腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:289

実地臨床での肺がんのT790M検出率は臨床研究の半分(REMEDY)/日本臨床腫瘍学会

 EGFR-TKI耐性非小細胞肺がん(NSCLC)の50~60%がT790M耐性変異であるといわれる。第3世代オシメルチニブはT790M変異症例の標準治療薬である。EGFR-TKI耐性例に対するオシメルチニブの投与にはT790M変異の検出が必要である。しかし、本邦の実臨床における検査および、T790M検出の実態は明らかでない。これらの状況を明らかにするため多施設共同前向き観察研究REMEDY試験の結果が行われ、その結果が神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、四国がんセンターの野上尚之氏により発表された。

brigatinib、ALK肺がん1次治療でPFSを有意に改善(ALTA-1L)/武田薬品工業

 武田薬品工業は2018年7月26日、ALK阻害薬未治療の局所進行または転移のあるALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたグローバル無作為化臨床第III相試験ALTA-1L(ALK in Lung Cancer Trial of AP26113 in 1st Line)の事前に設定された初回の中間解析において、brigatinib群がクリゾチニブ群と比較して統計学的に有意に無増悪生存期間(PFS)を改善し、主要評価項目を達成したと発表。brigatinibの安全性プロファイルは、全般的に既存の添付文書に記載されている情報と差はなかったとしている。

アスピリンの効果、用量や体重で大きな差/Lancet

 アスピリンの血管イベントやがんの抑制効果には、用量や患者の体重によって大きな差があり、良好な効果を得るには、より個別化された治療戦略を要することが、英国・オックスフォード大学のPeter M. Rothwell氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年7月12日号に掲載された。全例に同一用量を一律に投与するone-dose-fits-allアプローチでは、アスピリンの長期的な心血管イベントの予防効果はわずかであり、標準的な用量は体が大きい患者には過少で、小さい患者には過剰であることが報告され、他のアウトカムについても同様である可能性が示唆されている。

ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がんに迅速承認/BMS

 Bristol-Myers Squibb社は、2018年7月11日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)3mg/kgとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)1mg/kgの併用療法が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-HまたはdMMRの転移を有する大腸がん(mCRC)患者(成人および12歳以上の小児)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表。

肺がんリキッドバイオプシーの有用性をオシメルチニブが裏付け(WJOG8815L/LPS)/日本臨床腫瘍学会

 オシメルチニブはEGFR T790M変異非小細胞肺がん(NSCLC)に有効性を証明しているが、その結果は組織生検によるT790M判定例のものであり、リキッドバイオプシーによるT790M判定例における検討は十分ではない。そこで、リキッドバイオプシー判定によるT790M変異NSCLCに対するオシメルチブの効果を前向きに評価した第II相試験(WJOG8815L/LPS)の結果が実施され、その結果が神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、近畿大学の高濱 隆幸氏により発表された。

NSCLC 1次治療、化療にペムブロリズマブ併用でQOL改善(KEYNOTE-189)/日本臨床腫瘍学会

 未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する国際共同無作為化第III相試験(KEYNOTE-189)のQOL評価で、ペムブロリズマブ+化学療法は化学療法単独と比べてQOLを維持・改善することが示された。関西医科大学の倉田 宝保氏が、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会(7月19~21日、神戸)のセミプレナリーセッションで発表した。

不妊治療と生殖器系がんリスクの関連は?/BMJ

 生殖補助医療を受けた女性の生殖器系がんのリスクは知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのCarrie L. Williams氏らは、大規模な地域住民ベースのコホート研究において、生殖補助医療を受けた女性では子宮体がんや浸潤性乳がんのリスク増加はみられないものの、非浸潤性乳がんや浸潤性または境界悪性卵巣腫瘍のリスク増加が示されたとし、BMJ誌2018年7月11日号で報告した。若年時または複数回の治療サイクルを受けた女性は、乳がんリスク上昇の可能性があるとする研究がいくつかある。また、初期の研究では、卵巣がんのリスク増加が示唆されているが、近年の研究では、境界悪性卵巣腫瘍の増加に関して、一貫性はないものの比較的安心感のある結果が報告されているという。

NP、PAによる皮膚科手術、件数も範囲も拡大傾向

 ナースプラクティショナー(NP)やフィジシャンアシスタント(PA)といった高度実践医療従事者(Advanced Practice Professional:APP)は、数多くの多様な皮膚科的処置や手術を独立して行っているが、その件数や範囲が年々どのように変化しているかは、ほとんど知られていない。米国・Summa Akron City HospitalのMyron Zhang氏らは、メディケアのデータを解析し、APPが実施した皮膚科的処置や手術の件数が2012年から2015年にかけて経時的に増加しており、範囲も拡大していることを明らかにした。著者は、「年々増加傾向のAPPによる皮膚科的処置および手術の件数や範囲が、患者の予後とどのように関連しているか、またより正式な訓練が必要かどうかを明らかにするために、さらなる研究が望まれる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月11日号掲載の報告。