精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:341

日本人治療抵抗性うつ病患者へのCBT併用試験とは:FLATT Project

 うつ病は、QOLへの影響が最も大きい消耗性疾患の1つであるが、うつ病患者のうち、適切な抗うつ薬治療により寛解を達成できるのは半分以下である。うつ病治療における、その他の有望な治療オプションに認知行動療法(CBT)がある。しかし、CBTの実施には、経験豊富なセラピストや多くの施行時間を要するため、普及は容易ではない。国立精神・神経医療センターの渡辺 範雄氏らは、薬物療法のみで反応不十分なうつ病患者に対し、抗うつ薬切り替えと同時にスマートフォンを用いたCBTプログラムを併用した際の有効性を検討するための研究(FLATT Project)を開始した。Trials誌2015年7月7日号の報告。

統合失調症患者の脳ゲノムを解析:新潟大学

 細胞ゲノム変異と染色体異常は脳疾患の神経病理と関係している。新潟大学の坂井 美和子氏らは、統合失調症患者の脳ゲノムDNAを用いて遺伝子量変化を分析し、細胞ゲノム不安定性と統合失調症との関連について検討した。その結果、疾患に関連する遺伝子コピー数多型(CNV)の候補領域を同定したことを報告した。Molecular Cytogenetics誌オンライン版2015年7月1日号の掲載報告。

抗うつ薬とNSAIDs併用、頭蓋内出血リスク1.6倍/BMJ

 抗うつ薬と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の併用開始30日間において、頭蓋内出血リスクの増大が認められることを、韓国・医薬品安全・リスクマネジメント研究所(Institute of Drug Safety and Risk Management)のJu-Young Shin氏らが、2009~2013年の韓国健康保険データを後ろ向きに分析し報告した。NSAIDs非併用群と比較して1.6倍高かったという。BMJ誌オンライン版2015年7月14日号掲載の報告。

抗精神病薬の治療域、若年者と高齢者の差はどの程度か

 高齢統合失調症(LLS)患者は抗精神病薬による有害反応の影響を受けやすく、治療ガイドラインでは抗精神病薬の低用量を推奨している。しかし、LLS患者における最適な投与量、それに関連するD2/3R占有率については研究がほとんど進んでいなかった。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのGraff-Guerrero A氏らは、LLS患者における抗精神病薬減量後のドパミンD2/3受容体(D2/3R)占有率の変化と臨床効果、血中プロラクチンおよび抗精神病薬濃度などを評価した。その結果、臨床的安定と関連するD2/3R占有率の最低値は50%で、D2/3R占有率が60%を超えると錐体外路症状(EPS)が起こりやすいことを明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年7月1日号の掲載報告。

抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症、乳がんリスクとの関連は

 最近のメタ解析で、統合失調症女性患者では一般集団と比べ乳がんが多いことが示され(エフェクトサイズ=1.25、p<0.05)、実験および疫学データの蓄積により、乳がん発症におけるプロラクチン(PRL)の影響について、研究者らに注意が促されていた。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学精神科医療センターのM. De Hert氏らは、統合失調症女性患者における抗精神病薬誘発性の高プロラクチン血症(HPRL)と、乳がんリスクとの関連について批判的レビューを行った。その結果、プロラクチンが乳がんの発症に関連するという明確なエビデンスは示されなかったことを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2015年6月26日号の掲載報告。

長期ベンゾジアゼピン使用は認知症発症に影響するか

 これまでの観察研究では、ベンゾジアゼピンの使用と認知症リスク増加との関連が報告されている。しかし、研究方法に限界があり、本当に関連しているかどうかは不明のままである。スイス・バーゼル大学のPatrick Imfeld氏らは、ベンゾジアゼピン使用と認知症発症リスクとの関連を、症例対照分析により検証した。Drug safety誌オンライン版2015年6月30日号の報告。

抗精神病薬の単剤化は望ましいが、難しい

 統合失調症治療において、抗精神病薬の多剤併用を支持するエビデンスはほとんどなく、また診療ガイドラインでこれを推奨していないにもかかわらず、広く普及したままである。米国・サウスフロリダ大学のRobert J Constantine氏らは、2種類の抗精神病薬による治療で安定している患者を対象に、1種類の抗精神病薬への切り替え効果を検討するため、無作為化比較試験を行った。Schizophrenia research誌2015年8月号の報告。

経口抗精神病薬とLAI併用の実態調査

 統合失調症患者における持効性注射剤(LAI)と経口薬の同時処方の頻度および期間について、米国・ペンシルベニア大学のJalpa A Doshi氏らが調査を行った。診療ガイドライン推奨のLAI治療は、一般的にはアドヒアランス不良の患者に対するモノセラピー選択肢と見なされている。LAI治療を受けている患者の、経口抗精神病薬の同時処方の割合や経過に関するデータは限定的であった。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2015年8月号の掲載報告。

難治性うつ病、抗うつ薬変更とアリピプラゾール追加、どちらが有用か

 うつ病患者において、アリピプラゾール増強療法と他の抗うつ薬への切り替えについて有効性や忍容性を直接比較した研究はない。韓国・高麗大学校のChangsu Han氏らは、外来うつ病患者を対象に、アリピプラゾール増強療法と他の抗うつ薬への切り替えの治療効果を比較するため、6週間の評価者盲検無作為化直接比較試験を行った。Journal of psychiatric research誌2015年7-8月号の報告。

妊娠前後のSSRIは出生異常と関連するか/BMJ

 妊娠前後のパロキセチンおよびfluoxetineの使用により新生児の右室流出路狭窄のリスクが高まるが、他の選択的セロトニン再取り込み薬(SSRI)ではこのような関連はみられないことが、米国疾病管理予防センター(CDC)のJennita Reefhuis氏らの調査で明らかとなった。再生産年齢(reproductive age)および妊娠中の女性のSSRI使用が増加しているが、SSRIと出生異常の関連については相反する報告があり、妊娠中のSSRI使用のリスクとベネフィットの評価は十分ではないという。BMJ誌オンライン版2015年7月8日号掲載の報告。