HR+早期乳がんにおける年齢と内分泌療法の中断期間、再発リスクの関係/JCO

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/14

 

 ホルモン受容体陽性(HR+)早期乳がんにおいて、内分泌療法(ET)のアドヒアランス欠如は、若年患者の生存率の低さの潜在的な原因の1つと考えられるが、ETのアドヒアランス改善が生存にもたらすベネフィットは明確ではない。フランス・パリ・シテ大学のElise Dumas氏らによるフランスの全国コホート研究の結果、とくに34歳以下の患者において厳格なET継続戦略によって得られる生存ベネフィットが示され、ETのアドヒアランス改善のための個別化戦略の必要性が示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年3月5日号への報告。

 本研究では、フランス国民健康データシステムからのデータとtarget trial emulationの手法を用いて、3つのET継続戦略(治療中断期間として30日、90日、または180日以下を許容)について、5年無病生存率(DFS)を観察された(自然な)ET継続群と比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・計12万1,601例のHR+早期乳がん患者が解析に含まれ、うち29.8%が診断時に50歳未満であった。
・若年患者は高齢患者よりも DFS が低く、ETを中断する可能性が高かった。
・34歳以下の患者では、厳格な ET継続戦略(中断≦30日)により、観察されたET継続群と比較して 5 年 DFS 率が 74.5% から 78.8%に改善した(4.3%ポイント[95%信頼区間[CI]:2.6 ~7.2])。
・≦90日および≦180日の中断を許容するET継続戦略では、34歳以下の患者における5年DFSベネフィットはそれぞれ1.3%ポイント(95%CI:0.2~3.7)および1.0%ポイント(95%CI:-0.2~3.4)であった。
・対照的に、50歳以上の患者におけるET継続戦略によるDFSベネフィットは、その中断期間にかかわらず、観察されたET継続群と比較して1.9%ポイント以下であった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)