救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

急増するナッツ類アレルギー、近年はより少ない量で発症の傾向/国立成育医療研究センター

 近年、日本では木の実(ナッツ類)アレルギーの有病率が急速に増加しており、とくに、クルミアレルギーの有病率は2014年と比較して4倍以上増加し、比較的安定しているピーナッツを上回ったという。現在、ナッツ類は日本において卵に続いて2番目に多い食物アレルギーの原因となっている。  国立成育医療研究センターの久保田 仁美氏らの研究チームは、日本における直近10年間に発生したナッツ類アレルギー症例の調査結果から、近年ではより少ない摂取量でアレルギー症状が出ることが判明したことを報告した。

アナフィラキシー、日本の小児で急増している原因食物は

 2010年代後半以降、日本におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率は急速に増加しており、とくに初回発症の幼児で顕著であることが明らかになった。世界的にクルミアレルギーの有病率が増加しているものの、クルミによるアナフィラキシーの発生動向や臨床的特徴については明らかになっていない。町田市民病院のYuna Iwashita氏らは、2011年から11年間の日本国内の小児救急外来におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率の変化を評価し、患者の特性および症状について検討した。Pediatric Allergy and Immunology誌11月号掲載の報告。

へき地の在宅医療の利用実態が判明/頴田病院・横浜市立大

 わが国では、急激な高齢化と地方での医療者の不足により医療の地域偏在が問題となって久しい。では、実際にこの偏在、とくに在宅医療の利用について、地域格差はどの程度あるのであろうか。この問題について、柴田 真志氏(頴田病院)と金子 惇氏(横浜市立大学大学院データサイエンス研究科)の研究グループは、レセプトデータを用いて、在宅医療利用の地域格差を調査した。その結果、日本全国で在宅医療の利用率に数十倍の地域格差が存在することがわかった。この結果は、Journal of General Internal Medicine誌2025年10月30日オンライン版で公開された。

敗血症性ショックへの新たな蘇生戦略の提案:CRTに基づく多角的介入(解説:栗原宏氏)

敗血症性ショックは日本国内では年間約6.5万例程度発生し、そのうち3例に1例が死亡する重篤な疾患である。血液循環不全と肝機能を反映して乳酸値は上昇するため、乳酸クリアランスは敗血症性ショックの治療において最も重要な指標の1つとなっている。2019年に発表された先行研究(ANDROMEDA-SHOCK試験)では、敗血症性ショックの患者を対象として、治療目標をCRTとした群は従来の乳酸クリアランスとした群に対して非劣性が示されていた。CRTという簡便な指標が、血液ガス分析や頻回の検査を必要とする乳酸クリアランスという複雑な指標に劣らないことが示された意義は大きい。

敗血症性ショック、CRTに基づく個別化蘇生法が有用/JAMA

 敗血症性ショックの初期治療に、毛細血管再充満時間(CRT)を目標とした個別化血行動態蘇生プロトコール(CRT-PHR)を用いることで、全死因死亡、バイタルサポート継続期間および入院期間の複合アウトカムが通常ケアより優れることが示された。チリ・Pontificia Universidad Catolica de ChileのGlenn Hernandez氏らが、北米・南米、欧州およびアジアの19ヵ国86施設で実施した無作為化試験「ANDROMEDA-SHOCK-2試験」の結果を報告した。敗血症性ショックに対する血行動態蘇生の最適な戦略は依然として明らかではないが、ANDROMEDA-SHOCK試験では、CRTを目標とした蘇生は乳酸値に基づく蘇生と比較し、臓器機能障害の回復が速く、蘇生輸液量が少なく、生存率が高いことが示唆されていた。

2型糖尿病の低血糖入院が減少傾向、その背景を紐解く

 近年、2型糖尿病患者の低血糖入院が漸減傾向であることが明らかになった―。2017年に日本糖尿病学会の糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会が調査報告を行ってから8年、この間に低血糖による入院が減少したのには、いったいどんな対策や社会変化が功を奏したのだろうか。今回、この研究結果を報告し、日本糖尿病学会第9回医療スタッフ優秀演題賞を受賞した社会人大学院生の影山 美穂氏(東京薬科大学薬学部 医療薬物薬学科)と指導教官の堀井 剛史氏(武蔵野大学薬学部臨床薬学センター)から研究に至った経緯や考察などを聞いた。

動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法後の補助的治療として有効か?(解説:内山真一郎氏)

PEARL試験は、機械的血栓回収療法により再灌流に成功した、急性期前循環系大血管閉塞性脳梗塞の中国人324例においてアルテプラーゼ動脈内投与群と標準的治療群とを比較した多施設共同非盲検無作為化試験であるが、90日後の転帰良好(改変ランキンスケールスコア0または1)がアルテプラーゼ動脈内投与群で標準的治療群より有意に多かった。血栓回収療法は大血管閉塞性脳梗塞に対する標準的治療となったが、長期の転帰良好例は依然として半数以下であり、転帰を改善するための補助的治療が必要とされている。血栓回収療法による神経症状改善効果が不十分な理由の1つとして、血栓回収療法後の遠位動脈や微小循環の残存血栓によるno-reflow現象の関与が考えられることから、血栓回収療法後の動脈内血栓溶解療法は血栓回収療法の補助的治療として転帰改善効果が期待できるかもしれない。ただし、これまでに行われた同様な臨床試験の結果は一致しておらず、現在進行中の他の試験もあるので、それらの結果やメタ解析によるさらなるエビデンスの集積が必要なように思われる。

機内における急病人の発生頻度は?~84の航空会社での大規模調査

 2025年には約50億人が民間航空機を利用すると予測されている。航空機内での急病(機内医療イベント)は、医療資源が限られ、専門的な治療へのアクセスが遅れるという制約の中で対応が必要となる。米国・デューク大学のAlexandre T. Rotta氏、MedAireのPaulo M. Alves氏らの研究グループは、84の航空会社が参加した大規模な国際データを分析し、機内医療イベントの発生頻度や、航空機の目的地変更につながる要因などを明らかにした。JAMA Network Open誌2025年9月29日号に掲載。

アナフィラキシーへのアドレナリン点鼻投与の効果、エピペンと同等以上

 新たなエビデンスレビューによると、命に関わる重度のアレルギー反応を起こした人は、アドレナリンを主成分とするエピペンを太ももに刺すよりも点鼻スプレーを使った方が良いかもしれない。この研究では、液体または粉末のアドレナリンのスプレーによる鼻腔内投与は、注射による投与と同等か、場合によってはそれ以上の効果のあることが示されたという。英ロイヤル・ダービー病院のDanielle Furness氏らによるこの研究結果は、欧州救急医学会議(EUSEM 2025、9月28日〜10月1日、オーストリア・ウィーン)で発表された。

急性期脳梗塞、再灌流後のアルテプラーゼ投与は有益?/JAMA

 前方循環の主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中を呈し、機械的血栓除去術による血管内再灌流を達成した患者において、アルテプラーゼ動脈内投与は90日時点で優れたアウトカムを示す可能性が高いことを、中国・中山大学のXinguang Yang氏らPEARL Investigatorsが無作為化試験の結果で示した。アルテプラーゼ動脈内投与群では、全死因死亡率および頭蓋内出血の発現率が高かったが、統計学的有意差は認められなかった。主幹動脈閉塞を伴う急性期虚血性脳卒中を呈し、血栓除去術を受けた患者における機能的アウトカムは、依然として最適とはいえず、血栓除去術後のアルテプラーゼ動脈内投与の有益性は不明のままであった。JAMA誌オンライン版2025年10月13日号掲載の報告。