日本発エビデンス|page:70

発症メカニズムから考える乾癬の治療戦略

 2017年4月10日、メディアセミナー「乾癬治療における生物学的製剤の最新エビデンスと今後の展望~乾癬の発症機序から考える最新治療戦略~」が開催された(主催:アッヴィ合同会社)。本セミナーでは、演者である佐藤 伸一氏(東京大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授)が、「乾癬治療における生物学的製剤治療の意義」と題した講演を行った。

血清尿酸値が糖尿病性網膜症リスクと相関~日本人男性

 奈良県立医科大学の石井 均氏らの研究グループによる大規模レジストリ研究で、男性の2型糖尿病患者では、血清尿酸値が高いほど糖尿病性網膜症の発症リスクが増加することがわかった。この研究で、血清尿酸値が男性2型糖尿病患者の糖尿病性網膜症の発症リスクを予測する有用なバイオマーカーである可能性が示唆された。Diabetes/metabolism research and reviews誌オンライン版2017年4月26日号に掲載。

産後うつ病になりやすい女性の特徴:高知大

 出産年齢の女性において、主要な障害の1つである産後うつ病。産後うつ病リスクのある女性を特定することは、そのマネジメントを改善する可能性がある。高知大学のSifa Marie Joelle Muchanga氏らは、産後うつ病といくつかの先天性婦人科疾患罹患率との関連を調査した。Journal of affective disorders誌オンライン版2017年3月30日号の報告。

米の多摂取による糖尿病リスク、緑茶が抑える可能性

 最近の観察研究では、白米摂取と糖尿病リスクの間に正の相関関係が、また、緑茶・コーヒー摂取と糖尿病リスクの間に保護的な関連が示唆されている。しかし、これらの飲食物の相互作用は検討されていない。今回、九州大学の平田 明恵氏らが実施したわが国の高齢者における前向き研究において、米の摂取量と糖尿病リスクの正相関は女性でのみ認められ、その相関は緑茶を多く摂取することで抑制される可能性が報告された。Asia Pacific journal of clinical nutrition誌2017年5月号に掲載。

抗精神病薬多剤併用大量療法と関連するペントシジン:順天堂大

 統合失調症患者におけるカルボニルストレスは、末梢ペントシジンレベルの増加により反映されることが報告されている。順天堂大学の三戸 高大氏らは、ペントシジンの蓄積が疾患の重症度または治療(抗精神病薬高用量投与)と関連しているかをコホート研究により検討した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌オンライン版2017年3月7日号の報告。

日本のDPCデータより統合失調症診断患者を分析

 QOLや社会的機能が改善された臨床的寛解を達成するためには、患者特性ごとに最適な治療を考慮する必要がある。これまでのエビデンスでは、統合失調症の再発予防に対する抗精神病薬持効性注射剤(LAI)の使用が支持されている。関西学院大学のStephane Cheung氏らは、統合失調症と診断された日本人患者の特徴を明らかにし、再入院または救急受診率についてLAIと経口抗精神病薬(AP)のアウトカムを比較した。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2017年3月30日号の報告。

出生年によって子宮頸がんリスクに大きな差

 わが国では、2013年に厚生労働省が「積極的なHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種勧奨の中止」を発表後、接種率が急激に低下した。今回、大阪大学産婦人科が中心となって運営している大阪府下での疫学研究OCEAN STUDY(Osaka Clinical Research for HPV vaccine)グループが、出生年ごとの将来の子宮頸がん発症リスクを評価した。Human vaccines & immunotherapeutics誌オンライン版2017年3月8日号に掲載。

非肥満・非糖尿病でも、高インスリン血症でがん死亡増

 肥満や2 型糖尿病はがん関連死亡と関連しているが、肥満でも糖尿病でもない場合に高インスリン血症はがん死亡の危険因子となるのだろうか。国立国際医療研究センター病院の辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究で、糖尿病ではない非肥満者において、高インスリン血症だとがん死亡リスクが高いことが示された。この結果から、肥満であるかどうかにかかわらず、高インスリン血症の改善はがん予防のための重要なアプローチとなりうる、と著者らは結論している。International journal of cancer誌オンライン版2017年4月8日号に掲載。

統合失調症の認知機能に関連する独立因子:産業医大

 アリピプラゾールは、統合失調症の認知機能にさまざまな影響を与えることが報告されている。産業医科大学の堀 輝氏らは、アリピプラゾールで治療中の統合失調症患者の認知機能に影響を及ぼす要因を特定し、生物学的マーカー、臨床データ、精神症状を評価した。International journal of molecular sciences誌2017年3月6日号の報告。

日本人心房細動患者における左心耳血栓、有病率と薬剤比較:医科歯科大

 心房細動(AF)は、一般的な心臓不整脈であり、血栓塞栓性事象を含む心血管罹患率および死亡率の増加と関連している。東京医科歯科大学の川端 美穂子氏らは、抗凝固療法中に前処置経食道心エコー(TEE)を受けている日本人非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における左心耳(LAA)血栓の有病率を評価し、ワルファリンと直接経口抗凝固薬(DOAC)の有効性の比較を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月7日号の報告。

一般市民向けうつ病教育講演、その意義を検証:琉球大

 自殺予防のための効果的な戦略を確立することは急務である。うつ病に対するスティグマは、自殺の潜在的なアンチ防御因子となりうる。琉球大学の薬師 崇氏らは、オリジナルな18項目のアンケートを用いて、一般集団におけるうつ病に対する認識や考え方、うつ病治療についてベースラインレベルを調査し、検証を行った。また、2種類の教育介入を行い、これら講演の質の違いを明らかにするため検討を行った。BMC health services research誌2017年2月10日号の報告。

急性心不全に対するトルバプタンの効果:大阪府立総合医療センター

 急性非代償性心不全(ADHF)の治療の主流は、利尿薬治療によるうっ血改善であるが、しばしば腎機能の悪化(WRF)と関連する。大阪府立急性期・総合医療センターの玉置 俊介氏らは、左室駆出率(LVEF)が保持されたADHF患者のWRFに対する選択的V2受容体アンタゴニストであるトルバプタンの効果について検討を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月16日号の報告。

SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大

 うつ病では、しばしば通常治療により耐性が生じることがある。また、うつ病患者は、言語流暢性テスト(verbal fluency test:VFT)に関連する近赤外線分光法(NIRS)において、前頭側頭皮質の機能低下を示している。大分大学の増田 幸司氏らは、未治療のうつ病患者に対する薬物治療反応が、初期調査のNIRSアウトカムにより予測可能かを検討した。Journal of affective disorders誌2017年5月号の報告。

キノコ摂取頻度が高いほど認知症リスク低い~大崎コホート研究

 in vivoやin vitroの研究においてキノコの神経保護作用や認知症を予防する可能性が示されているが、キノコと認知機能低下の関連について調べたコホート研究は少なく、関連が明らかになっていなかった。今回、一般住民を対象とした大規模前向きコホートである大崎コホート研究2006において、キノコの摂取頻度が高い高齢者では認知症発症のリスクが低いことが、世界で初めて明らかになった。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年3月13日号に掲載。

認知機能低下が懸念されるスタチン、運動併用が有効か

 スタチン使用と認知機能低下との関連が懸念されている。熊本大学循環器内科の研究グループでは、既に軽度の認知機能低下のある冠動脈疾患(CAD)患者におけるパイロット研究から、スタチンと定期的な運動の併用が認知機能障害の改善に役立つ可能性を報告した。Internal medicine誌オンライン版2017年3月17日号に掲載。