外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

がんが肺に転移しやすいのはなぜ?

 肺はがん細胞にとって魅力的な場所なのか、進行がん患者の半数以上で肺転移が認められる。その理由の一つとなり得る研究結果が報告された。この研究では、がんが転移した肺の中ではアミノ酸の一種であるアスパラギン酸の濃度が上昇しており、がん細胞が増殖しやすい環境が形成されている可能性のあることが示唆されたという。フランダースバイオテクノロジー研究機関(VIB、ベルギー)がん生物学センターのGinevra Doglioni氏らによるこの研究結果は、「Nature」に1月1日掲載された。  Doglioni氏は、「乳がんに罹患したマウスや患者の肺では、がんに罹患していないマウスや患者の肺に比べてアスパラギン酸のレベルが高いことが分かった。これは、アスパラギン酸が肺転移に重要な役割を果たしている可能性があることを示唆している」とVIBのニュースリリースで述べている。

医師介入が死亡率に影響?がん患者診療のための栄養治療ガイドライン発刊

 日本人がん患者の栄養管理は、2022年より周術期栄養管理加算や外来栄養食事指導料が算定できるようになったことで、その管理体制は改善傾向にある。しかし、栄養治療が必要な患者に十分届いているとは言い難く、適切な栄養管理によってより良い予後をもたらすことが日本栄養治療学会(JSPEN)としての喫緊の課題になっている。そんな最中、2024年10月に『がん患者診療のための栄養治療ガイドライン 2024年版 総論編』が発刊されたため、作成ワーキンググループのガイドライン委員会前委員長である小谷 穣治氏(神戸大学大学院医学研究科外科系講座 災害・救急医学分野 教授)にがん患者の栄養管理の実際やガイドラインで押さえておくべき内容について話を聞いた。

日本人HER2+進行乳がんへのペルツズマブ再投与、OS最終解析結果(PRECIOUS)/JCO

 ペルツズマブ治療歴のある、HER2陽性局所進行/転移乳がんに対し、ペルツズマブ再投与(ペルツズマブ+トラスツズマブ+主治医選択による化学療法)はトラスツズマブ+主治医選択による化学療法と比較して治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが、第III相PRECIOUS試験の主要解析結果として報告されている。今回、熊本大学の山本 豊氏らは、同試験の全生存期間(OS)の最終解析結果をJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年1月24日号で報告した。  PRECIOUS試験では、局所進行/転移乳がんに対する1次または2次治療としてペルツズマブを含む治療歴を有する患者を、ペルツズマブ再投与群(PTC群)とトラスツズマブ+主治医選択による化学療法群(TC群)に1:1の割合で無作為に割り付けた(PTC群110例、TC群109例)。主要評価項目は治験責任医師評価によるPFS、重要な副次評価項目はOS、独立中央評価によるPFSであった。

治療転帰、男女医師で有意差~35研究のメタ解析

 これまでに、女性医師が治療した患者は男性医師が治療した患者よりも転帰が良く、医療費も低くなる可能性が報告されている。医師と患者の性別の一致も転帰に影響する可能性があるが、これまでの研究では有意差は確認されておらず、統合解析によるエビデンスはほとんどない。今回、米国・メイヨークリニックのKiyan Heybati氏らがランダム効果メタ解析を実施した結果、女性医師の治療を受けた患者は、男性医師の治療を受けた患者に比べ死亡率が有意に低く、再入院も少なかったことがわかった。BMC Health Services Research誌2025年1月17日号に掲載。

がん診断前の定期的な身体活動はがんの進行や死亡リスクを低下させる?

 がんと診断される前に運動を定期的に行っていた人では、がんとの闘いに成功する可能性が高まるようだ。がんの診断前に、たとえ低水準でも身体活動を行っていた人では、がんの進行リスクや全死亡リスクが低下する可能性のあることが明らかになった。ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)のJon Patricios氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に1月7日掲載された。  研究グループによると、運動ががんによる死亡のリスク低下に重要な役割を果たしていることに関しては説得力のあるエビデンスがあるものの、がんの進行に対する影響については決定的なエビデンスがない。

切除可能食道腺がん、FLOTによる周術期化学療法が有効/NEJM

 切除可能な食道腺がん患者の治療において、術前化学放射線療法と比較してフルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル(FLOT)による周術期化学療法は、3年の時点での全生存率を有意に改善し、3年無増悪生存率も良好で、術後合併症の発現は同程度であることが、ドイツ・Bielefeld大学のJens Hoeppner氏らが実施した「ESOPEC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年1月23日号に掲載された。  ESOPEC試験は、切除可能食道がんの治療におけるFLOTによる周術期化学療法の有用性の評価を目的とする医師主導の非盲検無作為化対照比較第III相試験であり、2016年2月~2020年4月にドイツの25の施設で患者を登録した(ドイツ研究振興協会の助成を受けた)。

重大な副作用にアナフィラキシー追加、アルギニン含有製剤など/厚労省

 2025年1月29日、厚生労働省はアルギニン含有注射剤などに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用としてアナフィラキシーの追記がなされる。  対象医薬品は以下のとおり。 ◯プラスアミノ輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖製剤) ◯ツインパル輸液(混合アミノ酸・ブドウ糖・無機塩類製剤) ◯ビーフリード輸液(その他の配合剤) ◯アルギU点滴静注(一般名:L-アルギニン塩酸塩) ◯アルギニン点滴静注(同)

小児の急性単純性虫垂炎、抗菌薬は切除に非劣性示せず/Lancet

 小児の急性単純性虫垂炎に対する治療について、抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性は示されなかった。米国・Children's MercyのShawn D. St. Peter氏らが、カナダ、米国、フィンランド、スウェーデンおよびシンガポールの小児病院11施設で実施した無作為化非盲検並行群間比較試験の結果を報告した。合併症のない虫垂炎に対して、手術治療よりも非手術的治療を支持する文献が増加していることから、研究グループは抗菌薬投与の虫垂切除術に対する非劣性を検討する試験を行った。Lancet誌2025年1月18日号掲載の報告。

T-DXd、米国で化学療法未治療のHER2低発現/超低発現の乳がんに承認取得/第一三共

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、商品名:エンハーツ)が、米国食品医薬品局(FDA)より、1つ以上の内分泌療法を受けた化学療法未治療のホルモン受容体(HR)陽性かつHER2低発現(IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)またはHER2超低発現(膜染色を認めるIHC 0)の転移/再発乳がんに承認されたことを、2025年1月28日、第一三共が発表した。  本適応は2024年10月にFDAより承認申請が受理され、画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定および優先審査のもとで承認された。この承認は、2024年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2024)で発表された、化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現の転移/再発乳がん患者を対象とした国際第III相試験(DESTINY-Breast06)の結果に基づくもの。