臨床的に重要な前立腺がんの検出において、高解像度マイクロ超音波ガイド下生検はMRI/従来型超音波融合画像ガイド下生検に対し非劣性であり、画像ガイド下前立腺生検においてMRIの代替法となる可能性があることが、カナダ・アルバータ大学のAdam Kinnaird氏らOPTIMUM Investigatorsが実施した「OPTIMUM試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年3月23日号に掲載された。
8ヵ国20施設の無作為化非劣性試験
OPTIMUM試験は、前立腺がんの検出におけるマイクロ超音波ガイド下生検とMRI融合画像ガイド下生検の有用性の比較を目的とする第III相非盲検無作為化非劣性試験であり、2021年12月~2024年9月に8ヵ国20施設で患者を登録した(Exact Imagingの助成を受けた)。
年齢18歳以上、臨床的に前立腺がんが疑われ(前立腺特異抗原[PSA]上昇または直腸診で異常所見、あるいはこれら双方)、前立腺生検の適応とされ、生検を受けたことがない男性678例(年齢中央値65歳[四分位範囲[IQR]:59~70]、PSA中央値6.9ng/mL[IQR:5.2~9.8]、白人83%)を対象とした。
被験者を、マイクロ超音波ガイド下生検を受ける群(マイクロ超音波群、121例)、マイクロ超音波/MRI融合画像ガイド下生検を受ける群(マイクロ超音波/MRI群、226例、MRIを非盲検化する前にマイクロ超音波ガイド下生検を施行)、MRI/従来型超音波融合画像ガイド下生検を受ける群(MRI/従来型超音波群、331例)の3つの群に無作為に割り付けた。全例で、これらと同時に系統的生検が行われた。
主要評価項目は、マイクロ超音波ガイド下生検+系統的生検と、MRI/従来型超音波融合画像ガイド下生検+系統的生検を用いて検出された臨床的に重要な前立腺がん(Gleason Grade Group≧2と定義)の差とした。非劣性マージンは10%に設定した。
マイクロ超音波/MRI群も非劣性
Gleason Grade Group≧2のがんは、マイクロ超音波群57例(47.1%)、マイクロ超音波/MRI群106例(46.9%)、MRI/従来型超音波群141例(42.6%)で検出された。
Gleason Grade Group≧2のがんの検出に関して、マイクロ超音波群はMRI/従来型超音波群に対し非劣性であった(群間差:3.52%[95%信頼区間[CI]:-3.95~10.92]、非劣性のp<0.001)。また、副次評価項目として、マイクロ超音波/MRI群もMRI/従来型超音波群に対し非劣性だった(群間差:4.29%[95%CI:-4.06~12.63]、非劣性のp<0.001)。
とくにMRI禁忌例にとって利用しやすい新たな生検法
標的生検だけで診断されたGleason Grade Group≧2のがんは、マイクロ超音波群46例(38.0%)、マイクロ超音波/MRI群91例(40.3%)、MRI/従来型超音波群113例(34.1%)であり、これらの差は有意ではなかった。
著者は、「マイクロ超音波は、前立腺生検を検討している患者、とくにMRIが禁忌の患者にとって、より利用しやすい方法となる可能性がある新たな画像診断法、生検法である」「本試験の結果は、一方の画像技術でしか見えず、他方の画像技術では見えない腫瘍が存在するという、これまでの知見を裏付けるものである。マイクロ超音波で可視、MRIで不可視の腫瘍が、マイクロ超音波で不可視、MRIで可視の腫瘍と予後が異なるかは明らかにされていない」としている。
(医学ライター 菅野 守)