統合失調症における中枢コリン作動系の変化

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/07

 

 統合失調症では、コリン作動系のさまざまな変化がみられることが報告されているが、これらのエビデンスのシステマティックレビューおよびサマライズは行われていなかった。カナダ・オタワ大学のZacharie Saint-Georges氏らは、統合失調症およびまたは統合失調感情障害における中枢コリン作動系に関するイメージング研究および剖検研究についてのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Molecular Psychiatry誌2025年7月号の報告。

 統合失調症およびまたは統合失調感情障害患者と対照集団を比較した横断的ケースコントロール研究をEmbase、Medlineより検索した。バイアスリスクの評価には、ケースコントロール研究の品質評価のためのNIH/NHLBIツールを用いた。本研究は、PRISMA2020ガイドラインに準拠し実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・スクリーニング対象研究3,259件のうち、適格基準を満たした61件の研究をシステマティックレビューに含めた(イメージング研究:8件、剖検研究:53件)。
・これらの研究の約74%において、統合失調症およびまたは統合失調感情障害における中枢コリン作動系の変化が報告されていた。
・統合失調症におけるムスカリン性受容体またはニコチン性受容体レベルのいずれかの減少が最も多く報告されていた。
・3件のメタ解析を実施し、線条体(g=−0.809、3件、108例)、海馬(g=−0.872、4件、84例)、前頭帯状皮質(g=−0.438、4件、295例)におけるM1/M4ムスカリン性受容体の減少が示唆された。
・イメージング研究の6件で臨床症状の重症度と関連が報告されており、認知機能障害との関連が4件で報告されていた。

 著者らは「イメージング研究および剖検研究の両方で、統合失調症患者におけるムスカリン受容体およびニコチン受容体の広範な低下が明らかとなった。メタ解析では、線条体、海馬、前頭帯状皮質におけるM1/M4ムスカリン受容体の低下による大〜中程度の影響が認められた」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)