精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:154

双極性障害患者の精神疾患合併症の調査

 双極性障害(BD)患者では、ほかの精神疾患を合併することが少なくない。いくつかの研究では、BD発症前後でみられる精神疾患の発症について、システマティックに調査が行われている。モナコ・Hospital Princesse GraceのJ. Loftus氏らは、成人BD患者における精神疾患の合併率と発症年齢について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年4月15日号の報告。  寛解期のフランス人BD患者739例を対象に、アルコールや大麻乱用、自殺企図、不安症、摂食障害の既往例および発症年齢について、構造化された臨床面接により収集した。性別またはサブタイプ別に層別化されたBD群における精神疾患の合併率と発症年齢の統計学的に有意な関連は、回帰分析を用いて評価した。

産後うつ病と食事との関係~メタ解析

 一般集団において、食事パターンがうつ病や抑うつ症状の発症に影響を及ぼすことが、観察研究によるエビデンスで示唆されている。しかし、出産後の女性における食事と産後うつ病(PPD)との関係を検討した研究はほとんどない。オーストラリア・ディーキン大学のRachelle S. Opie氏らは、出産後の女性の食事とPPD症状との関連を調査するため、既存の公表済みの研究よりデータを統合し検討を行った。Maternal and Child Health Journal誌オンライン版2020年5月4日号の報告。  1835年~2020年4月に公開された関連文献を、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PubMed、PsycInfoのデータベースよりシステマティックに検索した。

日本人アルコール依存症に対するナルメフェンの長期有用性

 久里浜医療センターの樋口 進氏らは、アルコール依存症におけるWHOの飲酒レベルリスクが高いまたは非常に高い日本人患者に対するナルメフェンの安全性および有効性を評価した多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相(導入)試験完了後の患者を対象に、ナルメフェンの非盲検延長試験を実施し、長期の安全性および有効性を検討した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年5月2日号の報告。  24週間の導入試験を完了した患者を対象に延長試験を実施した。必要に応じてナルメフェン20mg/日による24週間の治療を行った。合計48週間におけるナルメフェン20mg/日による治療の長期安全性および有効性を評価した。研究期間中に治療で発生した有害事象を記録し、多量飲酒した日数および総飲酒量のベースラインからの変化量を算出した。

ディズニー映画、がん患者のQOLに寄与

 腫瘍学において、治療効果に加え、有害事象および生活の質(QOL)の評価が重要になってきている。オーストリア・ウィーン医科大学のSophie Pils氏らは、がん化学療法中のディズニー映画観賞は婦人科がん患者の感情的機能、社会的機能、および疲労症状の改善に関連している可能性があることを明らかにした。JAMA Network Open 5月1日号掲載の報告。  研究者らは、2017年12月~2018年12月、がん化学療法中にディズニー映画の鑑賞と、感情的・社会的機能および疲労症状との関連の評価を目的とし、オーストリア・ウィーンのcancer referral centerにて無作為化試験を実施。

統合失調症と自閉スペクトラム症の判別に~脳機能的結合からのアプローチ

 統合失調症スペクトラム障害(SSD)と自閉スペクトラム症(ASD)との関係については長年議論されてきたが、いまだに解明には至っていない。京都大学の吉原 雄二郎氏らは、ASDとSSDの関係を定量化および視覚化するために、安静時機能結合MRIに基づき健常対照群(HC)から患者を判別する両方の分類手法を用いて調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年4月17日号の報告。  信頼性の高いSSD分類手法を開発するため、慢性期SSD患者を含む京都大学医学部附属病院のデータセット(170例)よりSSD固有の機能的接続を自動的に選択する高度な機械学習アルゴリズムを適応した。SSD分類手法の一般化の可能性は、2つの独立した検証コホートと初回エピソード統合失調症患者を含む1つのコホートによりテストした。SSD分類手法の特異性は、ASDとうつ病の2つの日本人コホートによりテストした。分類手法の機能的結合の加重線形総和は、疾患の神経分類の確実性を表す生物学的ディメンションを構成した。以前に開発したASD分類手法をASDディメンションとして使用した。SSD、ASD、HC群の分布は、SSDおよびASDの生物学的ディメンションで調査した。

双極性障害外来患者に対する薬理学的治療~20年の変遷

 双極性障害に対する薬理学的治療オプションは、1990年代にいくつかの第2世代抗精神病薬が承認を受けたことにより、この20年間で増加した。米国・コネチカット大学のTaeho Greg Rhee氏らは、双極性障害外来患者のマネジメントにおける薬理学的治療の傾向について報告を行った。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年4月21日号の報告。  1997~2016年のNational Ambulatory Medical Care Survey(NAMCS)の全国データを用いて、プライマリ診断でリストアップされた精神科を受診した双極性障害患者における、気分安定薬、第1世代および第2世代抗精神病薬、抗うつ薬の使用傾向について調査を行った。年齢、性別、人種/民族、保険を含む共変量とともにロジスティック回帰モデルを用いて、統計学的に有意な傾向を特定した。

出生前母体ステロイド治療、子供の精神・行動障害が増加/JAMA

 出産前の母親への副腎皮質ステロイド治療によって、子供の精神障害および行動障害が増加することが、フィンランド・ヘルシンキ大学のKatri Raikkonen氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年5月19日号に掲載された。1週間以内に早産が予測される妊娠期間34週以内の妊婦に対しては、胎児の成熟の促進を目的とする出生前の副腎皮質ステロイド治療が標準治療とされる。近年、妊娠期間34週以降への適応拡大が議論されているが、長期アウトカムのデータは限られ、とくに治療を受けた母親の子供の神経発達に関するデータは少ないという。

統合失調症患者における性機能障害~メタ解析

 多くの臨床研究において、統合失調症患者は性機能障害(SD)の発症リスクが高いと報告されているが、SDの有病率を算出した研究は十分ではない。中国・Taizhou Central HospitalのShankun Zhao氏らは、統合失調症患者におけるSDの関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。The Journal of Sexual Medicine誌オンライン版2020年4月13日号の報告。  統合失調症患者の性機能に関する適格な報告をMEDLINE(PubMed)、Embase(OVID)、Cochrane Libraryデータベース、PsycINFOよりシステマティックに検索し、メタ解析を実施した。統合失調症とSDとの関連は、相対リスク(RR)、95%信頼区間(CI)を算出することで検出した。エビデンスの質は、GRADE-profilerを用いて評価した。

日本におけるインターネット依存症の有病率

 インターネット依存症は、深刻な問題であり、近年その発生率は有意な上昇をみせている。愛媛大学の河邉 憲太郎氏らは、青年期のインターネット依存症について4年間にわたる2つの横断研究により調査し、その結果生じる生活の変化についての評価を行った。Pediatrics International誌オンライン版2020年4月16日号の報告。  12~15歳の中学生を対象に、2014年(第1次調査)および2018年(第2次調査)に調査を行った。対象者には、インターネット依存度テスト(Young's Internet Addiction Test:IAT)、GHQ精神健康調査票(General Health Questionnaire:GHQ)日本語版、睡眠習慣と電気機器使用に関するアンケートを実施した。

降圧による認知症・認知機能障害の予防的効果/JAMA

 降圧薬を服用し血圧を下げることと、認知症や認知機能障害の発生リスクの有意な低下が関連していることが明らかにされた。アイルランド・Galway国立大学・Saolta大学病院グループのDiarmaid Hughes氏らが、無作為化比較試験14件・被験者総数9万6,158例を対象にしたシステマティック・レビューとメタ解析の結果で、JAMA誌2020年5月19日号で発表した。これまで、認知症や認知機能障害に対する降圧の予防的効果は不明であった。  研究グループは、PubMed、EMBASE、CENTRALにおいて、血圧低下と認知機能アウトカムの関連を検証した2019年12月31日までに発表された無作為化比較試験を検索し、システマティック・レビューとメタ解析を行った。