精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:155

日本における小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連

 小児期の有害な体験(adverse childhood experiences:ACE)は、メンタルヘルスの悪化を介して、老年期のうつ病リスクを上昇させると考えられるが、小児期の精神的苦痛と老年期のうつ病との関連は、直接検討されていなかった。東京医科歯科大学の森田 彩子氏らは、涌谷町に住む高齢者1,140人を対象とした横断調査データを用いて、小児期の自殺念慮と老年期のうつ病との関連を検討した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2020年3月27日号の報告。

ラメルテオンとスボレキサントのせん妄予防に対する有効性

 実臨床における、せん妄予防に対するラメルテオンとスボレキサントの有効性について、順天堂大学の八田 耕太郎氏らが、調査を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年12月17日号の報告。  本研究は、多施設共同プロスペクティブ観察研究である。コンサルテーションリエゾン精神科サービスでトレーニングを受けた精神科医により、2017年10月1日~2018年10月7日に実施した。対象は、急性疾患または待機手術により入院した65歳以上の、せん妄は認められていないがせん妄のリスクを有する患者(リスク患者)、および診察前夜に不眠症またはせん妄が認められた患者(せん妄患者)。対象患者に対し、ラメルテオンおよび/またはスボレキサントが処方された。薬剤の処方は、各患者の裁量に委ねられた。主要アウトカムは、最初の7日間におけるDSM-Vに基づくせん妄の発症率とした。

アルコール使用障害に対する運動介入~メタ解析

 アルコール使用障害(AUD)患者に対する運動介入の影響について、トルコ・パムッカレ大学のFatih Gur氏らが、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。American Journal of Health Promotion誌オンライン版2020年3月26日号の報告。  2000~18年に公表された、成人AUD患者を対象に運動介入の有効性を評価した研究を、PubMed、Medline、Web of Science、Scopus、Academic Search complete、Sport Discuss、ERICデータベースより検索した。システマティックレビュー・メタ解析の標準的プロトコールおよび観察研究ガイドラインに基づき、データを抽出した。身体活動レベルおよびフィットネス(最大酸素摂取量[VO2max]、最大心拍数[HRmax])、うつ病、不安、自己効力感、QOL、アルコール消費(1日および1週間に消費される標準的な飲酒数)のデータを収集した。

統合失調症と双極性障害における視床と皮質の解剖学的結合異常

 統合失調症では、前頭前皮質(PFC)を含む視床と皮質の解剖学的結合異常が認められる。PFC視床回路に依存する実行機能の認知機能障害を含む表現型の重複は、視床皮質系の解剖学的結合異常が、精神病性双極性障害にまで及ぼす可能性が示唆されている。米国・ヴァンダービルト大学のJulia M. Sheffield氏らは、この仮説をテストし、視床皮質の結合異常が病気のどの段階で現れるかを調査した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年3月27日号の報告。

軽度~中等度のうつ病に対するサフランの効果~メタ解析

 うつ病治療において、ハーブ療法のニーズが高まってきている。最近までに蓄積された研究によると、抑うつ症状の緩和に対するサフラン(Crocus sativus L.)の好影響が明らかとなっている。中国・Jiujiang University Clinical Medical CollegeのLili Dai氏らは、利用可能なすべてのデータを結合し、軽度~中等度のうつ病治療におけるサフランの安全性および有効性を評価するため、メタ解析を実施した。The Journal of Nervous and Mental Disease誌2020年4月号の報告。

アルツハイマー病やMCIでみられる味覚障害の調査

 アルツハイマー病(AD)患者では、味覚障害が認められることがあるが、このことについてはあまり研究されていない。鳥取大学の河月 稔氏らは、ADもしくは軽度認知障害(MCI)を有する患者と認知症でない対照(NDC)群における味覚機能や味覚に影響を及ぼす要因を調査し、認知機能障害と味覚機能との関連を評価した。BMC Neurology誌2020年3月26日号の報告。  対象は、AD群29例、MCI群43例、NDC群14例。病歴および薬歴を収集し、唾液分泌量測定、認知機能検査、血液検査、全口腔法味覚検査、食事および味覚に関するアンケートを実施した。

うつ病の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 実臨床におけるうつ病治療は、常に従来のガイドラインに沿っているわけではない。慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、精神科専門医を対象に、うつ病の治療オプションに関する調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年4月1日号の報告。  日本臨床精神神経薬理学会の認定精神科医を対象に、うつ病治療における23の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。114件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。

統合失調症、 D2受容体への非結合薬剤は有効か?/NEJM

 急性増悪期統合失調症患者において、D2受容体に結合しない抗精神病薬SEP-363856はプラセボと比較し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアのベースラインからの変化量を有意に改善させることが、東欧および米国の5ヵ国計34施設で実施された4週間の第II相無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果、明らかとなった。米国・Sunovion PharmaceuticalsのKenneth S. Koblan氏らが報告した。SEP-363856は、ドパミンD2受容体に結合せず、微量アミン関連受容体1(TAAR1)とセロトニン5-HT1A受容体に対するアゴニスト活性を有する経口化合物で、統合失調症の精神病状態を治療する新しいクラスの向精神薬となる可能性があるという。NEJM誌2020年4月16日号掲載の報告。

急性期統合失調症に対する認知リハビリテーションの可能性

 多くの研究において、統合失調症患者に対する認知リハビリテーションが有用なアウトカムを示しているが、日常的および社会的機能に対する認知リハビリテーションの有効性は、よくわかっていない。また、認知リハビリテーションの内容や方法に関する検討は不可欠ではあるが、実施するタイミングも重要であると考えられる。東邦大学の根本 隆洋氏らは、急性期統合失調症患者に対する認知リハビリテーションの実現可能性および受容性について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年3月26日号の報告。  入院病棟へ急性期入院した患者を15ヵ月間連続でエントリーし、入院後14日以内に8週間の認知リハビリテーションプログラムに参加できるかどうかを評価した。

血圧変動と認知症リスク~コホート研究

 血圧の来院時変動と一般集団における認知症発症率および認知症サブタイプとの関連を調査するため、韓国・Seoul National University HospitalのJung Eun Yoo氏らは、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hypertension誌2020年4月号の報告。  韓国国民健康保険データベースを用いて、2005~12年に3回以上の健康診断を受けた認知症既往歴のない784万4,814例を対象とした。血圧変動性(BPV)は、平均、変動係数、SDとは独立した変動性を用いて測定した。