精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:340

双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか

 双極性障害患者の自殺企図や自殺死には多くの要因が影響を及ぼしている。国際双極性障害学会(ISBD)では、こうした要因の存在やその影響度に関する文献をまとめた自殺に関するタスクフォース報告書を発表した。筆頭著者であるカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、「研究の対象やデザインが不均一性であるため、これら要因の影響度を再検討し確定するさらなる研究が必要である。このことが最終的には、双極性障害患者のリスク層別化の改善につながる」と述べている。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。

不眠症併存患者に対する非薬物療法の有効性

 不眠症の認知行動療法(CBT-I)は、不眠障害に対する最も優れた非薬物的治療である。その有効性について、原発性不眠症についてはメタ解析による検討が行われているが、併存不眠症に関する検討はほとんど知られていなかった。米国・ボストン大学のJade Q Wu氏らは、併存不眠症に対するCBT-Iの有効性を明らかにするため、無作為化臨床試験37件のメタ解析を行った。その結果、認知行動療法により不眠症状および睡眠パラメータの改善が認められた。また、併存疾患として内科的疾患よりも精神疾患を有する例で、より大きな効果が得られることを報告した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2015年7月6日号の掲載報告。

抗認知症薬の脳萎縮予防効果を確認:藤田保健衛生大

 これまで抗認知症薬が軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病患者の脳萎縮を予防するという決定的なエビデンスはなかったが、藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らによる無作為化プラセボ対照試験のメタ解析の結果、抗認知症薬はプラセボに比べ優れた脳萎縮予防効果を発揮することが示唆された。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年7月19日号の掲載報告。

抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査

 成人、小児および高齢者における抗精神病薬の適応外処方について、フランス・リール第1大学のLouise Carton氏らはシステマティックレビューにて調査を行った。その結果、近年、適応外処方は広く行われており、その処方内容は患者の年齢層により異なること、使用理由としては治療に行き詰まった場合や承認薬がほとんどない特異的疾患におけるケースが多いことを明らかにした。一方で、その他の適応外処方は軽度な症状に対する処方を一時的に反映しているだけで、著者らは「安全性に対する懸念が生じる可能性がある」と指摘している。Current Pharmaceutical Design誌2015年7月号の掲載報告。

統合失調症治療、洞察力向上へのサポートが重要

 統合失調症患者は、将来の出来事の現象学的特徴を思い描いたり(エピソード洞察の構成要素)、予定した行動を実行する(展望記憶の構成要素)というような、特定の未来に向けた思考や行動への関与が困難である。しかし、エピソード洞察を用いて未来に向けた行動を適切に導くことに障害があるのかどうかについても不明なままであった。オーストラリア・クイーンズランド大学のAmanda D. Lyons氏らは、統合失調症とエピソード洞察について検討を行った。British Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。

注意が必要な高齢者の昼寝

 睡眠障害は、高齢者で多く見られ、とくに認知症リスクのより高い高齢者に多く認められる。しかし、これまでに、日中の睡眠における臨床的、医療的および神経心理学的な相関は検討されてこなかった。オーストラリア・シドニー大学のNathan Cross氏らは、アクチグラフィーを使用し、高齢者(とくに認知症リスクを有する高齢者)における昼寝の特徴や効果を調査した。Journal of sleep research誌オンライン版2015年6月21日号の報告。

妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は

 妊娠初期の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)曝露と先天性心欠損との関係を示すエビデンスにより、ベネフィットとリスクを慎重に勘案するとの推奨がなされている。妊娠初期のSSRI曝露が、胎児における特定の先天性心欠損(CHD)あるいは先天性奇形(CA)に関連しているか否かを、英国・アルスター大学のAnthony Wemakor氏らが検討した。その結果、妊娠第1期のSSRI曝露はCHD全般と関連しており、とくにファロー四徴症やエプスタイン奇形といった重篤なCHDのほか、肛門・直腸閉鎖/狭窄、腹壁破裂、内反足などのCAとも有意に関連することを報告した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2015年7月7日号の掲載報告。

ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

 ベンゾジアゼピン系薬およびZ薬(ゾピクロン、ゾルピデム、ゼレプロン)の長期使用例における投与中止戦略について、カナダ・ダルハウジー大学のAndre S. Pollmann氏らはscoping reviewを行って検討した。その結果、多様な戦略が試みられており、その1つに漸減があったがその方法も多様であり、「現時点では複数の方法を組み合わせて処方中止に持ち込むことが妥当である」と述べている。鎮静薬の長期使用が広く行われているが、これは転倒、認知障害、鎮静状態などの有害事象と有意に関連する。投与中止に伴いしばしば離脱症状が出現するなど、依存症の発現は重大な問題となりうることが指摘されていた。BMC Pharmacology Toxicology誌2015年7月4日号の掲載報告。

ドネペジルの効果が持続する期間は?:国内長期大規模研究

 これまで、アルツハイマー型認知症(AD)に関する研究は、長期的な大規模研究が非常に少なく、既存試験は通常、対象者数わずか数百例程度で実施されている。そのため、認知症機能評価別病期分類(FAST)により評価した、日常生活動作(ADL)の変化に関する詳細な調査はない。順天堂大学の新井 平伊氏らは、現在進行中のADに対するドネペジル塩酸塩の長期大規模観察研究(J-GOLD試験)の中間結果を発表した。著者らは「本研究は、日本におけるAD患者を対象とした最大規模の前向き研究であり、日常診療の実態を示す重要な研究である」としている。Psychogeriatrics誌オンライン版2015年6月26日号の報告。