外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

日本のガイドラインで推奨される睡眠薬、最も有用なのは?

 不眠症のガイドラインでは、いくつかの睡眠薬が推奨されているが、臨床現場において最も有用な睡眠薬は明らかとなっていない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法の失敗リスクが低い薬剤、単剤療法後の中止率の高い薬剤を特定するため、本研究を実施した。JAMA Network Open誌2024年4月1日号の報告。  2005年4月~2021年3月の日本医療データセンターレセプトデータベースのデータを用いて、レトロスペクティブ観察コホート研究を実施した。対象患者は、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬(スボレキサント、ラメルテオン、エスゾピクロン、ゾルピデム、トリアゾラム)による単剤療法を行った成人患者。データ分析は、2022年12月24日~2023年9月26日に実施した。主要アウトカムは、単剤療法の失敗とし、ガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法を開始してから6ヵ月以内に睡眠薬の変更または追加を行った場合と定義した。副次的アウトカムは、単剤療法の中止とし、単剤療法が失敗しなかった後、6ヵ月以内に2ヵ月連続で睡眠薬を処方しなかった場合と定義した。単剤療法の失敗および中止は、それぞれCox比例ハザードモデル、ロジスティック回帰モデルを用いて比較した。

乳がんの術後補助療法、アスピリンは予後を改善するか/JAMA

 高リスクの転移のない乳がんの術後補助療法において、アスピリンの連日投与はプラセボと比較して、乳がんの再発リスクや生存率を改善しないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のWendy Y. Chen氏らが実施した「Alliance A011502試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年4月29日号で報告された。  Alliance A011502試験は、アスピリンが乳がん生存者における浸潤がんのリスクを低減するかの検証を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2017年1月~2020年12月に米国とカナダの534施設で参加者を登録した(米国国防総省乳がん研究プログラムなどの助成を受けた)。

コロナワクチンに不安のあるがん患者の相談相手は?

 外来で化学療法を受けるがん患者を対象に、新型コロナワクチンに関して不安を感じることの内容やその相談相手などが調査された。その結果、相談相手としてプライマリケア医が最も多いことが明らかとなった。研究グループは、薬剤師が介入できる可能性も示唆されたとしている。これは順天堂大学医学部附属順天堂医院薬剤部の畦地拓哉氏らによる研究であり、「Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences」に3月4日掲載された。  新型コロナワクチンは日本で2021年2月に承認され、がん患者において接種が推奨されている。しかし、がん患者のワクチン接種状況や副反応に焦点を当てた研究はほとんどない。患者はがん治療への影響も含めて多くの不安を抱えるため、医療職の関与が重要となる。

「リンパ浮腫診療ガイドライン 2024年版」発行、改訂点は?

 2018年の第3版発行から6年ぶりに、第4版となる「リンパ浮腫診療ガイドライン 2024年版」が3月に改訂された。CQが2つ新設されるなど、新たなエビデンスを踏まえてアップデートされた今版のポイントについて、日本リンパ浮腫学会ガイドライン委員会委員長の北村 薫氏(アムクリニック)に話を聞いた。  今回の改訂では、「実臨床でよくある質問」という観点から、2つのCQが新設された。1つ目はCQ4の「続発性リンパ浮腫発症リスクのある部位に行う美容的処置(レーザー、脱毛、美容目的の脂肪吸引など)は有害(あるいは禁忌)か?」で、禁忌とする科学的根拠はないとしたが、熱傷や皮膚トラブルに注意する必要があるため、皮膚に侵襲を来しうる美容目的の処置は、有害事象の発生リスクが高いとしている(Limited-suggestive;可能性あり)。

TN乳がんの長期アウトカム、BRCA1/2変異の影響は

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者はBRCA1/2遺伝子変異を有する割合が高く、約10〜20%とされている。今回、韓国・Sungkyunkwan University School of MedicineのWoong Ki Park氏らが、TNBC患者の長期アウトカムを後ろ向きに検討したところ、BRCA1/2遺伝子変異が対側乳がん発生のリスク因子であることがわかった。また、対側乳がん発生率は、BRCA1/2変異患者では5年を過ぎても大幅に高かったという。npj Precision Oncology誌オンライン版2024年4月30日号に掲載。

GLP-1受容体作動薬の使用で甲状腺がんリスクは増加する?

 ウゴービやオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)は、糖尿病治療薬や肥満症治療薬として多くの人に使用されるようになった一方で、長期間の使用が甲状腺がんのリスク増加と関連する可能性が危惧されている。しかし、43万5,000人以上を対象としたスウェーデンの研究で、そのような考えの裏付けとなるエビデンスは見つからなかったことが報告された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBjorn Pasternak氏らによるこの研究結果は、「The BMJ」に4月10日掲載された。

若年世代の老化が加速、がんリスク上昇の可能性

 若い世代での老化が加速しており、それが若年発症型のがんリスクの上昇と関連している可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。1965年以降に生まれた人では、1950年から1954年の間に生まれた人に比べて老化が加速している可能性が17%高く、また、このような老化の加速は、55歳未満の成人における特定のがんリスクの増加と関連していることが示されたという。米ワシントン大学医学部のRuiyi Tian氏らによるこの研究結果は、米国がん学会年次総会(AACR 2024、4月5〜10日、米サンディエゴ)で発表された。

若年乳がんサバイバーにおける2次原発性乳がんのリスク因子/JAMA Oncol

 40歳以下の原発性乳がんの女性は、それ以降に発症した女性よりも2次原発性乳がんのリスクが高いことが、過去のデータから示唆されている。今回、米国・Harvard T. H. Chan School of Public HealthのKristen D. Brantley氏らが、片側乳房切除術または乳房温存術を受けた40歳以下の乳がん患者を対象に検討したところ、生殖細胞系列遺伝子に病的変異がない女性では2次原発性乳がんの10年発症リスクが約2%であったのに対し、病的変異がある女性では約9%と高かったことが示された。JAMA Oncology誌オンライン版2024年4月11日号に掲載。

迅速承認の抗がん剤の臨床的有用性/JAMA

 米国では、食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の多くは、承認から5年以内に全生存期間(OS)または生活の質(QOL)に関して有益性を示せず、確認試験で臨床的有用性を示したのは半数に満たないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のIan T. T. Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月7日号で報告された。  研究グループは、FDAによる迅速承認を受けたがん治療薬が最終的に臨床的有用性を示すかを確認し、通常承認への転換の根拠を評価する目的でコホート研究を行った(Arnold Ventures and the Commonwealth Fundの助成を受けた)。  迅速承認は、満たされない医療ニーズのある重篤な疾患の特定の治療薬について、代替評価項目の改善に基づいて承認を許可する優先審査制度。迅速承認を受けた医薬品の製造企業は、有効性を確認するために臨床評価項目の評価を行う承認後臨床試験の実施を求められる。

ミドル~シニアの女性臨床医が直面するジェンダーの障壁とは?

 米国のミドルからシニアクラスの女性臨床研究医を対象とした定性的インタビュー調査によると、アカデミックな医学界は男性中心的な制度であり、構造的不公平が女性のキャリア全体にわたって持続し、キャリアアップにおけるジェンダー格差のパターンに陥っていることが示唆された。本研究は、米国・ミシガン大学のLauren A. Szczygiel氏らによって実施された。JAMA Network Open誌2024年4月11日号に掲載。  本研究は、ミドルからシニアのキャリアを有する女性臨床研究医の日常的な職業経験において、キャリアを通じて経験したジェンダーに関連する障壁についての認識を調査することを目的とした。2006~09年に米国国立衛生研究所の若手臨床研究医のキャリア支援のグラントであるK08またはK23を受賞した女性臨床研究医で、調査に同意した60人のうち、無作為選択的サンプリングで31人が選ばれた。2022年1~5月に半構造化面接を実施し、テーマ分析のフレームワークアプローチを用いて2023年8~10月に解析した。