精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

ヘルペス陽性早期アルツハイマー病、バラシクロビルは有効か?/JAMA

 神経科学的、疫学的、および電子的健康記録を用いた研究において、単純ヘルペスウイルス(HSV)がアルツハイマー病(AD)の病態形成に関与する可能性が示唆されている。米国・New York State Psychiatric InstituteのD. P. Devanand氏らは、早期AD症状を有するHSV(HSV-1またはHSV-2)陽性の患者を対象に、HSVに有効な抗ウイルス薬であるバラシクロビルの臨床的ベネフィットを検討するプラセボ対照無作為化試験「VALAD試験」を実施。主要アウトカムの認知機能の悪化に関して、バラシクロビルの有効性は示されなかったことを報告した。著者は、「早期AD症状を有するHSV陽性患者に対する治療に、バラシクロビルは推奨されないことが示唆された」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年12月17日号掲載の報告。

日本における統合失調症患者の退院後の治療失敗と関連する因子は?

 統合失調症スペクトラム症は、社会機能障害を引き起こす最も重篤な精神疾患の1つである。統合失調症スペクトラム症患者は再発しやすく、入院を必要とする患者では、より再発リスクが高いため、退院後の治療失敗を予防することが不可欠である。北里大学の斉藤 善貴氏らは、精神科入院による治療を行った統合失調症スペクトラム症患者における退院後の治療失敗に関連する因子を明らかにするため、レトロスペクティブ研究を実施した。PCN Reports誌2025年10月7日号の報告。 対象は、2014年1月〜2021年12月に北里大学病院および北里大学東病院の精神科に入院した統合失調症スペクトラム症およびその他の精神病性障害と診断された859例。治療失敗の定義は、退院後1年以内の外来治療中止、精神科入院、死亡とした。

アルツハイマー病/MCI患者の認知機能保護にω3脂肪酸は有効か?〜メタ解析

 アルツハイマー病や軽度認知障害(MCI)患者において、ω3多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)が脳活動に有益な効果をもたらすことが報告されている。しかし、認知機能改善に対するn-3 PUFAによる食事介入の有効性については、一貫した知見が得られていない。中国・鄭州大学のPipasha Khatun氏らは、n-3 PUFAによる食事介入がアルツハイマー病またはMCIと診断された患者の認知機能に及ぼす影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Nutrition Reviews誌オンライン版2025年10月1日号の報告。

『がん患者におけるせん妄ガイドライン』改訂、抗精神病薬+ベンゾジアゼピン系薬など現場で多い処方を新規CQに 

 2025年9月、『がん患者におけるせん妄ガイドライン 2025年版』(日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会編、金原出版)が刊行された。2019年の初版から改訂を重ね、今回で第3版となる。日本サイコオンコロジー学会 ガイドライン策定委員会 せん妄小委員会委員長を務めた松田 能宣氏(国立病院機構近畿中央呼吸器センター心療内科/支持・緩和療法チーム)に改訂のポイントを聞いた。 ――「がん患者におけるせん妄」には、その他の臨床状況におけるせん妄とは異なる特徴がある。がん治療にはオピオイド、ステロイドなどの薬剤が多用されるが、それらが直接因子となったせん妄が多くみられる。さらに、近年では免疫チェックポイント阻害薬に代表されるがん免疫療法の普及に伴い、この副作用としてせん妄を発症する患者も増えている。また高カルシウム血症や脳転移など、がんに伴う身体的問題を背景としてせん妄を発症することもある。進行がん患者におけるせん妄は、その原因が複合的であることが多い。さらに、終末期におけるせん妄では身体的要因の改善が困難であり、治療目標をせん妄の回復からせん妄による苦痛の緩和に変更し、それに合わせてケアを組み立てていく必要もある。

抗CGRP抗体は中止したほうが良いのか? 中止後、片頭痛症状はどう変化する?

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体による治療は、片頭痛の予防に有意な効果をもたらしたが、抗CGRP抗体治療中止による長期的な影響は依然としてよくわかっていない。ブラジル・Clinical Hospital of the Federal University of ParanaのLuana Miyahira Makita氏らは、抗CGRP抗体治療中止後の臨床アウトカムに及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。CNS Drugs誌オンライン版2025年9月30日号の報告。  2024年9月までに報告された研究をPubMed、Embase、Cochraneデータベースより検索した。対象研究は、抗CGRPモノクローナル抗体またはゲバントによる予防的治療を受けた反復性または慢性片頭痛患者における治療中止後の影響を報告したランダム化研究または観察研究とした。主要アウトカムは、ベースラインから中止後までの1ヵ月当たりの片頭痛日数の平均変化とした。副次的アウトカムは、急性頭痛薬の使用、積極的治療から治療中止までの片頭痛頻度の平均変化、50%以上の治療反応率とした。異質性は、二値アウトカムについては予測区間(PI)、連続データについてはI2を用いて評価した。ランダム効果モデルを用いて平均差(MD)とリスク比(RR)をプールし、フォローアップ期間、研究デザイン、慢性片頭痛患者に基づくサブグループ解析を行った。

認知機能低下のサインは運転行動に現れる?

 運転行動の変化は認知機能低下の早期サインになる可能性があるようだ。車両に設置したGPS付きデータロガーで収集した、走行頻度、走行時間、急ブレーキなどの運転データは、早期認知機能低下のデジタルバイオマーカーになり得ることが、新たな研究で示された。米ワシントン大学医学部のGanesh Babulal氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に11月26日掲載された。Babulal氏は、「われわれは、GPSデータ追跡デバイスを使うことで、年齢や認知テストの結果、アルツハイマー病に関連する遺伝的リスクの有無といった要因だけを見るよりも、認知機能に問題が生じた人をより正確に特定することができた」と話している。

ミトコンドリア活性化技術で希少疾患に挑む、その機序や効果とは

 “細胞のエネルギー生産工場”とも呼ばれ、ほぼすべての細胞に存在する細胞小器官ミトコンドリア。これを用いた希少疾患の根本治療や加齢対策が、今、現実味を帯びている。先日開催された第7回ヘルスケアベンチャー大賞では、マイトジェニックの「ミトコンドリア活性化による抗加齢ソリューション『マイトルビン』事業」が将来性や抗加齢への観点を評価され、大賞を受賞した。同社が期待を集める創薬技術や将来ビジョンとは―。

不眠症は認知機能低下および認知障害リスクと関連

 不眠症は、認知機能の低下および認知障害(cognitive impairment;CI)のリスクと関連があるとする研究結果が、「Neurology」10月7日号に掲載された。  米メイヨー・クリニックのDiego Z. Carvalho氏らは、高齢者における慢性不眠症と、縦断的な認知機能アウトカムおよび脳の健康指標との関連を評価した。対象は、認知機能に障害のない高齢者で、年1回の神経心理学的評価と、連続的な画像評価としてアミロイドPETによるアミロイド負荷量(センチロイド単位)およびMRIで測定した白質高信号(WMH、頭蓋内容積に対する割合)のデータが取得された。全般的認知機能モデルには2,750人、Cox回帰ハザードモデルには2,814人が組み入れられ、追跡期間の中央値は5.6年であった。また、WMHモデルには1,027人、アミロイドPETモデルには561人が組み入れられた。

1週間のSNSデトックスで若者のメンタルヘルスが改善

 多くの若者にとって、SNSは、友情、ニュース、ストレスなど生活の全てが集まる場所だ。18~24歳の若者を対象にした新たな研究で、たった1週間でもSNSから離れることで、不安や抑うつ、睡眠問題が緩和される可能性のあることが示された。米ハーバード大学医学大学院精神医学准教授のJohn Torous氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に11月24日掲載された。  この研究は、18~24歳の若者を対象に、客観的に測定されたSNSの使用時間と問題のある使い方が若者のメンタルヘルスに与える影響を調べたもの。試験に登録された417人は、2週間の観察的ベースライン期間を経て、任意で1週間のSNSデトックス介入に参加した。

「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」改訂のポイント

 2025年6月、日本認知症学会、日本老年精神医学会、日本神経学会、日本精神神経学会、日本老年医学会、日本神経治療学会の監修により、「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)」が公表された。2016年の第2版公表から9年ぶりとなる今回の改訂では、最新のエビデンスと新規薬剤の登場を踏まえた、より実践的な治療アルゴリズムが示されている。  本稿では、本ガイドラインのワーキンググループの主任研究者を務めた筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学 教授の新井 哲明氏による解説を基に、改訂のポイントと臨床における留意点をまとめる。