耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

「かぜ」への抗菌薬処方、原則算定不可へ/社会保険診療報酬支払基金

 社会保険診療報酬支払基金は8月29日付けの「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)において、一般に「風邪」と表現される「感冒」や「感冒性胃腸炎」などへの内服の抗生物質製剤・合成抗菌薬を処方した場合の算定は、“原則認められない”とする方針を示した。  支払基金・国保統一事例は以下のとおり。  次の傷病名に対する抗生物質製剤【内服薬】又は合成抗菌薬【内服薬】※の算定は、原則として認められない。 ※ペニシリン系、セフェム系、キノロン系、マクロライド系の内服薬で効能・効果に次の傷病名の記載がないものに限る。

上咽頭がん、シスプラチンを用いないtoripalimab併用療法は実現可能か/JAMA

 局所進行上咽頭がん患者において、放射線治療時にシスプラチンを用いないtoripalimab併用療法(toripalimab+導入化学療法および放射線治療)は、治療成功生存期間(failure-free survival:FFS)に関する非劣性が示され、毒性の低い、実現可能な治療法であることが、中国・Guangdong Provincial Clinical Research Center for CancerのCheng Xu氏らDIAMOND Study Groupが行った第III相無作為化試験「DIAMOND試験」の結果で示された。先行研究により、上咽頭がん治療においてPD-1阻害薬のtoripalimabを用いることで、放射線治療時に毒性の高いシスプラチンの併用を省略でき、生存に影響を及ぼさない可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月21日号掲載の報告。

内リンパ嚢減荷術が回転性めまいと片頭痛に有効

 内リンパ嚢減荷術(ELSD)は片頭痛を伴うメニエール病(MD)に有効であり、術後に回転性めまいと片頭痛が緩和したという研究結果が、「Acta Oto-Laryngologica」に4月30日掲載された。  北京大学(中国)のLin Han氏らは、104人のMD患者を対象にMDと片頭痛の関連を検討した。ELSD前後の効果を評価するため、回転性めまいの月間発現回数と片頭痛指標を用いた。対象者を、片頭痛を併発するMD患者とMDのみを有する患者に分け、回転性めまいの緩和率を比較した後、片頭痛を併発するMD患者を対象に術後の回転性めまいと片頭痛の緩和について評価した。

起立時のめまいや動悸に心不全治療薬が有効かも

 立ち上がったときに動悸やめまい、ふらつきを感じたことはないだろうか。これは、体位性頻脈症候群(POTS)と呼ばれる症状で、上記の症状に加え、疲労感や運動障害、胸痛、ブレインフォグ、吐き気などを伴うこともある。新たなパイロット研究の結果によると、イバブラジンと呼ばれる心不全治療薬が、POTS患者の心拍数の増加を抑え、血圧には影響を与えずに他の症状を大幅に改善する可能性のあることが示された。米バージニア大学保健学部のAntonio Abbate氏らによるこの研究結果は、「Journal of Cardiovascular Pharmacology」7月号に掲載された。  Abbate氏は、「これらの結果は、不適切な心拍数の増加こそが不調の原因であり、血圧に影響しない薬により心拍数を減らすことで生活の質(QOL)に違いをもたらすことができることを示唆している」とバージニア大学のニュースリリースの中で述べている。

抗IL-4Rαモノクローナル抗体薬stapokibart、鼻茸を伴う重症慢性副鼻腔炎に有効/JAMA

 鼻茸を伴う重症の慢性副鼻腔炎成人患者において、日常的な点鼻ステロイド療法にstapokibartを併用投与することで24週時の鼻茸サイズと鼻症状の重症度を有意に改善させることが示された。中国・首都医科大学のShen Shen氏らが、中国の51施設で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-2試験」の結果を報告した。stapokibartは、新規の抗インターロイキン4受容体αサブユニット(IL-4Rα)モノクローナル抗体であり、中国において中等症~重症のアトピー性皮膚炎ならびに季節性アレルギー性鼻炎の治療薬として用いられている。第II相無作為化二重盲検比較試験「CROWNS-1試験」において、鼻茸を伴う重症の好酸球性慢性副鼻腔炎に対する有効性が示されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月18日号掲載の報告。

オセルタミビルは小児の神経精神学的イベントを減少させる

 インフルエンザウイルス感染症では、オセルタミビルなどの治療薬による神経精神学的リスクの増大が懸念されている。しかし、インフルエンザ感染や治療薬が小児の神経精神学的イベントとどのように関係するのか不明な点も多い。この課題について、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJames W. Antoon氏らの研究グループは、インフルエンザ、オセルタミビル、および重篤な神経精神学的イベントとの関連性を検討した。

REM睡眠中の無呼吸は記憶固定化と関連する脳領域に影響を及ぼす可能性

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に関連した低酸素血症は、前頭頭頂葉脳血管病変と関連し、この病変は内側側頭葉(MTL)の統合性低下や睡眠による記憶固定化の低下と関連するという研究結果が、「Neurology」6月10日号に掲載された。  米カリフォルニア大学アーバイン校のDestiny E. Berisha氏らは、認知機能に障害のない高齢者を対象に、実験室内での終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)および睡眠前後の感情記憶識別能力を実施し、それらを評価する観察研究を行った。PSGから導出したOSAの変数には、無呼吸低呼吸指数、総覚醒反応指数、最低酸素飽和度が含まれた。研究の早期時点で、MRIを用いて脳全体および脳葉の白質高信号域(WMH)の体積とMTLの構造(海馬体積、嗅内皮質〔ERC〕の厚さ)を評価した。

脳卒中後の慢性期失語症、C7神経切離術+集中的言語療法が言語機能改善/BMJ

 脳卒中後の慢性期失語症において、第7頸神経(C7)の神経切離術+3週間の集中的言語療法(SLT)は3週間のSLT単独と比較して、6ヵ月間の試験期間中、言語機能がより大きく改善し、重篤な有害事象および長期にわたる煩わしさを伴う症状や機能喪失は報告されなかった。中国・復旦大学のJuntao Feng氏らが、多施設共同評価者盲検無作為化試験の結果を報告した。脳卒中後の慢性期失語症の治療は困難で、SLTが主な治療法だが有効性の改善が求められている。また、SLTをベースとした付加的かつ持続的効果をもたらす新たな治療技術は提案されていなかった。BMJ誌2025年6月25日号掲載の報告。

難聴への早期介入には難聴者への啓発が重要/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、本年11月15~26日にわが国で初めてデフ(きこえない・きこえにくい)アスリートのための国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」が開催されることを記念し、都内でスポーツから難聴を考えるメディアセミナーを開催した。セミナーでは、難聴のアスリートである医師の軌跡、高齢者と聴力と健康、難聴への早期介入の重要性などが講演された。  東京2025デフリンピックは、上記12日間の日程で都内を中心に、約80ヵ国のアスリート3,000人を迎え、21競技で開催される。

がんサバイバーの脳卒中・心血管死リスク、大規模コホート研究で明らかに

 がんと診断された人(がんサバイバー)は、そうでない人と比較して心血管系疾患(CVD)を発症するリスクが高いことが報告されている。今回、がんサバイバーの虚血性心疾患・脳卒中による死亡リスクは、一般集団と比較して高いとする研究結果が報告された。大阪大学大学院医学系研究科神経内科学講座の権泰史氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association;JAHA」に5月15日掲載された。  近年、医療の進歩により、がん患者の生存率は大幅に向上している。しかし、その一方で、CVDが新たながんサバイバーの懸念事項として浮上している。CVDはがんサバイバーでがんに次ぐ死因であることが明らかになっており、疫学研究では、CVDによる死亡リスクが一般集団の約2倍であることも報告されている。従来の研究では、CVD全体による死亡リスクが調査されてきたが、特定のCVDに焦点を当てた研究は限られていた。そのような背景を踏まえ、筆者らは「全国がん登録(NCR)」データベースを用いて、国内のがん患者におけるCVDによる死亡リスクを調査するコホート研究を実施した。CVD全体のリスク評価に加え、虚血性心疾患、心不全、大動脈解離・大動脈瘤、虚血性脳卒中、出血性脳卒中といった特定のCVDについても解析を行った。