耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

風邪にも長期間続く後遺症がある?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期以後もさまざまな症状が持続している状態を指す「long COVID」という言葉は、今やすっかり認識されている。しかし、このような長引く健康への影響を引き起こす呼吸器系ウイルスは、新型コロナウイルスだけではないようだ。英ロンドン大学クイーン・メアリー校のGiulia Vivaldi氏らの研究で、風邪やインフルエンザなどのCOVID-19以外の急性呼吸器感染症(acute respiratory infection;ARI)でも、急性期後にさまざまな症状が4週間以上も続く、いわゆる「long cold」が生じ得ることが明らかになった。詳細は、「eClinicalMedicine」に10月6日掲載された。

抗インフル薬、国内で最も処方頻度が高いのは?/NCGM国府台病院

 国立国際医療研究センター(NCGM)国府台病院総合内科の酒匂 赤人氏らの研究グループと国立国際医療研究センター病院は共同でわが国の全国規模のインフルエンザ診療の実態を調べ、その結果を報告した。  研究報告によると2017年度の抗インフルエンザ治療薬処方人数は1,339万例で、薬剤費は480億円。2018年度では処方患者数の約38%を20歳未満が占め、5~9歳では4例に1例が処方された計算だった。PLoS One誌2023年10月4日号の報告。

持続性陽圧換気(CPAP)の心血管イベント再発予防に対する効果は、1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者において認められる(解説:石川讓治氏)

重度の睡眠時無呼吸症候群における持続性陽圧換気(CPAP)の心血管疾患の再発予防効果に関しては、研究間で一定した結果が得られていない。本研究におけるシステマティックレビューで、最終的に3つの無作為割り付け研究が選択され、これらの研究の個別患者データを使用してメタ解析が行われた。全体的な解析では、CPAP群とコントロール群の間に、心血管イベント再発抑制には有意な差が認められなかった。しかし、CPAPを1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者においては、31%の心血管イベント再発抑制効果が認められた。CPAPを4時間以上装着できた患者はCPAP群の38.5%であった。

医師が不足を痛感している医薬品は?緊急アンケート結果/日本医師会

 医薬品不足が止まらない。厚生労働省は9月29日に『鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼』の事務連絡を出し、各医療機関、薬局および医薬品卸売販売業者に対して現況の周知を依頼する事態が起きている。医療ジャーナリストの村上 和巳氏もこの医薬品不足が処方医においても他人事ではないことを訴え、CareNet.comの連載『第182回:鎮咳薬・去痰薬不足、医師が知っておきたい“患者対応Q&A”』で取り上げて、昨今の医薬品不足の背景や今後の見込みなど、患者が処方医に尋ねそうな質問と模範回答を10項目列挙している。

高齢者での術後せん妄、原因は血液脳関門の透過性亢進か

 高齢者では、手術後にせん妄が生じ、それが深刻な合併症や苦痛を引き起こすことがあるが、その原因は不明であった。こうした中、新たな研究により、術後せん妄を発症する患者では、物質が脳に入るのを防ぐ細胞の層である血液脳関門の透過性が亢進していることが明らかになった。米デューク大学医学部麻酔学分野のMichael Devinney氏らによるこの研究結果は、「Annals of Neurology」に8月24日掲載された。  Devinney氏は、「この結果により、米国で毎年何百万人もの高齢者に影響を及ぼしている術後せん妄の問題に取り組むための道筋が整った。その意味で、本研究結果は重要だ」と話している。同氏はさらに、「術後に血液脳関門が開かないようにする方法や、関門を通過して脳に到達することができる物質を特定できれば、術後せん妄を予防する治療法の開発につなげることが可能になるかもしれない」と同大学のニュースリリースで述べている。

睡眠時無呼吸へのCPAP、MACEイベントの2次予防に有効か/JAMA

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)と心血管疾患の双方を有する患者の治療において、持続陽圧呼吸療法(CPAP)はこれを行わない場合と比較して、主要有害心脳血管イベント(MACCE)の2次予防に全般的には有効ではないものの、CPAPのアドヒアランスが良好な患者ではMACCEのリスクを低減することが、スペイン・リェイダ大学のManuel Sanchez-de-la-Torre氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年10月3日号で報告された。  研究グループは、OSAに対するCPAPによる治療がMACCEのリスクに及ぼす影響を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(スペイン・カルロス三世保健研究所などの助成を受けた)。

抗コリン負荷の増大が、心血管イベントのリスクと関連/BMJ

 急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者においては、抗コリン薬による抗コリン作用の総負荷(抗コリン負荷)が、最近増加した集団で急性心血管イベントのリスクが高く、負荷の増加の程度が大きいほどリスクがより高いことが、台湾・国立成功大学のWei-Ching Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年9月27日号に掲載された。  本研究は、台湾の全国的な健康保険研究データベースを用いた症例-症例-時間-対照研究(case-case-time-control[CCTC]study)であり、2011~18年に急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者31万7,446例を対象とした(台湾・国家科学技術委員会などの助成を受けた)。  CCTCは、適応症による交絡および潜在的なprotopathic bias(因果の逆転)の克服を目指した研究デザインであり、2つの自己対照分析(症例クロスオーバー分析と、将来の症例からなる対照クロスオーバー分析)で構成される。急性心血管イベントには、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、伝導障害、心血管死を含めた。

鼻詰まりにフェニレフリン含有市販薬、効果なし?

 米食品医薬品局(FDA)の独立諮問委員会である非処方箋薬諮問委員会は9月11〜12日に開いた会合で、鼻詰まり解消の有効成分として何十年にもわたり市販の経口風邪薬に配合されてきたフェニレフリンにその効果はないと結論付けた。同委員会のこの裁定を受け、FDAは、フェニレフリンを含有する経口充血除去薬の店頭からの撤去に向けて動く可能性がある。  同委員会の患者代表であるJennifer Schwartzott氏は、「この経口薬は、もっと前に市場から撤去されるべきだったと思う。患者が必要とするのは、安全で効果的な治療薬だが、フェニレフリンがそれを満たしているとは思えない」と語ったとAP通信は報じている。

小児の急性副鼻腔炎、クラブラン酸・アモキシシリンvs.アモキシシリン/JAMA

 急性副鼻腔炎の小児患者における外来での経験的抗菌薬治療では、アモキシシリンと比較してクラブラン酸・アモキシシリンは、治療失敗の割合には差がないものの、消化器症状やイースト菌感染のリスクが高いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のTimothy J. Savage氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年9月19日号に掲載された。  本研究は、米国の全国的な医療データベースを用いたコホート研究であり、年齢17歳以下の急性副鼻腔炎の新規外来患者で、診断の同日にクラブラン酸・アモキシシリンまたはアモキシシリンの処方を受けた患者を対象とした(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

ワクチン2回以下、発熱・倦怠感が現れやすい―札幌市での調査

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種回数が多いほど感染時に全身症状が現れにくい一方で、咽頭痛や鼻汁などの上気道症状が現れやすいことなどが明らかになった。北海道大学医学研究院呼吸器内科の中久保祥氏らが、札幌市のCOVID-19療養判定システムなどのデータを解析した結果であり、詳細は「The Lancet Infectious Diseases」に6月30日掲載された。オミクロン株BA.2とBA.5の症状の特徴や、高齢者と非高齢者の違いも示されている。  この研究に用いられた札幌市のCOVID-19療養判定システムは2022年4月にスタートし、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性判定を受けた同市市民が登録して症状などを記録している。記録されている情報は、発症日、食事摂取状況、12種類(発熱、咳、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、頭痛、倦怠感、関節や筋肉の痛み、下痢、味覚・嗅覚異常など)の症状、年齢、性別、基礎疾患など。これらの情報と、感染者等情報把握・管理支援システム、ワクチン接種記録システムのデータを統合して解析が行われた。