腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

III期dMMR大腸がん、術後補助療法にアテゾリズマブ上乗せでDFS改善(ATOMIC)/ASCO2025

 III期大腸がんの標準的な補助化学療法は、フッ化ピリミジンまたはオキサリプラチン併用療法である。ATOMIC試験は、StageIIIでミスマッチ修復機能欠損(dMMR)を有する患者において、補助療法として5-フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン(mFOLFOX6)に抗PD-L1抗体アテゾリズマブを追加投与することで、患者予後を改善できるかを評価するために実施された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションにおいて、米国・メイヨークリニックのFrank A. Sinicrope氏が本試験の2回目の中間解析結果を発表した。

進行腎細胞がん1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ、9年長期追跡結果(CheckMate 214)/ASCO2025

 CheckMate 214試験において、進行淡明細胞型腎細胞がん患者の1次治療として、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法はスニチニブ単剤療法と比較して有意な生存ベネフィットを示したことが報告されている。今回、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏が追跡期間中央値9.3年の最終解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は全試験対象集団において生存の改善および持続的な奏効を示し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

既治療のEGFR exon20挿入変異NSCLCへのzipalertinib(REZILIENT1)/ASCO2025

 EGFR exon20挿入変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、2024年にアミバンタマブが使用可能となった。しかし、アミバンタマブで病勢進行が認められた場合や有害事象などによって中止となった場合、アミバンタマブが使用できない場合の治療選択肢は確立していない。そこで、新規EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)のzipalertinibが開発されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、Helena Alexandra Yu氏(米国・メモリアルスローンケタリングがんセンター)が、EGFR exon20挿入変異を有する既治療のNSCLC患者を対象とした国際共同第I/II相試験「REZILIENT1試験」の第IIb相の結果を報告した。本試験において、zipalertinibはプラチナ製剤を含む化学療法±アミバンタマブによる治療歴のあるNSCLC患者においても有効であることが示唆された。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2025年6月1日号に同時掲載された。

CDK4/6+AI治療後に進行したHR+/HER2-転移乳がん、ipatasertib+フルベストラントがPFS改善(CCTG/BCT MA.40/FINER)/ASCO2025

 CDK4/6阻害薬+アロマターゼ阻害薬(AI)による1次治療後に病勢進行したホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)転移乳がん患者において、経口AKT阻害薬ipatasertib+フルベストラント併用療法は、プラセボ+フルベストラントと比較して無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長した。カナダ・BC Cancer AgencyのStephen K. L. Chia氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの41施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(CCTG/BCT MA.40/FINER試験)の結果を発表した。

胃がん周術期、FLOTにデュルバルマブ上乗せでEFS改善(MATTERHORN)/ASCO2025

 欧米において、化学療法FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)は切除可能な胃がんにおける術前術後の標準治療だが、再発率は依然として高い水準にある。胃がんにおける免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、切除不能例において化学療法との併用で承認されているが、術前術後療法では承認されていない。  MATTERHORN試験は切除可能な胃がん患者を対象に、術前術後療法としてFLOTにICIであるデュルバルマブ上乗せの有用性をみた試験である。

進行尿路上皮がん1次治療、EV+ペムブロリズマブによるCR・PR症例の探索的解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2025

 局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の1次治療において、エンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブ併用療法と化学療法の有効性を比較したEV-302/KEYNOTE-A39試験の探索的解析の結果、EV+ペムブロリズマブ群で完全奏功(CR)を達成した患者の割合は化学療法群の約2倍であり、レスポンダー(CR+部分奏功[PR]症例)では適切な用量調整のもとで長期間治療を継続していることが明らかとなった。米国・Cleveland Clinic Taussig Cancer InstituteのShilpa Gupta氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。

乳がん内分泌療法に伴うホットフラッシュにelinzanetantが有効(OASIS-4)/ASCO2025

 HR+乳がんの内分泌療法に伴うホットフラッシュなどの血管運動神経症状(VMS)はQOLに影響し、アドヒアランスを低下させ乳がんの転帰を悪化させるが、有効な治療法はほとんどなく承認された薬剤もない。今回、内分泌療法を受けているHR+乳がん治療中もしくは乳がん発症リスクが高い女性を対象に、ニューロキニン(NK)-1,3受容体拮抗薬elinzanetant(EZN)の有用性を検討した多施設無作為化二重盲検プラセボ対照第III相OASIS-4試験の結果を、ポルトガル・ABC Global AllianceのFatima Cardoso氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で報告した。本試験において、EZNが内分泌療法に伴うVMSの頻度と重症度を早期に減少させ、その効果は52週まで継続し、忍容性も良好であったという。この結果はNEJM誌オンライン版2025年6月2日号に同時掲載された。

がん患者のワクチン接種率を上げるカギは医療者からの勧め/日本がんサポーティブケア学会

 第10回日本がんサポーティブケア学会学術集会において、国立がん研究センター東病院の橋本 麻子氏は「がん患者を対象としたワクチン接種に関する2年間のアンケート調査」の内容をもとに、がん患者におけるワクチン接種の実態と課題について発表した。  がん患者は、治療や疾患の進行に伴って免疫機能が低下していることが多く、感染症予防は非常に重要である。そのため、学会などでも季節性インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹、新型コロナウイルスワクチンの定期接種が推奨されている。

局所進行膵腺がん、腫瘍治療電場療法(TTフィールド)の上乗せでOS延長(PANOVA-3)/ASCO2025

 切除不能局所進行膵腺がん(LA-PAC)患者において、腫瘍電場治療(TTフィールド)と化学療法の併用が全生存期間(OS)の改善を示した。  LA-PAC患者を対象にTTフィールドとゲムシタビン+nabパクリタキセル(GnP)の有用性を評価する第III相PANOVA-3試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)において、米国・Virginia Mason Medical CenterのVincent Picozzi氏から発表された。

進行尿路上皮がん維持療法、アベルマブ+SGがPFS改善(JAVELIN Bladder Medley)/ASCO2025

 1次化学療法後に病勢進行のない切除不能の局所進行または転移を有する尿路上皮がん患者の維持療法として、アベルマブ+サシツズマブ ゴビテカン(SG)併用療法はアベルマブ単剤療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善した。米国・Johns Hopkins Greenberg Bladder Cancer InstituteのJeannie Hoffman-Censits氏が、第II相国際共同無作為化非盲検比較試験(JAVELIN Bladder Medley試験)の中間解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表した。なお、この内容はAnnals of oncology誌オンライン版5月30日号に同時掲載された。