耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

コロナ罹患後症状リスク、短時間睡眠vs.長時間睡眠

 新型コロナウイルスのmRNAワクチン(以下、ワクチン)を2回接種した人ではコロナ罹患後症状(post-COVID)の発現リスクが21%低いものの、短時間睡眠の人ではその効果が弱い可能性があることを、スウェーデン・ウプサラ大学のPei Xue氏らによる研究グループが明らかにした。Translational psychiatry誌2023年2月1日号掲載の報告。  夜間の睡眠時間が短いとワクチン接種による抗体産生が減弱し、睡眠時間が長過ぎても健康状態が悪化するという報告がある。そこで研究グループは、ワクチンを2回接種していても、短時間睡眠(6時間未満)の人と長時間睡眠(9時間超)の人は、いずれも通常の睡眠時間(6~9時間)の人と比べてコロナ罹患後症状の発現リスクが高いという仮説を立てて調査を行った。

重症COVID-19は減っても感染者が減らない理由は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に一度感染したりワクチン接種によって免疫を獲得すると、COVID-19罹患時の重症化リスクが低下する一方で、感染リスクの抑制効果は十分でない理由の一部が明らかになった。感染後の重症化の抑止に重要な血液中の抗体価は比較的長期間、高いレベルに維持されるのに対して、感染自体を防ぐのに重要な鼻粘膜の抗体価は短期間で低下してしまうためではないかという。また、ワクチン接種によって血液中の抗体価は上昇するものの、鼻粘膜の抗体価はそれほど大きく変化しないとのことだ。

医師の薬物療法ガイドラインの遵守率は一般の人よりも低い

 医師はしばしば、患者が処方通りに服薬しないことを批判する。しかし実際には、薬物療法に関するガイドラインの遵守率は医師やその近親者の方が一般の人々よりも低いようだ。米マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学分野のAmy Finkelstein氏らが実施した大規模研究の結果で、詳細は、「American Economic Review: Insights」12月号に掲載された。  Finkelstein氏は、「人々がガイドラインを理解していないのではないか、ガイドラインが複雑過ぎて定められた通りに服薬できないのではないか、あるいは人々が医師を信用していないのではないか、など懸念はたくさんある。それなら、薬物療法のガイドラインを最も忠実に守っていると予想される患者は、医師やその近親者であるはずだ。しかし、われわれの結果は、その反対だった。医師やその近親者は一般の人々よりもガイドラインを遵守する確率が低いことが判明し、われわれは衝撃を受けた」と話す。

重症度に関係なく残る罹患後症状は倦怠感、味覚・嗅覚異常/大阪公立大学

 2022~23年の年末年始、全国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性者数の激増や1日の死者数の最高数を記録するなどCOVID-19は衰えをみせていない。また、COVID-19に感染後、その罹患後症状(いわゆる後遺症)に苦しむ人も多いという。わが国のCOVID-19罹患後症状の様態はどのようなものがあるのであろう。井本 和紀氏(大阪公立大学大学院医学研究科 臨床感染制御学 病院講師)らの研究グループは、COVID-19の罹患後症状に関し、285例にアンケート調査を実施。その結果、感染した際の重症度と関係なく、倦怠感や味覚・嗅覚の異常などが、COVID-19感染後約1年を経過していても、半数以上の人に罹患後症状が残っていることが明らかとなった。

非専門医向け喘息ガイドライン改訂-喘息死ゼロへ

 日本全体で約1,000万人の潜在患者がいるとされる喘息。その約70%が何らかの症状を有し、喘息をコントロールできていないという。吸入ステロイド薬(ICS)の普及により、喘息による死亡(喘息死)は年々減少しているものの、2020年においても年間1,158人報告されているのが現状である。そこで、2020年に日本喘息学会が設立され、2021年には非専門医向けの喘息診療実践ガイドラインが発刊、2022年に改訂された。喘息診療実践ガイドライン発刊の経緯やポイントについて、日本喘息学会理事長の東田 有智氏(近畿大学病院 病院長)に話を聞いた。

メニエール病と片頭痛には双方向の関連が見られる

 メニエール病(MD)患者では片頭痛の発症リスクが高く、片頭痛患者ではMDの発症リスクが高いことが、「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」5月号に掲載された研究において明らかにされた。  MDと片頭痛は同時に発生することが多く、複数の先行研究から、両疾患は関連することが示唆されているが、それらの研究における対象患者数は、関連を明らかにするには十分でないものがほとんどである。

統合失調症患者の味覚障害

 精神疾患患者では、味覚障害が認められることが少なくない。これまでの研究では、統合失調症患者において症状とグルタミン酸ナトリウム(MSG)の味覚障害との間に関連がある可能性が示唆されている。ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのMichal Wronski氏らは、MSGの味覚レベルが症状の重症度と関連しているかを検討した。Brain Sciences誌2022年11月9日号の報告。  対象は、妄想型統合失調症と診断(ISD-10)された患者200例。MSGまたは水を含む3つの液体サンプルを舌下投与することにより、MSG検出閾値を評価した。MSGのサンプルには、サンプルごとに異なる濃度を用いた。被験者に、どのサンプルがMSGを含有しているかを示してもらい、味の強さや不快感(快適、不快、どちらでもない)を評価させた。

1日のうちで花粉が多く飛散する時間帯が明らかに

 花粉症の原因となる花粉の飛散量は、季節や日によってだけでなく、1日のうちの時間帯によっても差があり、気温の上昇に伴い増加することが明らかにされた。米Atlanta Allergy and Asthmaのアレルギー専門医であるStanley Fineman氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次学術集会(ACAAI 2022、11月10~14日、米ルイビル)で発表されるとともに、「Annals of Allergy, Asthma & Immunology」11月号(増刊号)に掲載された。  Fineman氏によると、花粉の飛散量の監視はこれまでも行われてきたが、24時間単位での測定が一般的であったという。これに対して、Atlanta Allergy and Asthmaの研究チームは、2021年3月24日から31日にかけて米エモリー大学の研究チームとともに、アトランタの3カ所のエリアで1週間にわたり1時間ごとの花粉飛散量を、画像技術を用いてリアルタイムでモニタリングした。天候の変化による日ごとのばらつきを低減するため、この期間中の1時間ごとの花粉濃度の平均値を算出した。その結果、花粉飛散量は、午前4時から正午までの間は比較的少なく、午後2時から午後9時の間は多くなることが明らかになった。

アナフィラキシーなどの治療を非専門医向けに/アレルギー総合ガイドライン改訂

 多くの診療科に関係するアレルギー疾患。2022年10月に刊行された『アレルギー総合ガイドライン2022』は、2019年版の全面改訂版だ。各診療ガイドラインのエッセンスを精選して幅広いアレルギー診療の基本をまとめ、前版より大幅なコンパクト化を実現した。編纂作業にあたった日本アレルギー学会・アレルギー疾患ガイドライン委員会委員長の足立 雄一氏(富山大学 小児科学講座 教授)に改訂のポイントを聞いた。 ――『アレルギー総合ガイドライン』は、各分野のガイドラインや診療の手引きの短縮版を合本してつくられています。これまではそのまま合本していたため、どうしても重複箇所が多くなり、2019年版は700ページを超えました。読者から「読みにくい」「重くて持ち運べない」といった声が出ており、今回はガイドライン委員が全ページに目を通して重複を削る作業をした結果、300ページ近いコンパクト化を図ることができました。

ヒドロクロロチアジド、アモキシシリンなどに「使用上の注意」改訂指示

 厚生労働省は11月16日付で、ヒドロクロロチアジド含有製剤、アモキシシリン水和物含有製剤などに対し、使用上の注意の改訂指示を発出した。  今回の改訂指示は、ヒドロクロロチアジド含有製剤4剤の「重大な副作用」の項に「急性呼吸窮迫症候群」を、アモキシシリン水和物含有製剤6剤の「重要な基本的注意」の項のショックに関する問診の注意喚起にアナフィラキシー・アレルギー反応に伴う急性冠症候群などを、ロキサデュスタットの「重要な基本的注意」の項に定期的に甲状腺機能検査を促す注意を、イマチニブメシル酸塩の「重大な副作用」の項「血栓性微小血管症」に関する注意喚起を、それぞれ追記する内容となっている。詳細は以下。