髄外病変を有する多発性骨髄腫、CAR-T細胞vs.二重特異性抗体

提供元:ケアネット

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公開日:2025/08/12

 

 多発性骨髄腫で骨髄外に悪性形質細胞腫瘍がある場合は髄外病変(EMD)と定義され、通常は予後不良である。今回、ドイツ・University Hospital of WurzburgのMaximilian J. Steinhardtらは、再発多発性骨髄腫に有効なCAR-T細胞療法(イデカブタゲン ビクルユーセル[ide-cel]、シルタカブタゲン オートルユーセル[cilta-cel])と二重特異性抗体療法(テクリスタマブ、トアルクエタマブ)のEMDへの効果を後ろ向きに評価した結果、CAR-T細胞療法が意味のあるベネフィットをもたらす可能性が示唆された。Blood Cancer Journal誌2025年7月30日号に掲載。

 本研究では、ドイツの 3 つの大学病院でide-cel、cilta-cel、テクリスタマブ、トアルクエタマブによる治療を受けた、骨に隣接しないEMD患者80例を後ろ向きに解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・すべての患者は複数の前治療歴があり、すべてのコホートにおいて5〜7ラインの治療歴(中央値)があった。患者の41%以上に高リスクの細胞遺伝学的プロファイルが認められた。cilta-cel、ide-cel、テクリスタマブを投与された患者の88%超はB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とした前治療歴はなかった。
・奏効率は、CAR-T細胞療法(cilta-cel:100%、ide-cel:82%)が二重特異性抗体療法(トアルクエタマブ:29%、テクリスタマブ:36%)よりも有意に高かった(p<0.0001)。
・完全奏効率は、CAR-T細胞療法(cilta-cel:69%、ide-cel:41%)が二重特異性抗体療法(トアルクエタマブ:18%、テクリスタマブ:24%)よりも高かった(p=0.001)。
・追跡期間中央値は12.2ヵ月で、無増悪生存期間中央値はcilta-celは未到達、ide-celは7.3ヵ月で、トアルクエタマブ(4.0ヵ月)やテクリスタマブ(2.6ヵ月)より有意に延長していた。

(ケアネット 金沢 浩子)