外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

ER+/HER2-早期乳がん術後ホルモン療法、giredestrant vs.標準治療(lidERA)/SABCS2025

 ER+/HER2-早期乳がんの術後内分泌療法として、経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)giredestrantと現在の標準治療である内分泌療法を比較した第III相lidERA試験の中間解析の結果、giredestrantは無浸潤疾患生存期間(iDFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらし、再発または死亡に至る可能性を30%低下させたことを、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAditya L. Bardia氏が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2025、12月9~12日)で報告した。 ・試験デザイン:非盲検国際多施設共同無作為化試験 ・対象:12ヵ月以内に乳がん手術を受け、必要に応じて術前/術後化学療法を完了したStageI~III、ER+/HER2-の早期乳がん患者 4,170例 ・試験群:giredestrant 30mg 1日1回経口投与 2,084例 ・対照群:標準内分泌療法(タモキシフェン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタンから1つ選択) 2,086例 ※5年間または許容できない毒性が発現するまで継続。閉経前・閉経前後の女性および男性はLH-RHアゴニストを併用。

AIモデルが臓器ドナーの死亡タイミングを予測

 肝臓を提供する人(ドナー)の生命維持装置が外されてから死亡するまでの時間が30~45分を超えると、提供された肝臓が移植を受ける患者(レシピエント)の体内で良好に機能する可能性が低くなるため、移植は却下されることになる。しかし新たな研究で、人工知能(AI)モデルが、臓器が移植可能な状態を保てる時間内にドナーが死亡する可能性を医師よりも正確に予測し、ドナーが時間内に死亡せず、移植に至らなかったケースの割合(無駄な臓器取得率)を60%減らすことができたことが示された。米スタンフォード大学医学部腹部臓器移植外科臨床教授の佐々木一成氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Digital Health」に11月13日掲載された。

BRAF変異陽性大腸がん、最適な分子標的療法レジメンは?/BMJ

 中国・海軍軍医大学のBao-Dong Qin氏らは、BRAF遺伝子変異を有する切除不能大腸がんに対する分子標的療法ベースのレジメンの有効性と安全性について、システマティックレビューとネットワークメタ解析を行い、1次治療については、2剤併用化学療法+抗EGFR/BRAF療法が最善の生存ベネフィットをもたらすことを、また2次治療以降では、抗EGFR/BRAF療法をベースとしたレジメン(MEK阻害薬あるいはPI3K阻害薬併用あり・なし)が、最も高い有効性および良好な忍容性を有する選択肢であることを示した。BRAF遺伝子変異を有する切除不能大腸がん患者の予後は不良であり、従来療法に対して十分な効果が得られない場合が多い。これまで複数の分子標的レジメンが検討され、抗EGFR/BRAF療法ベースのレジメンの臨床導入後、治療効果は大幅な改善が認められた。しかしながら、BRAF遺伝子変異を有する大腸がんの発生率は比較的低く、レジメンの有効性および安全性の直接比較は限られていた。BMJ誌2025年11月19日号掲載の報告。

膵管拡張は膵臓がんの警告サイン

 膵臓がんは、進行して致命的となるまで症状が現れにくいことから「サイレントキラー」とも呼ばれる。こうした中、新たな研究で、膵臓がんリスクの高い無症状患者では、膵臓と胆管をつなぐ膵管の拡張が、がんの進行リスクを高める独立したリスク因子であることが示された。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部医学・腫瘍学教授のMarcia Irene Canto氏らによるこの研究結果は、「Gastro Hep Advances」に9月12日掲載された。Canto氏は、「この知見によりがんが早期発見されれば、生存率の向上につながる可能性がある」とニュースリリースの中で述べている。

個別化プレハビリテーションで手術アウトカムが改善

 大きな手術を控えている場合、手術そのものや術後のリハビリテーション(以下、リハビリ)に備えてエネルギーを温存する必要があると考える人は少なくないだろう。こうした考えは十分理解できるものだが、実際には、術前から開始するリハビリであるプレハビリテーションに参加した方が良い状態につながることが、米スタンフォード大学麻酔科学・周術期医学・疼痛医学教授のBrice Gaudilliere氏らが実施した臨床試験で明らかにされた。同試験では、マンツーマンでのプレハビリテーションが最も効果的であることが示されたという。詳細は、「JAMA Surgery」に11月12日掲載された。

HR+/HER2-進行乳がん1~2次治療、パルボシクリブvs.ribociclib vs.アベマシクリブ

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次および2次治療として、CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用療法は標準治療となっている。パルボシクリブ、ribociclib、アベマシクリブの3種類のCDK4/6阻害薬について、内分泌療法との併用におけるリアルワールドでの生存ベネフィットを比較した多施設共同後ろ向きPOLiCDK試験の結果を、ポーランド・Military Institute of Medicine-National Research InstituteのRenata Duchnowska氏がBreast誌オンライン版2025年11月24日号で報告した。

日本の外科医における筋骨格系障害の有病率

 わが国では外科医の業務に関連した筋骨格系障害(MSD)に対する認識は限定的である。今回、自治医科大学の笹沼 英紀氏らが日本の一般外科医におけるMSDの有病率、特徴、影響を調査した。その結果、日本の外科医におけるMSD有病率はきわめて高く、身体的・精神的健康に影響を及ぼしていることが示唆された。Surgical Today誌オンライン版2025年11月14日号に掲載。  本研究では、日本の大学病院ネットワークに所属する一般外科医136人を対象に電子アンケートを実施した。Nordic Musculoskeletal Questionnaireの修正版を用いて、人口統計学的特性、作業要因、MSD症状、心理的苦痛、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用状況とそれらの影響を評価した。

20年で大きく生存率が向上したがん・変化の少ないがん/国立がん研究センター

 国立がん研究センターがん対策研究所を中心とする厚生労働科学研究費補助金「がん統計を活用した、諸外国とのデータ比較にもとづく日本のがん対策の評価のための研究」班は2025年11月19日、地域がん登録データを活用した2012~15年診断症例の5年生存率を報告書にまとめ、公表した。  なお、今回の集計から生存率の推定方法が変更されている。これまで利用されてきた「相対生存率」は実際より過大推定となる恐れがあり、本集計から国際比較にも利用できる「純生存率」(“がんのみが死因となる状況”を仮定して、実測生存率に重み付けして推定)に変更された。

1~2個のSLN転移陽性早期乳がん、ALND省略で生存アウトカムは?メタ解析

 センチネルリンパ節(SLN)転移陽性の乳がん患者に対しては、これまで腋窩リンパ節郭清(ALND)が推奨されてきたが、乳房温存術(BCS)を受ける患者でSLN転移が限局的な患者に対しては、Z0011試験などの結果を踏まえALND省略が考慮されるようになっている。しかし、乳房全切除術(TM)を受ける患者に関しては、エビデンスが限られ、結果も一貫していない。中国・Qilu Hospital of Shandong UniversityのJinyi Xie氏らは、1〜2個のSLN転移陽性早期乳がん患者において、ALND群とセンチネルリンパ節生検(SLNB)単独群の生存アウトカムを比較することを目的としてメタ解析を実施。BCSを受ける患者とTMを受ける患者におけるサブグループ解析も行い、結果をOncologist誌オンライン版11月14日号で報告した。

家族の録音メッセージがICU入室患者のせん妄を防ぐ

 人工呼吸器を装着している集中治療室(ICU)入室患者では、5人中4人にせん妄が生じる。せん妄とは、治療による体への負担が原因で生じる異常な精神状態のことをいい、パニック、動揺、怒りなどの症状が現れる。新たな研究で、ICU入室患者に家族からの録音メッセージを聞かせることで、患者の意識を安定させ、せん妄を予防できる可能性のあることが明らかになった。米マイアミ大学看護健康学部のCindy Munro氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Critical Care」に11月1日掲載された。