乳がん検診は死亡率低下と関連する可能性があるが、高齢者においては過剰診断が懸念される。今回、石巻赤十字病院の佐藤 馨氏らが、高齢化地域における75歳以上の女性において検討した結果、検診と死亡率低下に有意な関連はみられなかったものの、検診群において乳がんによる死亡は認められなかった。Preventive Medicine Reports誌2025年10月9日号に掲載。
本研究では、石巻赤十字病院で乳がんと診断された75~98歳(中央値81歳)の女性289例(2011~20年)を後ろ向きに解析した。患者を検診群(40歳以上の全女性を対象とした2年ごとの全国規模集団ベース乳がんスクリーニングで診断)と非検診群(症状で診断もしくはCTなどの他疾患の画像検査で偶然発見)に分類した。主要評価項目は全死亡率であった。比較にはMann-Whitney のU検定、カイ二乗検定、Fisherの正確確率検定、生存率はKaplan-Meier法、log-rank検定、予後因子はCox比例ハザードモデルで解析した。
主な結果は以下のとおり。
・289例中46例(15.9%)が検診を受け、243例(84.1%)が検診を受けていなかった。
・検診群は、若年で腫瘍が小さく、リンパ節転移が少なく、手術回数が多かった。
・単変量解析では検診が死亡率の低下と関連していたが、多変量解析では関連がみられなかった。
・検診群では乳がんによる死亡は認められなかったが、非検診群では25例(10.3%)に認められた(p=0.02)。
(ケアネット 金沢 浩子)