日本発エビデンス

日本人の慢性透析の生涯リスクは男性3.14%、女性1.42%

 日本人男性の32人に1人、女性の71人に1人は、亡くなるまでの間に慢性透析が必要になるとする報告が「Clinical and Experimental Nephrology」2月10日オンライン版に掲載された。  生まれてから亡くなるまでの間に何かの疾患・状態になる確率のことを「生涯リスク」といい、その疾患・状態の危険性を一般市民へ端的に伝える際によく使われる。例えば、がんの生涯リスクは男性49.01%、女性37.36%と報告されており(2001年時点)、「男性は約2人に1人、女性は約3人に1人が生涯で一度はがんにかかる」といった言い方がされる。しかし国内の末期腎不全の生涯リスクはまだ報告されていない。

日本人女性の出産前後の抗うつ薬処方

 東北大学の石川 智史氏らは、日本人女性における周産期の抗うつ薬処方率や処方パターンについて、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年3月1日号の報告。妊娠前180日~産後180日の抗うつ薬処方率を調査するため、大規模管理データベースを用いて評価した。妊娠開始日および出産日は、アルゴリズムを用いて推定した。主な結果は以下のとおり。 ・分析対象は、女性3万3,941人。 ・抗うつ薬が1剤以上処方されていた女性は、妊娠前180日~産後180日の期間で451人(133/1万分娩)、妊娠中では241人(71/1万分娩)であった。 ・抗うつ薬の処方率は、妊娠初期および中期に減少し、産後に増加した。 ・妊娠前に抗うつ薬を処方されていた339人中、妊娠中に抗うつ薬を中止した女性は151人(44.5%)であった。

高齢NSCLC患者におけるカルボプラチンとペメトレキセドの有用性(JCOG1210/WJOG7813L)/JAMA Oncol

 高齢者の進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1stライン化学療法の中で、ドセタキセル単剤(DOC)は標準療法の1つである。一方、非高齢者の非扁平上皮NSCLCの1次治療としてはカルボプラチン+ペメトレキセドからペメトレキセドの維持療法(CBDCA/PEM)が、広く使われている。そのような中、進行非扁平上皮NSCLCの高齢患者に関して、CBDCA/PEM療法のドセタキセル単剤療法との非劣性を評価する多施設オープンラベル第III相試験が実施された。JAMA Oncology誌2020年3月12日オンライン版掲載の報告。

2型糖尿病患者の血糖コントロールに性格特性は関係しない

 糖尿病は「自己管理の病気」と言われる。血糖コントロールの改善・維持には、患者自身が日々の生活の中で食事療法、運動療法、薬物療法をきちんと続けることが欠かせない。そのような治療を継続していくには、忍耐力の有無など患者本人の性格が治療アドヒアランスに影響する可能性が考えられる。しかし今回、患者の性格と血糖コントロールの良しあしは関連がないことを示唆する研究結果が、「Psychiatry Investigation」1月25日オンライン版に掲載された。

統合失調症患者に対するアリピプラゾール持続性注射剤の投与経路変更の受け入れ調査

 統合失調症患者の服薬アドヒアランスを改善するために、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬が使用される。しかし、日本ではまだ一般的ではない。現在、アリピプラゾールLAIの投与は、臀部筋肉内に加え三角筋内への投与が可能となっている。名城大学の亀井 浩行氏らは、アリピプラゾールLAIの投与経路を臀部から三角筋へ変更することによる、患者の受け入れ状況について調査を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。

冠動脈疾患における抗血栓療法にフォーカスしたガイドラインを公開/日本循環器学会

 日本循環器学会は2020年3月13日、「2020年JCSガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法」を日本循環器学会ホームページにおいて公開した。本アップデート版は、2019年に発表された「急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)」と「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」の2つのガイドラインの抗血栓療法に関して、発表後に多くの重要なエビデンスや新たな概念が発表されたことから、この内容にのみ焦点を当て作成された。

「適度な運動」の効果を高めるには「脳への衝撃」が必要?

 ウォーキングやジョギングによって脳に物理的な軽い衝撃が繰り返されることで、脳の働きが改善する可能性が報告された。国立障害者リハビリテーションセンター病院の澤田泰宏氏らの研究によるもので、「iScience」1月31日オンライン版に掲載された。  適度な運動は、身体疾患はもちろんアルツハイマー病やうつ状態などの精神疾患の予防にも有効。ただし、運動がなぜ精神面に好影響を及ぼすのかはよく分かっていない。澤田氏らは、運動により生じる脳への適度な物理的衝撃が、運動効果の一部に関与しているとの仮説を立て、以下の実験を行った。

アルツハイマー病の認知機能やBPSDに対するスギの香りの影響

 秋田大学の高橋 裕哉氏らは、嗅覚神経刺激によりアルツハイマー病(AD)患者の認知症状が改善するかについて、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月9日号の報告。嗅覚機能障害のないAD患者を抽出するため、スティック型嗅覚同定能力検査を実施した。次に、これらの患者を介入群(19例)と対照群(17例)にランダムに割り付けた。嗅覚神経刺激の効果を評価するため、介入群には、スギからのアロマ成分を添加した消毒エタノールを用い、

インスリンポンプ療法に特化したQOL尺度を新規開発

 最近の1型糖尿病に対する先進的な糖尿病関連デバイスは、持続血糖モニタリング(CGM)や持続皮下インスリン注入療法(CSII)など、めざましい進歩を遂げている。  とくにインスリンポンプ療法は、毎回煩雑な手順を踏んで注射しなくてよいため、食事の際や高血糖時など、目標の血糖まで速やかに修正できるなどのメリットがある。一方、常に装着しておかなければならず、装着部位のかゆみや服の制約などのデメリットもある。

アルツハイマー型認知症の医療・介護にかかる社会的費用は月平均22.5万円/人

 アルツハイマー型認知症の医療・介護にかかる社会的費用は、当事者1人当たり月に平均約22万5,000円であることが、国内のデータを用いた検討から明らかになった。費用の6割近くは介護者の労働損失など、直接的な医療・介護費以外(インフォーマルケア費用)が占めるという。観察研究「GERAS-J」のデータを解析した結果であり、東京都医学総合研究所の中西三春氏らが「Journal of Alzheimer's Disease」1月19日オンライン版に報告した。  GERAS-Jは、国内13カ所の大学病院を含む30施設で行われた多施設共同前向き観察研究で、日本イーライリリー株式会社の資金提供により実施された。外来治療を受けているアルツハイマー型認知症の当事者とその家族介護者を18カ月追跡した。今回の研究はGERAS-J調査開始時のデータを用いて、社会的費用を算出したもの。

日常会話からアルツハイマー病を見つける新技術

 アルツハイマー病の患者を日常会話から検出できる可能性のある新技術に関する報告が「JMIR Mental Health」1月12日オンライン版に掲載された。日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所の山田康智氏らの研究によるもので、その識別力は90%以上に上るという。  アルツハイマー病をはじめとする認知症の症状が現れているにも関わらず、その診断を受けていない患者は少なくない。適切な治療やサポートがなされずに、患者本人と家族に負担が生じているケースもある。

エリブリン治療における乳がん患者のOS予測因子は?(EMBRACE)

 局所進行または転移を有する乳がん(MBC)患者へのエリブリン治療における、全生存期間(OS)の予測因子が評価された。これまでに、好中球・リンパ球比(NLR)がエリブリン治療における無増悪生存期間(PFS)の予測因子となる可能性が示唆されている。兵庫医科大学の三好 康雄氏らによる、Breast Cancer誌オンライン版2020年3月5日号掲載の報告より。  研究グループは、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む前治療歴のあるMBC患者に対する、エリブリンと主治医選択薬(TPC)の有効性を比較した第III相EMBRACE試験のPost-Hoc解析を実施。ベースライン時のリンパ球絶対数(ALC)およびNLRとOSの関連が両群で評価された。

NSCLCの術後補助化学療法、適正レジメンは?(TORG 0503)/Lung Cancer

 日本発の、非小細胞肺がん(NSCLC)術後補助化学療法の適正レジメンが示された。完全切除されたStage IB、IIおよびIIIAのNSCLCでは、術後補助化学療法が標準治療であるが、これまで最適な化学療法レジメンは決定されていない。日本医科大学呼吸器内科の久保田馨氏らは、これらの患者において望ましいプラチナベースの第3世代レジメンを選択する「TORG0503試験」を実施した。その結果、ドセタキセル+シスプラチン併用療法とパクリタキセル+カルボプラチン併用療法が、術後補助化学療法として安全に施行できることが示された。

東日本大震災プロスペクティブ研究:事前のソーシャルサポートと災害後のうつ病予防

 国立保健医療科学院の佐々木 由理氏らは、2011年の東日本大震災による高齢者の抑うつ症状を緩和するために、災害前のソーシャルサポートが有効であったかについて検討を行った。Scientific Reports誌2019年12月19日号の報告。  対象は、災害の7ヵ月前に日本老年学的評価研究の一環としてベースライン調査を完了した岩沼市在住の65歳以上の高齢者3,567例。フォローアップ調査は、災害から2.5年後に実施した。分析対象者2,293例の災害前のソーシャルサポート(emotional & instrumental help)の授受を4つの項目を用いて測定した。抑うつ症状は、GDS(カットオフ値4/5)を用いて評価した。

糖尿病でも運動していれば介護リスクは糖尿病でない人と同レベル―新潟大

 糖尿病患者は介護が必要になるリスクが高いものの、運動を続けていれば糖尿病でない人と変わらない程度にリスクが低下する可能性が報告された。新潟大学医学部血液・内分泌・代謝内科の曽根博仁氏、藤原和哉氏らが、新潟県三条市の医療ビッグデータを解析した結果、明らかになった。詳細は「BMJ Open Diabetes Research & Care」1月25日オンライン版に掲載された。  研究グループでは、三条市の特定健診と診療報酬請求および介護保険データを統合し、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)および生活習慣(運動習慣の有無、現喫煙)と、介護保険の利用状況との関連を検討する後方視的コホート研究を行った。運動習慣の有無は「中等度の運動を週に2回30分以上、1年間継続していること」で判定した。

二日酔いにロキソプロフェンは本当に効くのか~日本人医師のRCT

 二日酔い症状の緩和にロキソプロフェンナトリウム(以下、ロキソプロフェン)が効くという言説。医療関係者ならば耳にしたことがあるかもしれないが、医学的に妥当なのだろうか。  今回、原 正彦氏(日本臨床研究学会 代表理事)が、二日酔いの症状緩和に対するロキソプロフェンの有効性を、医師を被験者としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験で検証したところ、頭痛を緩和する一方で全身倦怠感と吐き気は改善しないことが示された。Alcohol誌オンライン版で2020年3月3日に報告。

統合失調症患者の認知機能とMMP-9との関連

 マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)は、シナプス可塑性を調節することが示唆されており、統合失調症の病態生理に影響を及ぼす可能性がある。国立精神・神経医療研究センターの工藤 紀子氏らは、統合失調症患者におけるMMP-9の末梢血中レベルおよびその認知機能との関連、統合失調症の病態生理、とくに認知機能低下におけるMMP-9の関与について調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月5日号の報告。  統合失調症患者(抗精神病薬が投与されていない患者を含む)249例および健常対照者257例を対象に、血漿MMP-9レベルを測定した。統合失調症患者と健常対照者における血漿MMP-9レベルと認知機能との関連を調査するため、ウェクスラー成人知能検査第3版(WAIS-III)、ウェクスラー記憶検査(WMS-R)、レイ聴覚性言語学習テスト(AVLT)を用いた。

統合失調症患者のミスマッチ陰性電位とドパミンとの関連

 ミスマッチ陰性電位(MMN)欠損は、統合失調症の最も確実で再現可能な所見の1つであり、主にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体システムの機能不全を反映している。ドパミン受容体は、短期的にMMNを調整しないことが知られているが、長期的な影響についてはよくわかっていない。福島県立医科大学の志賀 哲也氏らは、統合失調症患者のMMNとドパミンとの関連について、調査を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年1月28日号の報告。

幼少期の被虐体験が高齢期の医療費増加の一因

 幼少期に虐待を受けた人は高齢になってからの医療費が1年当たり11万円以上高いとする推算結果が、「JAMA Network Open」1月8日オンライン版に掲載された。日本全体では、年総額約3,330億円の医療費負担につながっているという。  東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の伊角彩氏らは、日本老年学的評価研究(JAGES)のデータと健診および診療報酬請求データを用いて、高齢者の医療費を幼少期の被虐体験の有無で比較検討した。研究対象はJAGESに参加しているある政令指定都市の要介護認定を受けていない65~75歳の住民のうち、幼少期の被虐体験に関する質問に回答した978人(平均年齢70.6±2.9歳、うち男性が43.6%)。

喫煙者の高い認知症リスク、禁煙3年で軽減~大崎コホート研究

 禁煙と認知症リスクの変化について米国のARIC研究の結果が報告されているが、今回、東北大学のYukai Lu氏らが、日本の前向き研究である大崎コホートにおける縦断的分析の結果を報告した。本研究では、3年以上禁煙した場合、認知症発症リスクは非喫煙者と同じレベルまで低下することが示唆された。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年2月15日号に掲載。本研究の対象は65歳以上の日本人1万2,489人で、5.7年間追跡調査を実施した。2006年に喫煙状況およびその他の生活習慣の情報を質問票にて収集した。認知症発症に関するデータは、公的介護保険のデータベースから取得した。Cox比例ハザードモデルを使用し、認知症の多変量調整ハザード比(HR)および95%信頼区間(95%CI)を推定した。