精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:342

てんかん重積状態の薬物療法はエビデンス・フリー・ゾーン

 てんかん重積状態(SE)は、最も重篤なてんかんの様式であり、最もよく発生する精神的緊急症状で、発生頻度は10万人年当たり61件、推定死亡率は20%である。臨床的に強直性間代性けいれんSEは、4つの連続するステージすなわちearly、established、refractory、super-refractoryに分けられる。しかしSEの薬物治療について、とくに後半のステージには、臨床決定の情報となる質の高い対照試験がないことから、“エビデンス・フリー・ゾーン”となっている。オーストリア・パラケルスス医科大学のEugen Trinka氏らは、SEの経過に応じた薬物療法のエビデンスについて包括的ナラティブレビューを行った。その結果、established SEにはフェニトインやフェノバルビタール、refractory、super-refractoryには麻酔薬が広く使用されていることを明らかにした。Drugs誌2015年9月号の掲載報告。

認知症に対する回想法、そのメリットは

 台湾大学のHui-Chuan Huang氏らは、認知症高齢者に対する回想法の有用性を明らかにすることを目的にメタ解析を行った。その結果、回想法の実施により認知機能および抑うつ症状の改善が認められ、その効果は地域で居住する患者よりも施設に入所している患者で大きいことを報告した。認知機能障害および抑うつ症状は認知症高齢者に一般的な症状である。過去に実施されたメタ解析は、解析対象とした試験のデータが古く、研究規模も小さかったため、認知機能および抑うつ症状に対する回想法の効果に関して一貫した結果が得られなかった。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2015年9月1日号の掲載報告。

統合失調症スペクトラム障害と感情精神病の発症リスク要因は

 統合失調症スペクトラム障害(SSD)と感情精神病(AP)には、特徴的で共通の発症前リスク要因として、産科合併症、小児期の精神病理、認知障害、運動障害などがあることが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のKristin R. Laurens氏らが、システマティックレビューにより明らかにした。こうした共通の発症前リスクを特定することは、病因学的仮説を改良し、ターゲットを絞った予防的介入に実行に役立つ可能性がある。BMC Psychiatry誌2015年8月25日号の掲載報告。

これからのうつ病治療、どんな介入を行うべきか

 うつ病は、運動不足と関連しており慢性的な身体健康状態に影響を及ぼしている可能性があるが、うつ病に対する心理学的介入と、身体活動促進のための行動変容技術(たとえば行動活性化療法[BA]など)を組み合わせた介入は、ほとんど行われていない。英国・エクセター大学医学部のClaire Pentecost氏らは、心理療法アクセス改善(IAPT)プログラム内で予備的な無作為化比較試験を実施し、参加者の募集やデータ収集に困難はあったものの、被験者は概してBAおよび身体活動促進(BAcPAc)の自助パンフレットに関心を持ち、身体活動促進に意欲を示したことを明らかにした。無作為化比較試験の実施に当たってはいくつかの課題も浮き彫りとなり、著者らは「大規模臨床試験を行うためには、これらの課題をよく理解し解決する必要がある」とまとめている。Trials誌オンライン版2015年8月20日号の掲載報告。

クロザピン誘発性好中球減少症、アデニン併用で減少:桶狭間病院

 クロザピンで問題となる好中球減少症。桶狭間病院の竹内 一平氏らは、クロザピン誘発性好中球減少症を予防するためのアデニンの有用性を検討した。その結果、アデニンがクロザピン誘発性好中球減少症による治療中止率を減少させることを報告した。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2015年8月号の報告。

抗精神病薬でけいれん発作リスクが増大する疾患は

 スイス・バーゼル大学のMarlene Bloechliger氏らは、統合失調症、情動障害、認知症患者における抗精神病薬の使用と初回けいれん発作発生との関連を検討した。その結果、情動障害患者では、中~高力価第1世代抗精神病薬の使用は抗精神病薬非服用に比べけいれん発作のリスクを2.5倍に増加したが、その他の抗精神病薬使用とけいれん発作との関連は認められなかった。また認知症患者では、アミスルプリド、アリピプラゾール、リスペリドン、スルピリドを除く抗精神病薬で、その使用がけいれん発作リスクを増大させる所見が示されたことを報告した。CNS Drugs誌2015年7月号の掲載報告。

統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

 統合失調症患者の心臓突然死(SCD)には、心血管プロファイルと服用する抗精神病薬の因子のほかに、身体的攻撃性が重大なリスク因子として関与していることが明らかにされた。台湾市立病院精神科医療センターのPing-Yi Hou氏らが、大規模患者コホート研究にて、SCDの発生率とリスク因子を調査し報告した。統合失調症患者は早期死亡リスクが高く、その潜在的要因としてSCDへの注目が増していた。Schizophr Research誌オンライン版2015年7月22日号の掲載報告。

うつ病へのボルダリング介入、8週間プログラムの成果は

 うつ病は、先進国における最も一般的な疾患の1つである。そして、うつ病患者の身体活動は、重要な治療介入であると考えられる。ロッククライミングやボルダリングは、うつ病治療に有用であると考えられる多くの側面を有しているが、うつ病患者に対するボルダリングのグループ介入の研究はほとんど行われていなかった。ドイツ・フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクのKatharina Luttenberger氏らは、ボルダリングによる心理療法的介入の8週間プログラムを開発し、その介入効果を評価した。BMC psychiatry誌2015年8月25日号の報告。

浴槽内アルコール関連死の疫学

 浴槽内での死亡は、50歳以上の習慣的に飲酒をする人、とくにアルコール関連の胃腸疾患を持つ人で多いことが、東京都監察医務院の鈴木 秀人氏らによる研究で明らかになった。浴槽内での死亡を減少させるためには、これらの人々をターゲットに予防戦略を立てるべきであると考えられる。日本アルコール・薬物医学会雑誌2015年4月号の報告。