精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:151

子供の教育費と親のうつ病との関係

 韓国では、社会文化的背景の影響により高等教育(higher education)が急速に成長しており、子供の教育には、世帯収入の大部分が費やされている。学習塾や予備校などの私教育(private education)は、子供の心理や行動に影響を与えると考えられてきた。しかし、これらの費用を支払う両親を対象とした研究は、これまで行われていなかった。世帯収入や教育レベルは、社会経済的地位(SES)を決定する重要な因子であり、教育費の捻出は、抑うつ症状の発症に影響を及ぼす可能性がある。韓国・延世大学校のByeong Cheol Oh氏らは、韓国における私教育費と両親のうつ病との関係について調査を行った。BMC Public Health誌2020年6月20日号の報告。

双極性障害の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

 慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、双極I型障害および双極II型障害の精神薬理学的治療に関する日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医によるコンセンサスガイドラインを作成することを目的に本研究を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年6月17日号の報告。  日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医を対象に、双極性障害治療における19の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。119件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。

認知症発症に対する修正可能なリスク因子~メタ解析

 高齢者の認知症発症に対する修正可能なリスク因子について、中国・蘇州大学のJing-Hong Liang氏らが、システマティックレビューおよびベイジアン・ネットワークメタ解析を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年6月17日号の報告。  複数の電子データベースより、2019年5月1日までのプロスペクティブコホート研究を網羅的かつ包括的に検索した。認知症でない参加者は、50歳以上とした。ベイジアン・ネットワークメタ解析を行うため、必要なデータを適格研究より抽出した。

単極性と双極性うつ病における自殺念慮の比較

 青年期の単極性うつ病(UD)と双極性うつ病(BD)における自殺念慮や自殺企図のリスクについて、米国・Griffin Memorial HospitalのRikinkumar S. Patel氏らが検討を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2020年6月15日号の報告。  対象は、米国入院患者サンプルより抽出した12~17歳の青年患者13万1,740例(UD:92.6%、BD:7.4%)。自殺行動のオッズ比(OR)を算出するため、人口統計学的交絡因子および併存疾患で調整したロジスティック回帰を用いた。

重度統合失調症に対する抗精神病薬とECT増強療法

 統合失調症の治療において、電気けいれん療法(ECT)を支持する肯定的なエビデンスが増加しているが、これが実臨床の状況をどの程度反映しているかはよくわかっていない。トルコ・Erenkoy Training and Research Hospital for Psychiatry and Neurological DiseasesのNazife Gamze Usta Saglam氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬とECT増強療法の有効性を、自然主義的観察環境で調査した。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年6月15日号の報告。  対象は、急性増悪のために入院した統合失調症患者81例。抗精神病薬のみで治療された患者(AP群)とECT増強療法を併用した患者(ECT群)の陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)スコアの変化を比較した。

アルツハイマー病や軽度認知障害に対する高気圧酸素療法

 低酸素症などの環境的要因がアルツハイマー病(AD)の発症に影響を及ぼす可能性が報告されている。体内組織の酸素供給や脳の低酸素状態を改善する高気圧酸素療法は、ADおよび健忘型軽度認知障害(aMCI)の代替療法となりうる可能性がある。中国・大連医科大学のJianwen Chen氏らは、ADおよびaMCIに対する高気圧酸素療法の潜在的な治療効果について調査を行った。Alzheimer's & Dementia(New York, N. Y.)誌2020年6月14日号の報告。  対象は、高気圧酸素療法を受けたAD群42例、aMCI群11例および高気圧酸素療法を受けなかった対照AD群30例。AD群およびaMCI群には、1日1回40分間の高気圧酸素療法を20日間実施し、治療1、3、6ヵ月後のフォローアップ時にミニメンタルステート検査(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、ADL尺度を含む神経精神医学的評価を行った。対照AD群の臨床プロファイルは、AD群と同様であった。AD/aMCI群の10例については、FDG-PET検査を実施した。

コロナ自粛でイライラや暴力行為、低年齢ほど傾向強く

 新型コロナウイルスの流行は、感染への不安や恐れもさることながら、さまざまな社会・経済行動の自粛とstay homeによる生活の変化がもたらした緊張やストレスも大きかった。国立成育医療センターは、全国の7~17歳までの子供および0~17歳の子供がいる保護者を対象に、インターネットでアンケートを実施。その回答結果によると、すぐにイライラしたり、自傷や他人への危害といった何らかのストレス反応を呈したりした子供が75%にのぼった一方、保護者の62%が心に何らかの負担を感じていたことがわかり、これまでに経験したことのない自粛生活が親・子の双方に大きく影響を及ぼしていた様子がうかがえる。

うつ病の再発予防に対する抗うつ薬の影響

 うつ病の特徴の1つとして、再発リスクの高さが挙げられる。中国・重慶医科大学のDongdong Zhou氏らは、さまざまな抗うつ薬の再発予防効果を比較した。Psychological Medicine誌オンライン版2020年6月5日号の報告。  2019年7月4日にPubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Embase、Web of Scienceより検索を行った。ベイジアンフレームワークを用いて、パラメトリック生存曲線のプール分析を行った。主要アウトカムは、ハザード比、無再発生存期間、平均無再発月数とした。

成人の不眠症、アルコール摂取とADHD症状との関係

 薬物使用障害や不眠症は、成人の注意欠如多動症(ADHD)患者でよくみられる。ノルウェー・ベルゲン大学のAstri J. Lundervold氏らは、不眠症やアルコール摂取とADHD症状との関係を調査した。Frontiers in Psychology誌2020年5月27日号の報告。  成人ADHD患者235例(男性の割合:41.3%)と対照群184例(男性の割合:38%)を対象に、不眠症、アルコール摂取、ADHD症状をアンケートで収集した。不眠症はBergen Insomnia Scale(BIS)、アルコール摂取は飲酒習慣スクリーニングテスト(AUDIT)、ADHD症状は成人ADHD自己記入式症状チェックリストを用いて評価した。対象の大部分(95%)より、小児期のADHD症状はWender Utah Rating Scaleを用いて追加情報として収集し、内在化障害の生涯発生に関する情報は、背景情報の一部に含めた。

セロトニン5-HT2B拮抗作用と選択的セロトニン再取り込み阻害作用の影響

 これまでの研究では、抗うつ作用に対するセロトニン2B(5-HT2B)受容体の関与が示唆されている。アリピプラゾールは、治療抵抗性うつ病に対し選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)との併用で有効性が認められており、すべての受容体のうち5-HT2B受容体への親和性が最も高い薬剤である。しかし、治療抵抗性うつ病の補助療法において5-HT2B受容体拮抗作用の潜在的な影響はあまり知られていなかった。カナダ・オタワ大学のRami Hamati氏らは、SSRI存在下における5-HT2B受容体拮抗作用の神経ニューロンに対する影響を検討した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2020年5月30日号の報告。