用の指針』(リンク→https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/kourei-tekisei_web.pdf)を公開し、いわゆる「ポリファーマシー対策」を示した。今回、高齢者のポリファーマシー対策を進めるための医療従事者向けの普及啓発資材が完成。厚労省は6月24日より公開、配信を行っている。

PSSA菌血症、ペニシリンG vs.抗ブドウ球菌ペニシリン/Lancet

 ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(PSSA)菌血症の治療について、90日死亡率に関するベンジルペニシリン(ペニシリンG)の抗ブドウ球菌ペニシリン(flucloxacillinまたはクロキサシリン)に対する事前既定の非劣性基準は満たされなかった。しかし、非劣性の事後確率は96.1%であり、急性腎障害(AKI)のリスク低減が認められたことが、オーストラリア・メルボルン大学のJoshua S. Davis氏らStaphylococcus aureus Network Adaptive Platform(SNAP)Trial Groupによる、研究者主導の国際的な多施設共同無作為化非盲検試験「SNAP試験」の結果で示された。過去にはまれであると考えられていたPSSA菌血症が世界的に再興している。

制限輸液/早期昇圧薬は、敗血症性ショックの生存を改善するか/NEJM

 Surviving Sepsis Campaignなどの国際的なガイドラインでは、敗血症による低血圧が確認されてから3時間以内の体重1kg当たり少なくとも30mLの静脈内輸液を弱く推奨しているが、昇圧薬投与の開始時期については具体的な推奨を行っていないという。オーストラリア・モナシュ大学のSandra L. Peake氏らは「ARISE FLUIDS試験」において、敗血症性ショックで救急診療部を受診した成人患者では、輸液量を制限し早期に昇圧薬を投与するアプローチは、輸液量を多くし昇圧薬の投与を遅らせるアプローチと比較して、90日時点での非入院生存日数の増加にはつながらないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年6月11日号で報告された。

急性感染症患者の鉄欠乏性貧血、鉄剤は投与する?/Blood

 鉄欠乏性貧血に対する静注鉄は速やかな鉄補充が期待できるが、急性感染症患者の場合は、病原体への鉄供給により感染を悪化させる可能性が懸念されている。そこで、米国・Charleston Area Medical CenterのHaris Sohail氏らは、鉄欠乏性貧血を有する急性感染症患者を対象に、静注鉄投与と生存、ヘモグロビン(Hb)値の回復などとの関連を検討した。その結果、静注鉄投与は検討したすべての感染症で14日および90日生存率の上昇と、Hb値の良好な回復に関連していた。本研究結果は、Blood誌2026年5月21日号に掲載された。