精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:152

統合失調症発症に関連する小児期の緑地環境と遺伝的要因

 小児期における緑地環境との接点が、後の統合失調症発症リスクを低下させることは、これまでの研究で示唆されてきた。この関連に遺伝的要因は関係するのか、または2つのリスク因子が相加的に作用するのかは、よくわかっていない。デンマーク・オーフス大学のKristine Engemann氏らは、統合失調症発症に対する小児期の緑地環境と遺伝的要因との関連について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。  ランドサット衛星画像からの正規化植生指数(NDVI)に基づく住居レベルの緑地との小児期の接点推移値と、デンマークのiPSYCHサンプルから得られた1万9,746の遺伝子型の多遺伝子リスクスコアに基づく遺伝的易罹病性推定値を組み合わせることにより、統合失調症発症のハザード比(HR)を調査した。デンマーク国内の健康、居住地、社会経済的地位(両親の社会経済的地位、精神疾患の家族歴)に関するデータを用いて、交絡因子で調整後のHRを推定した。

出産前後のうつ病を予防するための心理的介入~メタ解析

 出産前後のうつ病は、有病率が高く、深刻な影響を及ぼすため、その予防は重要である。これまでのシステマティックレビューおよびメタ解析では、周産期うつ病リスクを有する女性に対する心理学的介入の有効性が示唆されている。しかし、出産前の一般的な予防に焦点を当てた研究は、あまりなかった。東京大学の安間 尚徳氏らは、周産期うつ病に対する出産前の心理学的介入の影響(とくに一般的な予防に焦点を当て)を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月12日号の報告。

新型コロナ、医療者のメンタルヘルスをどう守る?/日本精神神経学会提言と会員アンケート

 日本精神神経学会は、新型コロナウイルス感染症に関連し、学会員を主な対象としたメンタルヘルス関連の提言を行っている。これまでに出された提言は以下の3つ。 1)親子・学校・女性のメンタルヘルスのサポート役割を担う学会員向け 2)働く人のメンタルヘルスケアや産業保健体制に関する提言 3)「コロナ関連自殺」予防について  精神科・心療内科を専門とする学会員に向け、新型コロナウイルス感染症がメンタルヘルスにおよぼす影響や、診療にあたっての注意点をまとめている。産業医として企業に対して感染予防対策や新しい働き方に関連するアドバイスをする際に役立つ内容も多い。「メンタルヘルスの専門家として今知っておくべきこと」を中心にまとめられているが、提言には「医療者自身のメンタルヘルスをいかに保つか」という内容も多く含まれている。

降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連―システマティックレビュー、メタ解析(解説:石川讓治氏)-1245

中年期の高血圧が晩年期の認知症の発症と関連していることがいくつかの観察研究において報告されてきた。しかし、降圧治療と認知症や認知機能障害の発症の関連を評価した過去の研究においては、降圧治療が認知症の発症を減少させる傾向は認められたものの、有意差には至っていなかった。本論文では14の無作為介入試験の結果を用いてメタ解析を行い、平均年齢69歳、女性42.2%、ベースラインの血圧154/83.3mmHgの対象者において、降圧治療によって、平均49.2ヵ月間の追跡期間で7%の認知症もしくは認知機能障害の相対的リスク減少、および平均4.1年の追跡期間の間で7%の認知機能低下の相対的リスク減少があり、これらが有意差をもって認められたことを報告した。

治療抵抗性統合失調症に対するルラシドンの精神病理および認知機能への効果

 クロザピンに加え、薬理学的にクロザピンに類似した他の非定型抗精神病薬(たとえばオランザピン、リスペリドン、melperone)も、治療抵抗性統合失調症(TRS)に対する有効率は40%未満である。米国・ノースウェスタン大学のHerbert Y. Meltzer氏らは、TRS患者に対する非定型抗精神病薬ルラシドンの精神病理および認知機能への有用性を検討するため、6ヵ月間の試験期間中に2つの用量での比較を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2020年5/6月号の報告。  ルラシドン80mg/日による6週間のオープン試験(第I相試験)期間中に精神病理学的な改善が認められなかった患者をTRSと定義した。その後、TRS患者をルラシドン80mg/日または240mg/日に割り付け、24週間のランダム化二重盲検試験(第II相試験)を実施した。

COVID-19、回復期におけるうつ病と免疫反応に相関性

 これまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染して重度の急性呼吸器症候群となった患者のうち、退院後に自己申告のうつ病とされた患者は観察されていたが、回復期からこの自己申告のうつ病が発症しているのかは不明だった。中国・深センSamii医療センター(SSMC)のBo Yuan氏らは、オンラインアンケートを利用して回復期のCOVID-19患者のメンタルヘルス状態を調べたうえで、定期的な血液および生化学データを含む患者の臨床的特徴を遡及的に分析し、うつ病と免疫反応との相関性を見た。Brain, Behavior, and Immunity誌オンライン版5月25日号掲載の報告。

認知症患者におけるCOVID-19の影響

 認知症患者において、COVID-19による死亡リスクへの影響は不明である。イタリア・Istituto Clinico S.Anna HospitalのAngelo Bianchetti氏らは、COVID-19で入院した患者における認知症の有病率、臨床症状、その後のアウトカムについて評価を行った。The Journal of Nutrition, Health & Aging誌オンライン版2020年5月15日号の報告。  北イタリア・ブレシア県にある急性期病院のCOVID-19病棟にCOVID-19肺炎で入院した627例を対象に、認知症の診断、COVID-19の発症様式、病院での症状やアウトカムなどの診療記録をレトロスペクティブに分析した。

急性期統合失調症に対するアリピプラゾールとブレクスピプラゾールの比較~メタ解析

 藤田医科大学の岸 太郎氏らは、急性期統合失調症に対するアリピプラゾールとブレクスピプラゾールの有効性および安全性、忍容性を評価するため、ランダム化試験のシステマティックレビュー、ネットワークメタ解析を実施した。Psychopharmacology誌2020年5月号の報告。  2019年5月22日までの研究を、Scopus、MEDLINE、Cochrane Libraryより検索した。主要アウトカムは治療反応率とし、副次的アウトカムは中止率、有害事象発生率とした。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。  主な結果は以下のとおり。

うつ病の発症、HHV-6が持つ遺伝子SITH-1が関与か:慈恵医大

 これまで、ヒト遺伝子の中にうつ病の原因となる有効な遺伝子は発見されていなかった。今回、東京慈恵会医科大学の近藤 一博氏らは、ヒトに寄生する微生物を含む遺伝子群(メタゲノム)に着目、ヒトに潜伏感染しているヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)が持つ、うつ病の原因となる遺伝子SITH-1を発見したことを発表した。SITH-1は脳のストレスを亢進させることでうつ病を発症させる作用があり、うつ病と診断されない程度の軽いうつ症状にも影響していたという。iScience誌オンライン版2020年5月21日号掲載の報告。  HHV-6Bは小児期に突発性発疹として感染し、ほぼ100%のヒトが潜伏感染している。HHV-6Bは脳神経に親和性の高いウイルスで、さまざまな脳神経疾患や精神疾患との関係が予想されている。研究チームはHHV-6Bが嗅球で潜伏感染する際に発現するSITH-1遺伝子を発見、疾患との関係を調べた。

うつ病から双極性障害や統合失調症への移行~15年間のプロスペクティブ研究

 うつ病から双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害への移行について、その時間的パターンと予測因子を調査するため、フィンランド・ヘルシンキ大学のIlya Baryshnikov氏らは、レジスターベースのコホート研究を実施した。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年5月8日号の報告。  1996~2011年に精神科病棟へ初回入院したすべてのうつ病患者4万3,495例を15年間フォローアップした。診断転換の累積発生率および部分分布ハザード比(SHR)は、累積発生関数およびFine-Gray部分分布モデルを用いて定義した。