外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

切除不能進行胃がん1次治療、sugemalimab追加でOS・PFS改善(GEMSTONE-303)/JAMA

 未治療の切除不能な局所進行または転移を有する胃・食道胃接合部腺がんの治療において、プラセボ+化学療法と比較してsugemalimab(完全ヒト型抗プログラム細胞死リガンド1[PD-L1]抗体)+化学療法は、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、安全性プロファイルは管理可能であることが、中国・北京大学のXiaotian Zhang氏らGEMSTONE-303 Investigatorsが実施した「GEMSTONE-303試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年2月24日号に掲載された。  GEMSTONE-303試験は、切除不能な局所進行または転移を有する胃・食道胃接合部腺がんの1次治療における化学療法(カペシタビン+オキサリプラチン[CAPOX])へのsugemalimab追加の有用性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年4月~2021年12月に中国の54施設で患者を登録した(CStone Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。

症状を電子的に報告するシステムががん患者の症状管理やQOLを改善

 電子機器を通じて週に1回、自分の症状をケアチームに知らせた進行がんの患者では、通常ケアを受けた患者に比べて生存期間の延長にはつながらなかったものの、身体機能の低下、症状の進行、健康関連QOLの低下、救急外来の初回受診までの期間が有意に遅延し、救急外来の受診回数も減少したとする研究結果が報告された。米ノースカロライナ大学(UNC)医学部教授で腫瘍内科学部長のEthan Basch氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に2月7日掲載された。  今回の研究で検討された患者報告アウトカム(patient-reported outcome;PRO)による症状のモニタリングは、電子的に提供される分かりやすいチェックリストを用いて患者が痛みや運動能力などの日常的な問題の程度を評価するもので、患者はコンピューターやスマートフォンを使って自宅にいながらケアチームにフィードバックを送ることができる。

術前補助療法+ニボルマブが乳がん患者の病理学的完全奏効を改善

 乳がんのタイプとして最も多いのは、エストロゲン受容体陽性(ER+)/ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2−)乳がんであり、乳がん全体の70%を占める。このタイプの乳がん患者では、補助化学療法に対する病理学的完全奏効(pCR)の達成率が低いことが知られている。しかし、術前補助療法に免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(商品名オプジーボ)を追加することで、ER+/HER2−乳がん患者のpCR達成率が向上したとする第3相臨床試験の結果が発表された。オプジーボの製造元であるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の資金提供を受けて米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのHeather McArthur氏らが実施したこの臨床試験の詳細は、「Nature Medicine」に1月21日掲載された。

CDK4/6阻害薬治療中に進行したHR+HER2-転移乳がん、生存に関連する因子は?

 ホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)転移乳がんにおいて、内分泌療法+CDK4/6阻害薬による治療中に病勢進行した後の実臨床における無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)をイタリア・European Institute of Oncology IRCCSのPier Paolo Maria Berton Giachetti氏らが評価した。その結果、「若年」「de novo転移病変」「内臓転移」が独立してPFS短縮と関連し、「12ヵ月を超えるCDK4/6阻害薬投与」がOS延長と関連していた。JAMA Network Open誌2025年2月3日号に掲載。

血液検査で大腸がんを正確に検出/ASCO-GI

 実験的な血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査により、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人において、大腸がんを効果的に検出できることが示された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のAasma Shaukat氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025、1月23〜25日、米サンフランシスコ)で発表された。Shaukat氏は、「このような血液検査は、大腸がんのスクリーニング検査の受診率を高めるのに役立つ可能性がある」と述べている。  現状では、大腸がんのスクリーニング検査のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査であるが、この検査では事前に下剤服用や食事調整などの準備が必要な上に、検査時には麻酔や鎮静薬を使用する。便中の血液の有無を調べる便潜血検査も大腸がんのスクリーニングに用いられるが、現在のガイドラインでは毎年の検査実施が必要である。こうした現状を踏まえてShaukat氏は、「便利で安全、かつ実施も容易な新たな大腸がんスクリーニング検査の手段が求められている」と話す。

乳がん発見のためのWGSを用いたctDNAアッセイ

 乳がんにおいて、全ゲノムシークエンス(WGS)を用いた循環腫瘍DNA(ctDNA)アッセイにより、ベースライン時および追跡調査時の検出が改善され、臨床的な再発診断までの期間(リードタイム)が長くなることが、英国・The Institute of Cancer ResearchのIsaac Garcia-Murillas氏らによる後ろ向き研究で示唆された。Annals of Oncology誌オンライン版2025年2月4日号に掲載。

日本の乳がん統計、患者特性・病理・治療の最新データ

 2022年にNCD(National Clinical Database)乳がん登録に登録された日本国内1,339施設の乳がん症例10万2,453例の人口学的・臨床病理学的特徴を、兵庫医科大学の永橋 昌幸氏らがBreast Cancer誌2025年3月号に報告した。  日本乳癌学会では1975年に乳がん登録制度(Breast Cancer Registry)を開始し、2012年からはNCD乳がん登録のプラットフォームへ移管された。NCDに参加する医療機関で新たに乳がんと診断された患者は、乳房手術の有無にかかわらず登録対象となっており、2012~21年の10年間で累計89万2,021例が登録されている。

HER2+早期乳がん、TILが20%以上ならde-escalation可能か

 第III相ShortHER試験の長期追跡データを用いて、HER2+の早期乳がん患者における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と予後との関連性を評価した結果、TILが高値であるほど遠隔無病生存期間(DDFS)および全生存期間(OS)が良好で、TIL量が20%以上の場合はde-escalationの術後補助療法であっても過剰なリスクは認められなかったことを、イタリア・パドヴァ大学のMaria Vittoria Dieci氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2025年2月13日号掲載の報告。

第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025

 日本臨床腫瘍学会は2025年2月13日にプレスセミナーを開催し、3月6日~8日に神戸で開催される第22回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2025)の注目演題などを紹介した。今回の学会長は徳島大学の⾼⼭ 哲治氏が務め、「Precision Oncology Toward Practical Value for Patients」というテーマが設定された。  2019年にがん遺伝⼦パネル検査が保険収載となり今年で5年を迎える。検査数は毎年順調に増加しているものの、「検査を受けられるのは標準治療終了後、または終了見込み時に限られる」「保険適応となる薬剤が限られ、かつ承認外薬を使うのは煩雑」などの要因から、検査後に推奨された治療に到達する患者は10%程度に限られる現状がある。日本臨床腫瘍学会をはじめとしたがん関連学会は長くこの状況を問題とし、改善を図る活動を行ってきた。今回のテーマにもそうしたメッセージが込められている。

HER2陽性早期乳がん術前化学療法後non-pCRに対するT-DM1のアップデート(解説:下村昭彦氏)

術前化学療法(分子標的薬併用を含む)は早期乳がんに対する標準治療として確立している。HER2陽性乳がんやトリプルネガティブ乳がんでは、術前化学療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られた場合は再発のリスクが下がることが知られているが、得られなかった場合(non-pCR)の再発リスクが高いことがunmet medical needsとして認識されてきた。そのため、non-pCRに対する術後治療に対するエビデンスがここ10年で蓄積し、また現在も開発されている。トラスツズマブ併用術前化学療法を受けたHER2陽性早期乳がんで、手術病理でnon-pCRであった症例を対象としてT-DM1の有効性を示した試験がKATHERINE試験である。2019年にNEJM誌に報告され(von Minckwitz G, et al. N Engl J Med. 2019;380:617-628.)、日本国内でも2020年に適応拡大されている。KATHERINE試験は、タキサンならびにトラスツズマブを含む術前化学療法を受け、乳房または腋窩リンパ節に浸潤がんが遺残していたHER2陽性乳がんに対し、術後治療として当時の標準療法であるトラスツズマブ単剤とT-DM1を比較した試験である。ホルモン受容体陽性の場合はホルモン療法が併用された。