外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

術前化療後の乳房温存術、断端陽性で再発リスク3倍~日本人1,813例での研究

 術前化学療法後に乳房温存療法(乳房温存手術および放射線療法)を受けた乳がん患者において、切除断端陽性例では温存乳房内再発リスクが3.1倍であったことが、1,813例を対象にした日本の多施設共同後ろ向き研究で示された。大阪はびきの医療センターの石飛 真人氏らがBreast Cancer誌オンライン版2025年6月9日号で発表した。  本研究の対象は、新たにStageI~III乳がんと診断され、術前化学療法後に乳房温存療法を受けた1,813例で、切除断端の状態が温存乳房内再発に与える影響を評価した。

米国では30年でアルコール関連がんの死亡が倍増/ASCO2025

 米国では、1990年から2021年までの30年間でアルコール摂取に関連するがん(以下、アルコール関連がん)による死亡数がほぼ倍増しており、男性の死亡数がこの急増の主な原因であることが、新たな研究で明らかになった。米マイアミ大学シルベスター総合がんセンターのChinmay Jani氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO25、5月30日~6月3日、米シカゴ)で発表された。  米国公衆衛生局(PHS)長官は2025年初頭に勧告を発出し、飲酒ががんのリスクを高めることに関する強力な科学的エビデンスがあると米国民に警告した。米国立がん研究所(NCI)によると、アルコールは1987年以来、国際がん研究機関(IARC)によって発がん物質に分類されている。また、米国立毒性学プログラム(NTP)も2000年以来、アルコールはヒトに対する既知の発がん物質とする認識を示している。

ESR1変異のER+/HER2-進行乳がん、vepdegestrant vs.フルベストラント(VERITAC-2)/NEJM

 既治療のエストロゲン受容体(ER)陽性・HER2陰性の進行乳がん患者において、フルベストラントと比較してvepdegestrant(ユビキチン・プロテアソーム系を利用した標的タンパク質分解誘導キメラ分子[PROTAC]、経口ER分解薬)は、全患者では無増悪生存期間(PFS)の改善を認めなかったものの、エストロゲン受容体遺伝子(ESR1)変異を有するサブグループではPFSの有意な延長が認められ、安全性プロファイルも良好であることが、フランス・Institut de Cancerologie de l'Ouest Angers-NantesのMario Campone氏らVERITAC-2 Study Groupが実施した「VERITAC-2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年5月31日号に掲載された。

HER2+早期乳がん術前療法、de-escalation戦略3試験の統合解析結果/ASCO2025

 HER2陽性(HER2+)早期乳がんに対し、パクリタキセル+抗HER2抗体薬による12週の術前補助療法は有効性と忍容性に優れ、5年生存率も極めて良好であった。さらにStageI~IIの患者においては、ほかの臨床的・分子的因子を考慮したうえで、化学療法省略もしくは抗体薬物複合体(ADC)による治療を考慮できる可能性が示唆された。de-escalation戦略を検討したWest German Study Group(WSG)による3件の無作為化比較試験(ADAPT-HR-/HER2+試験、ADAPT-HR+/HER2+試験、TP-II試験)の統合解析結果を、ドイツ・ハンブルグ大学のMonika Karla Graeser氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

軽症の免疫チェックポイント阻害薬関連肺臓炎へのステロイド、3週vs.6週(PROTECT)/ASCO2025

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が広く使用されるようになり、免疫関連有害事象(irAE)マネジメントの重要性が高まっている。irAEのなかで比較的多いものの1つに、薬剤性肺障害(免疫関連肺臓炎)がある。免疫関連肺臓炎の治療としては、一般的にステロイドが用いられるが、適切な治療期間は明らかになっていない。そこで、免疫関連肺臓炎に対するステロイド治療の期間を検討する無作為化比較試験「PROTECT試験」が本邦で実施された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、藤本 大智氏(兵庫医科大学)が本試験の結果を報告した。本試験において、ステロイド治療期間を3週間とする治療レジメンは、6週間の治療レジメンに対する非劣性が示されなかった。

食道がんへの術後ニボルマブ、長期追跡でもベネフィット示す(CheckMate 577)/ASCO2025

 日本も参加するCheckMate 577試験は、術前化学放射線療法(CRT)+手術後に残存病理学的病変を有する食道がん/胃食道接合部がん(EC/GEJC)患者における、術後ニボルマブ投与の有用性をみた試験である。すでにプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を有意に延長したことが報告されている(22.4ヵ月対11.0ヵ月、HR:0.69)。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、ベイラー大学医療センター(米国・ダラス)のRonan J. Kelly氏が、本試験の副次評価項目である全生存期間(OS)の最終解析結果およびDFSの長期追跡結果を報告した。

閉経前HR+乳がんの術後補助療法、EXE+OFSとTAM+OFSの15年追跡結果(SOFT/TEXT)/ASCO2025

 閉経前のHR+早期乳がんにおいて、術後補助内分泌療法+卵巣機能抑制(OFS)による再発抑制の持続および再発リスクが高い患者における全生存期間(OS)の改善が、SOFT試験とTEXT試験ですでに報告されている。今回、これらの試験の最終報告として、SOFT試験(追跡期間中央値:15年)およびSOFT試験とTEXT試験の統合解析(同:16年)の結果について、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのPrudence A. Francis氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

HER2陽性胃がん2次治療、T-DXd vs.ラムシルマブ+PTX(DESTINY-Gastric04)/NEJM

 前治療歴のある切除不能または転移のあるHER2陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がんの患者において、2次治療としてのトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)はラムシルマブ+パクリタキセル(RAM+PTX)と比較して全生存期間(OS)を有意に延長した。有害事象は両群で多くみられ、既知のリスクであるT-DXd投与に伴う間質性肺炎または肺臓炎は、主として低グレードであった。国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らDESTINY-Gastric04 Trial Investigatorsが、国際非盲検無作為化第III相試験「DESTINY-Gastric04試験」の結果を報告した。T-DXdは第II相試験に基づき、トラスツズマブベースの治療を含む2ライン以上の治療歴を有する進行・再発のHER2陽性胃がんまたは胃食道接合部腺がん患者に対する投与が承認されている。DESTINY-Gastric04試験では、2次治療としてのT-DXdの有効性と安全性をRAM+PTXと比較した。NEJM誌オンライン版2025年5月31日号掲載の報告。

早期TN乳がんの術前療法、SG+ペムブロリズマブでpCRが32%(NeoSTAR)/ASCO2025

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への術前サシツズマブ ゴビテカン(SG)+ペムブロリズマブ併用療法を評価した初の試験である第II相NeoSTAR試験において、SG+ペムブロリズマブ 4サイクルによる病理学的完全奏効(pCR)率は32%であり、非アントラサイクリン系レジメンを用いた術前化学療法が追加された患者を含めると50%がpCRを達成した。米国・Massachusetts General Hospital Cancer CenterのRachel Occhiogrosso Abelman氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。  SGは転移TNBCおよびHR+HER2-転移乳がんに承認されており、ペムブロリズマブは早期TNBCおよびPD-L1陽性転移乳がんに承認されている。本試験のArm A1では、早期TNBCへのSG単剤療法4サイクルにより、30%のpCR率が得られたことが確認されている。今回は、Arm A2において早期TNBCへのSG+ペムブロリズマブ併用を評価した結果が報告された。

PIK3CA変異の内分泌療法抵抗性HR+/HER2-乳がん、inavolisib追加でPFS・OS改善(INAVO120)/NEJM

 PIK3CA変異陽性のホルモン受容体陽性/HER2陰性の局所進行または転移のある乳がんの治療において、パルボシクリブ+フルベストラントとの併用でinavolisib(PI3Kα阻害薬)はプラセボと比較し、全生存期間(OS)および奏効率を有意に改善することが、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのKomal L. Jhaveri氏らが実施した「INAVO120試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年5月31日号で報告された。