腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:289

トラスツズマブとバイオシミラー、ERBB2陽性乳がん奏効率は同等/JAMA

 トラスツズマブのバイオシミラー(バイオ後続品)は、タキサン系薬剤の投与を受けているERBB2(HER2)陽性の転移性乳がん女性において、トラスツズマブと同等の奏効率をもたらすことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S Rugo氏らが行ったHeritage Studyで示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2016年12月1日号に掲載された。モノクローナル抗体などのバイオ医薬品は、多くのがんの治療選択肢であり、アウトカムを大きく改善するが、これらの薬剤への近接性が十分でない国も多いという。いくつかのバイオ医薬品の特許期間の満期がさし迫り、世界中の製薬企業や保健機関にとって、バイオシミラーの開発は高品質の代替薬へのアクセスを高めるものとして、優先度が高くなっている。

ペムブロリズマブ、肺がん1次治療でQOLを改善

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は2016 年12 月7 日、PD-L1 高発現(PDL1発現陽性細胞の割合が50%以上:TPS≧50%)の転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に抗PD-1 抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)と、現在の標準療法であるプラチナ製剤による化学療法を比較した第III相試験KEYNOTE-024の探索的解析で示された健康関連QOL(health-related quality of life: HR QOL)のデータを発表。

小さな腫瘍の過剰検出が甲状腺がん“流行”を創出/BMJ

 韓国で起きている甲状腺がんの “流行”は、スクリーニングで、2cm未満の小さな腫瘍の過剰検出の増大によるものであることが、韓国国立がんセンターのSohee Park氏らによる全国調査の結果、明らかにされた。近年、多くの国で、死亡率にほとんど影響しない甲状腺がんの有病率増大が報告されている。甲状腺がん有病率の増大は、主に、小さな高分化型甲状腺がんの検出によるもので、有病率増大は過剰診断によるものではないかとみなされている一方で、その考え方に納得せず異議を唱える声も少なくない。韓国では1999年に10万人当たり6.3だった甲状腺がんの有病率は、2009年には47.5と7倍超に増大し、世界で最も有病率の高い国となっている。BMJ誌2016年11月30日号掲載の報告。

トリプルネガティブ乳がんにエリブリンとペムブロリズマブの併用:サン・アントニオ乳癌シンポジウム

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 米国とカナダ以外ではMSD)との併用療法による、転移性トリプルネガティブ乳がんを対象としたグローバル臨床第Ib/II相試験(218試験)の中間解析結果の成績を報告した。この報告は第39回サン・アントニオ乳癌シンポジウムにて発表されたもの。

オシメルチニブ、T790M変異陽性NSCLCのPFSを有意に延長/NEJM

 オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)は、EGFRチロシンキナーゼ(TKI)阻害薬による1次治療で病勢進行したEGFR T790M変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者(中枢神経系転移例も含む)において、標準治療であるプラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法より臨床効果が有意に優れることが認められた。香港・Prince of Wales HospitalのTony S. Mok氏らが、国際非盲検無作為化第III相臨床試験(AURA3試験)の結果を報告した。オシメルチニブは、EGFR-TKI感受性およびT790M耐性変異を有するNSCLCに対する選択的EGFR-TKIで、プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法と比較したオシメルチニブの有効性は知られていなかった。NEJM誌オンライン版2016年12月6日号掲載の報告。

ソラフェニブ治療後の肝細胞がん、レゴラフェニブで生存延長/Lancet

 ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療後に病勢進行がみられた原発性肝細胞がんに対し、レゴラフェニブ(同:スチバーガ)の投与により、全生存期間が有意に延長したことが示された。無増悪生存期間や病勢進行までの期間についても、レゴラフェニブによる改善が認められた。スペイン・バルセロナ大学のJordi Bruix氏らが行った、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、Lancet誌オンライン版2016年12月5日号で発表した。

1日1本未満の喫煙でも肺がん死亡リスクが9倍

 米国では10本/日未満の喫煙者が増加しているが、生涯にわたる1日数本程度の喫煙による健康への影響は、ヘビースモーキングによる影響に比べてよくわかっていない。米国国立がん研究所のMaki Inoue-Choi氏らは、1本/日未満もしくは1~10本/日での長期喫煙と全死因死亡率・原因別死亡率との関連について、非喫煙と比較し評価した。その結果、1本/日未満や1~10本/日での長期喫煙者は非喫煙者より死亡リスクが高いこと、禁煙によるベネフィットがある可能性が示された。このことから、タバコの煙への曝露には安全というレベルはないことが示唆される。JAMA internal medicine誌オンライン版2016年12月5日号に掲載。