精神病性うつ病の疾患経過に影響を及ぼす因子

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/12/08

 

 精神病性うつ病は、重度の症状や疾患経過を伴う疾患であるが、いまだ十分に研究されていない。フィンランド・トゥルク大学のMiika Nietola氏らは、精神病性うつ病の発症年齢や疾患経過に対する性別および精神医学的併存疾患の影響について調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年10月8日号の報告。

 本研究は、1966年フィンランド北部の出生コホートに基づき実施された。精神医学的診断歴、入院歴、発症年齢、障害年金受給率、死亡率に関するデータを収集した。精神病性うつ病患者58例において、性別およびアルコール使用障害またはパーソナリティ障害の合併に基づくサブグループ間における疾患経過を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・パーソナリティ障害の合併率は38%(22例)、アルコール使用障害の合併率は41%(24例)であった。
・パーソナリティ障害を合併した精神病性うつ病患者は、発症年齢が若く(p<0.01)、死亡率が高かった(p=0.03)。
・精神科病床への入院率の高さと関連が認められた因子は、男性(p=0.03)、アルコール使用障害の合併(p<0.01)、パーソナリティ障害の合併(p<0.01)であった。
・男性では、アルコール使用障害の合併が多かった(男性:61%、女性:29%、p=0.03)。

 著者らは「精神病性うつ病の疾患経過に、性別や精神医学的併存疾患が影響を及ぼしていることが示唆された。臨床応用していくためには、精神病性うつ病の不均一性に関するさらなる研究が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)