外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

monarchE試験のOS結果が発表/ESMO2025

 HR+/HER2-でリンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者を対象に、術後内分泌療法(ET)へのアベマシクリブ追加の有用性を検討したmonarchE試験の全生存期間(OS)の解析の結果、アベマシクリブ+ET併用療法は、ET単剤療法と比べて死亡リスクを15.8%低減させたことを、Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen R. Johnston氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。  monarchE試験は、HR+/HER2-でリンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者5,637例を、2年間の術後療法としてアベマシクリブ+ET群とET単独群に1:1に無作為に割り付けた第III相多施設共同無作為化非盲検試験。これまでの解析では、アベマシクリブ追加による無浸潤疾患生存期間(iDFS)および無遠隔再発生存期間(DRFS)の5年時のベネフィットが報告されている。今回は、主要副次評価項目であるOSのほか、更新されたiDFSとDRFSの結果が報告された。

腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA

 腹部大手術を受ける術後合併症リスクが高い患者において、術前夜間平均動脈圧(MAP)に基づく個別周術期血圧管理は、MAP目標値65mmHg以上とする通常血圧管理と比較して、術後7日以内の急性腎障害、急性心筋障害、非致死的心停止または死亡の複合アウトカムを減少させなかった。ドイツ・University Medical Center Hamburg-EppendorfのBernd Saugel氏らIMPROVE-multi Trial Groupが、同国15の大学病院で実施した無作為化単盲検試験「IMPROVE-multi試験」の結果を報告した。手術中の低血圧は臓器損傷と関連しているが、手術中の血圧管理が臨床アウトカムを改善可能かについては不明であった。JAMA誌オンライン版2025年10月12日号掲載の報告。

免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025

 免疫チェックポイント阻害薬の対象とならない局所進行切除不能または転移のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)が化学療法に比べ有意に全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を延長したことが第III相TROPION-Breast02試験で示された。シンガポール・National Cancer Center SingaporeのRebecca Dent氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。

結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025

 術後のctDNA検査の結果をその後の治療選択に役立てる、という臨床試験が複数のがん種で進行している。DYNAMIC-IIIは結腸がん患者を対象に、術後のctDNA検査結果に基づいて、術後化学療法の強度変更を検討した試験である。今年6月の米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)ではctDNA陽性の治療強化例の解析結果が発表され、治療強化は無再発生存期間(RFS)を改善しないことが示された。10月17~21日に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)では、Peter MacCallum Cancer Centre(オーストラリア・メルボルン)のJeanne Tie氏がctDNA陰性のde-escalation(治療減弱)例の解析結果を発表した。ctDNA陽性例と合わせた本試験の結果は、Nature Medicine誌オンライン版2025年10月20日号に同時掲載された。

免疫療法の対象とならない進行TN乳がんの1次治療、SGがPFS延長(ASCENT-03)/ESMO2025

 PD-1/PD-L1阻害薬の対象とならない局所進行切除不能または転移のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、サシツズマブ ゴビテカン(SG)が化学療法より有意な無増悪生存期間(PFS)の延長と持続的な奏効をもたらしたことが、第III相ASCENT-03試験で示された。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。なお、本結果はNEJM誌オンライン版2025年10月18日号に掲載された。

HER2+早期乳がんの術前療法、T-DXd→THPが標準治療を上回るpCR率(DESTINY-Breast11)/ESMO2025

 DESTINY-Breast11試験において、再発リスクの高いHER2陽性(+)早期乳がん患者の術前療法として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)投与後のパクリタキセル+トラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法(THP療法)は、ドキソルビシン+シクロホスファミド投与後にTHP療法を行う現在の標準治療(ddAC-THP療法)に比べて、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある病理学的完全奏効(pCR)の改善を示したことを、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのNadia Harbeck氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。

術前療法後の高リスクHER2+早期乳がん、T-DXd vs.T-DM1(DESTINY-Breast05)/ESMO2025

 術前療法後に乳房および/または腋窩リンパ節に浸潤性残存病変を有する再発リスクの高いHER2陽性(+)の早期乳がん患者を対象に、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)とトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)の有効性と安全性を直接比較したDESTINY-Breast05試験の中間解析結果を、米国・University of Pittsburgh Hillman Cancer CenterのCharles E. Geyer氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。その結果、T-DXd群において無浸潤疾患生存期間(iDFS)および無病生存期間(DFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことが明らかになった。

院内の騒音でせん妄リスク上昇か/大阪公立大

 病院内の騒音は、患者の睡眠を妨げるだけでなく、せん妄や不安、再入院などのリスクも上昇させる可能性が示された。園田 奈央氏(大阪公立大学大学院看護学研究科)らの研究グループは、病院内の騒音の影響に関するスコーピングレビューを実施し、その結果を報告した。本結果は、Worldviews on Evidence-Based Nursing誌2025年8月号に掲載された。  研究グループは、病院内の騒音が入院患者の健康アウトカムに与える影響を明らかにするため、スコーピングレビューを実施した。本レビューでは、2014年1月〜2023年12月にPubMed、CINAHL Plus、Cochrane Libraryに登録された文献を検索した。また、検索で抽出された文献の参考文献、Google Scholarについてハンドサーチを実施した。キーワード(noise、sound、alarm、hospital、care unit、ward)検索およびハンドサーチで抽出された5,851件の文献から、重複などを除いた4,426件を対象にスクリーニングを実施し、最終的に研究目的に合致した28件の論文を抽出した。

ロボット支援直腸がん手術、術後1日目のCRPで合併症予測が可能に

 術後合併症や感染症への対応には、早期発見と迅速な対処が求められる。今回、直腸がんに対するロボット支援下直腸手術(RARS)後の合併症リスクが、術後1日目のC反応性蛋白(CRP)値で予測できるとする研究結果が報告された。術後早期のCRP測定が、高リスク患者の見極めや迅速な介入に役立つ可能性があるという。研究は国立病院機構福山医療センター消化器・一般外科の寺石文則氏らによるもので、詳細は8月28日付けで「Updates in Surgery」に掲載された。  RARSは、骨盤内の限られた視野で高い操作性を発揮し、従来の腹腔鏡手術や開腹手術と同等かそれ以上の成績を示すことが報告されている。しかし、依然として術後合併症は患者予後を左右する大きな課題であり、早期に高リスク患者を見極めることが重要だ。炎症マーカーであるCRPは大腸手術後の合併症予測に有用とされるが、ロボット支援手術における術後早期のCRP値の予測的価値は十分に検討されていない。このような背景を踏まえ著者らは、RARS後の合併症リスク因子を解析し、特に術後1日目のCRP測定の有用性を評価することを目的とした後ろ向きコホート研究を実施した。

米国で「悪夢の細菌」による感染症が急増

 米国で、抗菌薬の効かない細菌による感染症が驚くべきペースで増加していることが、米疾病対策センター(CDC)の最新データで明らかになった。CDCによると、最後の砦とされるカルバペネム系薬剤を含むほぼ全ての抗菌薬に耐性を示すことから、「悪夢の細菌」の異名を持つNDM(ニューデリー・メタロβラクタマーゼ)遺伝子を持つNDM産生カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(NDM-CRE)が2019年から2023年の間に劇的に増加したという。CDCの疫学者であるMaroya Walters氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に9月23日掲載された。