腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:29

多発性骨髄腫、ASCT後維持療法の中止から3年後のMRD陽性転換率/Blood

 多発性骨髄腫患者に自家造血幹細胞移植(ASCT)後、レナリドミド維持療法を実施し、微小残存病変(MRD)陰性を3年間維持した後、レナリドミド療法を中止したときのMRD陽性への転換、無治療生存期間(TFS)、無増悪生存期間(PFS)を、ギリシャ・National and Kapodistrian University of AthensのEvangelos Terpos氏らが評価した。その結果、レナリドミド維持療法中止後3年時点のTFS率は75.8%であった。また、MRD陽性に転換し維持療法を再開した12例のうち4人が進行したが全員生存しているという。Blood誌オンライン版2025年2月26日号に掲載。

術前補助療法+ニボルマブが乳がん患者の病理学的完全奏効を改善

 乳がんのタイプとして最も多いのは、エストロゲン受容体陽性(ER+)/ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HER2−)乳がんであり、乳がん全体の70%を占める。このタイプの乳がん患者では、補助化学療法に対する病理学的完全奏効(pCR)の達成率が低いことが知られている。しかし、術前補助療法に免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(商品名オプジーボ)を追加することで、ER+/HER2−乳がん患者のpCR達成率が向上したとする第3相臨床試験の結果が発表された。オプジーボの製造元であるブリストル・マイヤーズ スクイブ社の資金提供を受けて米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのHeather McArthur氏らが実施したこの臨床試験の詳細は、「Nature Medicine」に1月21日掲載された。

CDK4/6阻害薬治療中に進行したHR+HER2-転移乳がん、生存に関連する因子は?

 ホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)転移乳がんにおいて、内分泌療法+CDK4/6阻害薬による治療中に病勢進行した後の実臨床における無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)をイタリア・European Institute of Oncology IRCCSのPier Paolo Maria Berton Giachetti氏らが評価した。その結果、「若年」「de novo転移病変」「内臓転移」が独立してPFS短縮と関連し、「12ヵ月を超えるCDK4/6阻害薬投与」がOS延長と関連していた。JAMA Network Open誌2025年2月3日号に掲載。

尿を用いた遺伝子検査で進行性前立腺がんを高精度で検出

 前立腺がんの診断を受けた場合には、どうすればよいのだろうか。がん自体が命に関わるものではない場合でも、治療の結果として失禁や勃起不全に悩まされることは少なくない。患者によっては、不安を抱えはするが、がんとともに生きながら経過観察を続ける方が良い場合もある。  こうした中、尿サンプルを用いた遺伝子解析に基づく新しい検査が、早期死亡につながる可能性の高い進行性の前立腺がんの特定に役立つ可能性が示された。研究グループは、この検査が、前立腺がんを治療すべきか、経過観察すべきかを判断する際に役立つ可能性があるとしている。米ミシガン大学泌尿器科学分野のGanesh Palapattu氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Urology」に1月21日掲載された。

血液検査で大腸がんを正確に検出/ASCO-GI

 実験的な血液検査をベースにした大腸がんスクリーニング検査により、平均的な大腸がんリスクを有する45歳以上の成人において、大腸がんを効果的に検出できることが示された。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部のAasma Shaukat氏らによるこの研究結果は、米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2025、1月23〜25日、米サンフランシスコ)で発表された。Shaukat氏は、「このような血液検査は、大腸がんのスクリーニング検査の受診率を高めるのに役立つ可能性がある」と述べている。  現状では、大腸がんのスクリーニング検査のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査であるが、この検査では事前に下剤服用や食事調整などの準備が必要な上に、検査時には麻酔や鎮静薬を使用する。便中の血液の有無を調べる便潜血検査も大腸がんのスクリーニングに用いられるが、現在のガイドラインでは毎年の検査実施が必要である。こうした現状を踏まえてShaukat氏は、「便利で安全、かつ実施も容易な新たな大腸がんスクリーニング検査の手段が求められている」と話す。

抗CD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブ、再発難治性濾胞性リンパ腫に適応拡大の承認を取得/ジェンマブ

 ジェンマブ株式会社は2025年2月20日、抗CD3/CD20二重特異性抗体エプコリタマブ(商品名:エプキンリ)について、2つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade1~3A)に対する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省より取得した。  今回の承認はRR FLを含む成熟B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象に、エプコリタマブ単剤の安全性および有効性を評価した海外非盲検多施設共同第I/II相臨床試験(EPCORE NHL-1/GCT3013-01試験)と国内第I/II相臨床試験(EPCORE NHL3/GCT3013-04試験)等の結果に基づいている。

乳がん発見のためのWGSを用いたctDNAアッセイ

 乳がんにおいて、全ゲノムシークエンス(WGS)を用いた循環腫瘍DNA(ctDNA)アッセイにより、ベースライン時および追跡調査時の検出が改善され、臨床的な再発診断までの期間(リードタイム)が長くなることが、英国・The Institute of Cancer ResearchのIsaac Garcia-Murillas氏らによる後ろ向き研究で示唆された。Annals of Oncology誌オンライン版2025年2月4日号に掲載。

アテゾリズマブ、胞巣状軟部肉腫に適応追加/中外

 中外製薬株は、2025年2月20日、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)について、切除不能な胞巣状軟部肉腫に対する適応追加承認を取得したと発表。  今回の承認は、切除不能な胞巣状軟部肉腫に対するアテゾリズマブの有効性および安全性を評価した国内第II相臨床試験であるALBERT試験、および米国国立がん研究所主導の海外第II相臨床試験の成績に基づいている。

日本の乳がん統計、患者特性・病理・治療の最新データ

 2022年にNCD(National Clinical Database)乳がん登録に登録された日本国内1,339施設の乳がん症例10万2,453例の人口学的・臨床病理学的特徴を、兵庫医科大学の永橋 昌幸氏らがBreast Cancer誌2025年3月号に報告した。  日本乳癌学会では1975年に乳がん登録制度(Breast Cancer Registry)を開始し、2012年からはNCD乳がん登録のプラットフォームへ移管された。NCDに参加する医療機関で新たに乳がんと診断された患者は、乳房手術の有無にかかわらず登録対象となっており、2012~21年の10年間で累計89万2,021例が登録されている。