耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

重篤な薬疹を起こしやすい経口抗菌薬は?/JAMA

 一般的に処方される経口抗菌薬の中には、マクロライド系薬と比較して救急外来受診または入院に至る重篤な皮膚有害反応(cADR)のリスクが高い薬剤があり、とくにスルホンアミド系とセファロスポリン系で最も高いことが、カナダ・トロント大学のErika Y. Lee氏らによるコホート内症例対照研究の結果で示された。重篤なcADRは、皮膚や内臓に生じる生命を脅かす可能性のある薬物過敏症反応である。抗菌薬はこれらの原因として知られているが、抗菌薬のクラス間でリスクを比較した研究はこれまでなかった。結果を踏まえて著者は、「処方者は、臨床的に適切な場合はリスクの低い抗菌薬を優先して使用すべきである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年8月8日号掲載の報告。

cfDNAでHER2陽性の固形がん、T-DXdの奏効率56.5%(HERALD)/JCO

 抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、前治療歴があり代替の治療手段のない切除不能または転移を有するHER2陽性(IHC 3+)固形がんについて、米国食品医薬品局(FDA)より2024年4月に迅速承認を取得している1)。本承認は、組織検体をもとにHER2陽性(IHC3+)が認められた患者での有効性が評価されており、リキッドバイオプシー検体でも同様の結果が得られるかは、明らかになっていなかった。そこで、血中遊離DNA(cfDNA)でERBB2(HER2)遺伝子増幅が検出された切除不能固形がん患者を対象に、医師主導治験として、国内多施設共同第II相単群試験「HERALD/EPOC1806試験」が実施された。その結果、対象患者は前治療ライン数中央値3であったが、奏効率(ORR)は56.5%と高率であった。本研究結果は、八木澤 允貴氏(いまいホームケアクリニック)らによって、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年8月1日号で報告された。

日本人高齢者の難聴と認知症との関係

 日本では、高齢者の補聴器装着率が他の先進国より低いといわれている。このボトルネックを特定し、対策を講じることは重要である。広島市立広島市民病院の福増 一郎氏らは、難聴と認知症との関係についての認知向上が、聴力検査や補聴器装着に意義があるかを調査した。Auris Nasus Larynx誌2024年8月号の報告。  総合病院を受診した65歳以上の参加者を対象にアンケート調査を実施し、次の背景因子を調査した。 (1)最近の聴力検査歴 (2)耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を希望するか (3)難聴と認知症との関係についての認知状況 (4)補聴器の装着について

日本人で増加傾向の口腔がん、その最大要因とはー診療ガイドライン改訂

 『口腔癌診療ガイドライン2023年版 第4版』が昨年11月に4年ぶりに改訂された。口腔がんは歯科医も治療を担う希少がんだが、口腔がんを口内炎などと見間違われるケースは稀ではないという。そこで今回、日本口腔腫瘍学会学術委員会『口腔癌診療ガイドライン』改定委員会の委員長を務めた栗田 浩氏(信州大学医学部歯科口腔外科学 教授)に口腔がんの疫学や鑑別診断などについて話を聞いた。

パーキンソン病の構音障害、音声治療LSVT LOUDが有効/BMJ

 パーキンソン病患者の構音障害の治療において、Lee Silverman音声治療(Lee Silverman voice treatment:LSVT)は、国民保健サービスの言語聴覚療法(NHS SLT)を行う場合やSLTを行わない場合(非介入)と比較して、構音障害の影響の軽減に有効であり、またNHS SLTは非介入と比較して有益性はないことが、英国・ノッティンガム大学のCatherine M. Sackley氏らPD COMM collaborative groupが実施した「PD COMM試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月10日号に掲載された。

難聴者の聞きたい意図を汲み取る技術搭載の補聴器/デマント・ジャパン

 世界的な医療機器メーカーのデマントグループのオーティコン補聴器は、新製品の補聴器の発売に合わせ、都内でメディアセミナーを開催した。  今回発売された新製品「オーティコン インテント」は、聞き取りの意図を補聴器ユーザーから汲み取る技術を世界で初めて補聴器に搭載した補聴器。特徴として脳の自然な働きに必要な360度の音の全体像を脳に届け、さらにユーザー個々人の意図に基づき、最も聞きたいと思われる音を優先的に脳に届ける補聴器機能を備えている。  当日は、わが国の難聴診療の現状とその対策、同社から新製品の概要などが説明された。

局所進行上咽頭がんの1次治療、sintilimab併用は有益か/Lancet

 局所進行の上咽頭がんの1次治療として、化学放射線療法へのsintilimab上乗せは、無イベント生存(EFS)率を改善し、有害事象の発現が増加したが管理可能な範囲のものであったことが、中国・中山大学がんセンターのXu Liu氏らによる第III相多施設共同非盲検並行群間無作為化試験「CONTIUUM試験」で示された。再発または転移のある上咽頭がんでは、抗PD-1療法+化学療法が1次治療として推奨されているが、局所進行の上咽頭がんにおけるPD-1阻害薬の有益性については明らかになっていなかった。Lancet誌2024年6月22日号掲載の報告。

チルゼパチド、閉塞性睡眠時無呼吸の肥満者の睡眠アウトカムを改善/NEJM

 中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸と肥満のある患者の治療において、プラセボと比較してチルゼパチド(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド[GIP]とグルカゴン様ペプチド1[GLP-1]の受容体作動薬)は、無呼吸低呼吸指数(AHI)の改善とともに体重減少をもたらし、良好な睡眠関連の患者報告アウトカムを示すことが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のAtul Malhotra氏らSURMOUNT-OSA Investigatorsが実施した「SURMOUNT-OSA試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年6月21日号で報告された。

再発/転移上咽頭がんの1次治療、nab-TPC vs.GC/BMJ

 再発または転移のある上咽頭がんの1次治療において、nab-パクリタキセル+シスプラチン+カペシタビン(nab-TPC)療法はゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法と比較し優れた抗腫瘍効果と良好な安全性プロファイルを示したことを、中国・中山大学がんセンターのGuo-Ying Liu氏らが中国の4施設で実施した第III相無作為化非盲検比較試験の結果で報告した。著者は、「nab-TPC療法は再発または転移のある上咽頭がんに対する1次治療の標準治療と考えるべきであるが、全生存期間(OS)に対する有益性の確認には、より長期間の追跡調査が必要である」とまとめている。BMJ誌2024年6月19日号掲載の報告。

2つの変異を持つインフルエンザウイルス、タミフルが効きにくい可能性も

 米国の保健当局が、米国内で2つの変異を併せ持つH1N1インフルエンザウイルスの感染者が2例、確認されたことを報告した。米疾病対策センター(CDC)の研究グループによると、この変異株は、ウイルス表面のタンパク質であるノイラミニダーゼの2カ所に変異(I223VとS247N)を持ち、代表的な抗インフルエンザウイルス薬であるオセルタミビル(商品名タミフル)の効果を減弱させる可能性があるという。このインフルエンザウイルスの二重変異株に関する研究グループの分析結果は、CDCが発行する「Emerging Infectious Diseases」7月号に掲載された。  この最新の分析結果は、2024年3月に香港の研究グループが「The Lancet」に発表した、これら2つの変異がオセルタミビルへの耐性を高めている可能性があることを示した報告書に続くものだ。CDCの研究グループによる実験では、この二重変異株のオセルタミビルに対する感受性は、これまでのいくつかのインフルエンザウイルスの変異株と比べて最大で16倍低いことが示された。