腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

EGFR陽性NSCLC、EGFR-TKI後のアミバンタマブ+化学療法が承認/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年5月19日、アミバンタマブ(商品名:ライブリバント)と化学療法の併用療法について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法及び用量の一部変更の承認を取得したことを発表した。本承認により、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による治療後に病勢進行が認められた非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、カルボプラチンおよびペメトレキセドとの併用においてアミバンタマブが使用可能となる。

HR+/HER2-進行乳がん、ESR1変異検査を行うタイミングは?(PADA-1)/ESMO BREAST 2025

 第III相PADA-1試験では、ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次治療としてアロマターゼ阻害薬とパルボシクリブの併用療法を受けた患者のうち、疾患進行前に血液中で検出されたESR1変異を有する患者において、フルベストラントとパルボシクリブ併用療法への早期切り替えの臨床的有用性が示されている。フランス・キュリー研究所のFrancois Clement Bidard氏は、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2025、5月15~17日)で同試験の2次解析結果を発表し、血中ESR1変異累積発現率は約40%で、その検出時期は一様でなく、治療開始後6ヵ月以内の検出例は少数であり、3年以降は減少することが確認された。

術前PD-1阻害薬療法、広範なdMMR固形腫瘍で手術を回避/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の局所進行直腸腫瘍では、免疫チェックポイント阻害薬を用いた術前補助療法により高率に手術の必要性がなくなったとの報告があり、これを腫瘍部位を問わずにあらゆる早期dMMR固形腫瘍に適用可能ではないかとの仮説が提唱されている。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのAndrea Cercek氏らは、根治手術が可能な早期dMMR固形腫瘍患者において、PD-1阻害薬dostarlimabを用いた術前補助療法が、高い割合で当該臓器の温存をもたらすことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年4月27日号に掲載された。

EGFR陽性StageIIIのNSCLC、CRT後のオシメルチニブ承認/AZ

 アストラゼネカは2025年5月19日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」の適応で、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。EGFR遺伝子変異陽性の切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する分子標的薬では、本邦初の承認となる。これまで、切除不能なStageIIIのNSCLCにおいては、EGFR遺伝子変異の有無を問わず、根治的化学放射線療法(CRT)およびその後のデュルバルマブによる維持療法が標準治療とされていた。

紙巻きタバコと電子タバコの併用で健康リスクは軽減しない

 折につけて紙巻きタバコを電子タバコに替えることでがんのリスクを減らせると考える人がいるかもしれないが、その考えは正しくないようだ。新たな研究で、紙巻きタバコと電子タバコを併用しても、タバコに関連するニコチンや発がん物質への曝露量は紙巻きタバコだけを吸う人と同等であることが示された。米国がん協会(ACS)タバコ規制研究グループのシニア・アソシエイト・サイエンティストであるZheng Xue氏らによるこの研究結果は、「Nicotine and Tobacco Research」に4月15日掲載された。

CAR-T細胞療法無効のリンパ腫、強化CAR-T細胞療法は有効か/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法が奏効しなかったリンパ腫患者において、インターロイキン-18を分泌することで抗腫瘍活性を高める抗CD19強化(armored)CAR-T細胞製剤「huCART19-IL18」は、他のCAR-T細胞療法と安全性プロファイルが一致し、低細胞量で有望な有効性を示した。米国・ペンシルベニア大学のJakub Svoboda氏らが第I相試験の結果を報告した。CD19を標的とするCAR-T細胞療法は、B細胞がんの治療に変革をもたらしたが、なお多くの患者は長期の寛解を得られていない。NEJM誌2025年5月8日号掲載の報告。

CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?

 米国では、年間6,200万人の患者に対して約9,300万件のCT検査が行われている。CT検査は診断に役立つが、被曝によってがんリスクを高める可能性がある。2009年の分析では、2007年の米国におけるCTの使用により将来約2万9,000件のがんが発症するとの推定が報告されたが、2007年以降、年間に実施されるCT検査数は30%以上増加しているという。  CT使用に関連する将来的ながん発症率の予測値を更新するため、カリフォルニア大学サンフランシスコ校疫学・生物統計学部のRebecca Smith-Bindman氏らは、2018年1月~2020年12月にカリフォルニア大学国際CT線量レジストリの検査データ12万1,212件を使用し、リスクモデルを用いた分析を実行した。

二次性赤血球増加症、EPO遺伝子変異が関連か/NEJM

 フランス・パリ・サクレー大学のLaurent Martin氏らは、赤血球生成の主要な制御因子であるエリスロポエチン(EPO)に着目し、二次性赤血球増加症がEPO遺伝子変異(variant)と関連する可能性があることを明らかにした。二次性赤血球増加症は、組織の低酸素や、不適切なEPO産生増加を引き起こす病態に起因することが多い。EPOの発現は、胎児期は複雑かつ厳格に制御されており、出生後まもなく肝臓から腎臓へと移行する。検討では、患者の細胞からiPS細胞を作製し、肝細胞様EPO産生細胞を分化させ評価する実験法が用いられた。NEJM誌2025年5月1日号掲載の報告。

免疫チェックポイント阻害薬の治療効果、年齢による差は認められず

 人の免疫システムが加齢に伴い衰えていくことはよく知られている。しかし、そのような免疫機能の低下が、がんに対する免疫療法の効果を妨げることはないようだ。がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬による治療は年齢に関わりなく有効であることが、新たな研究で明らかにされた。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部腫瘍学分野のDaniel Zabransky氏らによるこの研究結果は、「Nature Communications」に4月21日掲載された。Zabransky氏は、「高齢患者に対する免疫療法の効果は、若年患者と同等か、場合によってはそれ以上だ」と述べている。

既治療のHER2変異陽性NSCLC、zongertinibは有益/NEJM

 既治療のHER2変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、経口不可逆的HER2選択的チロシンキナーゼ阻害薬zongertinibは臨床的有益性を示し有害事象は主に低Gradeであったことが、米国・University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのJohn V. Heymach氏らBeamion LUNG-1 Investigatorsによる第Ib相試験の結果で報告された。HER2変異陽性NSCLC患者には、革新的な経口標的療法が求められている。zongertinibは第Ia相試験で進行または転移を有するHER2異常を認める固形がん患者への有効性が示されていた。NEJM誌オンライン版2025年4月28日号掲載の報告。