腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

内視鏡鎮静に新たな選択肢、レミマゾラムが覚醒時間を半減/ムンディファーマ

 2025年6月、短時間作用型ベンゾジアゼピン系鎮静薬レミマゾラムベシル(一般名:レミマゾラム、商品名:アネレム)の新規格である20mg製剤が消化器内視鏡診療時の鎮静を効能・効果として新規に承認され、既存の50mg製剤も追加承認を取得した。50mg製剤は2020年に全身麻酔の導入・維持を適応として承認されていたが、今回の承認により、消化管内視鏡時の鎮静用途において、国内初のベンゾジアゼピン系薬剤として保険適用を取得した。これを受け、ムンディファーマは9月19日、「消化器内視鏡診療における鎮静の重要性について」と題したメディアセミナーを開催した。北里大学病院 内視鏡センター長の池原 久朝氏が登壇し、内視鏡検査の現状と新薬の臨床的意義について講演した。

PS不良の小細胞肺がん、デュルバルマブ+化学療法の有用性は?(NEJ045A)/ERS2025

 『肺癌診療ガイドライン2024年版』において、PS0~1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤/エトポシド併用療法+PD-L1阻害薬であるが、PS不良例での有効性・安全性は明らかになっていない。そのため、PS2ではプラチナ製剤+エトポシドまたはイリノテカン併用療法、PS3ではカルボプラチン+エトポシド療法またはsplit PE療法が標準治療とされている。そこで、PS2~3のED-SCLC患者を対象に、デュルバルマブ+カルボプラチン+エトポシドの有効性・安全性を検討する国内第II相単群試験「NEJ045A試験」が実施された。その結果、PSに応じて用量調節を行うことで、半数以上が導入療法を完遂し、良好な治療成績が得られた。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、渡部 聡氏(新潟⼤学医⻭学総合病院 呼吸器・感染症内科)が本試験の結果を報告した。なお、本結果はLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年9月28日号に同時掲載された。

小児・青年期の医用画像による被曝、血液がんリスクへの影響は?/NEJM

 小児・青年期における医用画像診断による放射線曝露は、わずかではあるが血液がんのリスク増加と有意に関連していることが、米国・カリフォルニア大学のRebecca Smith-Bindman氏らによる後ろ向きコホート研究「Risk of Pediatric and Adolescent Cancer Associated with Medical Imaging retrospective cohort study:RICコホート研究」で示された。小児・青年期における医用画像診断による放射線誘発性血液がんのリスクを評価することは、画像検査の実施に関する意思決定を支援することにつながる。NEJM誌2025年9月17日号掲載の報告。

HER2変異陽性肺がんにゾンゲルチニブ承認/ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは、2025年9月19日、ゾンゲルチニブ(商品名:ヘルネクシオス)について、「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応として、日本国内における製造販売承認を取得した。  本剤は、同適応症に対する分子標的薬として国内初の経口薬となる。今回の承認は、活性型HER2遺伝子変異陽性の切除不能または転移のある固形腫瘍患者を対象に、ゾンゲルチニブの単剤療法を評価した第I相非盲検用量漸増試験Beamion-LUNG-1の結果に基づくもの。

化学療法の副作用にVRが有効か、婦人科がん患者のRCTで有効性を示唆

 婦人科がんの治療に使われる化学療法は、吐き気や気分の落ち込みなどの副作用が大きな課題となっている。今回、無作為化比較試験で、患者が没入型VRを用いることで副作用の悪化を防ぎ、制吐剤の追加を減らせる可能性が示された。研究は大阪大学大学院薬学研究科医療薬学分野の仁木一順氏、大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室の上田豊氏、中川慧氏らによるもので、詳細は「Journal of Medical Internet Research(JMIR)」に8月14日掲載された。  卵巣がんの第一選択化学療法であるパクリタキセル/カルボプラチン(TC)療法または、TC+ベバシズマブ(TC+Bev)療法は、悪心や倦怠感、筋肉痛、関節痛などの副作用を伴い、患者の不安や治療中断につながることがある。薬剤追加による副作用増加や医療費の上昇も課題であり、安全で経済的な非薬物的手段が求められている。近年、デジタルセラピューティクス(DTx)が注目される中で、VRは疼痛や不安、抑うつの軽減に有効性が示されてきたが、従来の評価は単回使用による一時的な効果に限られていた。本研究では、婦人科がんの患者に対し、TCまたはTC+Bev療法中に7日間連続でVRを用い、その持続的効果を無作為化比較試験で検証した。

ER+/HER2-進行乳がん、オラパリブ+デュルバルマブ+フルベストラントの有効性

 転移を有するER+/HER2-乳がんに対し、PARP阻害薬、ER阻害薬、PD-L1阻害薬の併用が、関連するゲノム変化のある患者に有効であり、毒性プロファイルも許容できるものであったことが多施設共同単群第II相DOLAF試験で示された。フランス・Institut Regional du Cancer de MontpellierのSeverine Guiu氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2025年9月23日号で報告した。  本試験では、転移を有するER+/HER2-乳がんに対する2次治療または3次治療として、オラパリブ+フルベストラント+デュルバルマブの3剤併用療法の有効性と安全性を評価した。対象は、相同組み換え修復(HRR)遺伝子の体細胞または生殖細胞系列変異、マイクロサテライト不安定性(MSI)状態、内分泌抵抗性関連変異のいずれかを有する患者であった。主要評価項目は24週無増悪生存(PFS)率であった。

adagrasib:KRAS G12C変異陽性NSCLCに対する2次治療の新たな選択肢(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 「KRYSTAL-12試験」の結果は、KRASG12C変異陽性NSCLCに対する2次治療の新たな標準選択肢が確立した点が重要と捉えられる。従来、1次治療であるプラチナ併用化学療法+免疫チェックポイント阻害薬による治療後に病勢進行したNSCLCに対しては、ドセタキセル±ラムシルマブなどが標準的であった。しかし、本試験ではKRASG12C変異を有する集団では従来の殺細胞性抗がん剤よりも標的治療adagrasibのほうが無増悪生存期間を延長し、腫瘍縮小効果も高いことが明確に示された。安全性プロファイルの観点でも、adagrasibは経口薬である利便性や重篤な骨髄抑制などが少ない点で有利と考えられる。消化器症状や肝機能上昇といった副作用はあるものの、治療継続困難となる症例割合は少ない。実際、治療関連有害事象による中止はadagrasib群で8%にとどまり、ドセタキセル群(14%)より少ない結果であった。

タレトレクチニブ、ROS1陽性非小細胞肺がんに承認/日本化薬

 日本化薬は、2025年9月19日、Nuvation Bioから導入したタレトレクチニブ (商品名:イブトロジー)について、「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能又は効果とした製造販売承認を取得した。  同承認はROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした2つの第II相臨床試験(TRUST-IおよびTRUST-II)の結果などに基づくもの。これらの試験により、日本人患者も含め、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC 患者に対するタレトレクチニブの有効性が示された。

男性の身長の高さとがんリスク、関連がみられたがん種は

 600万人以上を対象とし、性別・身長とがんの関連を検討したこれまでで最大規模の研究において、39種中27のがん種において身長の高さががんリスク増加と統計学的有意に関連し、男性では悪性黒色腫、急性骨髄性白血病、唾液腺がん、結腸がんでとくに身長の高さによる過剰がんリスクが高かった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のCecilia Radkiewicz氏らによる、International Journal of Cancer誌オンライン版2025年8月26日号への報告より。

日米の高齢者がん手術、術後転帰に大きな違い

 高齢者の消化器がん外科手術において、日本と米国の全国データベースを比較すると、年齢に伴う術前合併症や術後転帰の変化パターンは類似しているものの、移動能力や機能面では両国間に差があることが明らかになった。福島県立医科大学の小船戸 康英氏らによる本研究はAnnals of Gastroenterological Surgery誌2025年4月21日号に掲載された。  がんは日米両国における主要な死因の1つであり、生涯に少なくとも一度はがんを経験する人口の割合は日本で5割超、米国で4割弱と推定されている。外科治療は依然としてがんの根治的治療の主軸であり、世界的な高齢化のなか、併存疾患や虚弱状態を多く有する高齢がん患者を対象とした研究の重要性が増している。