鼻血の初の全国調査、多い季節・年齢・性別・治療法は?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/10/01

 

 鼻出血(鼻血)の発生率のピークは冬季にあることが複数の研究で示されているが、研究のほとんどは単施設または特定の地域のデータに基づいており、全国的な季節的傾向、年齢と性別の分布、地理的パターンは不明である。今回、岡山大学の牧原 靖一郎氏らは、日本における鼻出血治療の季節的、人口統計学的、地域的差異を明らかにするため、全国行政データベースを用いて疫学調査を行った。その結果、鼻出血は冬季、小児と高齢者、男性に多く、また、地域によって処置の傾向が異なっていることがわかった。Auris Nasus Larynx誌2025年10月号に掲載。

 著者らは、2019~22年度のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)のオープンデータを解析し、鼻出血に対する2種類の治療法(ガーゼパッキング止血法と焼灼術)について検討した。治療パターンは月別、年齢別、性別、都道府県別に評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査期間において、ガーゼパッキング止血法が87万819件、焼灼術が52万3,591件記録されていた。
・両処置とも一貫した季節パターンを示し、冬(12月~2月)にピークがあった。
・年齢分布は二峰性パターンを示し、小児と高齢者において発生率が高く、すべての年齢層で男性が多かった。
・小児の患者はガーゼパッキング止血法を受ける傾向が強かった。
・地域的には、西日本ではガーゼパッキング止血法が多いのに対し、北日本では焼灼術が多かった。

 著者らは「これらの結果は、気候以外の要因が治療法選択に影響を及ぼす可能性を示唆する」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)